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得能正照自叙伝「発明街道」

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ICCA第1回アテネ大会における講演要旨
(1979-05-08) レンゴー株式会社 専務取締役 得能正照

本日この大会でレンゴーの新しい開発について発表の機会を得ましたことを光栄に存じます。この機会を作って下さいましたICCAのサントス会長をはじめ、お集まりの皆様方に厚く御礼を申し上げます。

さて、レンゴーの開発になるCCSについては、すでに1972年のマイアミ、および1973年のデンバーのTAPPIの総会において発表、また、カットオフのダイレクトドライブDDS-Rについては1975年のダラスTAPPI総会において発表しました。

CCSは、レンゴーに導入後、すでに7年を経過し、導入された工場は8工場を数えます。また、カットオフのDDS-Rは、レンゴーの23全工場に設置されており、日本国内及び諸外国を含め、すでに200セットの導入実績になっております。その間、スプライサー、スリッタースコアラー、カットオフ等も改良を重ね、数世代を経過して、現在に至っております。
本日は、今年2月から稼働に入りました東京工場2440ミリ幅、スピード250メートル/分のコルゲーターを参考に、レンゴーの新しい開発についてご説明いたします。

開発機械の導入には3つの必要条件があります。それは、人、紙、装置です。

1、人について
開発機械の導入には、作業員の理解と協力の必要があります。すなわち、開発機械の導入は、(1)従業員の練度と労力の低減を目的とする、(2)安定した高品質の段ボールシートが得られる、(3)段ボールの生産性が飛躍的に向上する。以上の理解に基づき、新装置に意欲的に取り組むように作業員を教育する必要があります。

2、紙について
開発機械が導入されるや否やを問わず、ライナー・中芯の品質は極めて重要です。特に、多額な投資を必要とするCCSにとっては、その性能を発揮させるために、ライナー・中芯の重量・強度以外の品質が特に重要なのです。
すなわち、巻取側面に凹凸のないこと、巻取が真円で、芯部まで固く巻かれていること、巻取内部の製紙サイドでの接合部がしっかり接合されていること、幅方向の厚薄が無く、水分ムラがないこと、巻取芯部に口金付き紙管が使用されていること、以上が製紙メーカーへの要望であります。
紙加工業にとって、原材料の品質が、生産性、及び品質に大きな影響を与えることは誰でも認識していることですが、実際は欧米には悪い原紙が多く、このため製紙メーカーへの強力な指導が必要であり、これを放置しておくのは紙加工業の怠慢といわねばなりません。

3、装置について
現在われわれが考えているコルゲータに欠かすことの出来ない装置は

(1)原紙搬入装置
(2)ライナー・中芯のゼロテール・スプライサー
(3)ライナー・中芯のテンション・コントロール
(4)ノーフィンガー・シングルフェーサー
(5)シングルフェーサー自動運転装置
(6)自動フルート替え装置
(7)CCS用スリッタースコアラー
(8)ダイレクトドライブ・カットオフ(サクションベルト付き)
(9)ダウンスタッカー
(10)生産管理装置--以上10種の装置です。
レンゴーでは、これらの装置について、作業方法の改善並びに装置の改良を進めてきましたが、まだまだ完成とは言えません。これを含めて、東京工場における新しい設備について説明いたします。

(1)ミルロールスタンド
原紙搬入装置=動力式搬入
コアチャック=原紙コア部の損傷を防ぐ
空気圧制御ディスクブレーキ=スムーズな自動テンションコントロールを可能にする
(2)スプライサー
テンションコントロール付きZTスプライサー=テールが全くない高速スプライサー
(3)R-2シングルフェーサー
ノーフィンガータイプのため、フィンガー調整が不要=どんな中芯でもハイローなく高速運転が可能。平均強度が約10%上昇する。レンゴー23工場に導入済み
(4)特殊スプレンダーバー
ライナーのウェットストリークに対して部分加熱が可能なため、ウェットストリークによる貼合速度の低下を防止できる
(5)シングルフェーサー自動運転装置
オペレータの作業量を軽減し、原紙替え作業が余裕をもって出来る
(6)自動フルートチェンジ
フルート替えを、止転なく行う/運転スピードで出来るよう近日開発の予定
(7)CCS用スリッタースコアラー
レンゴーが開発した第3世代のスリッタースコアラー/約30秒でセットアップが可能/ダブルバッカーとカットオフ間の距離が短くても設置可能/毎分200mのスピードでオーダー替えが可能
(8)DDS-Rカットオフ
世界で最初のダイレクトドライブを開発した/すでに何世代も経過し、印刷機でのノー・トリムを可能にした/毎分250mのスピードガ可能
(9)カットオフ・サクションベルト
フルートのクラッシュなくフィードできるので、強度の低下がない
(10)ダウンスタッカー
使用者側の立場で開発した/操作が簡単/高速でのインスタント・チェンジに対しても対応が可能
(11)RPC=レンゴーの生産管理システム
オーダースケジュールはパンチカードに記録される/スプライサーからダウンスタッカーまで全自動で行われる

以上の各装置の導入により、レンゴーの生産性は飛躍的に向上しました。その経過を、次の表で説明いたします。

【CCS及びR-2シングルフェーサ導入による効果】
(1)効果算定のための設定条件
(a)コルゲータ=87インチ巾×200m/分
(b)コルゲータの平均運転速度(従来)

段の種類 貼合比率 平均ランニング速度
Aフルート 50% 130m/分
Bフルート 25% 160m/分
複 両 面 25% 100m/分
平 均
130m/分
(c)1日当たり稼働時間    21時間
(d)平均紙巾 205cm
(e)年間稼働時間 280日
(2)CCS導入による効果
 (a)ZTスプライサー導入による効果
(1)ダブル側手継ぎのためのスピードダウンの損失時間
      紙継ぎ1回当たりのスピードダウンによる損失時間=26秒
     ダブル側1日当たりの紙継ぎ回数=72回
      従って、1日の紙継ぎ時スピードダウンによる損失時間は
           26×72×1/60=31.2分/日
(2)ダブル側手継ぎ失敗による止転時間
    手継ぎによるスプライス成功率=89%
    ZTスプライサーによるスプライス成功率=99%以上
     ダブル側紙継ぎ失敗による1回当たり止転時間=5分
     従って、紙継ぎ失敗による止転時間は
       72×(0.99-0.89)×5=36分/日
(3)スプライスによるロスm数
    手継ぎの場合、耳ズレも含め1回当たり平均ロス=8m/回
     ZTスプライスの場合、平均ロスm数
       中芯スプライス=ゼロm
      シングル側スプライス=ゼロm
      ダブル側スプライス=1.5m/回
1日当たりシングル側紙継ぎ回数=172回
従って、スプライスによるロスm数
(172+72)×8-1.5×72=1,844m/日
    従って、ZTスプライサー導入による効果は(1)+(2)+(3)
すなわち、1日当たり生産m数のアップは10,580m
      同、損失時間のカバーは 81.4分
  (b)ラインスピード・オーダーチェンジ・システムの導入による効果
オーダーチェンジ1回当たりスピードダウンによる損失時間=32.5秒
1日のオーダー回数=66回とすると、
従来のスリッタースコアラの1日当たり損失時間は
32.5×66×1/60=35.75分/1日
1日当たり生産m数のアップ率は4,648m/日
(c)DDSRカットオフ導入による効果
従来のカットオフの場合、トリムロス=0.4%
乱尺によるロス=1.0%
DDSRの場合は全て解消するので
1日当たりの生産m数のアップは1,638m/日
〃 損失時間のカバーは   12.6分/日
 従って、CCS導入に伴う効果をまとめると次表の通りとなる。
1日当たり生産長さのアップ    損失時間のカバー
ZTスプライサー導入の効果 10,580m  81.4分
ROC導入による効果   4,648m  35.75分
DDSR導入による効果 1,638m  12.6分
合   計 16,866m 129.75分
(3)R-2シングルフェーサ導入による効果
R-2シングルフェーサは中芯の坪量、品質に関係なく常に最高のスピードで貼合が可能である。レンゴーでは従来より比較的良質のSCP中芯を使用していたが、R-2導入後はオール古紙の中芯の使用比率を高めながら、なおかつ10%以上のスピードアップを可能としている。
従って、1日当たりの生産m数のアップは 16,380m/日
平均130m/分としての時間換算では   126分/日
(4)CCS及びR-2導入前後の効果の総括
   従来コルゲータ   CCS導入後   CCS/R2   〃
   平均スピード(分)   130m  143m 156m
時間当たり貼合長 7,800m 8,603m 9,383m
1日3直当たり貼合長 163,800m 180,666m 197,046m
年間(280日)貼合長 45,864千m 50,586千m 55,173千m
 〃  面積    94,021千平米 103,720平米 113,104平米
   アップ率      100%   110% 120%
【レンゴー東京工場におけるCCS及びR-2導入前後の実績】
      1975年    1976年   1977年   1978年
平均スピード/分 127.5m 135.4m 144.0m 156.4m
時間当たり貼合長 7,651m 8,121m 8,637m 9,384m
 アップ率    100 106 113 123
 ロス率  3.02 2.68 2.37 2.09
【東京工場 96インチ巾×250m/分コルゲータ導入後の実績】
稼働約2カ月後の実績値
 平均スピード     178.9m/分
 時間当たり貼合長  10,731m/時

【CCS及びR-2シングルフェーサ導入による効果】
(1)効果算定のための設定条件
(a)コルゲータ=87インチ巾×200m/分
(b)コルゲータの平均運転速度(従来)

段の種類 貼合比率 平均ランニング速度
Aフルート 50% 130m/分
Bフルート 25% 160m/分
複 両 面 25% 100m/分
平 均
130m/分
(c)1日当たり稼働時間    21時間
(d)平均紙巾 205cm
(e)年間稼働時間 280日
(2)CCS導入による効果
 (a)ZTスプライサー導入による効果
(1)ダブル側手継ぎのためのスピードダウンの損失時間
      紙継ぎ1回当たりのスピードダウンによる損失時間=26秒
     ダブル側1日当たりの紙継ぎ回数=72回
      従って、1日の紙継ぎ時スピードダウンによる損失時間は
           26×72×1/60=31.2分/日
(2)ダブル側手継ぎ失敗による止転時間
    手継ぎによるスプライス成功率=89%
    ZTスプライサーによるスプライス成功率=99%以上
     ダブル側紙継ぎ失敗による1回当たり止転時間=5分
     従って、紙継ぎ失敗による止転時間は
       72×(0.99-0.89)×5=36分/日
(3)スプライスによるロスm数
    手継ぎの場合、耳ズレも含め1回当たり平均ロス=8m/回
     ZTスプライスの場合、平均ロスm数
       中芯スプライス=ゼロm
      シングル側スプライス=ゼロm
      ダブル側スプライス=1.5m/回
1日当たりシングル側紙継ぎ回数=172回
従って、スプライスによるロスm数
(172+72)×8-1.5×72=1,844m/日
    従って、ZTスプライサー導入による効果は(1)+(2)+(3)
すなわち、1日当たり生産m数のアップは10,580m
      同、損失時間のカバーは 81.4分
  (b)ラインスピード・オーダーチェンジ・システムの導入による効果
オーダーチェンジ1回当たりスピードダウンによる損失時間=32.5秒
1日のオーダー回数=66回とすると、
従来のスリッタースコアラの1日当たり損失時間は
32.5×66×1/60=35.75分/1日
1日当たり生産m数のアップ率は4,648m/日
(c)DDSRカットオフ導入による効果
従来のカットオフの場合、トリムロス=0.4%
乱尺によるロス=1.0%
DDSRの場合は全て解消するので
1日当たりの生産m数のアップは1,638m/日
〃 損失時間のカバーは   12.6分/日
 従って、CCS導入に伴う効果をまとめると次表の通りとなる。
1日当たり生産長さのアップ    損失時間のカバー
ZTスプライサー導入の効果 10,580m  81.4分
ROC導入による効果   4,648m  35.75分
DDSR導入による効果 1,638m  12.6分
合   計 16,866m 129.75分
(3)R-2シングルフェーサ導入による効果
R-2シングルフェーサは中芯の坪量、品質に関係なく常に最高のスピードで貼合が可能である。レンゴーでは従来より比較的良質のSCP中芯を使用していたが、R-2導入後はオール古紙の中芯の使用比率を高めながら、なおかつ10%以上のスピードアップを可能としている。
従って、1日当たりの生産m数のアップは 16,380m/日
平均130m/分としての時間換算では   126分/日
(4)CCS及びR-2導入前後の効果の総括
   従来コルゲータ   CCS導入後   CCS/R2   〃
   平均スピード(分)   130m  143m 156m
時間当たり貼合長 7,800m 8,603m 9,383m
1日3直当たり貼合長 163,800m 180,666m 197,046m
年間(280日)貼合長 45,864千m 50,586千m 55,173千m
 〃  面積    94,021千平米 103,720平米 113,104平米
   アップ率      100%   110% 120%
【レンゴー東京工場におけるCCS及びR-2導入前後の実績】
      1975年    1976年   1977年   1978年
平均スピード/分 127.5m 135.4m 144.0m 156.4m
時間当たり貼合長 7,651m 8,121m 8,637m 9,384m
 アップ率    100 106 113 123
 ロス率  3.02 2.68 2.37 2.09
【東京工場 96インチ巾×250m/分コルゲータ導入後の実績】
稼働約2カ月後の実績値
 平均スピード     178.9m/分
 時間当たり貼合長  10,731m/時

以上で私の講演を終わりますが、申すまでもなく、レンゴーは段ボール製造メーカーであります。1920年の創立以来、海外先進国より多くの指導を受けて参りました。しかし、1970年頃より、われわれ独自で、使用者側の立場に立った機械の開発を指向し、先ほど発表しましたような機械の開発をレンゴーのための行って参りました。以上のような機械の開発に多額な資金の投入を決断されたレンゴー加藤禮次社長に敬意を表するとともに、開発までいろいろとアドバイスをいただきました諸外国の友人に感謝するものであります。

最後に、重ねて申し上げます。悪い原紙と調節個所の多い、使用者にとって使いにくい機械が、オペレータのモラールの低下を招き、生産性を極端に低下させます。ご静聴、有難うございました。