特大


コラム・コラム・コラム

ホーム > コラム・コラム・コラム> 平成5年、世界中の同時不況に 2010-04-15(第1052号/その2)

平成5年、世界中の同時不況に 2010-04-15(第1052号/その2)

(6月15日)
【一喜一憂しながらの長い坂】

▼3月、4月が順調に推移してきたあと、5月〜8月はすこし足ぶみしたかも知れない。というのも、このあまりにも急激な円高である。

▼全般に、段ボール需要の大宗を成す加工食品関係や青果物関係は順調である。特に、青果物はほぼ全国的に天候も順調で、中でも西日本から南日本にかけては2ケタ近い高めの伸び。むしろ、夏場にかけて出来過ぎの豊作貧乏のようなことにならなければと、そういう心配もされている。

▼加工食品も、あらゆる分野がほぼ成熟産業型になって、そう大きな伸びは当面期待できないと言われながら、それでも決してマイナスにはならない堅調さを見せている。

▼これに「その他食料品」(水産物・卵・肉類など)を加えた食料品が段ボール需要全体の51%と過半を占めるわけだから、この「食の文化」の中で段ボールは不況とか円高とか、いわば外部的経済環境の直接的な衝撃から保護されるクッション構造に身を置いている形でもある。

▼とはいえ、たとえば電気製品などの段ボール箱と青果物用の段ボール箱とでは価格的には大きな相違。そのより高価な需要の部分が大きく落ち込んでいることと、また段ボール企業の個々においても、それだけに懸命に守り育ててきた需要分野がかつてない大不調ということで、収支の面はもちろん、精神的な打撃の方も言いようもないほど大きいのも事実だろう。

▼また、統計的にいうと、5月は例年より休日が1日多かったし、6月も皇太子ご成婚で日本全国すべて前年より1日休業日数が多かったはず。従って、この休業1日分の生産に及ぼすマイナス効果(推定2〜3%)を見込むと、不況や円高の効果を除外しても、5月〜6月の段ボール生産はごく低調なものになる、という見方がある。

▼回復は始まったものの、まだまだ坂は長そうだ。

(6月25日)
【今の不況が次の好況の母】

▼どこを向いても不況、不況の声ばかり。気の滅入るような昨今の風向きである。世界同時不況で、アメリカは多少上向いたと言っても大変な失業率と財政・国際収支の双子の赤字。西欧・北欧も悪い、カナダも悪いし、まして東欧やロシアとなると、いつになったら立ち直れるのか、見当もつかない有様。中南米は、一時のハイパーインフレがだいぶおさまってきたというものの、大変には変わりない。

▼わずかに東南アジア、そして中国が元気な様子である。そういう世界中の様子をぐるっと見渡してみると、いま不況、不況と大騒ぎしている日本が、しかしその失業率は相変わらず2%ぐらいだし、仕事もただ減っただけでまるきり無くなったわけでもない。まして、ユーゴやカンボジア、ソマリア、アフガン、旧ソ連邦の緊張地帯など、いつ命を失うかわからないような地域の人々の様子をテレビなどで見ると、この安全で自由な日本のすばらしさが、たとえ少々不況でも、改めて思われてくるようである。

▼いまの不況は、さきの好況を母体として生まれてきた。いまの世界同時不況も共産主義の崩壊を基軸に、様々な旧体制から新しい体制への転換という過渡的過程、つまりどうしても通過しなければならない一過程として生じている。ということは、いまのこの世界同時不況を母として、来るべき「世界同時好況」がひそかに準備されつつあるのも確かだろう。

▼もちろん、そういう世界的な好況がいつ訪れるのか、どういう条件下でやって来るのかは、まさに「神のみぞ知る」状況ではあるけれども、アメリカが立ち直り、西欧が立直り、その波が東欧へ、ロシアへと広がり、あるいは逆に波が打ち返してというような好環境が世界中を巻き込んで、いつかは当然やって来るだろう。

▼不況でしょげているだけでは仕様が無いか。

(7月15日)
【うっとうしい梅雨が長引く】

▼百貨店の売上高が引き続き低迷している。すなわち、日本百貨店協会がこのほどまとめた6月の東京地区百貨店の売上高は前年同月比13.4%の減少と、昭和40年にこの統計が始まって以来、最大の落ち込みを記録している。一方、大阪地区の百貨店売上高も9%台の前年比マイナスで、両地区とも昨年春からこれで16カ月連続のマイナスとなっている。

▼「消費不況」の色彩が一段と濃厚である。段ボールは、こういう個人消費と密接に関わる包装素材だから、末端消費が悪くて、段ボールだけが良いわけがない。ただ、デパートというのは、小売段階の個人消費の中でもスーパーやディスカウントストア等その他の小売店と大きく異って、いわゆる高級品で高額商品、かつ季節的な贈答需要とか法人需要が大きなウェイトを占めているという点で、必ずしも"平均的消費"のメジャーにはなり難い点がある。

▼従って、段ボール統計も必ずしも百貨店統計とは同調しないし、最近は特にその違い、ズレが目立ってきている。もっとも、マイナス幅の大小の違いはあるものの、一向に気勢が上がらないことでは、いわばご同病。段ボールも3月〜4月こそ良かったものの、5月、6月と悪く、7月もこの上旬は何ら上向く気配が感じられていない。うっとうしい梅雨が今年はいささか長引びいているし、思わぬ大地震・大津波災害まで加わって、あれやこれや悪いときには悪いことが重なる感も深い。

▼ただ、それでは段ボール業界中が、あるいは不況さ中の他の産業界が、いうほど気を滅入らせ、落ち込んでいるかというと、そうでもない。まあ、やきもきしても仕様のない時期だが、ヒマな今のうちに体調整備に努め、良くなってきたらドッと駆け出そうと、みんな同じことを考えている。

▼梅雨が明けるとすぐ盆休み。転機はその後か。

(7月25日)
【2四半期連続でプラスだが】

▼段ボール需要は、「3月〜4月は思ったより良かったが、5月以降は6月も7月も悪く、むしろ二番底のような形」とみられていたが、これは少し悲観し過ぎだったのかも知れない。

▼というのも、このほど判明した6月度の段ボール原紙需給速報によると、同月の段ボール原紙の国内払出は前年比2.2%の増加となって、4月の2.7%増、5月の1.0%増と合わせて、4月〜6月合計では同2.0%増台にまで来ている。

▼最近の段原紙統計は、以前の年間100万tもの大量が段ボールの通産省統計と食い違った時代と全く面目を一新して、ほとんど、ズレもなく、かつ早く判明するので頼りにされている。6月の段ボール生産速報ももうすぐ判明するが、おそらくこの段原紙の国内払出とそう大きな食い違いは生じないと見込まれる。

▼ということは、段ボール産業を総体的に眺めると、1〜3月にわずかながらも漸くプラス転換を果たしたあと、ごくごく緩やかながらも4〜6月で更にもう少しプラスを上積みし、ともかく上に向かって動きつつあるように思われる。いわゆる二番底ではなくて、やはり底離れなのだろう。

▼もっとも、段ボール原紙(輸送箱用)はそのように動いているが、紙器用板紙(個装箱用)はわずかながら引き続きマイナス。つまり、幅広い広がりを持った経済全体の流れとしては、いま現在は微かな"兆し"だけのあらわれ方であって、結局は7〜9月にこれがどうつながって行くかということが肝心なのだろう。

▼それにしても、景気という玉が転がり出したことは間違いないだろう。今年は景気が悪い上に、長雨・冷夏までが重なった。おかげで夏のシーズン需要が大打撃をこうむって、折角ころがり出した景気が右に左によろめいたりもしそう。早く晴れたらいいのだが。

(7月30日)
【いま、脱段ボールの声はない】

▼「複合不況」というのは、要するに細い糸が幾重にもこんがらがったような状態なのだろうか。あれもこれも、お互いにからまり合って、あちら立てればこちら立たず、やはり言われる通り、もつれた糸がほどけてくるには、それ相応の時間がかかりそうである。

▼そうした中で、段ボールの需要は何とも心強いかぎりである。この2年ほどの不況期間を通じて、常にせいぜい1%ぐらいのマイナスで済ませて来たと思ったら3月〜4月にはいち早くプラスに転じて、そのあとも悪い悪いと言われる中で5月が99.9、6月99.7と、何とも優等生的なスタイルを決めている。

▼もつれた糸も、やがては解ける。2ケタ台のマイナスが何カ月も続くデパート売上高や自動車・家電、その他もろもろの分野のうごきも、やがては底入れし、反転して来よう。ということは、そういう各産業分野が大幅マイナス状態で、段ボールはこのプラマイ・ゼロ状態なのだから、その方面の動きが少し出ると、たちまち相応のプラスに変わるというのが理屈ではないかと思われる。

▼段ボールは、商品そのものではなく、いうなら風袋(ふうたい)だから、いつも惜しみなく大量に使ってもらえるように安価でなければならない。それに、使い捨てたと思ったら、いつの間にか、それが再生されて、また安価に出てくるということがユーザーに安心されるモトなのであろう。

▼そういう意味では、以前に、業界が大失敗したことがある。石油がなくなるぞという声に浮かれて、むやみに高い値に釣り上げた。結局、「省包装」とか「脱段ボール」などという言葉まで発想されて、長い苦労の年月がつづいた。

▼その失敗があるからか、2年前の値上げは3円だけ。それも、この不況でそっくり還元した。いま脱段ボールの声はない。結局、チャンスは何度でもやって来るのだから。