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平成8年、新王子製紙・本州製紙が合併(第1070号)

「平成8年3月29日、新王子製紙・本州製紙の両社が10月1日をメドに合併することに合意したと発表した。両社は旧王子製紙を母体に昭和24年に発足、それぞれ独自の分野で発展を遂げてきたが、更に一層の企業力強化を図ることを目指し決断したもの」と当時の本紙は伝えている。「これにより紙パルプ業界初の一兆円企業が誕生するが、同時に板紙業界・段ボール業界にとっても、永年の懸案である業界の構造改善、及び安定化に向けた大きな契機になるとみられる」としている。これが現状への第一歩となった。

(平成8年1月10日)
【長い長い死んだふりの季節】

▼大きな期待と不安の中で平成8年の新春を迎えることになった。期待とはつまり昨年中に悪材料という悪材料が全て出尽くして、多分もういくらも残っていまいと思われることである。

▼昨年のような年はもう二度と無いに越したことはないが、とにかく呆れるばかりに悪いことがつづいた。

▼段ボール産業も、年明け早々は新年なりの希望に満ちて船出したはずだった。事実、前年夏の猛暑以来、景気はどうやら曲がり角を曲がりきったかと思われ、今年と同じ1月9日の関連4団体の新年賀詞交歓会では、世界的な段ボール原紙需給動向などもあって、95年こそ価格的にも強調は間違いないと信じられた。

▼それが、わずか1週間後の阪神大震災がまるで合図となったように、期待も予想も、全て音を立てて崩れてしまった形。今年は、どこの産業界の年頭挨拶を読んでも、全て同じ文脈で昨年が回顧されている。

▼昨年の賀詞交歓会の時点で思いもかけなかったことが、その後次々に起こったわけだけれども、いま、新年効果とでもいうのかどうか、昨年末までとは、まわりの環境が見違えるほど変わってきたのが感じられるようである。考えてみれば、昨年の場合は、どうあがいても、年末までしか時間がなかったのに、いまはあとまる1年あるわけである。そういう心理的な余裕も、新年効果の一つなのだと思われる。

▼ということで、いろいろ考え合わせてみると、昨年は、ただカラ回りしただけのようには見えても、いまの底からはい出し、坂をのぼり詰めていく過程への準備段階というか、整備・整頓の時間だったと、後になって思い出される期間のような気もするわけである。

▼平成7年は多くの人にとって長い長い「死んだふり」の季節だった。だがそろそろ、生き返っても良さそうではないか。

(1月25日)
【キャラハンから戻った写真】

▼「50年の区切りとして本当に感動的な再会となりました。私を救助してくれた米駆逐艦キャラハンは、後日、日本海軍との戦闘で沈没、多数の戦死者を出しています」。「その生き残りの乗組員たちでつくるキャラハン会に招かれて、出席したのですが、戦闘海面でボートをおろすために停船の危険をおかしてまで私たちを救助してくれた艦長も、手当てしてくれた軍医も亡くなられていましたが、幸い奥さま方にはお会い出来ました」。

▼「君の部下が重傷だったので、君の方は放っておいた」と看護兵だった人が話してくれました。奥さんと2人で来ていた人が、実は君の海軍時計をボクが持っているんだが、君が来ると聞いて家中を探したが見つからなかった。こんど探し出して、日本に送るからという話もありました」。

▼「重傷で救助された部下の兵曹長は4〜5日後に亡くなりましたが、彼がポケットに入れていた写真3枚をそのキャラハン会で預かりました。遺族に返してくれということで、帰国後、折をみて佐賀の彼の兄さんを訪ねて渡しました。1枚は家族全員で撮った写真、1枚は飛行服で正装した自分の写真、もう1枚が若い女性の写真でした。兵曹長は私より4、5歳年上でしたから、彼の兄さんは80歳を越えていて健在でした」。

▼「やはり彼の恋人でした。やがて必ず死ぬ身だからと、周囲がとめて、結婚の希望を叶えてやらなかったと兄さんが話してくれました。それで、私がその人はどこそこのあたりに住んでいたのではないですかと訊ねたら、よくご存じでと驚いていました」。

▼「出撃に飛び立ったとき、兵曹長が、低空を飛びたいと許可を求めて来ました。低空で旋回する機の下で、若い女性が手を振っているのが見えました。せめてもで、良かったと思いました」。

(2月10日)
【米国の段ボール価格はいま】

▼最近、特に米国の段ボール動向に対する関心が高い。それというのも、一昨年から昨年にかけて、米国の段ボール動向、原紙動向につれて、世界の段ボール情勢、そして日本の原紙情勢が大きく変動したからにほかならない。

▼しかし、米国の段ボール原紙の情勢は昨年春ごろから段ボール出荷が勢いを失い、4月から一転マイナスに転じたあたりから変調を来し、年末にかけて折から続く新マシンの稼働もあって、すでにかなりの値下がりが表面化してきている。

▼それからの連想もあって、また段ボール値上げが暗礁に乗り上げている状況が加わって、今春には国内の段原紙情勢もまた厳しい試練にさらされるのではないかとの観測が専らだった。だが、もちろん立場、立場によって見方は違うだろうが、当面、原紙需給には全く問題がなさそうである。原紙がまた下がるようなことでもあると、また賽の河原の石積みを一からやり直しということであろうし、かといって、いま現在の段ボール業界の苦難は、必ずしも前向きの方向ばかりでも早急には解決されそうにない。

▼一番の理想をいえば、段ボール需要が少なくとも5%ペースぐらいの勢いで伸び、原紙が足りない、足りないといった状況になることだろう。極端な話、紙がなくなれば否応なしに段ボールもつれて上がるのは目に見えている。

▼最近のFBA統計によると、米国の段ボール出荷はこの数カ月マイナスのままだが、段原紙はともかく、段ボールの方は前年に比べ平均して35%以上の値上がりのままになっている。昨年春まで、米国の原紙が以前の80%以上の値上がりになったとき、アメリカの段ボール会社が気の毒がられたが、いまは逆に羨望される、そんな事情にもなっているようだ。

▼さて、いまの五里霧中が晴れるのはいつか。

(2月28日)
【出遅れ日本は万事これから】

▼毎年、ちょうど今ごろの時期に、前年1年間の米国の段ボール出荷動向と日本の段ボール生産動向が判明し、彼我の比較が行われる。米国は前年比0.6%減少、日本は3.1%の伸長であった。

▼このところ、日本人はすっかり自信をなくしてしまっている。経済紛争で叩かれ、アメリカ現地の日系銀行は虚偽の報告で巨額の罰金を取られ、製造業は国内立地工場の競争力低下から続々海外に工場を移転、更には大半の企業はいつまたおそってくるかもしれない円高の恐怖から、先行きの確たる見通しがつけられないまま、とにかくリストラだ、価格破壊だと、これまでの経済体制の基盤を根底から掘り返すことに忙しく、つまりは不安定そのものの社会・経済情勢を否応なしに作り出す羽目に陥っている。

▼段ボール関連産業においても、アメリカが余りにもすばらしく見え、それに引き替え日本はと、ただため息の出るような情勢が最近続いてきた。しかし、昨年半ば頃からはアメリカも少し様子が変わってきて、93年末から昨年春まで1年半ほどの間に原紙価格で80%以上の値上げを達成した勢いはほとんど失われてきている様子。

▼80%は、それまでの長期不況の裏返しだったものの、次はまたその裏返しが来はしないか、が気になるようである。

▼ということは、燃えている最中はあまりにもすばらしい景色に見えるものの、やはり近年の日本の経験に照らしても、バブル的な状況がそう永久的に続くはずはないことで、ということは、80%も値上げしたために生じる難儀も、素人考えではそれだけ大きいと思われるようである。

▼段ボール製品価格も30%ほど上がった。だから、当分は好況が続く。

▼出遅れの日本は万事これからだが、原紙ばかりいじりすぎると、何かどんでん返しも来そう。

(3月10日)
【知恵や工夫が足りないのか】

▼平成7年の段ボール生産が130億3,004万m2、前年比3.1%の増加となった。もっとも、同年3月から、従来未報告だった企業の新規報告が月間1千万m2新たに加わったということで、日段工では、年間の伸びで実質的に0.9%の誤差が生じてとみている。

▼ということは、実際の伸びは3.1%ではなく2.2%程度ということだが、何はともあれ、これほど需要環境が悪い中で、これだけまだ伸びのある産業ということは、やはり恵まれた産業ということだろう。

▼ところで、平成7年のシート出荷金額は3,048億8千万円、同じく段ボール箱の生産金額は6,713億2千万円だった。合計9,762億円である。

▼段ボール産業は、俗に「1兆円産業」といわれている。だが、平成7年の統計でみると、コルゲータを持った段ボールメーカーだけでは1兆円の座を保てなくなって、製函メーカーでの付加価値分を、これまで以上にあてにしなければならなくなっている。

▼さて、上述のシート・ケースの合計生産金額が初めて9千億の大台に乗ったのは16年前の昭和55年。合計9,994億4千万円だった。以後凹んで、また盛り返して、平成3年に1兆898億8千万円に達したのがピーク。それからダウンする一方で、平成6年が1兆95億円、そして平成7年は更に3.3%減って上記金額となった。

▼多分20年前ぐらいだろうか。段ボール産業が製函メーカーでの付加価値分を合わせると1兆円に達したと思われた頃、業界団体の会合で「パチンコも1兆円、段ボールも1兆円」という話になったと記憶する。いまやパチンコは10数兆円、こちらは、なお1兆円のままである。

▼なにか、知恵や工夫が足りないような気がするが、どうだろうか。

(3月20日)
【原紙自体の張力を応用して】

▼(株)SOWAが3月14日及び15日の両日、春日井市の本社工場で「ツインプレス」シングルフェーサ及び一枚刃タイプのスリッタスコアラ「HSS-2」の公開試運転を行った。全国から見学に訪れた技術関係者は、両日ともそれぞれ120人あまりという、熱気にあふれた発表会だった。

▼画期的な新しい製品の発表会でいつも思うのだが、技術の進歩発展にはまさに限りがないようである。当日夕刻、公開運転後の懇親会の席上、参加者を代表して乾杯の音頭をとった浅野段ボール(株)上田専務が、「人間の知恵はとどまるところを知らない。フィンガーが邪魔だといえばフィンガーをなくしてしまい、今度はまたベルトが邪魔とベルトもとってしまう」とユーモアたっぷり挨拶されたが、事実、ライナーの張力でベルト代用の効果を発揮して厚ものでも分速300mの高速と、プレスマークのごく薄い平滑な優良シートが生産されることになる。

▼プレスロールを2つ設けて、「ツインプレス」とし、第1プレスのニップ圧を通常のシングルプレスの場合の60%ぐらいにして、残り40%ぐらいを原紙自身の張力により発生する圧着力と、更に第2プレスの比較的軽いニップ圧で行う、ということである。

▼一枚刃のスリッタスコアラも完成した。問題だったのは刃ではなく、受け台だったとされる。数本の溝を切った円盤状の特殊な受け台が薄刃をしっかり保持する構造。小牧市のネオパックでの稼働を見学したが、シャープな切り口をみると、一見、以前と何も変わりがないように見える段ボールが、実際は日に日に変貌を遂げつつあることが実感されるようである。

(3月30日)
【段ボール産業底上げの期待】

▼わが国の板紙業界・段ボール業界は、アメリカと違って「紙パルプ業界」といわばふすま一枚へだてた存在のような感があった。いうなれば、昔、製紙連合会があって板紙連合会があって、全段連があって、全段連の段ボール業界はもっぱら板紙連合会との間柄だけで、紙パルプ業界というのは「遠い遠いご親戚」だった時代のシッポがそのまま付いている感じだった。

▼それには、なんといってもわが国の紙パルプ産業の金看板中の金看板「王子製紙」が板紙業界・段ボール業界に全く関係がないこともあったに違いない。

▼これがアメリカだと、我々の知る限りの紙パルプメーカー、インターナショナルペーパー社も、ウェアハウザー社も、ジョージアパシフィック社も、その他すべてが新聞や上質紙も作ればライナーも作る、もちろん段ボール工場もたくさん持っているということで、それぞれデビジョンに分かれてはいても、同じ一つの企業体、一つの経営意志によって運営されているという違いがある。

▼それが、今度の合併によって本州製紙が「王子製紙」に合体、王子製紙の釧路工場、王子製紙の段ボール工場になる。アメリカが一歩近づいた感じともなりそう。

▼新王子・本州合併の話題で、すぐオウムがえしに出てくる名前が日本製紙。洋紙の立ち直りをうらやましく眺めていた向きには、板紙にもそれを思う潜在的な心理が働いている様子。

▼そして、消息筋の声では日本製紙の方が早いと思っていたが、とも。あるいは今回の大型合併問題が、ある意味では催促になるのかどうか、今後の推移が注目される。

▼ともあれ、段ボール関連産業にとっては、こうした業界構造の抜本的改善により、いかに産業自体の底上げが出来るか、ニュースを聞いての最大の関心事だろうか。

(4月30日)
【出荷金額が月次でプラスに】

▼平成8年3月の段ボール生産実績が発表された。それによると、同月の段ボール生産は10億1、505万9千m2、前年同月比2.8%の増加となった。もっとも今年はうるう年で2月の日数が前年より1日多いから、実質的には1%台ぐらいの増加ペースである。

▼この2月の生産を少し仔細に見ると、シート出荷がわずか0.2%の増加に対して次工程投入(消費)が4.2%の増加と、その差がやや目立ってきている。そこで1月を振り返ってみると、1月もシート出荷は0.8%の前年比マイナスなのに対して、次工程投入は3.0%の増加と、やはりかなりの段差が生じていることが分かる。

▼これは、ストレートにいえば、シート出荷を受け入れる側の製函メーカーの販売力と、段ボール一貫メーカーとの販売力の差と受け取られるし、または景気の回復の度合いが、まだ製函メーカーが主なテリトリーとする需要領域までにはほとんど及んでいない、ということかもしれない。

▼しかし、それにしても景気のベクトルは上向きに転じているのは確かなようだから、シート出荷が、これまでも段ボール業界の景気回復の先行指標的な要素として注目されてきた経緯であるし、このあたりの指標がいつ動くかが、いま最も注目されるところだろう。

▼平成7年の段ボール生産は前年比3.1%伸びた。しかし、その一方で段ボールシート・ケースの合計出荷金額は前年比3.3%の減少だった。どこの段ボール工場でも「段ボールが増加しているなど信じられない」という声が多いようだが、結局、どこでも売上金額で考えるわけだから、それも当然だろう。

▼だが景気は正直。1月に平成4年から実に5年ぶりに、月次の段ボール出荷額が前年比で増加に転じている。2月は更に2.9%増となった。

(5月10日)
【成長の限界と大競争時代と】

▼円高、アジア経済の興隆を背景に日本の産業界の海外シフトが進み、さらにバブル後遺症としてわが国の金融システムのきしみがめだつ折から、段ボールの需要だけが伸びるはずもないが、マクロ面の経済指標での「景気回復」がいわれる中で、この第1四半期の段ボール生産は予想以上に不振な数字であった。

▼別項の通り、前年比では0.7%増にとどまって、9四半期ぶりのいわばマイナスに近い数字。ただ前年同期が、阪神大震災やサリン事件などが相次いだにもかかわらず前年同期比4.9%もの高い伸びが記録されているため、それとの相対的な関係もあって一概に数字だけで判断するのも難かしいところがある。

▼何かもうひとつはっきりしないそんな雰囲気の中で、しかし考えてみると、この3月には早くも月間11億m2もの生産をあげているのだし、昭和63年あたりから平成3年のバブル華やかなりし頃にも、四半期の間に30億m2もの需要があることはほとんどなかったのに、今年の場合は年間でも最も不需要期のはずの1〜3月で30億m2を突破しているのも事実である。

▼因みに、四半期ベースで一番最初に30億に達したのは昭和63年第4四半期(10〜12月)の30億7、500万m2で、そのあともおいおい需要期にこのラインを越す年が増えては来たものの1〜3月期も30億m2を越えるようになったのはやっと昨年からのことである。

▼要するに実にじれったいペースではあるけれども、需要は決して減らず、じわじわ増えるパターンなのだから、そのパターンに企業の方から体質を順応させていく以外にないし、そうすることで道が自ずから開けていくような気もする。

▼もっとも、「大競争時代」などの言葉も盛んに聞こえて来て、到底楽観は出来そうもないが。