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平成9年、日本製紙グループも統合へ(第1078号/その3)

平成9年は段ボール業界団体結成50周年の年。同時に、現行の消費税5%への切り上げ増税が行われ、結果的に「失われた20年」を招き寄せるキッカケとなった年でもある。後述するが、年末の東西南北欄には次の記述があって切ない。「毎年、納刊号では来るべき年に向けての希望、夢を述べて締めくくるというのが、小紙のような新聞の定例とは知っていても、今年だけはそんな夢とか希望といったものが白々しくて、そんなことより、厳しい現実をそのまま見据えた直截な表現の方がはるかに相応しいような気もする」。

(平成9年9月15日)
【段ボール業界団体50周年】

▼昭和22年11月に、全国の段ボール企業29社が参加して結成された「段ボール協会」の発足から、今年11月でちょうど50年になる。

▼「半世紀」の区切りだが、それを記念する日段工・全段連共同主催の多彩な記念行事のスケジュールが発表された。

▼海外からも多数の参加が予定され、宮沢喜一元内閣総理大臣の基調講演をはじめ、国際シンポジウムも、アメリカ、ヨーロッパ、東南アジア、中国、そして日本と、各国・各地域団体の代表による現況報告および将来の展望、また、非常に大きな関心の持たれる包装廃棄物規制にともなう段ボール需要への影響等、さらには、米国における古紙系ライナーの増加と今後の展開など、まさに今日的なテーマでの講演が予定されている。

▼この国際シンポジウムへの参加予定者は200名-250名、記念式典には450名、祝賀パーティには600名という多数が予想され、更にはオプションとしてレンゴー千葉工場の見学会や都内バスツアー、室内楽コンサート、レディスプログラムなども用意されている。

▼折から、本年5月、全段連が日段工に団体加盟することになり、昭和56年の分離以来、16年振りに業界団体の再統合も実現するに至っている。これもまた、一つの大きな区切りにほかならないだろう。

▼業界団体設立50周年の記念すべき年だが、業況はあまり芳しくない。特に原紙市況が、新設マシンの稼働をおり込んで、更に弱気配一方のまま推移しており、つれて段ボール市況もさえない。

▼段ボール需要は、7月の生産実績で前年同月比0.3%増と、速報に比べやや上方修正となっており、前年同月が8.7%もの大幅な伸びだったことを考え合わせると、実勢は3%台の伸びとみられる。数量的には何も問題ないのだが。

(9月30日)
【進まない総労働時間短縮】

▼段ボール産業時短推進委員会では、平成8年度(会計年度)の日段工・全段連会員132社の年間実総労働時間は平均2082時間で、前年比19時間の増加と発表した。

▼この結果、平成5年に63時間もの時間短縮を達成して2057時間にまで減少した段ボール業界の平均総労働時間は、平成6年の14時間増、平成7年の8時間減、平成8年の19時間をプラスマイナスして、平成5年との比較では、通算で25時間の増加と、すっかり時短逆行の状態になっていることが明らかになった。

▼これに対して、平成9年には31時間の短縮と、今回の調査での見通しとして報告されている。ただ、実際には、平成9年度が経過してみないことには、単なる推定にとどまるわけで、全般に、大企業間でのリストラ・人員削減の進行がいわれる一方で、段ボール産業などの中小企業分野では、大企業が思う存分に人員を採用できた時代にも、思うようには採用が出来ず、それだけ人員の余剰感が無いし、現在でも、むしろ不足の状態がつづいているといった、二極分化が現実だろう。

▼このため、景気が落ち込めば、やむなく時短が一応進行するものの、景気が回復し、需要が増加すると、同じ従業人員数の制限範囲内で残業が増え、一方で、所定内労働時間は世間一般水準にかなり近づいているので、あまり変わらず、結局、「残業時間の増加分だけ総実労働時間が伸びる」という状況が繰り返される形ともなっている。

▼段ボール需要は、平成4年に1.0%減とマイナスに落ち込み、これをはさんで、平成3年・平成5年がコンマ以下の増加と、前後3年間がゼロ成長。このあと平成6年に2.5%増となって、ようやく水面上に出たが、これがそのまま総労働時間にも反映されている。

▼業界の時短は、一筋縄では行きそうにない。

(10月15日)
【原紙市況さらに混迷深める】

▼10月6日から5日間、晴海に代わる東京・有明の新しい国際展示場「ビッグサイト」で開催されたIGAS'97は、月曜の初日こそ、人出がさっぱりだったものの、日を逐って来場者が急増し、まずまずの成果のうちに終了した。出品会社それぞれ最新のメカトロ・デジタル化製品を展示、世は正に「デジタル化時代」との印象を更に一段と強める展示会であった。

▼国際色も豊かで、特に中国語・韓国語が会場や往復のユリカモメ、地下鉄・バスの車内などに飛び交っていたが、さる出品者によると、最近数年間特にめだっていた東南アジアのシンガポール・マレーシア・タイ・インドネシア・フィリピンなど、いわゆるASEAN諸国からの来場者が、めっきり減ったのが今回の特徴の一つだという。

▼東南アジア諸国は、最近10年間の高度成長ののち、今年に入ってタイに始まった通貨危機に各国とも大きく揺れている。だから、ここ数年、印刷産業・段ボール産業など目を見はるほどのブームだった産業分野でも、設備投資への関心が急速に薄らいでいるということで、その情勢が今回のIGASにも大きく反映されたとみられている。

▼世界中どこもかしこも不景気で、それが一番の成長株の東南アジア諸国にまで広がった形だが、足元のわが国段ボール産業をみても、8月速報値は遂に前年同月比でマイナスに落ち込んだ。少なくとも数量面では、昨年後半からこれまで順調な経過だったのが、かなり息切れしはじめた様子が浮かんできている。

▼それに加えて、市況的な面では、折から段ボール原紙新マシンの稼働を機に、原紙市況が更に混迷の度を深め、段ボール販売戦線にも「紙をつぶすための段ボール価格」のような過当競争が至るところに波及、先行き混迷の度を一段と深めている。

▼当面は、原紙値下がり分だけ助かっているのだが。

(10月25日)
【第一級の技術陣を持っている】

▼「日本の段ボール業界は第一級の技術部門を持っている」というのが、福岡市での「段ボール技術セミナー97」を取材しての強烈な印象だった。

▼10月23日の午後1時過ぎに開会して、全国段ボール技術委員会笹尾委員長の開会挨拶、白本日段工副会長の提言、そして、3時過ぎから規格標準部会・牧村隆雄副会長の「JISのゼロベース見直しと国際整合化について」、次いで生産技術部会・松久保正顕部会長の「製箱工程におけるロス低減」、西部段ボール技術委員会・関賢二委員の「インキ原単位の低減-関連する技術調査を含めて-」と3件の研究発表が行われたが、まず早朝に起きだして遠方から駆けつけた人ばかりなのに、居眠りする人がいないし、目を光らせ、身動きもせず、じっと聞き入っている。といっても、これは例年のことで、いまさら驚くような話ではない。

▼第2日目の24日は朝8時開会。前日につづいて、中部段ボール技術委員会・寺田勝秀委員長の「コルゲータとフレキソフォルダーグルア生産性の実態」、南部段ボール技術委員会・野下定博委員の「貼合生産性の推移と将来展望」、更に品質管理部会・橋本悦郎委員の「段ボール箱ジョイント精度に関する考察」とつづき、そして最後に、東部段ボール技術委員会・矢島米夫委員の「海外の最新設備の情報」と、いずれも今春ごろから地区ごとに技術委員が集まって調査・試験・集約を重ねた貴重な研究報告であった。

▼2日間取材しながら、これらの研究報告をどう新聞紙上にまとめられるかを、ずっと思案しつづけた。図表などの説明資料が多数あるので、一つの研究報告ごとに、どんなに切りつめても見開き2ページは必要だろう。白本社長の「提言」から始めて、向こう半年ぐらいはかかるのか。先が長いが、何とか紙上に再現してみたいと考えている。

(11月10日)
【あらゆるロス解消の新鋭機】

▼三菱重工がかねて開発中と伝えられていた最新鋭機「サミット-X」がいよいよ完成、今年9月から稼働中の朝日段ボールで、29日に公開運転が行われる。それに先立って、10日の記者会見で同機の概要が発表された。

▼会見には、6月1日付で製紙・紙工機械部長に就任した中政富昭部長が出席、つぎのように述べた。「私は6月まで製紙機械部の部長でしたが、今度の改革で製紙・紙工機械部の部長ということになりました。三菱重工は、段ボール・紙工機械の部門を、これまでは印刷機と一緒にして、商業印刷・紙工機械部としてきましたが、製紙メーカーの合併などで見ても、段ボール機械は、印刷と一緒より、やはり製紙と一緒の方がいいのではないかということで、昔はそうでしたから、今度の組織改革では、昔と同じ形に戻したわけです」。

▼「製紙も段ボールもそう大きくは伸びないものの、少なくとも生産量は、右肩上がりに伸び続けております。これは、例えば当社の得意先の業界の中でも、鉄鋼は10年前の一億がいまも一億です。そんな、むしろ減っている業種とは全く違うわけで、10年前との比較でみると製紙も段ボールも10%以上伸びております。ですから、価格的には不況でも、まだまだいろんなやりようがある、と考えております。また、このたびは最新型の製函機が完成して、公開運転をご案内出来る運びとなりました。私自身は、段ボール機械はまだ不案内ですので、業界の方々に、何かとぜひご教示をいただけるよう、お願い申し上げます」。

▼「サミット-X(4FGR-100、4色フレキソフォルダグルア、ダイカット付き)は最高速度300枚/分。あらゆるロスをなくした、一つの究極型の製函機のようである。段ボール製品のコストダウンを達成した中から、機械代金にも応分の還元を、と。

(11月20日)
【50周年記念シンポジウム】

▼11月20日にホテルオークラで行われた段ボール産業業界団体設立50周年記念行事の「国際シンポジウム」は、宮澤喜一元総理の基調講演につづいて、米国FBAブルース・ベンソン代表から米国及び世界の段ボール生産動向が、FEFCOジャン・ピエール・ラーディロン事務局長から欧州の段ボール動向、今年結成されたばかりのACCA(アジア段ボール協会)フィリップ・ウォン会長からASEAN諸国の段ボール動向と見通し、そして中国包装技術協会の謝栄全副会長から中国の段ボール需要と段ボール産業のかなり詳細な報告があり、日本は野上重男全段連副理事長が日本の最近動向を、さらに欧州最大の段ボール会社SCAパッケージング社ウィリアムズ社長から包装廃棄物を中心にした環境問題を中心に、最後にインターナショナルペーパー社マイケル・エイミック副社長から米国の段ボール原紙及び段ボール事業の最近の価格変動・需要・これからの需給予想・古紙動向など極めて詳細かつ現在進行形での説明があった。

▼マイケル・エイミックIP副社長の説明によれば、米国の段ボール産業は、今年につづいて明年も3%前後の安定的な需要の伸びが見込まれ、また段ボール原紙の稼働率は90%台後半に達し、新設等の問題も今後当分ないので、一昨年来の価格下落から回復、かつOCCの不足などの材料も加わって、需給と価格の非常な好循環が期待されると、日本の現状に比較して正に明暗を分けたようなスピーチであった。

▼宮澤副総理は「橋本総理がAPECに出席するに当たり日本として当然、不良債権処理の対策について聞かれるに違いないからと、実は今朝、私の試案を申し上げてきました」と講演の中で語った。シンポジウムが終わって帰る時、夕刊は各紙とも、それがトップの話題になっていた。

(11月30日)
【業界の大きな区切りの年に】

▼今年もいよいよ年末の季節となった。巷にはひと頃ほどではないが、ジングルベルやホワイトクリスマスなどの曲が流れ、またもう1年過ぎてしまったかと、かつてない大不況の折からだけに、寒風の到来とともに一層わびしい思いをかき立てられるようである。

▼気のせいか、年末まで来ると、1年の締めくくりというのか、毎年色々な行事が固まってくるようである。今年は、特に「業界団体設立50周年」という大行事があって、段ボール業界にとって、ひとつの大きな区切りの年になった感がある。

▼その記念の国際シンポジウムで、11月20日に、宮澤元総理が講演でこれまでの50年を振り返って、安保条約をめぐるナマの話を語った。それを聞けたのは、大変有意義なことだったと改めて思われた。それにつけても、あの日以来、宮澤さんが突然「時の人」になったみたいで、自民党の緊急金融システム安定化対策本部に担ぎ出されたり、われわれも、普段ならあまり気にも留めなかったかも知れないのに、当日の講演を聞いたばかりに、新聞もよく読み、聞き耳を立てているような昨今である。大蔵大臣説もあるようである。

▼29日には、香川県の朝日段ボールで、三菱重工の「サミット-X」の公開運転が行われた。「究極の製函機」を目指して完成されたという風評もあるが、とにかくロット替えは早いし、音はしない、軽々と毎分300枚を出すといった具合で、見学した段ボールメーカーの技術者たちが、揃って、一様に「熱いまなざし」を注いでいたのが注目された。

▼ところで、翌日の夜、家に帰って聞くと、東京は当日、まるで嵐のような激しい雨風の日だったという。私も朝出掛けには予報で荒れ模様と聞いていたのに、香川県はその土日に限って数日来の荒れ模様がおさまったのだという話だった。

(12月15日)
【安値情報飛び交いがちだが】

▼年の瀬がいよいよ押し迫り、今年もあと旬日を残すばかり。1日に何度も如何に不況であるかを聞き、目で見、また自分でも語る日々である。日本全国、もれなく不況。銀行・証券・不動産はいうに及ばず、製造メーカー、商事会社、あらゆる業種の自営業もみな悩み、家庭の個人一人一人が一日に何度も「不景気」という言葉を呪文のように唱えている。

▼不景気というのは、日銀総裁も繰り返し語っているるように、いわゆる「気」のものだから、新年にでもなって、この「気」が少し前向きな方にでも変わらないと、いまの日本国中を覆っている暗雲がなかなか去らないような気もする。

▼それにしても、ジャーナリズムも、少し煽り過ぎではないだろうか。以前のバブル期に、東京の地価で金田が幾つ買えるとか、銀座の土地スプーン一ぱいの面積で1万円だとか煽ったジャーナリズムが、こんどは逆にこれでもか、これでもかと、不景気を煽っているように見えてくる。

▼金融・証券・不動産・建設業界は、人一倍賢い人が多いだろうに、あれだけバブルに踊ったのは、彼らだけの生得の理由だったとはとても思えない。逆バブルのいま、それを思うと、なにやら不気味な思いがこみ上げてくるようである。

▼段ボール産業は、、そうした中でも、明らかに健闘している。地域によって明暗はかなりのものだが、9月までの累計生産は前年比でまだ1%ほど増加している。10月-12月は、消費生活を支える色んな季節需要が重なって生まれる時期だから、これまでの基調が突然変わって、一挙に地盤沈下するなどは考えられない。当然、1%前後のプラスは残るだろう。

▼それに、価格面でも、巷間にはかなり極端な安値情報が飛び交いがちだが、実は4月から現在まで、「平均72円」台は何も変わっていない。

(12月25日)
【売上金額は0.7%減少】

▼年末にきて、映画の伊丹十三監督が自殺する事件が起きた。原因は誰にもよく分からない。一体、なんという年なのだろう。こうして、不得要領のまま平成9年が終わる。

▼バブル崩壊という大問題があって、しかし、いわばダマし、ダマし、それからの離脱がなし崩しに進みつつあったとき、そんなときになぜ消費税を引き上げるのか、多くの人には納得がいかなかっただろう。その納得のいかなさが、特別減税とかにも引きつづいている。

▼毎年、納刊号では来るべき年に向けての希望、夢を述べて締めくくるというのが、多分、小紙のような新聞のいわば定例とは知っていても、今年だけは、何かそんな夢とか希望といったものが白々しくて、そんなことより、厳しい現実をそのまま見据えた、直截な表現の方がはるかに相応しいような気がする。

▼来るべき平成10年は、おそらくお先真っ暗な日本の経済情勢、と同時に、まさにボーダーレス時代の世界の経済情勢、中でも東南アジアから始まって東アジアに至った通貨下落の連鎖がどういう結果をもたらすのか、またそれが日本、さらにまた、段ボール産業にはどうフィードバックされてくるのか、ということであるに違いない。

▼段ボール業界は、この難局で、大変な健闘ぶりである。簡単にいうと、平成9年1月から10月までの段ボール生産量は前年同月比で1.9%の増加。これに対して、売上高に相当する段ボールシート・ケースの合計生産金額は、統計の判明している9月までの数字で7,245億8,300万円となっている。

▼数量が1.9%伸びたのに対して、売上高は0.7%減と、わずかのマイナスに押さえ込んだ。平均単価は、この期間に約1円の値下がりだった。

▼不況下の、平成9年はそういう1年であった。