特大


コラム・コラム・コラム

ホーム > コラム・コラム・コラム> 平成9年、日本製紙グループも統合へ(第1076号)

平成9年、日本製紙グループも統合へ(第1076号)

バブル経済崩壊から5年経って日本経済もどうやら復活の気配を見せ始め、つれて段ボール需要も3%台の増加基調を取り戻して、この分なら正常化も近いかと思わせる中での、明けて平成9年だった。前年の平成8年10月に新王子・本州の合併で戦前からの「王子製紙」の名前が復活、また、年明け早々の2月には日本製紙グループが十條板紙・日本紙業の合併を発表、この業界再編の流れを受けて日段工・全段連も5月総会で再統合を決定する。その4月からの消費税増税が「失われた20年」の最初のキッカケを作ることとなった。

(平成9年1月10日)
【1円の大切さアピール】

▼毎年のことながら、大きな期待と不安の中で平成9年の新春を迎えることになった。1月9日、段ボール関連四団体の新春賀詞交歓会で、当番幹事の全段連高橋理事長が、去る7日の花園ラグビー場における西陵商の劇的な逆転トライの一点にもからめて、段ボール価格の「1円」の大切さを強くアピールした。

▼実際、今年は春に消費税の増税があり、特別減税の打ち切りがあり、その他の諸々と、また世間一般を覆っている不景気風等々を考えると、またまたコスト要求が強まりこそすれ、弱まることなどとても期待できない情勢。それだけに、まさに「1円」から、自分自身の価格を大事にする心が段ボール関連企業・業界に共通して求められるところだろう。

▼この欄でもすでに何度か述べているが、段ボール統計から算出した段ボールシート・ケースの総平均単価は、平成6年前半にはm2当たり80円程度の推移だった。そのあと引き続き下がって、平成7年の前半が75円、後半が76円、それから明けて8年1-3月は再び75円、同四月以降74円、そして最近判明した10月が73円65銭となっている。

▼周知の通り、この間に段ボール原紙の値上げがあった。平成6年前半の平均80円当時から74円-75円に下がる過程で、一方では原紙値上げが進行していたわけで、これではどんな生産合理化も、リストラも、到底追いつくものではない。

▼そして、いま、更にコスト要求が一段と厳しくなりそうな雲行きを迎えているわけである。以上の経過から見ると、高橋理事長の訴えた「1円」の大事さを、業界が本当に大切に守り通すことができるのかどうか疑問に思わざるを得ない。特に最近数年なかった新マシンの登場もあり、市場が心理的に動揺しがちだけに尚更である。今年最大の課題だろうか。

(1月30日)
【みかん大減産が残したもの】

▼平成8年の国産主要果実の京浜市場への入荷実績がまとまった。日園連によると、みかん・夏かん・りんご・柿・イチゴ・メロン・キウイなどの20項目に集計した主要果実の合計入荷量は71万3千t、平均単価はキロ当たり386円であった。前年比の入荷量は5%減、平均単価は1%の値上がりだった。

▼これは、ただし主要果実全体の話。「みかん」となると、まるで様子が違ってくる。京浜市場への露地みかんの入荷は、平成7年産分の年初頃の入荷も含めて11万5千t、平均単価は307円だった。入荷量は前年比24%減、平均単価は39%高だった。

▼市場が要求する量より20%も減ると、価格は40%も上昇するという、自由経済の正に需給・価格の見本のような現象が、われわれに身近かなミカンでつい最近起こっていて、皮肉ではなく、ユーザーの希望量を、構造的に、常に大きく上回っている段ボール関連価格への連想が、つい働いてしまう状況でもある。

▼京浜市場でのミカンの卸値は、10月-11月ごろは平均270円ぐらい。それが12月には平均342円まではね上がった。

▼だから、気がついたときには、著名な銘柄品の10キロ贈答もので8千円とか、スーパーでも5キロの贈答箱で送料込み5千円とか、とにかく空前の高値が付いていた。

▼年が明けて、1月に入っても、上旬は355円で、このとき「ふじ」はキロ306円だから、やはり50円ほども高い。りんごは、ミカンより常に単価は高いという常識も、全く崩れてしまったわけである。

▼こんな状態で、量が出なかったから、ミカン主産地の段ボール会社は大変だった。需要の取り合いで、価格も下がった。

▼いいことが何もなかったが、ただ、今年は逆にみかんは豊作が期待されるのだという。味も良いはず、と言われている。

(2月15日)
【業界再編成の期待と不安】

▼王子製紙の合併発表以来かねて「次は日本製紙グループ」と巷間に伝えられてきた日本紙業・十條板紙両社の合併が、2月12日、正式に合併契約調印が行われたことで、いよいよ現実のものとなった。

▼合併後の新社名は未定だが、企業規模は年間売上高1千億円、板紙業界でも有数の板紙・加工一貫型企業の誕生となる。

▼なぜ両社が合併に至ったかは昨年10月の王子製紙の合併新発足と同じ流れであることは言うまでもない。当然、日本製紙グループにおいても、両社合併は、これで完了ということではなくて、むしろスタートの号砲ということに違いない。

▼とにかく、「紙」についても、長い目で見れば他の一般産業に比べそれほど業況がよいと言い難い状況なのに、「板紙」或いは「段ボール」の業況の悪さは格別である。たとえば、世間の景気が多少良くても、あるいは悪かったら尚更、段ボールの価格、つれて板紙の価格は休みなく下がる。

▼身びいきかも知れないが、段ボール業界は人一倍努力している業界である。生産性を上げる合理化・コストダウン努力、どれほどの小ロット化・即納化のユーザーニーズにも耐えて、なおかつ気の毒なほど恵まれない経営環境から脱出できずにいるわけである。

▼つまり、どんな努力も経営上の工夫も、「絶え間なく価格が下がる」という一事だけで効果が消し飛んでしまっている。

▼これは、ひと言でいってしまえば、誰もかれもみんな悪いか、或いは誰もかれも決して悪くはなくて、「構造」だけが悪いのかということになるだろう。そして、いまはもう業界の誰もが、これまでと違った手法による現状からの脱出を切望するに至っている。

▼業界再編成の機は正に熟した。王子製紙、日本製紙をまず先導の核として、次々に新しい展望が描かれてきそうである。

(2月28日)
【消費税が最後の関門か】

▼平成8年の段ボール及び段ボール原紙の年間生産統計がまとまった。それによると、段ボールの年間生産量は133億4,839万2千m2、前年比2.3%の増加となった。

▼一方、段ボール原紙の生産量は904万7,874t、前年比0.3%の増加に止まった。この生産量に対し、年間合計払出量は902万4,099t、前年比ではプラマイ・ゼロで、うち国内向け払出は898万35t、前年比0.9%の増加となっている。

▼また、段ボール生産の2.3%増加に対し、原紙消費量は871万6,436t、前年比1.6%の増加だった。

▼以上のように、原紙の国内払出の伸びが、消費の伸びを下回ると、反射的に輸入の増加が想像されるが、その問題がかなり話題をにぎわした昨年においても、実際には、そればかりではなくて、単位当たり原紙消費量の減少という事柄が加わる。

▼原紙消費量を段ボール生産面積で割ったm2当たり原紙消費量は、平成7年の658gに対して、平成8年は653gに止まっている。つまり、m2当たり5%の減少というのは、パーセントでいうと0.7%ほど。したがって、先述の原紙消費の伸び1.6%にこの0.7%を足すと、生産の伸びの2.3%にほぼぴったりの数字となる。

▼輸入も、もちろん増加した。しかし、それに加えて、バブル崩壊後に再び目立ちはじめた消費原紙の坪量ダウンが、原紙需給面にかなりのインパクトを及ぼしている。

▼因みに、平成元年のm2当たり原紙消費量は665.6gだった。それが不況の深刻化とともに、平成6年には660台を割り込み7年が657.7g、そして昨年は650g目前まで来たという状況である。

▼そういう合理化も、とことん進めた上で、最悪の局面はどうやら昨年で脱したと観測される。

(3月10日)
【逆風全てほぼ一巡して】

▼日段工長谷川会長が2月24日、恒例の紙加労協主催「紙加工産業労使幹部セミナー」で講演を行った。「一昨年も昨年も2%台の伸びでしたが、また今年も2%程度の伸長が期待されます。段ボールには停滞期がありません。他に何か段ボールに代わるものがない限り、GDPの伸びに見合った伸びが、今後将来とも続くでしょう」「そういう段ボール産業であるということに、われわれは段ボール産業人として大いに誇りを持ち、積極的な合理化で競争力を高めるとともに、公正な競争を行い、堂々と社会的な責任を果たして行くべきだと思います」と。

▼段ボール工場は、いま全国的にかなりの繁忙感に包まれている。消費税増税にともなう需要の前倒しが大きく響いていることは間違いないだろうが、それだけではなく、輸出・国内向けに勢いを取り戻した自動車関連やいま伸び盛りの通信機器をはじめ情報機器、家電製品、つれてその他さまざまな需要分野でこれまでにない胎動が広がってきているようである。

▼バブル崩壊後の数年間を振り返ってみると、かつて経験したことがない種類の逆風が段ボール産業を押し包んだ。超円高で、永年のお得意先の工場が、東南アジアとか、中国に工場を移転してしまったといった話が随所に転がっていた。

▼しかも、あちらもこちらも逆風ばかりの上に、一昨年がその極端な例だが、アメリカの景気が良すぎて、段ボール原紙の国際市況がはね上がり、つれて日本国内にもそれが波及して、段ボール価格が値上げ困難なのを重々承知の上で、なおかつ原紙値上げを避けようがなかった。その逆風が、最も大きな痛手だった。

▼しかし、それもこれも情勢が一巡して、一昨年に集中的に起こった逆風は既に大きく緩和、または解消に至っている。あとは、やはり消費税か。 (左上欄へ)

(3月30日)
【シート出荷のシェア40%に】

▼「消費税」と同時に平成9年の新年度が始まる。3月末の一週間ないし10日ほどは、各地のデパートやスーパー、大型家電店などがそれぞれ大賑わいで、家電製品などは、いつもの5割増ぐらいの売れ行きだったという。繊維製品なども、やはり消費税が上がる前にと、春物の駆け込み需要がかなり出たようで、そういった関連の需要は、これから2-3カ月はそれなりの影響が出そうである。

▼ところで、最近の段ボール動向の中で特に目につくのが、消費、つまり段ボールメーカーの一貫生産の好調と、これと対照的な製函メーカーへのシート出荷の停滞ぶりである。

▼例えば、シート出荷は平成8年1-6月は0.4%のマイナス、同7-12月は漸く1.7%の増加で、年間を通じてはわずか0.7%の増加に過ぎなかった。

▼これと対照的に、「一貫消費」は、平成8年1-6月が前年比2.2%の増加、同7-12月は3.9%の増加で、年間を通じては3.1%増とシート出荷に比べ2.4ポイントもの差、率にすると4-5倍の伸びとなっている。

▼こうした流れが、平成9年にもつづいている。1月のシート出荷は前年同月比1.8%増。これに対し、一貫消費は5.0%増と、3.2ポイント差にまでその差が拡大している。

▼段ボール製函業界の成長力は、昭和48年の第一次オイルショック当時まで、段ボール生産全体の伸びを常に上回っていた。ピークの48年にはシート出荷のシェアは49%にまで達した。しかし、第二次オイルショック、更にはバブル時代を経て次第に停滞感を深め、平成8年には、段ボール全生産に対するシート出荷のシェアは40%ちょうどまでダウンしている。

▼特に最近数年の不況が一貫メーカー以上に強烈な打撃となったようだ。

(4月15日)
【アウトサイダーの数の多さ】

▼段ボール業界団体の統合問題については、まだ最終結論ではないが、結局、任意団体である日段工に法的団体である全段連が「団体加入」の形で加入し、それぞれ5月29日の同日開催される総会の議決を経て、これを正式決定する運びとなった。

▼問題は、いうまでもなく「業界安定」の達成であろう。バブル崩壊後の長期不況によるところも勿論大きい要素ではあるが、段ボール産業がそこで働く産業人にとって、「誇りの持てる産業」であってほしいとの願望に反して、どうもそうではない方向に向かっているのではないかという不安がいっぱいである。そして、ではなぜそうなのかというところから、このところ漠然と感じられている「失われたアイデンティティー」の再確立というか、何かそういう余りにも抽象的だけれど、それ故にこそ貴重と思われるものを、お互い同じ産業人として共有したいといった思いが、いまの業界にはみなぎってきているようである。

▼色んな時代があった。活力に満ちた時代、一転して沈滞の時代。そしていまから思えば、高度成長期は夢のような時代ではあったけれど、その高度成長期にくくられる時代の中にも、例えば40年不況といった沈滞の時代が綯い交ぜになっており、低成長期とされる時代の中にも「バブル」のような時代もあった。

▼そのように、潮の満ち干のような世の中の動きとはまた別に、しかし、段ボール産業はもっと何とかならないのだろうかといった、ため息に似た声が、色々な場合に聞こえてくるようである。結局は、そういう自然の気のそよぎが、今度の組織統合への根底にあるように思えてくる。

▼それにしても、アウトサイダーの数の多さには実際に数字を当たってみて改めて驚かされる。業界は、そんなに魅力がないのか。

(4月25日)
【安全の時代が再び始まる】

▼ここに来て段ボール産業の本質的なタフネスぶりが印象を強めている。いろいろ な産業でバブル崩壊後の不振がとくにめだつ昨今だが、段ボールの場合、バブル崩壊のあとも毎年伸びつづけて、それもいまや3%台の伸びがこの数カ月つづく有様である。

▼しかも、今年の1-3月には一だんと堅調がつづいて、全国各地の段ボール各社とも、数量的には過去最高の記録を引き続き更新中の様子。なに分にも「他に代わるものがない」のだから、今後将来とも現状程度の需要推移は約束されたも同然だろうか。

▼実際問題として、一般的には「2%」程度をメドにして、毎年伸びることが大体保証されている産業というのはそうザラにあるわけではないし、ということだと、それぞれの企業の将来に向けてのユメも、工夫次第でどんな具合にも可能になるように思われる。

▼「高度成長期と違って日本経済の前途にユメがなくなった」といった思い込みが最近多い。確かに、昭和30年代から40年代、更には50年代から60年代の半ばごろまでも、非常に変化に富んだ"魅力的な時代"がわれわれの目の前に展開されてきた。

▼それに比べると、いまの「長期不況の時代」はいわば冬景色。甚だ魅力に乏しいといわれれば、それに違いはないが、世の中は絶えず生々流転し、移り変わって行くもの。現実に、人類がまだ誰も見たことのない21世紀の時代が、もうすぐ訪れようとしている。所詮は、よりよい未来を信じるか、信じないかということなのだろう。

▼段ボール産業も、ここしばらく挫折感を味わう時代ばかりつづいた。しかし、その苦節の数年のあとに、いまやほとんどあらゆる難関がひとつ一つ突破され、ふと気が付けば上述のような位置にまで来ている。

▼「安定の時代」がまた始まる予感がする。

(4月30日)
【技術的鎖国にドイツの挑戦】

▼3月の段ボール生産速報が約11億8千万m2、前年比7.9%の増加と発表された。1月、2月にはまだ消費税を材料にした駆け込み需要は目立たなかったと思われるが、直前の3月後半に至って、消費者もそれまでの白けた態度と打って変わって、高額商品ばかりか、繊維製品や身の回りの雑貨関係もかなり売れ行きが良かったようである。

▼段ボール生産の前年比7.9%増は、昨年8月の同8.5%増以来。同月はやはり11億8千万m2台だったから、それまでの停滞感を振り払って大きく伸びた際の繁忙感が、今年3月にも同様の感触として、工場現場をはじめ業界全体で感じられたわけである。

▼段ボール生産は昨年が2.3%の伸び。今年は、現在までの景況感からすると、消費税問題があったにも関わらず、感触としてはもっと上まで行きそうである。というのも、やはり日本はまだまだ輸出への依存度が高い国である。輸入物価がどうといってみても、まず売れて企業・家計の将来展望が良くならなければ消費は動かない、ということだろう。

▼だから、円高時代と違って、円安時代のいまはそのぶん社会的にも安心感のようなものが広がっている。一方でアメリカの段ボール出荷も盛り返してきた。市況はまだまだ悪そうだが。

▼さて、ドイツのBHS社が日本への本格進出の態勢を整えてきた。考えて見れば、業界見渡す限り、どこもかしこもコルゲータは日本製。それだけ世界に覇をとなえている日本の機械メーカーの実力がすごいということだろう。世界の各国を見てみると、多くの国々では自国発祥の機械メーカーがないところが大半である。だが、それにしても、日本はこれまでは海外技術に対して鎖国同然。それがドイツの発奮で転機を迎えつつある。やはり、ボーダレス時代とも実感されるようである。