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平成9年、日本製紙グループも統合へ(第1077号/その2)

平成9年4月から消費税が増税された。段ボール生産は実施前の1月が3.8%増、2月が2.5%増と平静に推移したあと、3月が8.0%増にはね上がり、4月が0.5%増、5月1.2%増、6月2.2%増、7月0.3%増と、低位ながらプラスを持続する推移だった。これは大体どの産業でも同様の状況だったから、経済企画庁が7月18日発表した経済白書では「日本経済は個人消費や設備投資が主導する自律回復の軌道に乗りはじめた」と宣言された。だが、消費税増税の影響が出るのは、もう少し経ってからだった。

(平成9年5月25日) 【伸び率は平均2.7%】

▼社団法人日本印刷産業機械工業会では5月21日、東京・虎ノ門の「虎ノ門パストラル」で創立60周年記念式典並びに祝賀パーティを開催した。

▼印刷紙工機械業界は、もう5年以上にも及ぶ記録的な激甚不況を乗り越えつつあって、参会者それぞれがどこかほっとした安堵感を漂わせながら、なお先行きへの不安感も全くは拭いきれないといった表情。

▼同工業会加盟各社の印刷紙工機械生産額は、平成2年のピーク時には売上総額5,533億円にまで達したが、バブル経済崩壊に超円高が加わって、平成6年には2,681億円と、ほぼ半減状態にまで受注・生産額が落ち込み、他の産業界にもほとんど見られないほどの大打撃を蒙った。

▼ちょうど、その最悪の時期に、記者はハマダ印刷機械長谷川昌社長にお話をうかがう機会があった。その折、長谷川昌社長は「私はこれまでずっと段ボール業界でやってきて、いまは機械業界にいるわけですが、この機械産業はウソも隠しもなく売上高が半分になってしまうこともあるという業界で、それに比べると、どんな不況でも需要は伸びる一方、ほとんど減ることがない段ボール業界は、本当に恵まれた産業だと、こちらに来て、改めて痛感しております」と語っておられた。

▼その「恵まれた産業」が折角の恵まれた立場を生かせず、無益と思える競争で成果を烏有に帰しているのが、特に残念に思えたところだった。

▼印刷紙工機械産業は平成6年を底に回復に向かい、昨年は3,226億円まで戻った。設備投資機運も漸く復活しつつあり、最大の難場は去ったとみられる。

▼一方、恵まれた段ボール産業は、この不況下、平成5年-8年の伸び率が「年率平均2.7%」である。上には上で、米国は過去5年間、年率平均3.5%だったが。

(5月30日)
【消費税影響すこぶる軽微】

▼3月の段ボール生産は、速報値をやや上方修正して前年同月比8.0%増。消費税引き上げに伴う駆け込み需要も確かにあるが、本来の景気回復の流れが根底にあってのことで、5年越しの沈滞した気分もどうやら少しずつほぐれてきそうな雰囲気である。

▼つづく4月の段ボール生産速報は1.3%の増加と発表された。デパートやスーパーなど小売店段階の売上げがマイナスになっているところからすると、段ボールもまさかマイナスということはないにしてもといった感じだったが、それでもコンマ以下の数字かと思われていたのが、これだと予想外にいい感じ。前年4月が3.3も伸びているのだから、それとの相対勘定でいえば3月(前年はマイナス2.2%)の8.0%も少し色あせる感もないわけではない。

▼ということで、流れは非常に順調である。心配された価格面も、1月-2月の総平均単価73円台から、3月は74円台に上昇し、消費税上昇を織り込みはじめている。

▼そういう状況下で、業界立て直しへの期待がかかる統合問題が、5月29日、日段工・全段連ともそれぞれ定時総会で統合賛成決議が行われ、正式にスタートを切った。一度別れてみたから、両団体に、或いは個々の企業間にも別れる以前には無かった何かしらも生じているのかも知れない。そういう期待も含めて、これからの21世紀へ向けての段ボール業界の前途に、大いに期待したいものである。

▼5月29日、日段工総会後の恒例の懇談会で長谷川会長が先のICCA国際会議の際の話として、中国が次回は台湾と並んで出席する予定と説明した。今回も中国は別の都合で来なかったが「やはり両者の調整役は日本がやらなければならないことでしょうし」と。

(6月15日)
【よしみを通じようじゃないか】

▼6月5日午後2時から銀座東急ホテルで日段工・全段連の組織統合問題を主要テーマとする合同記者会見が行われた。長谷川会長の説明によると「議論は色々あったが、極めて早く、かつ順調に合意が取り付けられ、この統合のスタートをきることができた」と。

▼会見には日段工・中部担当の塗師副会長、西部担当の井上副会長が所用のため欠席したが、全段連側は高橋全段連理事長(中段工)村瀬東段工理事長、野上西段工理事長、児島南段工理事長と、4人の正副理事長が揃って、それぞれ発言があった。

▼今回の組織統合は、両団体をそれぞれ解体して一つの新しい組織に集結するというような、本来「統合」という言葉の持つ意味通りの合体ではなく、日段工も従来通り、全段連も組織自体はそのまま残した上で、日段工に団体として加入するという形となった。

▼記者会見でも、この点に質問が出たが、全段連が、中小企業の保護育成というわが国の国策に基づいた法律上の認可団体だから、監督庁としても解体は避けてほしいとの要望が強く、結局、この方法しかなかったということである。

▼「団体加入」で、統合の効果をどう上げるか、上げられるかが今後の最大の課題となる。東段工の村瀬理事長は「企業の合併効果促進とは違うのだから、徐々に相互の信頼感を高めて」といえば、西段工の野上理事長は「西では、よしみを通じようじゃないかと、みな言っている」と、表現は違っても、この統合への期待が非常に強いことが出席代表の言葉から汲み取れたところだった。

▼ICCAの状況も詳しく発表された。注目されるのがICCAによる世界の段ボール生産量の把握。95年ベースで1,100億m2、原紙消費量7,700万tということだった。

(6月25日)
【国際的潮流の変化に注目】

▼世界の紙パルプ関連市況が、再び反騰気配に変わってきた。紙パルプの国際市況の流れの変化は、いつも米国・カナダ及びスカンジナビア諸国中心の市販パルプ市況を先駆けに現れる。一時はピークから半値にまで落ち込んだパルプ市況がぼつぼつ動き始めた。

▼つれて、米国では新聞用紙や上質紙、更に暴落した中芯原紙を先頭に、クラフトライナーも7-8月からの値上げがアナウンスされ始めている。

▼リード役は、いつもと同様、アメリカの巨大製紙メーカー。そして、ほぼ全品種が最近2年間、暴落をつづけてきただけに、その反騰のエネルギーは、今回もかなりのものと見込まれている。

▼背景にあるのは、最近の米国経済の活力だろう。消費経済を包む段ボールの出荷でみても、95年にマイナスに沈んだあと、昨年年央から勢いを取り戻し、わが国段ボール生産の2.7倍ほどの巨大規模で、なおかつ3%以上の伸長となっている。

▼紙パルプ産業は、国際的にアメリカが牛耳っている形だが、とりわけ段ボール原紙の世界は、その国際的に及ぼす影響力が絶大である。米国の段ボール出荷が回復し始めてから一年半。米国内の製紙工場・段ボール工場の段ボール原紙在庫が4月末に300万tを割り込んだと思ったら、わが国の段ボール原紙輸出が4月の8千tから、5月にはずいぶん久しぶりに1万tを突破した。

▼そういうように、国際的な流れが、これからも日本に巡ってくるだろうし、いま国内原紙市況がやや弱含んでいるといって、不用意に製品価格にまでそれを持ち込むと、あとで、とんだしっぺ返しが来ないとも限らない。さし当たりは、国内に新マシン稼働の材料もあるわけだが、国内同様、国際的な動向への目配りも大いに必要だろう。

▼もっとも、米経済の変調がなければ、であるが。

(7月10日)
【24年越し段ボール最安値】

▼段ボール原紙の市況下落が伝えられる。一昨年の段ボール大不況の最大要因だった原紙価格の高騰は、国際市況の下落と同時並行的に昨年春ごろからなし崩しに軟化をつづけ、秋以降ははっきり値下がりに転じて段ボール値上げに失敗した段ボール会社には大きな救済となった。

▼原紙メーカーは、その価格下落分の大半を原料古紙価格の下落でカバーしてきた。古紙価格は、従来のほぼ純粋な市場経済型の需給形態から、近年は廃棄物対策の政治的な要素が加わって、いわば供給が常に先行する需給失調型の推移。しかも当面はこの事態が解決される見通しが何もない。

▼ということで、原紙への値下げ圧力が、直接的に古紙の値下げ圧力に転化していく。そういう中で、しかし古紙価格への価格転嫁もそろそろ限界に来たところで、原紙は新マシンの稼働というかねて予想されていた弱材料がいよいよ表面化し始めたのが最近の情勢。

▼わが国の段ボール業界は外見的にみると、いつも原紙業界が外界からの「風除け」を果たしてくれているような状況が続いて、平穏無事におさまっている。一昨年から昨年にかけてのピンチも、結局は自力でシート・ケース値上げを貫徹して収益回復を果たしたというより、原紙値下げが幸便となって、まずまずの結果が得られた印象が強い。

▼だが、いつもそんなにうまくばかり行くはずがないと思っていないと、今度の原紙安が、またまた段ボール安に転化するだけの結果に終わりはしないかと懸念される。実は、4月の段ボール生産統計にその兆候が読みとれる。同月の段ボール平均単価は「72円04銭」で、これは、いまから24年前の第1次石油危機の年、昭和48年(平均66円60銭)以来の低水準記録となっている。

▼物価体系は完全に変わったのに、である。 (左上欄へ)

(7月25日)
【景気は自律的回復過程へ】

▼経済企画庁が7月18日の閣議に、97年度の「経済白書」を提出した。この中で経済企画庁は、日本経済が個人消費や設備投資が主導する「自律回復」の軌道に乗り始め、バブル崩壊の精算が景気全体に与えるマイナスの影響がほぼ峠を越えた、との判断を示した。

▼白書の副題は「改革へ本格起動する日本経済」だが消費税率の引き上げや公共事業の抑制などの影響で、景気回復テンポが現在、一時的に緩やかになっているものの、金融機関の不良債権問題を含むバブル後遺症の精算が進み、景気の足を引っ張る要因ではなくなった、としている。

▼つまり、民間需要の回復と円安効果等も背景に、景気は「在庫調整の終了→生産増→雇用増→家計所得増→消費増→生産増」という自律回復の好循環に移行してきたと宣言した形。

▼この経済白書への経済学者等の反応には必ずしも異論がないわけではないが、4月の消費税引き上げ後の経過等を見ても、日本経済がそうした循環過程にまで到達したことを疑う余地はないようである。

▼段ボール需要は、あと数日で6月の生産速報が判明するが、既に大方の予想として「3%台」以上の伸びが予想されている。6月は全般にカラ梅雨ぎみで、気温も高く、7月は冷夏予想とウラハラに、更に夏らしい好天に恵まれている。

▼こうした気象条件に上記の景気の循環的な回復が重なって、段ボール需要の特質である「景気回復期にはGNPの伸び以上に急伸」がぼつぼつ現れ始めた印象である。

▼段ボール工場の繁忙ぶりといった現状から見ると、7月以降は多分、4%から5%といった更に一段高い伸びに変わってきた感触。

▼つれて、これまで手控え一方だった設備投資も動き出した。老朽設備の更新が急務に変わった。

(7月30日)
【景気の自律的回復を先取り】

▼平成9年6月の段ボール生産速報が発表された。それによると、同月の段ボール生産は11億5,854万m2、前年比3.3%の増加で、消費税引き上げ後の4月の同0.5%増、5月の同1.2%増と、2カ月間低い伸びに落ち込んだあと、6月から再び3%台のペースを回復した。

▼これにより、今年の段ボール生産は、消費税引き上げ前の3月に前年比8.0%増と、突出した伸びを見せたことから、第1四半期は前年同期比4.8%増と四半期ベースでは平成7年第1四半期以来2年ぶりの高い伸びとなったが、第2四半期はその反動で1.7%増まで落ち込み、但し、ほぼこの第2四半期で消費税増税の影響、前倒し需要の反動減からほぼ完全に脱したと見込まれている。

▼7月は、業界の感触として、推定4-5%台の伸びが見込まれている。折から経済企画庁も「景気はバブル経済の精算が峠を越し、個人消費や設備投資が主導する循環的な自立回復の過程に進んでいる」と、97年度の経済白書で発表しているが、段ボール需要もほぼその線にそって、景気の自律的な回復を先取りし始めている感触となっている。

▼これにより、1-6月の合計段ボール生産は66億641万6千m2、前年同期比3.2%増となり、第1四半期および第2四半期のプラスマイナスがほぼ平均して、前年7-12月の伸び3.3%とほぼ同じペースの形に推移している。

▼なお、通産省では、例年の「紙・パルプ統計年報」の見直しにより平成8年の段ボール生産についても各月の修正数値を発表した。これにともない、平成8年の年間生産量は、これまで133億4,839万2千m2、前年比102.3とされていたのが、この変更で133億5,309万1千m2、同103.3と上方修正となっている。

(8月10日)
【段ボール需要に力強さが復活】

▼今年も旧盆・夏休みがやってきた。郷里の墓参りとか、しばし休みの間の様々な行事や、あるいは熱闘甲子園・高校野球のテレビ観戦とか、いわば「夏の風物詩」的な事柄が、いろいろある時期でもある。

▼今年も、幸いなことに一昨年、昨年に続いて連日30度を超す猛暑。一部にあった冷夏予想が外れて、これなら実りの秋以降の段ボール需要も大丈夫と、まずその方はひと安心の様子である。

▼ただ、そうはいっても台風の通り道の九州を中心に大雨の被害も大きかった。これからも二百十日、二百二十日と、台風のお出ましは当然あるだろうが、なるべくお手柔らかに、やさしく通り過ぎてくれることを祈るのみである。

▼消費税明け後、段ボール需要に勢いがついてきたと見る人が多くなっている。経済企画庁が先に発表した経済白書の言う通り、そのまま信じ込めるわけではないにせよ、消費税で中断した昨年後半の勢いにさらに多少上積みした形で需要が動きはじめた気配である。

▼とにかく、9月になれば誰の目にも当然明らかになることだろうが、バブル崩壊後もう何年になるのか、やっとそれなりに格好の付く情勢へと移りつつあるように思えるところである。

▼夏以降の当面の焦点は、段ボール原紙新マシンの稼働。原紙需要量に対する供給量のバランスがそれほど崩れているわけではない。要は「新マシンが出る」ということによる市場の「条件反射」が半分以上と思われる。

▼逆に、このあたりで新マシンが無かったら、折柄の景気上昇と重なってかなりの困難が生じたかも知れない。ということで、流れからいうと、今度の新マシン稼働は、純増能力的に、昭和50年代半ばの度外れた新増設とも違って、「ちょうどよいぐらい」なのだろう。

(8月25日)
【いよいよ年間最盛需要期へ】

▼旧盆・夏休みが明けて、いよいよ後半戦に入る。デパートなど小売り段階の消費の動きがやや不活発。自動車や電気製品の売れ行きもパッとしない。

▼夏の暑さもオホーツクの寒気が南下したりして、かなり涼しい日が続いたなどで、期待されたビールや清涼飲料の伸びも案外だったなど、思惑外れがいろいろ言われている。

▼結局、「消費税」影響がなお尾を引いているという表現のようだが、要は4-6月期で打ち止めと思われていたものが、7-9月にもややもつれ込んだ、ということだろうか。

▼段ボール産業はこれから年間最盛需要期を迎える。いわゆる「実りの秋」で、農産物をはじめ秋・冬を控えての衣替えから、諸々の季節需要が集中的に発生してくる。

▼そうした中でも昨年、大不作に泣いた単一品種で最大需要の「みかん」が今年は一転、相当の増産になる見込み。九州・四国・中国一帯のみかん主産県では、台風の影響という最大の懸念材料がまだ残るものの、昨年と比べれば20-30%増といった数量増さえ見込まれるようである。

▼これは、簡単にいうと樹が充分に休んでいるから。前年産の単収が極めて低かったため、樹体内に潤沢に養分が蓄積されており、また、昨年のようなカメムシの発生も今年はない様子なので、特に、昨年減産の度合いが大きかった地域ほど増収になる見込みという。

▼景気も、緩やかながら回復が続いている。折から大日本紙業の12月期中間決算がまとまった。多くの段ボール会社が3月期決算に集中している中で、同社が12月決算なので、その間の中間のところで、段ボール業界の収益状態がうかがえるという意味で、特に注目される決算である。

▼ただ、同社は名にしおう優良企業。当中間期すら経常利益率が7.9%。通期は8.2%を目指す。

(8月30日)
【みかんシーズン本番入り】

▼平成9年産みかんの生産出荷予想が発表された。予想収穫量151万t、予想出荷量134万5千t、それぞれ前年比31%増と近年にない大幅増加が予想されている。

▼日本人にとって、季節の食べ物としてのみかんは、何物にも代えがたいものだが、生産農家にとっては輸入果実類との競争があり、より以上に産地間の競争があって、「炬燵に入って、みかんを食べながら紅白歌合戦」のような、そんなのどかな時期にではなく、より早く、より早く市場に出荷する競争が、早生より極早生へという形で、極早生の収穫量をどんどん拡大させてきている。

▼別掲の農林省発表の生産出荷予想でも、早生温州の予想収穫量の30%増に対して、そのうち極早生は収穫量・出荷量とも36%増と予想されている。

▼そればかりではない。みかん出荷の本番入りは大体10月ぐらいというのが一般庶民の生活感覚だが、実はハウス栽培では、現在は4月など当たり前。すでに3月にも実を成らすことに成功しているのだという。

▼もっとも、そういう生産農家がザラにあるわけではないし、早く早くといっても、あまり早くなると、前年産の普通温州にぶつかるわけだが、その方法は温度調節でみかんの樹の生理を狂わせ、「だます」のだそうである。つまり、ハウスの中の気温ばかりではなく、地中の温度も夏は冷房で冷やし、逆に冬は暖房で暖める。そうすると、樹が本来実を付ける季節ではない季節に、だまされて実を付けるようになるのだという。コストはかかるが、価格さえ合えば、色んな果実で、本来のシーズンとは関係なしに出来るそうである。

▼なお、平成9年8月中旬現在までの京浜市場主要国産果実は、入荷・平均単価とも前年比99%。まずまずだが、みかんのシーズンはどうかが、最大の関心事だろうか。