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平成8年、新王子製紙・本州製紙が合併(第1072号/その3)

(平成8年7月20日)
【あと数%は欲しいメーカー】

▼段ボール原紙の今秋再値上げの動きが注目されている。景気はスローペースながら確実に回復の気配。段ボール需要も1月-3月は停滞感が一段と強まったものの、4月は3.3%増、5月は4.7%増と、再び本来の回復の軌道に復帰しはじめた形。

▼メーカーとすれば、あと数%の修正は、チャンスがありさえすれば是非にも欲しいところ。業界の常識では原紙値上げのタイミングは「春」と「秋」しかないが、少し慎重に構えたとして、来年春は消費税アップがあり、かえって難しいことになりはしないか、という見方もあるようである。

▼段ボールメーカーは、前後3回の原紙値上げを受けて、昨年から今年にかけ、業界を挙げて段ボール価格修正の運動を進めたもののユーザーの強い抵抗にあって、転嫁が思うように進捗せず、この春までには、必要な値巾の半分ぐらいしか進んでいないと言われた。

▼このため、今春にアナウンスされていた段ボール原紙の第4次値上げも到底浸透の余地なく、メーカーも5月連休明けまでには、遂に値上げの旗を降ろさざるを得なかった状況。

▼当然、年初来の景気情勢ももう一つだったが、この間に、しかし段ボールメーカーは、ユーザーの新しい製品の発売や包装変更などの機会をとらえて、新規受注分の適正化をはかり、またユーザーの承認を取り付けて原紙のグレードダウンを進めるなどが徐々に効果を上げて、「半分」と言われた転嫁不足分の残る半分ぐらいまでは取り戻したともいわれる状況に来ている。

▼もっとも、企業間の収益格差がかなり開いたといわれ、これは段ボール会社も、原紙メーカーでも同様の事態。

▼さて結局、原紙は原紙の採算でものを考える。段ボールの採算ではないのは、当然なのか。

(7月30日)
【需要の伸びは実質5%以上】

▼段ボール需要がいよいよ本格回復の軌道に乗り始めた。何の因縁か、アメリカのFBA統計で前年比の出荷量が100.0%となったら、このほど発表された6月の段ボール生産速報も前年比100.0。違いは、アメリカがマイナスゼロで、日本がプラスゼロということだけである。

▼FBAでは、実質の伸びを測るために、「1週当たり平均」という指標を使っている。土日及び休日を除いた実働日数÷5日で算出した週数で出荷量を割り、週当たり出荷量同士の比較で実質伸びを算出している。

▼土・日を除いた日数が昨年は22日、今年は20日で、つまり実働日数で10違う。ということは、出荷実績量が前年と同じなら今年の伸びは10という計算になる。

▼日本は、いうなら実績主義で、こういう季節調整をいちいちすることはない。だから、6月の生産量が前年と同じなら伸び率はゼロ。つまり、需要は4月-5月にやや好転したあと、6月はまた足踏み状態に戻った、という解釈になる。

▼しかし、それもおかしな話である。段ボール工場が、コルゲーターが、製函機が実際に稼働した日数なり時間が、日曜が1日多く、土曜も1日多いという条件で、なおかつ同じということはあり得ない。仮に、日曜はほとんどまるまる、土曜は大体半分近い分が休業したとみれば、おそらく5以上の需要の実質伸び率になると思われる。

▼「日本ではもう4%、5%といった伸びはあり得ない」と考える人が多い。周囲の環境を見渡せば、確かにそう思わない方がおかしいかも知れない。ただ、実際には超円高で産業流出・移転があれだけ奔流となった昨年ですら、段ボールが3.2%も伸びたことを見逃すわけにもいかない。状況さえよくなれば、4%-5%ぐらい、いつ出てもおかしくない。そう思えるようになってきた。

(8月10日)
【量はあるけど、儲からない】

▼今年も旧盆・夏休みがやってきた。段ボール業界もいわゆる夏場閑散期だが、しかし、昨年につづいて暑い夏で、飲料や青果物、電器、その他の夏物商品の荷動きも良く、かなり活気のある夏である。

▼だが、どこでもいわれたのは、「採算が合わない」「忙しい割にさっぱり儲からない」ということ。量に収益がともなってはじめて健全な経営だが、目下は量だけの片肺飛行。だが、それでも、かれこれ4、5年越しの長い不況もようやく限界が見えだしたということで、これまでと違って、先行きに明るい展望が浮かんできたことは確かなようである。

▼心配すればきりがない。来年4月の消費税の引き上げで、消費は確実にダウンするだろう。そのあたりの見きわめがつかないと、いまの景気の多少の明るさなど、そうあてに出来ないという声も多い。だから、いうなら、「めでたさも、中ぐらいなり、おらが夏」といったところだろうか。

▼ただ、世の中には勢いというものもある。ダメな時はダメで、周囲の状況はテコでも動かないのがこれまでの経緯だったが、動き出すと、最近の巨人ではないが、一時の11.5ゲーム差が優勝争いにまで変わってくるようなこともある。長嶋さんの「メーク・ドラマ」かなにか、段ボールも、これからの最盛需要期を契機に、多少なりともドラマチックな展開がぜひ欲しいものである。

▼中小企業金融公庫がまとめた「中小企業動向調査」で、前年同期に比べ増加と回答した企業の割合から、減少と答えた企業の割合を差し引いた指数が、実に4年半ぶりにプラスに変わった。この事実は、かなり重い。

▼景気は、空気と同じ気の部類。流れがあって、乗ってくると思いがけない変化が現れる。そういう意味で、そろそろ思いがけない変化もありそうなのだが。

(8月30日)
【なにか改善方法はないのか】

▼平成8年1月-6月の段ボール統計データが出揃ってきた。6月の生産は11億2、243万9千m2、前年比0.8%の減少。これを加えた1月-6月の合計生産量は64億246万1千m2、前年同期比1.3%の増加となった。

▼これを四半期別にみると平成8年第1四半期(1月-3月)は前年比0.7%の増加と平成5年第4四半期(10月-12月)以来の低い伸び。うるう年で日数は1日多いにもかかわらずこの数で、景気のよろめきが段ボール需要にも明らかに反映された状況となった。

▼ということで、先行きがまた危ぶまれたところで、第2四半期(4-6月)は前年同期比2.3%増と立ち直ってきた。4月が3%台、5月4%台、そして6月は実質では5%以上の伸びだったと見られ、7月も感触としてはかなり順調。

▼しかし、最近はどうも一本調子にはなかなかいかないのが決まりのようで、「オー157」問題の突発から、いろいろな食品分野にその影響が広がってきており、事実、8月には4月-7月の状況と様子が違っているのが感じられはじめている。

▼このほど発表された日銀短観の見方も「景気はゆるやかに回復しつつある」とはいうものの、今回は「従来の回復パターンが通用しない」ことを改めて確認する形にもなっている。バブル崩壊と超円高で経済の仕組みまでガタガタにされたわけだから、一筋縄ではいかないことを肝に銘ずべきなのであろう。

▼それにつけても段ボ—ル産業は「縁の下の力持ち」がよくよく避けられぬ定めなのか、ずい分損な役回りであくせくしているように思われてならない。本号3めん「四半期別動向」表をご覧いただきたいが、まるで「下がるのが段ボール」といった状況。改善方法はないのだろうか。

(9月10日)
【昭和63年以来の大幅な伸び】

▼10月1日から新発足する王子製紙の組織、人事異動が発表された。わが国の製紙業界で初めて年間売上高1兆円を超える巨大企業の誕生だけに、その一挙手一投足が注目の的。

▼組織は、3つの総本部を柱に、事業部制的な機構・組織が敷かれる。このうち製紙の洋紙及び板紙は営業本部制、加工と特殊紙は事業部制の形で運営される。

▼さらに、3つの総本部は「広範な事業運営上の権限」を持ち、「損益管理単位」の組織と発表された。製紙工場数が合わせて27、段ボール事業部(工場)の数が合計24、そのほか紙器加工事業所、粘着事業関係や磁気メディア事業など、大小合わせ、工場だけで50数カ所の陣容である。

▼今後のわが国製紙産業の安定への貢献が大いに期待されるとともに、願わくばその存在感が、10年1日のように過当競争に明け暮れてきた段ボール産業にも安定への好影響を及ぼすことを期待したいものである。

▼「景気は緩やかに回復しつつある」のが政府・日銀の引き続いての見方だが、7月の段ボール生産速報が前年同月比8.0%増と、本紙の調べでは、単月で昭和63年4月以来の大幅な伸びとなった。ということが分かって、改めて最近の日本経済の低成長が思われた次第でもある。

▼この速報値が11億7千万m2。前年同月が10億8千万m2だから、8.0%の伸びは生産量で9千万m2にもなる。

▼これには、カレンダー効果ともいうべき現象が6月-7月にあって、ただ趨勢的には4月以降、毎月1ポイント程度の上向き角度で回復がつづいていることが改めて確かめられたようである。

▼業界のムードは相変わらず悪い。だが、そうした中で、徐々に環境が変わりつつある。そう思えないだけなのか。