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平成8年、新王子製紙・本州製紙が合併(第1073号/その5)

(11月20日)
【1兆円企業のスケール】

▼既報、日段工・全段連の間で目下検討が始められている「組織統合」の問題については、11月5日、名古屋で両団体のそれぞれ正副会長・正副理事長が懇談、意見の交換を行ったが、まだ特に全段連側が、各段工ごとに組合員の意見をまとめる段階にまで至っておらず、そのほか、「役所の意向をうかがっていない」などもあって、方向性のある結論は出すに至らず、さしあたり、次回は12月20日に、再びこの問題について意見を交換することだけが決まった形のようだ。

▼とにかく、何月何日までといった、あわてて早急に結論を出すような事柄ではないことも確か。両団体とも、基本的な問題については総会決議を経ねばならないから、大体の感触として、「明年5月」が結論を出す上での一応の時期的なメドになってくるようだ。

▼2つの団体に引き裂かれたそもそもの原因が原因だから、「統合」が、また昔のイメージを連想させたりはしないか、関係者はことのほか気を使っている。だから、世間でいろいろな言葉が飛び交うことだけでも、神経質に反応しているような感じで、いわば「あつ物に懲りてナマスを吹く」ようなことがないようにと望む声も出そう。

▼王子製紙の誕生から1カ月余り。巷には早くも日本製紙系の原紙メーカーの統合近しの噂が駆けめぐっている。あるいは有力商社系の販売統合とか、「統合」が、どうやらこれからの段ボール関連産業界のキーワードにもなりそうである。

▼その王子製紙が11月12日、3千人を招いて合併披露のレセプションを開いた。紙関連企業の代表者「3千人」の中には勿論、段ボール関係も混じっていたが、ほんのちらほらの感じ。社長挨拶も何もなかったが、会場にいるだけで、「1兆円企業」のスケールの大きさを改めて感じさせたレセプションであった。

(11月30日)
【三菱・内田の技術供与契約】

▼11月28日、東京・丸の内の三菱重工本社1階プレゼンテーションルームで三菱重工・内田製作所の共同記者会見が行われた。三菱重工が、同社の開発した「加圧ベルト式シングルフェーサ」の製造等の技術ノウハウを、内田製作所に供与するという衝撃的なニュースだった。

▼その経緯については、三菱重工・松本部長および内田製作所・池田副社長の談話から、両社間の書簡の交換に始まった交渉経過のなかで、お互いの信頼関係が生まれ、両社ともによい結果として、交渉が実ったことが窺えるようである。

▼加圧ベルト式のシングルフェーサは、数10年前に欧米で考案、特許が成立したものの、一般の実用化には至らぬまま特許期限が切れて、概念そのものは公知化し、そうした中で三菱重工が世界で初めて、その革新的な技術を確立したもの。

▼先ごろ米国で開催されたTAPPI段ボール部会のシングルフェーサに関する技術発表でも、加圧ベルト式の発表は三菱重工だけ。欧米各国とも従来方式の、ただ段ロール交換が可能なタイプなどの発表がほとんどだったという。実際、ベルト式を製作するのは、海外ではBHSぐらいとか。

▼技術供与の条件は、機械巾・速度・下ベルト式・国内販売の4つ。つまり基本的に1800mm巾×200m以下の市場では、両社間の市場原理に基づいた競合関係は残るものの、これは内田製作所の得意な需要分野。同社にとっても何ら不満がない、という内容だったようである。

▼三菱重工の「お互いの客先に対する責任、業界の発展を考慮して」という言葉の持つ意味は非常に重い。また内田製作所の「このような契約に至ったことは、当社にとって大変名誉なこと」という言葉も同様だろう。同社は、10月1日以降この供与技術に基づく製作を開始している。

(12月25日)
【振り返って見れば2%成長】

▼阪神大震災・オウム事件や1ドル80円を超す超円高・金融システムの巨額の不良債権に基づく揺らぎなど、あらゆる分野において「特異な年」だった平成7年につづく平成8年は、バブル崩壊後、既に数年に及ぶ長期不況からの回復がいよいよ本格化する年として、年初来待望された。

▼1年が経過して、いま振り返ってみると、そうした期待が、更に1年ずれ込んだことと、また明年は消費税増税その他の国民負担の増大という、個人消費に需要基盤をおく段ボール産業にとって最も懸念すべき問題が春先から表面化してくるということで、これからもまだまだ予断を許さない事態が続きそうである。

▼とはいえ、今年の段ボール生産は、カレンダー効果などをおり込みながらも、1-10月までの累計生産が109億5,571万7千m2、前年同期比2.2%増と、まあまあの伸びとなっている。

▼考えてみると、これほどまで日本の経済が成熟し、より以上の成長の果実を欲張ろうとするなら、海外に出て行く以外にない状況下では、本来、2%も伸びたらオンの字といえないこともなさそうだが、わが段ボール産業にとっては不服も不服、大不服といったところ。半ば諦めて、過当拡販競争が沈静化したのは、むしろ後半に入ってからだった感触である。

▼いわば、まだまだ暗中模索しながらの推移が続きそうだが、平成8年には「王子製紙」の名前がはじめて段ボール業界名簿に載り、「王道を行く」との同社の宣言が、新鮮な響きを業界にもたらしている。

▼ところで、来年は「大王製紙」の名前がひんぱんに取り沙汰されそう。いわき市に建設中の新マシンが来秋稼働する。と、年も押し詰まって、関東地区の専業段ボールメーカー某社に資本参加の噂。川下への積極進出策が、ますます業界の話題を賑わしそうな気配となっている。