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平成10年、レンゴー・セッツが合併(第1080号、その1)

平成10年は「北海道とイコールのような都市銀行」と「四大証券の一角」の破綻・整理で幕を開けた。前年4月の消費税増税が引き金を引いた長期不況時代を象徴する幕開けともなった。段ボール業界では「レンゴー・セッツの合併」が確定する年となった。セッツは名経営とうたわれた増田義雄氏が一代で築いた中芯原紙の優良トップ企業。それが後継者が金融バブル時代の渦の中で増田流経営哲学の道を外れ、うたかたの金融街道に迷い込んだところからの、レンゴーによる吸収合併劇への展開となった。

(平成10年1月10日)
【地域別の明暗が際立つ】

▼毎年、期待と不安の中で新年を迎えるが、今年は誰もが期待の部分が非常に少なくて、その分、不安の部分がかつてなく多い年になったようである。

▼北海道とイコールのようだった都市銀行がつぶれ、四大証券の一角まで整理に至った衝撃は、単に不景気というばかりではなく、確かに日本の金融システムがギシギシ軋み、もがいている実相を目のあたり示したものとして、国民の誰にも大きな衝撃を与えずにはおかなかったようである。

▼そういう危機的状況が進行しつつある中で、何度もお互いに再確認するかのように繰り返し述べられているように、段ボール生産、つまり需要も、段ボール原紙の生産・販売・輸出も、いずれも前年比増加の趨勢に変わりはなく、ただ、平成9年後半に至って、伸び率がやや急テンポに落ち込んできたことが懸念される状況になっている。

▼「段ボールは恵まれた産業」という言葉を、業界人の多くが口癖のように言うが、あまり儲からず、しかし多少の不況にもへこたれず、ユーザーには極めて献身的というのは、本来の日本人の原型そのままのような在り方でもあって、言うなら性にあった事業ということでもあるようである。

▼ところが、平成9年になって、これまでになかった傾向として、地域別の明暗の差が急に拡大したという新事情が浮かんでいる。

▼つまり、東北及び関東地区は、平成8年半ばごろから毎月、前年比増加の趨勢が切れ目なく続いている反面で、四国は8年の前年同月比増加が12カ月中2カ月、9年も統計の判明している10カ月中1-3月だけがプラス、あとは連続マイナスということで、四国はこういう需要基盤での経営困難が避けようのない事態として浮かんでいる。

▼新しいユーザー工場の立地状況の差だろうか。

(2月15日)
【価格が全ての根源】

▼このところ日本製紙だ、王子製紙だ、日本板紙だ、業界再編成だというたびに「次はレンゴーとセッツ」というように、何度も様々な角度から取り沙汰されてきた。今度こそ本物なのかどうか、日本経済新聞の報道で、またまた大きなスポットを浴びている。

▼これまで、段ボール産業関連でも、いろいろな企業集約化、合併・統合が行われてきた。最近では更にどのグループも集団も、国際化時代・グローバル化時代を迎えて、企業競争力を強化するとともに、業界安定に寄与することがうたわれるのだが、にもかかわらずこれまでのところ、わが国では、こういう構造改革の試みがそれほど目覚ましい成果を挙げているかとなると、かなり疑問も残るようである。

▼問題は、企業規模が大きくなっても、グループの範囲が広がっても、肝心の価格が下がる一方であることである。最近は低成長で、期待できるのはせいぜい1%台とかだから、前年に比べて4-5%も下がると、結局は3-4%程度のマイナス成長と同じ結果になってしまう。

▼その段ボール価格の推移表を、昭和35年からの30数年にわたって拾い出し、こういう推移がどういう原因で生じているのか、一般には外部的要因で避けがたい現象とされているものの、果たしてそうなのか、業界自身、誰もが困惑しているこの問題に対して、何らか事態改善の糸口を見つけ出すことは出来ないのかということで、別項のように掲載してみた。

▼段ボールシートの生産金額規模で、大体最近は1兆1千億円-1兆2千億円。大産業である。需要産業のあらゆるニーズに反応しながら、クレージーなまでの小ロット・即納さえもこなして、この規模である。

▼改めて思われるのは、日常、常に価格を大切にすることへの業界人の自覚の積み重ねだろうか。

(2月28日)
【この1-3月が陰の極】

▼平成9年の段ボール生産実績がまとまった。135億m2にわずか69万m2ほど足りない134億9,930万8千m2で、前年比1.1%の増加だった。

▼バブル経済崩壊後の長期不況の中でも、段ボール需要は伸びつづけている。平成4年こそ1.0%のマイナスに落ち込んだものの、以後は平成9年まで、連続5年間増加が続いている。

▼ただ、平成9年後半からは消費税増税実施後の景気後退を反映して、基調的にはマイナスに転化、現実にも11月からは連続マイナスの局面に移行している。当然、平成10年1-3月もマイナスが見込まれるから、少なくとも目の前の5カ月は連続して前年同月水準を下回る見込みである。

▼数量が減少すると、価格が弱含んでいる折柄だけに、業界各社の収支にも、より大きく響いてくる。数量で数%、平均単価で2-3%の目減りが加わって、今年1-3月期は、業界各社とも前年同期に比べ、10%内外の収入減に見舞われることになりそうである。

▼前後2回のオイルショック時には、落ち込み巾は大きかったものの、立ち直りも早かった。言って見ればV字型に落ち込んで、V字型に回復したわけだが、今度はゆるゆる下って、そのまま底を這い回っている。

▼ただ、「陰の極」というか、いよいよそういうどん詰まりの局面にまで落ち込んで、これを過ぎたら、やがて今後は少しずつ前途の見通しが開けてくる位置に差し掛かるようにも感じられる。

▼というような観測を述べている折りも折、国立市のビジネスホテルで、自動車部品会社の経営者たち3人が揃って、それぞれ別室で自殺しているのが発見されたとの報。

▼金融システムがどう、四大証券の1社がどうとか、不景気の話題には事欠かない昨今だが、これほど陰の極を実感させた事件も無かったようだ。

(3月10日)
【缶を揺さぶる小型PET】

▼平成9年の缶容器市場の推移が明らかになった。すなわち、同年の清涼飲料・ビール(発泡酒含む)・その他酒類・一般食缶を合わせた缶容器の合計生産・出荷量は14億9,630万ケースとなり、前年比99.7%、ほぼ横ばいの推移となっている。

▼注目のビールは、全体の消費量こそ前年比1%減となったものの、そうした中でも、缶ビールは前年比4%増の3億9,000万ケースとなり、この結果、缶化率は2ポイント上がって52%となった。つまり、ビールの段ボール需要は、ビール消費が多少減少しても、ビンから缶に移行するだけで増えるという事実を平成9年に初めて実証した形となっている。

▼飲料用容器の問題で、いま最も大きな関心が持たれているのが、猛烈な勢いで増加中の500ミリリットル入りのPETボトルの動向。平成9年の年間の結果をまとめると、小型PETは前年の2,700万ケースから約3.4倍の9,100万ケースに達した。このペースだと、今年は2億ケースにも達しそうである。

▼平成9年の缶容器動向のうち、清涼飲料だけをとると前年比2%のマイナスだが、実はこれも小型PETの影響。スポーツ飲料で水に近いニアウォータのキリン「サプリ」や、サントリー「ビタミンウォーター」等がPETを中心に大きく伸びたほか、紅茶・緑茶・混合茶などがやはり小型PETにシフト、そのほか国産のミネラルウォーターなどでも小型PETが大きく伸びた。

▼平成9年のPETボトル全体の生産は3億5,600万ケース。前年比で24%増だが、内わけはほとんど小型PETの増えた分だけ増えた形。すなわち、その他の容量(1リットル、1.5リットル、2リットル)の全体に占めるシェアは、前年の91%から平成9年は74%にダウン、一方、小型PETは同9%から26%へ急上昇した。

(3月30日)
【そろそろ大底だろうか】

▼平成10年1月の段ボール統計がまとまった。平成8年後半から回復に向かっいた景気を、消費税ですっかりダメにしてしまった結果の、段ボールから見た、いわば決算書である。

▼段ボール生産量は2.4%の減少と、数%の減少が見込まれた当初の予想からすると、思いのほかマイナス幅が少なかった感じ。2月の速報値でも2%台の減少だから、消費税実施前の1月-2月の仮需の具合は、やはり2%程度の規模だったと推測される。

▼ただ3月になると、もっと様子が変わってこよう。平成9年3月の段ボール生産の伸びは8.0%。それから勘案して2ケタ、ないしそれに近いマイナスが見込まれるようである。なにしろ、消費税実施直前の半月ほど前からの消費財の売れ行きはすごかった。売り手も、ここぞとばかり売り込みに精を出した。その反動が、3月にどっと出る。

▼気になるのは、そういう駆け込み需要の反動とかいう種類の領分を越えて、消費がスパイラルに縮小方向を辿っていくことだろう。まだ、そう言い切るだけの兆候はないが、ムードが悪すぎる。しかも緩和とか回復に向かう感触が何もないのが気がかりである。

▼1月の生産は2.4%の減少におさまったが、それに加えて、平均単価が3.3%下がった。この結果、段ボール業界の総売上高に当たる出荷シート・ケース合計生産額は657億5,900万円と、前年1月の696億5,800万円より39億円、5.6%もの減少となった。2月は各社とも6%台、3月は10%以上の売上高の減少だったと見込まれる。

▼ただ、気休めに言うわけではないが、それでもなおかつ、段ボール需要は根強い。1月も、全体の4分の3、つまり74%を占める需要分野で前年比増加となっている。もうそろそろ、大底だろうか。

(4月15日)
【新品種デコポン颯爽登場】

▼みかんの需要が頭打ち状態。また、10数年前までの中晩柑類の主要品目は、甘夏・はっさく・伊予かん・ネーブルだった。ピーク時には、全国で甘夏が35万トン、はっさく30万トン、伊予かん23万トン、ネーブル8万トンだったが、これらもほとんどが現在は当時の5分の1ないし4分の1にまで減少、僅かに伊予かんだけが漸減ながらも20万トン台を維持している健闘が目立つ状況に変わっている。

▼言うなれば、果実の世界もサバイバルの世界。20年前は、国産果実の生産量が700万トンを超えていたが、現在では、みかんの減少を中心に400万トンを割り込む状態。果樹農業からの離農者が如何に多いかがこの数字自体からも読みとれる状況となっている。

▼国産果実のこの減退は、必ずしも消費者が果実にそっぽを向いているせいではない。青果業界での調査によると、最近の消費者の果物に対する必要性・重要性・嗜好性としては、多少の年齢差はあっても、全体の74%が果物が大好きで、これに、どちらかと言えば好きな21%を加えると、実に95%の人が果物が好き。更に週に2日以上食べる人が女性で83%、男性でも69%を占めており、これでいうと、果実業界は、消費については何の心配も要らないことになる。

▼しかし、現実には輸入果実という手強い競争相手があって、以前のバナナからいまはオレンジ・グレープフルーツ・果汁類ほか、ありとあらゆる種類が四季を通じ豊富に出回り、消費者としても正に目移りするような状態。要は輸入果実に勝てる品種の開発だろう。

▼そういう中で颯爽と登場してきたのが「デコポン」。名前通り、ポンカンとの交配で誕生したデコボコした形の果物ながら、味の方は世界的にも恐らく指折りのうまさ。

▼多くの期待を背に、ここ当分は倍々ゲームに近い増加が期待される。

(4月30日)
【夏までには多少変化も】

▼かつてない長期不況下、これまでに何度も繰り返された小手先の景気対策のバラ撒きではなく、「政治の顔」そのものを変えければどうにもならない、とまで声高に言われてきている。

▼国民各層の不安、閉塞感は今や実に根が深い。サラリーマンは、これまでのようには、自分の会社が絶対に大丈夫とは思えなくなってきた。企業は、いつ銀行が融資をストップするか分からないと思うようになったし、今日の日本を築いてきた老人たちは、折角の長年の貯蓄が利子を生まず減るばかり。若者たちは先行き、年金など絶対貰えなくなってしまうと固く信じ始めている。

▼聞くところによると、日本には外貨準備が2000億ドルもあり、対外累積債権がその5倍の1兆ドル、個人金融資産は更にその10倍の10兆ドル、つまり1200兆円、かつ、毎月の貿易黒字が100億ドルもあるのだという。

▼「こんなに条件の揃った豊かな国はほかにあるか」という論説をどこかのコラムで読んだ。要は、このような好条件が経済的な好循環、好環境を生み出すように運営されていないということに尽きるようである。

▼個人の金融資産1200兆円は、通常の経済状態なら年率3%とか多分5%ぐらいには回るはずである。3%で36兆円、5%なら60兆円。この数年で何百兆円の富が失われたのだろうか。一方で国民の富を失わせながら、一方で景気対策に10何兆円とか、このごろは、そんな話を聞くのも、何やら全く空しくなってきたようである。

▼しかし、ただそんな悲観ばかりしているわけにもいかない。段ボール産業も、不景気風に手荒く翻弄されて、数量はともかく、価格が大きく落ち込んでしまった。その割には、ケース価格がなんとか、それなりの範囲に収まっているのが唯一の救い。夏ごろには多少は明るい動きも出るか。

(5月10日)
【不況も最終段階か】

▼段ボール業界の収益状況は、良くも悪くも、レンゴー決算を見れば分かるというのが常識だろう。段ボール加工分野のシェア18%余り。その動向が常に注目される所以である。

▼レンゴーでは、昨年11月13日の平成10年3月期中間決算の発表と併せて、同通期の決算予想を発表した。売上高2,310億円(前期比0.3%減)、そして経常利益も同じく0.3%減、当期利益2.2%減という予想だった。

▼当時の見通しとしてもこれはかなり厳しい予想だったはずである。しかし、今回発表された業績予想修正では、売上高が前期比2.2%減、経常利益が同21.0%減、当期利益同17.8%減となり、前期に実に2.5倍増に達した増益軌道が、以後の景気後退下で一転して大幅な後退に見舞われるに至ったことを如実に物語っている。

▼この背景としては、需要数量・生産数量の停滞もさることながら、それ以上に価格の軟化が響いていよう。それが、経常利益・当期利益の大幅減に強く反映されている。

▼レンゴー決算に反映されるように、業界中、良いニュースが見あたらない。段ボール生産の動向も、まだこれぞというよい兆しが何も感じられていない。シートなどは、オイルショック時などより遥か以前にさかのぼった不況期にかつてかすかに聞いた記憶があるような、そんな極端な価格さえ聞かれる昨今である。

▼どう計算しても、原紙代さえ出ない価格なら、いずれにせよ長続きするものではないものの、そんな極端が、あとあとに大きなダメージをこの業界に残し続けてきているのも事実。特に、あとから振り返ると、回復が始まる直前にモトも子もなくしてしまう失敗が、原紙を含めて、この産業界には過去、かなり多くあったように思われる。いまも、そういう不況最終盤の現象なのだろうか。

(5月25日)
【レンゴー・セッツ合併】

▼レンゴー及びセッツの両社では5月22日、「平成11年4月1日を合併期日の目標として、合併に関する具体的な交渉を開始することを両社首脳の間で合意した」と発表した。

▼発表によれば、「両社はここ数年、長引く景気の低迷による板紙市況の低迷、市況の悪化に対応すべく、独自に生産効率の向上等による収益改善をめざしてきました。しかし、将来の板紙業界において両社が果たすべき役割を考えた場合、双方の有する設備・技・人材の諸経営資源の有効活用により、更なる生産効率、物流効率の改善や技術開発力の向上等を目的として、両社が合併することが事業戦略上最も適切な方策であるとの結論に至り、今後具体的に合併に関する交渉を開始することを、両社首脳の間で合するに至った」。

▼「合併の目標期日は平成11年4月1日、合併方式はレンゴーを存続会社とし、セッツは解散する方式を予定している。合併比率は未定で、今後の交渉により決定する。役員人事等、その他の諸条件については今後の交渉により決定する予定」となっている。

▼折柄、レンゴーの3月期決算及び王子製紙の3月期決算が発表された。

▼レンゴーは売上高が2.2%減ながら、経常利益、当期利益はそれぞれ18.5%、17.5%の減収、また王子製紙は旧本州製紙との合併があったから、売上高は21.7%の増加となったものの、経常利益は8.8%減、当期利益は39.6%もの大幅な減益。

▼段ボールが悪い上、紙パルプ全体が落ち込んでいるといった状況。バブルに踊った金融・建設・不動産とは全く違うけれども。