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平成8年、新王子製紙・本州製紙が合併(第1073号/その4)

王子合併の年の平成8年5月に本州製紙が発表した平成8年3月期決算の数字が前号のこの欄に掲載されている。売上高3,759億円で経常利益が98億円、つまり売上高経常利益率は2.6%で、98億の経常利益は史上最高額だった。ただ、この収益内容も稼ぎの主役は専ら洋紙で、売上高と販売数量のバランスも板紙の137万tに対し洋紙は72万tで同額、つまり板紙は2倍のトン数を売って売上高が同じという状況。永年のカルテル体制の果てであった。板紙の総大将、本州製紙に続いて有力企業が次々に消え去って行く。

(平成8年9月20日)
【今年1-6月の世界の動向】

▼日本製紙連合会がまとめた主要国の紙・板紙生産はピークだった94年から95年前半までの各国とも大幅な伸びから一転、欧米諸国を中心に95年後半、更に96年前半と大幅なマイナス状態がつづいている。

▼最大の生産・消費国アメリカは、94年から95年前半、平均5%台の前年比伸びだったが、95年後半は一転して4.1%のマイナス、96年前半も4.6%のマイナスで、後半持ち直しの兆しが見えるとはいうものの、まだいわば業界関係者の希望的観測にとどまっていて回復の道筋がはっきり見えてこない状況。

▼ヨーロッパを代表するドイツの場合は、更に極端に鋭角的、突出した伸びと、猛烈な勢いでの反落が目立っている。94年は1-6月、7-12月とも10%台の2ケタの伸び。95年前半も9%近い伸びだったものが、95年後半から一転、3.7%のマイナス、更に96年1-6月はマイナス巾が2倍の7.3%まで拡大している。

▼日本の場合はその点、緩やかだった。特に洋紙の関係は国際市場の動向により大きく反応した形で、やや過熱気味の推移をとったが、板紙関係では、段ボール部門が寧ろそれを中和する形に働いて、段原紙も国際市況動向のお陰をかなりこうむったとはいうものの、いずれにせよ、ごく限定的な推移にとどまった。

▼市況の実際的な動きからすると、いまアメリカやドイツで表面化している前回の高騰への反動としての暴落は、次の過程では、いわば「弾み」をつけた形での短期間での市況反転に結びつく可能性が高い。

▼その点、日本の市場は最近、荒々しい形での暴騰もまた暴落もなく、いつも軟調型で、いわば煮え切らない体質。

▼紙・板紙と、加工の段ボールでは基本的に体質の違いがあるわけだが、さて、「王子以後」はどうか、注目されよう。

(9月30日)
【日段工と全段連が大合同か】

▼「王子製紙」がいよいよこの10月1日からスタートした。そうした折から、段ボール業界内部でも業界団体のあり方は果たして今のままでよいのかどうかという疑問が提起され、今後の検討課題として取り上げられていく方向のようだ。

▼話は、日段工・全段連両団体の間で年に1度か2度行われている定期的な意見交換会の席上でだが、たまたま今年は9月上旬に行われたその懇談会で、「段ボール業界の組織がいまの状態のまま2つに分かれていては、業界そのものが分裂している状況と変わらず、再統合して一本化した組織に戻すべきではないか」との意見が出され、結局、早急に結論の出る問題ではないとしながら、今後慎重に対応を検討することになったもの。

▼わが国の段ボール業界団体は、戦後の傷あとも生々しい昭和22年11月、「段ボール協会」の設立に始まる。昭和でいうと今年は71年。つまり、明年97年は「段ボール業界団体創立50周年」の年になる。この記念すべき年にあたり、業界団体も初心に返って一本化・再統合をというのが、そのキャッチフレーズでもあるようである。

▼この長期不況の中で、段ボールの生産は一進一退ながらも今年春以降、再び回復の足取りを見せ最近数カ月は3%台から4-5%台に向かって上昇の気配。7月の伸びは実に8.5%。数量的にはあまり言うこともない順調さと思われる。

▼ただ、問題は価格。業界の「過当競争体質」と言ってしまえばそれまでだが、その根底のところに、かつてのような「業界は一つ」ではなくなってしまったことも大きく響いていると言われている。

▼実際問題として、すでに長期にわたって分裂状態で過ごしてきているわけだから、木に竹を接ぐようなことになりはしないか、との懸念もある。難しいことばかりだが。

(10月10日)
【原紙の下げ分シートに還元】

▼いまは何といっても「王子製紙」が台風の目だが、九州では、最近のシート価格の値下げにも、王子製紙合併へのご祝儀という表現が使われる有様。王子にはとんだ迷惑なことに違いないが、それだけ「新しい時代」が意識されているということだろう。

▼そのせいかどうか、最近1-2カ月の間に、原紙もシートも市況がかなり動いた。大きな流れで見れば、国際的に一時の市況急上昇からの反落が日本にも及んできたということだが、心理的な面では、勿論、王子製紙を意識しての流れであることに違いない。

▼いま、旧本州製紙の全国の各段ボール事業部とも、ピリピリした空気に包まれている。「合併効果」のまず第1番目がこのテンション状態という人もいるが、外野では「本州さんは、いままで万事におっとりした会社だったから、出方が分かって、やりやすかったけど、王子になったらどうなるんでしょう」と非常に不安そう。

▼旧本州に限らず、最近の段ボール会社の営業部門などでは、事務所風景として電話をかけるにも、椅子に腰を下ろしてといった一見悠長なことはしていない。みんな立ったまま話しているようである。

▼王子製紙段ボール事業部門のピリピリ・ムードが、みんなに伝染したのかどうか、みんなピリピリして、戦争なのか平和なのか、いまは誰もがまずそのことを何より知りたがっている風である。

▼さて、話は先ほどの九州に戻るが、肝心のみかんが大不作。他の需要が決め手だから、今年は、企業間の差が大きく開いたといわれる。1-2%も伸びないところ、一方で10%とか20%も売上げが伸びたところと、例年になく大差がついたという。

▼営業の鉄則は1に品質・納期、2に価格、3に人脈とか。前の2つはどこも同じ。結局、ユーザーさんとの「人脈」の差と。これも全国、どこも同じか。

(10月30日)
【新しい時代に向けての統合】

▼段ボール業界団体の統合問題について11月5日、日段工・全段連のそれぞれ正副会長・正副理事長が名古屋で会合、両団体で初めて意見のすりあわせを行うことになった。

▼いちばん簡便な統合方法としては、法的団体である段ボール工業組合をそのままにして統合化する上で、日段工に工業組合メンバーが団体加入、一つの共通団体にする方法がいわれている。だが、それはそれで、様々な問題が出そう。

▼仮に、工業組合メンバーが団体加入したとしても、2団体への分裂以来、全国的に組合員から脱退し、アウトサイダーとなった段ボール会社はそのままアウトサイダーで残り、分裂以前の状況とは大きな隔たりがあることになる。東段工の場合、約50社がアウトサイダーとなっている。

▼このため、経済がこれだけボーダーレスになった現在、「工業組合」が果たして必要かどうか、その辺から議論を掘り起こすべきではないかとの意見が強まっているようである。

▼2団体に分裂して、業界になにか良いことがあったかといえば、誰しも答えは同じだろう。しかも、分裂以前は原紙からの一貫と非一貫との対立というのが業界の一般的構図だったものが、日段工(大手)と全段連(中小企業団体)への分解によって、大手・中小の対立構図が新たに加わった感がある。

▼いまの組織をただ足し算するだけでは本当に新しい統合にはならない。ということから、日段工・全段連の同時解散と、同時スタートでの「新統合団体」の結成の構図もいわれ始めている。これは、工業組合の時代的役割が終わったという意味にもなるのだろうし、では、今度の日段工・全段連幹部の会合でどんな方向が出されてくるのか、大いに注目されよう。

▼明年11月の団体結成満50周年もいよいよ近い。

(11月10日)
【強化中芯での分速280m】

▼11月7日-8日の2日間、ISOWAの本社工場で去る3月発表された「ツインプレス・シングルフェーサCF-30」の試運転が行われた。「人間の知恵はとどまることを知らない。フィンガーが邪魔だといえばフィンガーをなくしてしまい、今度はまたベルトが邪魔とベルトもとってしまう」と言われた注目の実機登場である。

▼「SF-30」型の第1号機は、レンゴー広島工場で8月から好調に稼働、近く第2号機が某大手段ボールメーカーに納入の運び。このほか、国内各社が目下盛んに引き合いを寄せ、普及化が加速する勢いのほか、海外でも、まずアメリカに去る10月中旬、新開発の段ロールユニットの交換可能な「CF-30」型がコンプリートコルケータに組み込まれて輸出されたのを第1号に、このほど試運転を披露したのが第2号機ということになる。

▼ISOWAでは「ベルトプレス」タイプの開発も同時に進めている。しかし、それぞれ自社内で研究を重ねてみると一長一短ということで、目下は「ツインプレス」の方により熱が入っている形。「当社の次世代を担う主力機種に育て上げたい」と言い切っている。

▼「ツインプレス」の何が魅力かというと、いうまでもなく、2つのプレスロールの構成による、貼合の際のプレス圧の非常に効果的な働き、それと熱との相乗効果ということだろう。いま、国内の段ボール工場では、どこも「強化中芯」の貼り難さとの戦いが繰り広げられている形だが、200g強化中芯×280gライナーの貼合で、通常は毎分180mがせいぜいのところを、280mも余裕を持って出せるという。

▼8日、参観者がみな帰ったあと、某社が原紙を持ち込んで、更に試運転を行った。セッツの強化中芯SKS200g×280gライナーで、ボイラーも不備なまま280mを出すのを目の前で見た。非常に興味深いテストだった。