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平成5年、不況脱出のシナリオがない 2010-04-30(第1054号/全)

(8月25日)
【セミも間違えた異常年の夏】

▼気象の専門家によると、今年は何でも「数10年振り」の異常気象・低温・多雨の年だったようである。ということは宮澤賢治が「寒さの夏はおろおろ歩き」とうたった、そのまさに"寒さの夏"だったのだろう。

▼段ボール業界の人々はみな、多分どんな他の業界の人々よりも気象に敏感なのだと思う。天候条件が良ければ需要が増え、悪ければ伸びないというのが、毎年の日常の生活体験として繰り返し身体に刻み込まれてきているからである。だから景気もさることながら、天気がいつもの夏のようだったら、おそらく5月以降もそれなりの需要回復があったはずだと考えている人が、この業界には多いし、この8月下旬になって漸く「夏」らしい日がつづくと、これで最悪の局面は通過し終わったのではないかと、再び希望的観側も生まれてくるようである。

▼それにしても、おかしな夏であった。記者の住む多摩のあたりでは、セミもすっかり季節を間違えたとみえて、秋の哀愁をカナカナとうたい上げる蜩(ひぐらし)が一番最初に鳴いた。次いでジージーと油ぜみが鳴き出し、ごく最近、甲子園の高校野球が終わるかどうかという頃になって、やっと盛夏を思わせるミンミンぜみが鳴き出した。

▼すっかり順序が逆だと思うのだが、さて、もうすぐ来る夏の終わりに、ひぐらしたちがもう一度鳴き出すのかどうか、大変興味のあることである。

▼さて、6月度の段ボール生産(確報)が判明した。同月は前年比 1.0%の減少と、5月につづいて2カ月連続のマイナス。そして7月もマイナスは避けられない感触だから、形としては3月〜4月に一旦はっきり回復の動きをみせたあと、いわゆる"2番底"に落ち込んだことがいえるようだ。ただ、それも第1四半期が前年比0.4%増、第2四半期0.4%増で、ごく浅い底だが。

(8月30日)
【わが国最大の段ボール需要】

▼単一品目として最大の段ボール需要である温州みかんの平成5年産の生産出荷予想が8月24日、農林水産省から発表された。

▼それによると、平成5年産の収穫予想量は162万6千tで、前年比3%の減少予想である。しかし、需要環境は極めて厳しく、主体となる生食用出荷は105万t程度、加工用(果汁・缶詰)は26万t、それに生食輸出2万tを加えて計133万t、および生産農家での自家消費や腐敗減耗分を見込んでも145万t前後が需給の均衡点と見込まれている。

▼みかん最大の生産量と消費量を示したのは、第1次オイルショックの昭和48年前後から10年間ぐらいの豊作年。当時は300万t以上の生産量だったから、いまから考えると実に2倍の生産規模。と同時に、作った分だけ全部生食用および加工用で消費していたわけで、日本人が如何にみかんが好きだったかがわかるだろう。

▼しかし、国民の消費嗜好の変化、高度化、多様化の進行とともに、供給過剰問題がいつしかみかんの最大の課題に変わり、かつそれに重なり合うようにして各種果実輸入の自由化、更には果汁輸入の自由化時代に入ってきた。300万tがいっぺんに150万tになったわけではなく、園地整理、量から質への転換、搾汁量の拡大など逐次対応策を積み重ね、やがて200万t台半ばへ、200万tへ、そして平成に入ってからは200万t以下へと結果樹面積、収穫量をしぼり込んで、当面ぎりぎりの生産量が最近3〜4年横ばい状態の160万t台だった。

▼それでも、今年の場合で15万tほど摘果しなければならないのだという。わが国のあらゆる産業分野で需給不均衡が生じている。工業も農業もである。次の過程をふむためのステップとはいいながら、誠に悩み多き時代となっている。

(9月15日)
【ムードは悪いが業界は平穏】

▼景気は底割れ2番底の形勢。消費心理もこれまでにない"収縮"に向かっているようで、何か大きな立ち直りのキッカケが欲しいところ。

▼大方の景気回復の予想も、昨年秋ごろまでは今年4〜6月期、あるいは遅くも7〜9月ごろにはと思われていたものが、特にこの夏場の天候不順とそれに先立つ途方もない円高で大きくズレ込んで、いまや来年1〜3月という人もほとんどいない有様。

▼段ボール需要も、一時は確かに好転の手応えが感じられた。今年の3月時点では、これからはもう反転の軌道と、そう確信が持たれた経緯であった。しかし、どういうものか毎年5月連休あけがこの業界の情勢変化の節目になることが多いのだが、今年は本格回復の軌道に戻る期待が裏目に出て、逆に再びマイナス基調へと逆戻りする節目になった印象が強い。

▼景気と天気と、二つの需要決定要因のうち、天気の方は相変わらずぐずつきながらも、少しずつ好転の方向に向かっている気がする。「秋日好天」が実りの秋に向かってつづくなら、農産物はじめシーズン需要を中心とする各種工業生産も少しずつ息を吹き返してこようし、何より消費者の気分が明るくなる効果が大きいと思われる。

▼当面は、八方ふさがりで、まるで天気頼みのようなことだが、しかし、悪いときはより悪く思い込みすぎ、良いときは有頂天になりすぎるのが人間本来の性分でもある。事実、これほどムードが悪いのに、内実の段ボール生産減少は相変わらず1%前後。この落差の大きさを、常に冷静に見守る必要がありそうだ。

▼というのも、この業界では過去、ムード悪に流されるまま、収益悪・業績悪の悪循環にはまり込んだ前例が数多くあるからである。ただし、現在までのところ、そういう過去のイメージがウソのよう。平穏である。

(9月25日)
【わずか数年間の変化に驚く】

▼バブル経済に世間が酔いしれていた頃、「黄金の90年代」(ゴールデンナインティーズ)という言葉が大いに流行した。当時は、まさにそうかと思われた。

▼ソ連、東欧の共産党政権が将棋倒しのように倒れ、自由主義経済が世界中を覆って、それが新たな経済発展への強い衝撃をもたらし、一段と大きな成長がもたらされる。中でも、日本は世界中で最も好まれ、信頼されるあらゆる工業製品の生産基地として、澎湃(ほうはい)として沸き上がってくるに違いないそれら需要に先進国中でも一番効果的に対応できる有利な地保を占めており、90年代はいや21世紀は「日本の世紀」であることに何の疑いもないという期待であった。

▼あれから、まだ何年も経っていないのだが、夢と現実の違いの大きさはどうであろうか。日本ばかりではない。東西ドイツ統合の熱狂と現状のチグハグ、旧ソ連邦諸国のその後、また共産主義との決別が異なる人種間の戦争にまで発展したユーゴスラビアなどなど、言うならあれもこれもみんなそうだが、一つの体制が崩れ、新しい政治・経済・社会体制が形を整え安定してくるまで、まだ当分は期待に反した時代が続きそうである。

▼ただ「時が全てを解決する」という言葉があるが、この場合もそうなのだろう。当面する不況もいうならそれであるに違いない。

▼ところで、「黄金の90年代」が熱っぽく語られていたちょうどそのころ、段ボール業界は、業界体質の根底からの革新をめざし、いわゆる「市場原理」主義に徹するキャンペーン活動を開始した。もうすでに、それは業界に完全に定着し、当初不安がられた一切は杞憂に終わった。逆に、すべてが良いことだけだった。

▼以前は決して建設業界も嗤えなかったのだが。

(9月30日)
【前2回の大不況期との違い】

▼いまはどうも不景気な話から逃がれられないようである。このほど明らかにされた8月度の段ボール生産速報の前年比1.2%増も、実勢がそれだけよくなったということではなくて、統計上の振れの範囲というか前年8月の落ち込みが大きかったためだろう。

▼そして、この8月のような景気停滞・異常冷夏のもとでも、なおかつ段ボール生産が前年比でプラスが出たりする底固さに安堵感が持たれる反面で、以前の2度のオイルショック時の猛烈なV字型落ち込みと、そのあとの急激なV字型回復との対比で、こんどは緩慢な落ち込みの反面、いつまでもだらだらした緩慢な回復しか期待できないのかといった、何か悪い予感がしたりして、どうもなかなか気勢が上がらない状況でもある。

▼それと、もう一つ。オイルショック時には何しろ価格が急上昇した。段ボール価格はm2当たりで昭和48年から49年にかけて平均35円ほど値上がりした。そのうち20円ほど51年までに値下がりしたが、それでも15円ほどはまだ残っていたし、以後すぐ10円ほど値上がりして、結局、第1次オイルショック後は急速な需要回復もあったし、いまから振り返れば、まだしもラクな大不況だった気がする。

▼第2次オイルショックの昭和54年から55年にかけても、m2当たりでやはり35円ほど値上がりした。このときの段ボール需要の落ち込みと回復ぶりは、ほぼ第1次と同じV型下降・回復だったが、価格の動きは全く別だった。数量は回復しても、価格はいつまでもだらだら下がり続けた。ピークの昭和55年から平成2年まで、実に10年間も下がり続け、通算でm2当たり40円下がった。

▼下げられる余地がいろいろあったのかも知れない。しかし、今回は3円上がって3円下がり、あとは何もない。最大の違いはそれだろうか。

(10月15日)
【戦車文化と木と紙の文化と】

▼ロシアのエリツィン大統領が来て、帰った。ロシアといえば「戦車」。旧関東軍が惨敗したノモンハン事件も、スターリングラードの攻防、あるいは戦後の東欧支配、特に強烈なイメージだった「プラハの春」もみな戦車。そして、2年前エリツィン大統領が大群集を前にクーデター派と戦い、演説したのが戦車の上なら、こんど最高会議ビルを砲撃し保守派を屈服させた主役も戦車。

▼厚い装甲の鉄の塊(かたまり)の内側に安全に隠れて弾だけ打つ。そういう"戦車文化"と無防備型の"木と紙の文化"との交渉ごとで、そうすんなり北方領土が返還されるはずがないと、日本人は誰もが思っている。事実、領土も経済協力も、それが肝心と言明し合って、だが何も前進するあてもなく、儀式だけが進行した様子であった。

▼戦車といえば、今回の不況もまるでがっしりした構造的枠組みの不況。公共投資が何兆円とか、公定歩合は史上初の1%台とか、いくら注ぎ込んでも容易なことでは動きそうもないほど重そう。とばかり思い込んでいたら、この10月入りとともに、何かこれまでと違った動意があちこちで感じられている様子。

▼それが今後にどう繋がって行くのか皆目見当もつかないが、不景気とはいいながら、やはり年間最盛需要期なのは確かで、昨年や一昨年と同様に今年も月間11億m2大台の数字は間違いなく、それ相応の"繁忙感"ということになるだろう。

▼問題は月半ば以降の持続ぶりだという人が多いようだ。というのも、最近何カ月も、月初めにかなり調子がよくて、こんどこそ回復ペースかと思わせるのだという。だがそれがいつも空振りで、月の半ばから月末にかけて凹んでしまう。まるでギザギサのノコギリの刃のような、出たり引っ込んだりの需要パターンが今年の特色だ、と。

▼さて、10月はどうか。

(10月30日)
【好天が続いて気分も晴れて】

▼まるであの冷たい夏、雨ばかりだった旧盆休みごろの惨めさを取り戻そうとするかのように、10月に入った頃からのこの好天ぶりは何ということだろうか。これもまた異常気象というなら、例年に比べ少し尋常ではないのか、毎日毎日空は青々と澄み渡り、気温も高からず低からず、誠に快適な気候となっている。

▼香港の啓徳空港で中華航空機がオーバーランして、それが台風接近の強風が原因だったと聞いて、そういえば日本には最近、台風もさっぱり寄りつかなくなったなと急に思い当たったりもする。

▼おそらく、この好天の影響は、段ボール需要に換算して少なくとも2〜3ポイント、対象需要の業種によっては4〜5ポイントとか、あるいはそれ以上の需要誘発効果だと思われる。

▼これだけ気分のよい好天つづきなのに、世間の景気論議は相変わらずどれだけ悪いかの話ばかり。もっとも日本人はとかく横並びや1億総マルマルが好きで、あるときは1億総ザンゲしたり、1億総不動産屋になったり、いまはいわば1億総カラオケ狂時代兼1億総もうダメ時代。いわゆる和(倭)の国だから、みんなが悲観するときには人一倍の悲観論で論議に加わらないと取り残されてしまう気がするコンセンサスの国、1億総経済評論家の国でもある。

▼だが、当てごととフンドシは向うから外れるというが、予測というのはとかく当たらないもの。エネルギーが無ければ日本はいっぺんに4等国になってしまうと聞いたのに、だから省エネ新技術で世界市場を席巻したり、先の円高不況もいっぺんに円が2倍になったのにバブルがやってきた。

▼というようなこともあるし、評論というのはラブストーリーと違って、本来、ハッピーではまるっきり締まらないもの。

▼だが、唐突ながら、段ボール生産の増加をどう説明したらよいのか。

(11月15日)
【10月上旬なみの暖かい初冬】

▼11月上旬も引き続き好天が続いている。このところの気温は、なんでも10月上旬並みだということで、日中はむしろやけに汗ばむ感じ。こんな好天が、あの夏場にせめて1週間、10日もつづいたら、お米の作柄指数もずいぶん違ったものになっただろうと、めぐり合わせの悪さが改めて思われるようである。

▼"暑い初冬"というのも可笑しなものだが、季節感がわかないために、衣料品などの季節商品の荷動きがやはり鈍そうである。その一方で、青果物の関係は好転つづき、かつ高温つづきで成育環境が全く好転、特に最盛出荷シーズンに入った秋冬野菜や果実の大宗、みかん・リンゴにもかなりの好影響を及ぼしているようである。

▼そういえば、店頭に並んだ温州みかんは、ひと月前ぐらいまではまだ何か色つやももうひとつ頼りなかったのが、日増しに表皮が光り輝いてくる感じ。糖度もぐんぐん上がってきており、あの夏場には予想もできなかったことだが、今年は予想外にうまいみかんが食べられる様子である。

▼みかんといえば、さる7月1日発動された農林水産省の「平成5年産みかん生産出荷安定指針」に基づく生産調整で、ほぼ目標通りの予想収穫量152万t、予想出荷量135万tの線まで摘果が進んで、需給面での心配は解消した。摘果自体がみかんの品質向上に非常に大きな効果を発揮する。完熟栽培への最終段階でのこの日照・高温と不良果の摘果で、前記の予想もまず間違いところのようである。

▼平成6年3月期中間決算発表が相次いでいる。レンゴーは売上高1,182億2,400万円で7.2%の減収、経常利益32億1,600万円で29.3%の大幅減益となった。段ボール原紙価格がまず下がり、それが段ボール価格に影響する悪循環が決算面にも反映されはじめた印象だ。

(11月30日)
【ムードを変える術はないか】

▼段ボールの全国生産が8月〜9月と2カ月連続プラスのあと、10月速報では再びマイナスに変わった。10月は鉱工業生産が近来にない大幅な落ち込み、かつ今年のGNPは第l次オイルショック時以来、19年振りの大幅マイナス成長が避けられない見通しということで、あれこれ悪材料が積み重なって、段ボール需要の先行き見通しを一段と暗いものにしている形勢である。

▼とはいっても、他産業に比べて段ボール産業がこの未曾有の大不況下、大健斗している事実には何も変わりはない。段ボール生産の四半期別の推移をみると、平成3年第4四半期から平成4年いっぱいの通算5四半期を平均で1%強ほどのマイナスで経過したあと、今年第1、第2四半期はともに0.4%の増加、更にこのほどまとまった9月実績値を加えた第3四半期も0.5%の増加と、おそらく製造業の中では極めて稀だと思われる前年比プラス業種となっている。

▼あの晴れ間の少なかった雨ばかりの冷たい夏、天明時代にも比較される米作、農産物への大打撃と自動車・電気製品などの基幹産業の失調と、段ボール需要の両面である農業・工業生産全てが大きくマイナスに落ち込んでいた第3四半期(7〜9月)に段ボールがプラスだったのはなぜなのか。そして、むしろ天候の回復した10月に却ってマイナス幅が大きくなったのは何故なのか。結局は景気の落ち込みが10月に来て特に一段と大きく変化した(底割れ)ということなのかも知れない。

▼以前にも述べたが、上記の四半期別推移に端的に示されるように、明るい兆候といったものが全くないわけではない。それが微妙なところだが、9月には北海道・東北・関東・近畿・中国と、全国8ブロックのうち過半の5ブロックでプラス。

▼景気・不景気は本来ムードなのだけれど。

(12月15日)
【まだ何も見えていないのか】

▼大変深刻な不況である。近ごろは、挨拶の言葉も専らそればかり。新聞紙上では毎日、有名企業の名前が現われては向こう何年の間に何千人の人員削減とか、間接部門の何割かを直接部門へ、あるいは子会社に出向させるとかいった話題がつづいて、まるでそういうことまで"横並び"しないといけないような雰囲気も感じられている。

▼不況は、不況に聞くほか仕方ない。戦後、最も深刻な不況といえは第1次オイルショック後の不況。第4次中東戦争を機に発動されたアラブ諸国を中心とするOPECの石油禁輸政策が原油価格の急騰を招き、それまでの物価体系を一変させたが、その物価暴騰が翌年からは逆に大不況への引き金を引いた形で、段ボール産業界も前年比3割減、4割減といった極端な需要減に苦しんだ。

▼さて、有名な経済評論家たちの説によると、当時の不況とこんどの不況とは深刻の度合や質が違うのだという。しかし、あのバブル経済の渦中で現在の不況を予言、警告した学者も評論家も日本にはいなかったし(海外にはいたのに)、石油危機後の方の不況脱出のコ—ス、つまり結果は既にわかっていて、こんどの不況脱出のシナリオだけがわからないのだから、違う、違うと言ったところで、結局同じことなのではないかとつい思ってしまうわけでもある。

(12月25日)
【今年の年末はかなり忙しい】

▼これから末永く大不況の年として記憶されるだろう平成5年も、もうすぐ過去の話になる。来るべき平成6年の明年はこの文字通りの、「明るい年」になってほしいものである。

▼多くの産業で、多額の赤字決算や、それにつれた雇用調整の波が広がっている。しかし、平成6年も当分はそうした動きがおさまりそうもないようである。そんな中で、誠に"幸運"と業界の誰もが感じているのが、段ボール需要の落ち込み幅が小さかったこと、また従来の例からするとまことに例外的に価格の落ち込みが小さく、一方で原紙価格の落ち込み幅がより大きいために、「原紙メーカーには申しわけないが収益も悪くない」という状況になっている。

▼それと、もう一つ明るい兆候として、年末に来てかなり繁忙感が出ている。何が原因なのかはよく分からないが、関東一円の段ボール工場はみな忙がしそう。中部や近畿その他も大体同様の傾向だと思うが、こんな不景気風の吹く中だから12月は上旬すぎたらもう仕事がないのをむしろ覚悟していたのに、逆に年末に向かって押せ押せで需要が出ている。

▼これが景気回復の何か有力な兆候なのかどうか、まずは1〜3月の風に当たってみなければ分からないが、ともかく段ボールというのは不思議な素材で、いうなら「景気を包む」ような、先行指標的な予知能力もかなり備えている様子。

▼段ボール業界のあちこちで、最近特に「新聞・雑誌やテレビの騒ぎすぎではないか」という話をよく聞く。大変な不景気であることは間違いないが、その一番大きな原因はバブル当時に作った過剰設備によるということで、需要がないわけではない。だから、「段ボールは設備を動かす人手が集められなかったから、いまは逆にそれが幸いした」と。ともあれ、来年こそ本当に良い年を。