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得能正照自叙伝「発明街道」

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海外諸国の新聞・雑誌から

(1)ボックスボード・コンテナー誌(1983年8月号)

(編集長スタンレイ・E・ボイド氏が以下の記事を掲載)
「第三世代の到来」(副題)「将来のコルゲータは大型・高速とは限らない」

『過去10年来、段ボール製造工程の新技術開発に多少なりとも注意を払ってきた人々にとって、マサテル・トクノーの名前は、既にお馴染みだろう。得能氏は、他の開発機械の場合もそうだが、いま最大の関心を払われている「連続運転コルゲータ」開発の中心人物である。
同氏は、TAPPI段ボール会議でも、著名な人物となっている。氏は英語の達人とはとても言えないが、「タイガー」(氏の愛称)が何かを話すときは、耳をそばだてて聞かなければならないと、米国の段ボール会社の面々は言っている。
同氏の「紙パルプ業界及び段ボール製造に対する顕著なる貢献」が、1978年、国際的に高く評価され、「TAPPI段ボール部門賞」が贈られた。
得能氏の開発機械は、相当な数になる。ウルトラフォーマー抄紙機、ノーギャップコルゲータ、オートフィーダ、ダイレクトドライブカットオフ、フィンガレスシングルフェーサ、ナイヤガラスタッカー、レーザーセットアップシステム、T/Tロール等々である。しかし、これらの開発機械の多くは、同氏のいう「第二世代」コルゲータに属するものだ。
得能氏は、既に得た名誉に甘んじることを快しとせず、「第三世代」コルゲータに思いを馳せ、その実現に努力している。その第三世代コルゲータについて、得能氏は今年初め、ヨーロッパ技術協会で、そのアウトラインを発表した。
すなわち、第三世代のターゲットには、
・第二世代より高い労働生産性、
・段ボールユーザーの近くに建てられたコンパクトなフルオートの工場、
・第二世代と同等、もしくはより安価な製造設備、
・数工場をコントロールする中央制御システム、などが含まれている。
そして、得能氏は「第三世代のコルゲータの開発は私の夢です」と語っている。また、同氏は、コルゲータの運転に産業用ロボットが使われると予想している。ロボットが、自動的に巻取原紙を原紙倉庫から取り出し、ミルロールスタンドに原紙を掛ける。また、ロボットはスプライサーからダウンスタッカーまでの全ての運転を行う。数工場に一つの中央制御システムを持つことにより、各工場のオペレーターの数はごく僅かになろう。コルゲータのウェットエンドのオートメ化により、片段をブリッジ上に溜める必要もなくなる。そして、ダブルフェーサと同期し、ロボットはスタッカーに行くまでに不良シートを選別するようになる。
第三世代の段ボール工場に関する得能氏のビジョンでは、1直当たり人員で、巻取原紙の搬出に1名、コルゲータに2名、ボイラーに1名、スターチ1名となっている。また、4台のコンバーティングマシン(製函機械)の場合、1直当たり4名のオペレーターと最終製品の保管に1名、それに、工場長とオフィススタッフで3名、予備人員2名。従って、コルゲータ/コンバーティング/事務所の全体でも、工場要員は18名程度で運営できる、としている。
得能氏の説明の中で、最も興味深いのは、「大型化・高速化は、第三世代には必ずしも必要ではない」と明言している点である。すなわち、高速化はエネルギーコストのアップを来すし、スピードアップによるメリットも必ずしも期待できるとは限らない。そして、これまで見逃されてきた最も重要な点は、平均稼働スピードを極力高く維持することだ、と語っている。
同氏は、これについて、2名で運転する120m/分のコルゲータの例を挙げて、コルゲータスピードによって、低品質の原紙でもトラブルを最小限に押さえることも、また、小ロットの貼り合わせもスローダウンせず出来ること、その結果、120m/分コルゲータは、労働生産性の面で、4名で運転する200mコルゲータに劣らないと説明している。また、コルゲータの巾やスピードは、その地域の条件に合わせるべきだ、とも強調している。
「第三世代コルゲータ」の実現までには、まだまだ色々なファクターを調査・検討しなければならないだろう。そして、このコルゲータがどういうものになるかは、現在のところ全く分からないけれども、得能氏は、その開発に関して、極めて興味深い考え方と、重要な手掛かりを提供していると言えるようである』。


(2)ペーパーボード・パッケージング誌 マーク・アルズメニアン編集長から寄稿依頼の書簡(1984年2月16日)

『本年7月号の「ペーパーボード・パッケージング」誌に、最新のコルゲータにおける開発に関する特集を予定しております。このため、本誌では全てのコルゲータメーカーに対して、「コルゲータの技術開発はもう限界に達してしまったのか、あるいは90年代またはそれ以降には、画期的な変化、進歩発展を目にすることが出来るのか」という質問への回答をお願いしております。
この特集号の準備を進めていたところ、3年前の1981年に、貴殿がわが社の競争誌である「ボックスボード・コンテナー誌」に発表された素晴らしい記事を発見しました。そのタイトルは「段ボール機械の将来の開発について」でした。この記事は同年8月に刊行され、非常に啓発的で教えられるところ大であります。多分ご記憶のことと存じますが、貴殿はコルゲータとコルゲータ設計上の問題点を、その他の事項と合わせて列記しておられます。その貴殿が列記された事項が、事実、それぞれ問題であることには私も全く同感でありますが、これらの問題点の解決策に関して、改めて本誌にご寄稿いただけるかどうか、ご返事を頂戴したいというのが、私がこの手紙を書いている理由であります。
例えば、問題の一つとして、貴殿は、オーダーチェンジのたびにダブルフェーサをスローダウンしなければならず、そのため段ボールシートに反りが発生すると申しておられますが、では、その解決策は何かあるのでしょうか。
また、この記事の中で、コルゲータの設計上の問題点として、機械の長さ、エネルギーの多消費、シングルフェーサの台数、段の種類等に言及されておられますが、これらについて、特にレンゴーでは、どのように解決して行こうとしているのでしょうか。
さらに貴殿は、「近い将来、私はわずか2人で運転できるコルゲータについて発表するつもりだ」とも申されておりますが、この点については、何か新たにご発表いただけるような展開はあったのでしょうか。
そのほか、「レンゴーが急速なテンポで前進しているときに、米国やヨーロッパの段ボール機械メーカーは、長年にわたって、技術開発でいささかの進歩もなかったのではないかと思っている」と述べておられますが、もう少し具体的に、かつ明確に、この点についてご説明いただけるでしょうか。すなわち、過去2年間(1982年1月からの2年間)に、コルゲータの技術開発に関して、レンゴーではどんな成果を達成されたのでしょうか。
先述のボックスボードコンテナー誌の記事を読みますと、貴殿は1972年以来の技術開発について、詳細に述べておられますが、この時期になされた開発が非常に重要なものであったことに何ら異論はありません。しかし、私は、実は最近の開発の方に、より大きな関心を持っているのです。
その理由は、充分ご理解いただけると思いますが、本誌の7月特集号の記事には、ある特定の企業が過去に行ってきた開発の歴史などとは関係なく、われわれの読者が最も関心を抱くであろうと確信できるような、最近の技術開発の問題が対象なのであります。
それから、最後にお訊ねしたいことは、貴社がラングストンと共同開発プロジェクトを進めるために契約を結ばれてから3年以上が経過しておりますから、両社が、それぞれ新しい開発機種による恩恵にあずかることが出来たと思います。例えば、ラングストンはレンゴーの「R2D2」を販売することが出来ました。そこで私の質問は、「提携の直接的成果として、どんな新しい開発がなされたのか、あるいはどんな作業が進行中なのか」ということであります。
貴殿は、先述の記事の中で、製函機械についても触れておられましたが、われわれの特集号では、コルゲータだけを対象としております。また、私が世界のコルゲータメーカーに、全く同じ質問をするということをご承知いただきたいと思います。私どもの目的は、全ての対象企業が、それぞれ、どんな機械を提供できるのかを読者に伝えるのではなく、コルゲータに関して現在知られている問題点と、その解決方法を伝えることにあります。
つきましては、ぜひ本件について、貴殿のお考えをご発表いただきたく、私の質問にご回答をいただけるようお願いします。ちなみに、7月の発行予定日にはまだ間がありますが、貴殿は非常にご多忙な方なので、お考えをまとめ、完全な形でご回答をいただけるよう、早めにお願いする次第です。どうか、4月2日までにご返事をいただけたら大変幸いです。
先述の貴殿のご発表の内容が非常に素晴らしく、また、エキサイティングな考え方が盛り込まれていることに、私どもは深い感銘を受けており、いつか直接お会いできたらと切望しております。おそらく、本年10月(14日〜18日)にアトランタで開催されるTAPPI段ボール会議には、貴殿も出席されるだろうと思っておりますので、その折には、ぜひお目にかかりたいと存じております。
なお、ご参考までに、貴殿がボックスボード・コンテナー誌に発表された記事のコピーを同封いたします。また、私どものペーパーボード・パッケージング誌も、既によくご存じのこととは思いますが、念のため最近号を同封、お届けいたします。
最後になりますが、この長い手紙をお読みいただき、誠に有難うございました。大変お忙しい方だということは重々承知いたしておりますが、読者が、コルゲータの開発と問題点に関する本誌7月号の記事を読んで、ぜひ何か得るところがあるようにしたいと思いますので、なにとぞご貴殿のお力添えを賜りたく、お返事を心からお待ちしております』。


(3)ペーパーボード・パッケージング誌への返書(1984年3月26日)

レンゴー株式会社 専務取締役 得能正照

『お手紙拝見しました。いろいろご配慮をいただき、有難うございます。
さて、お申し越しの1981年8月の「ボックスボード・コンテナー」誌の記事について少し申し上げますと、この記事は同年3月、スカンディアヴェル技術総会の要請により、スウェーデンのステマングズンドにおける同総会主催の技術ミーティングで、「段ボール機械開発の方向」というテーマで講演したものでありますが、この講演内容を、ボックスボード・コンテナー誌が無断で掲載し、それが貴殿の目にとまったものであります。
さて、その時点までは、私は当時の講演内容のような考え方で開発を進めておりましたが、ちょうど2年後、1983年3月のスカンディアヴェル技術総会で、改めて「第三世代への展望」というテーマで講演いたしましたので、その際の原稿のコピーをお送りします。この原稿をお読みいただくとお分かりと思いますが、他産業に見られるように、段ボール産業も、まさに「第三世代」に移行しつつあるように思われます。同封資料が、貴殿の企画のお役に立つことを願っております』。


(4)ストレーツ・タイムス(シンガポール)/1984年7月7日

(標題)This man Tokuno is no paper tiger - トクノー氏は「張り子のトラ」ではない

『欧米の友人たちから「タイガー」と呼ばれるミスター・マサテル・トクノーの尽力で、シンガポールの最新の製紙工場が成功裡にスタートアップした。この工場は、東南アジア地区で最も近代的な製紙工場である。得能氏は既に米国、カナダ、メキシコ、ヨーロッパ、南ア連邦向けに、このような製紙機械を49台も輸出する契約を交わしている。
海軍の出身で、経験を重ねた技術専門家であるミスター・トクノーは、同時にペーパーマシンの発明を数多く生みだした人でもある。非常に陽気で闊達なこの発明家は、200件以上の自己所有のパテントを持ち、抄紙効率を画期的に高めた抄紙機「ウルトラフォーマー」も氏が発明した。「私は物を作るのに、何をどうすればベターか、いつも考え続けている。私が考案したアイデアの多くは、寝ているときにパッと思いついた」と、彼は日本語で、そう語った。
彼は、製紙や段ボール生産に役立つロボットの利用方法に知恵を絞っている。「近い将来、ロボットが、製紙工場の構内や段ボール工場の中を走り回るようになるだろう」と彼は断言している。
ミスター・トクノーは、日本最大の段ボール会社で、世界でも第15位にランクされるレンゴーの専務で、同時にアジア人としてはただ一人、権威あるTAPPIの国際賞を1978年、製紙・段ボール産業の発展への功績により受賞している。
マルチパック・シンガポール社も、シンガポール自体も、将来、日本のコンペチター(競争者)になるかも知れない。シンガポールは実際、あらゆる分野でそういう要素を持つからである。しかし、レンゴーはそんなことを全然気にもとめていない。「我々の技術と過去65年にわたる経験をマルチ・パック社に伝授できることを喜んでいる」と彼は言う。
ミスター・トクノーと紙との結びつきは、第二次世界大戦後、彼のファミリー・カンパニーで始まった。しかし、1964年に父君が亡くなってのち、彼はレンゴーに移った。
彼の指導する16人のチームが、向こう5年内に、マルチ・パックが月間3,000トンの生産目標を達成出来るように頑張っている。そのため、トクノー氏自身が、これから月に一度はシンガポールを訪れる、とのことである』。


(5)ペーパーボード・パッケージング誌(1987年5月)

(標題)「技術革新に対応する米国メーカー」

『米国の段ボール機械メーカーが、海外メーカーとの競争により危機にさらされてきたというのはおそらく本当だろう。段ボール業界の設備投資は、収益性の低さから、長年にわたって抑制されてきた。しかし、多くの識者のいう言葉が正しければ、そのあと我々は技術革新に立ち上がり、勢いを盛り返しつつある。
「日本メーカーの挑戦は、我々に新しいものの見方を学ばせた」と、ストーン・コンテナー社段ボール事業部の設計部長フィル・ジーグラー氏は語っている。「以前は、我々は多分怠けていたのだと思う。現在、我々は技術革新に対応して、より創造的であろうと努力している。また、ホワイトカラー、ブルーカラーを問わず、従業員の参画を促すような経営スタイルが取り入れられ、生産コストと人件費を最も均衡のとれたものにする努力が払われている。これによって、段ボール業界で働く人々の経営への参画意欲が高まっている」。
スマーフィット/CCAの上席プロジェクト・エンジニアで、TAPPI誌の常連の筆者でもあるロブ・トリップスミス氏は、日本が米国の段ボール業界を席巻したことを認めている。彼は次のように言う。「日本のメーカーは、1980年ごろから、段ボール製造技術に大きな影響を及ぼした。コルゲータ速度の改善は、以前は年に5%と、緩やかなカーブだったが、日本メーカーはそれを年間25%と急激に高めた。平均貼合速度は、1960年代には毎分325フィート(約100m)だったが、1990年代には1,000フィート(300m)の貼合速度が可能となろう。
この急速な改善は、フィンガレス・シングルフェーサの導入によるものである。生産速度の大幅改善は日本の段ボールメーカー、レンゴーの得能氏が機械の開発を進めたことにより達成された。得能氏は、欧米で「タイガー」の愛称で畏敬の念を持って親しまれているが、科学的設計方法の採用と技術開発により、世界の段ボール産業をリードした』。(以下略)