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平成7年、2年で10円値下がり 2010-09-30(第1063号)

(平成7年8月10日)
【段ボール価格4年振り上昇】

▼連日30度以上の猛暑、朝がたの最低気温でさえなかなか28度以下には下がらないという暑さつづきで、クーラー無しでは寝るも起きるもたまらんという毎日だから、クーラー病なのか、どことなく体調が悪い。とはいえ、段ボールにとっては何よりの天恵。段ボール会社はどこもとうに諦めていた" 夏需要" 復活に喜びを隠しきれない様子である。

▼正直な話、これで元気もわいて来た。天候不順で冷たい夏の間は、やはりダメかと肩を落としていた向きもすっかりやる気が出て来て、とりあえずこの夏休みに英気を養って、秋の最盛需要期にはいま仕掛かり中の値上げをどうでも完遂させなければ、という雰囲気にもなって来ている。

▼みんなが肩を落としていた頃は、また、相互不信というか、アレがこうだからコレがこうしたからと、他の会社や環境のせいにする言い方ばかりが多かった。しかし、猛暑の洗礼を受けたあとは、そういう言葉もあまり聞かれなくなったような気がする。言いくたびれたのか、どうだろうか。

▼段ボール価格は、段ボール動態統計上の平均単価でいうと、大ざっぱにはシート・ケースこみの合計平均で平成5年から平成6年にかけてm2当たり5円下がり、平成6年から今年春にかけて更に5円下がった。つまり、平成5年春の85円が6年春には80円に、そして今年春には75円にという下がり方だった。

▼価格というのは、下がりはじめると惰性がついてなかなか止まらないもの。段ボール原紙の昨秋と今春の2度の値上げにもかかわらず、今春まで段ボール価格もそんな具合だったが、それが全国各地区ともほぼ一斉に5月から反転、上昇に転じている。

▼目下、5月までの数字しか出ていないのでそれ以上のことは分からない。ただ、新しい循環が始まったのは確かである。

(8月25日)
【腰折れの時期を通り過ぎて】

▼景気の腰折れがいわれた4-6月期から7月半ばにかけて、ほとんどあらゆる産業で少しずつ、少しずつ様子がおかしくなりつつあった。ビールや飲料関係は昨年が良すぎたために、今年は長梅雨の間にすっかり諦め顔になってしまったし、家電もシーズンもののエアコンはもちろん全体に冴えず、良いのはせいぜいパソコンぐらい。繊維も夏物がさっぱり売れず、自動車は一時よくなりかけたのがまた先細りのムード。日米自動車交渉でのとげとげしい雰囲気が一方にあるから、なおさらということだったかも知れない。とにかく、工業製品以上に、農産物はなおさらで、大量にとれるはずのキウリとか、夏果実関係が今年は全くダメで終わるかと思われていた。

▼7月最後の週の週明けから始まった猛暑がそうした灰色の景色をすべて変えた。飲料、家電、繊維、薬品、化粧品、石鹸、洗剤、農産物をはじめとするあらゆる食料品、身の回りの小物・雑貨類など、あらゆる商品がすべて天気・気象条件と結びついているし、海水浴場や旅行、行楽も同様である。いまさらながら、景気そのものも、天気・気象条件によって相当以上に左右されるということが思い知らされた格好である。

▼ということで、いまはまだ6月ごろの景気が腰折れしかかった時期の工業生産とか景気指標の数字しか出て来ないものの、実態的にはそういう段階を既に抜け出して、一歩新しい展開に向かいだしているのだと思われる。

▼段ボールは本来、景気を先読みする先行指標的な業種だから、この景気の進路の屈折も思うより早く段ボール統計面に示されて来るだろう。さて猛暑再来まで「悪い、悪い」といわれた7月が結局どうなったか、月末の速報の発表が待たれる。

▼明日の方が今日よりも少しずつ良くなる方向にぜひ進んでほしい。

(8月30日)
【段ボール値上げ大勢固まる】

▼秋の味覚、と同時に段ボールにとって最大の秋の季節需要、ミカンとリンゴの平成7年産予想収穫量・出荷予想量が農林水産省から発表された。ミカンは前年比21%増、リンゴは同2%減という結果だった。

▼もっとも、リンゴは平成3年に猛烈な台風の直撃で落果がひどくて80万tを割り込んだことが一度あるだけで、毎年収種量は100万t前後とそれほど変わらず安定的な推移。それに対し、ミカンは収穫量も多いうえ輸入果実・果汁との競合が厳しく、振り返れば第1次オイルショックの頃から20余年もの間、減産に次ぐ減産で、当時の最大収穫量350万t以上から現在は半減以下まで縮小、漸く市場での均衡を回復し、豊作貧乏からの脱却を果たしている。

▼結局、国民の消費嗜好の上からは、ミカンは青果・ジュース加工を含めて収穫量150万tが安定ラインということで、そこまで園地の作物転換や廃園等を進めて現在があるわけであり、日本の農業のおかれた環境の厳しさが改めて思われる次策である。

▼とはいえ、これまでの減産、減産ばかりで先の見えない状態からは解放された。特に南日本の主要産地の段ボール工場にとっては、ミカンは毎年一番の頼みの綱となる需要。

▼その安定が、広く段ボール産業全体の安定に直接つながっていることもいうまでもない。

▼さて、7月度の段ボール生産速報が発表されたが、前年比0.2%増とやはり6月までの動向から更に落ち込んでいる。円高・冷夏で落ち込んだ景気の、猛暑・円安効果との綱引きがどういう結果になってくるのか、もう少し様子を見る必要がありそうだ。

▼ただ、上述の実りの秋の話題もそうだが、いい話も着実に増えている。段ボール価格問題もそうで、難しいといわれながら、ほぼ大勢が固まってきた状況のようである。

(9月10日)
【30年前と全く変わらぬ値段】

▼猛暑がようやくおさまり、日中はなお厳しい残暑が残っているものの、朝晩の涼やかな風に秋の到来が実感される。

▼四季があるということが如何にすばらしいことかが、毎年、秋になるとしみじみ思われる。秋は「風の季節」。窓を開け放った部屋を通り過ぎる風の、なんとさわやかなことか。夏の寝苦しさも去り、食欲もずいぶん落ちていたことが、今更のように改めて自覚される季節でもある。

▼段ボール業界にあっては、この季節はいわばかき入れ時。1年で一番の収穫期に合わせて、工場は休む間もなくフル回転で生産を続ける。

▼昨年は、ピークの11月に11億8,100万m2の生産を記録した。今年のピーク月には、史上初めて12億m2の大台を記録することがほぼ確実な状況になっている。

▼昨年はまた、景気と猛暑の効果からか、需要のピークが11月にズレたが、今年は段ボール値上げという価格要因もあって、多分、ピークは10月に来ると思われる。

▼12億m2時代が今年から始まる。不況とかなんとかいいながら、数量がこのように伸びる業種というのは、今日のように、世界最高の競争力を誇った日本の有力産業が円高に耐えられず、国外脱出を続けるなかにあって特に人目を引く存在であることに違いない。

▼ただ、残念ながら、自らの価格を維持できないのがこの産業の最大の欠点である。あるユーザー業界の人が、ずいぶん長い間、段ボール関係から離れていて、久しぶりにまた段ボールに関連するようになって言った言葉は、なんと30年前と同じ値段じゃないか」。

▼ずっと段ボール業界にいると、昨日のつづきが今日で、不思議でもなんでもないことだが、すこし離れてみると、如何にとんでもないことかがよく分かる。

▼さて、その不条理をどう正せるのだろうか。

(9月25日)
【重大関心持たれる米国動向】

▼このところ台風襲来が相次いでいる。今年は9月半ばまで一向に台風が来ず四国・中国あたりではまた渇水の再来懸念も伝えられたが、来はじめると重なるもので、ただ目下のところ、雨はほどほどに降り、被害はそう大きくなくて、何よりのことである。

▼台風も、ひどい渇水騒ぎの昨年は、せめて1個ぐらい来てほしいという声もあったが、猛烈な風台風が海水を巻き上げてきて塩害を引きおこしたり、収穫目前のリンゴを振り落としたり、そんな大事件も先年あったばかり。あとひと月ほどのこのシーズン。無事終わってほしいものである。

▼さて、アメリカの製紙産業は、昨年来の市況高騰がフルに寄与して記録的な売上げ増、史上最高の利益を達成している。しかし、その一方で、第2四半期以来の経済の停滞が、産業需要に依存する段ボール需要を直撃、新増設設備の稼働が相次ぐことも重なって、特に古紙系中芯の一部にスポットのディスカウントが出始めているという。

▼FBAの発表によれば8月も前年比6.2%のマイナスだった。これで、5-8月の4カ月連続のマイナスで、1-8月の今年の出荷合計はわずか0.1%増(週平均で0.7%増)にまで縮小してしまった。昨年から今年春までのあの強調から打って変わった変調である。

▼ごく単純にいえば、久しぶりに活況を呈した設備投資、特に環境問題からの古紙系原紙の増産などもマイナスの需要状況では余分でかえって裏目になりかねない危険さえ感じられる。

▼いうまでもなく、米国の段原紙産業は、圧倒的に世界をリードするパワフルな存在。その動向がそのまま世界の段ボール産業にも大きな影響を及ぼす。そういう意味で、これからの米国の動向はわが国でも一層重大な関心を持って見つめられることになりそうだ。

(9月30日)
【需要は8月以降再び上昇へ】

▼7月の段ボール生産(確報)が前年比0.7%の減少と発表された。これは平成6年2月の同0.2%の減少以来1年半ぶりのマイナスだから、これまでのいわゆる緩やかな景気回復の中で段ボール需要がいかに順調に回復の軌道上を歩んできていたかが改めて思われる結果となった。

▼8月の生産速報は、同0.7%の増加。もし、昨年から2年連続の猛暑がなければ、この数字は7月よりもっと大幅なマイナスに変わっていただろうと思われる。

▼景気は、6月-7月ごろに確かに少しおかしくなった。「腰折れ」という言葉も言い得て妙だが、そういった経済活動の変調をかなり細部にわたって表現できる段ボール関連統計というものの値打ちが、アメリカのFBA統計も考え合わせて、今回は特に強く印象に残った状況である。

▼さて、6-7月に落ち込んだ段ボール需要は、8月の猛暑再来から再び上向きに戻り始めたように思われる。8月は、前年が7.7%もの急激な伸びとなっていて、それとの相対勘定では今年8月はどうしてもマイナスにしか思えなかったわけだが、実は昨年8月の速報値との比較では2%近い増加。このあと、史上最低金利への公定歩合引き下げ、急激な円安への転換とか、緊急財政措置の発表などがあって、ともかく全般的な景気情勢は6-7月時点に比べると、じわじわ上向き方向に変わり始めているように思われる。

▼ということで、これは目下進行中の段ボール値上げにとっても大きな好材料。ユーザーの収益構造が今後かなり好転してくる希望が見えてきたわけだし、なにより需要がこの最盛期、順調な推移なのが心強い。