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インターネットが社会を変える(その7) 2010-11-30(第1067号)

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段ボール原紙のカルテル時代の物語は、段ボール産業界の誰にとっても思い出したくない悪夢のような記憶として残っているものと思われます。

それに、本紙が保存してきた創刊以来の古新聞を、全く予想だにしなかったインターネット時代に遭遇して、ネット上にコンテンツとして提供を始めたとき、最も多くのスペースが、そのカルテル時代の苦悩する業界の一挙手一投足に割かれていたわけですから、本紙のサイトは最初のころ、当のカルテル時代の物語に埋め尽くされていたわけでもあるし、同時に、いまなお、それらが誰にでも閲覧できる状態になっていて、実は当時のそうした悪夢のような体験を風化させないためにも、そのままの状態に置かれ続けていること自体が一番大事なことのように考えているところです。

いまから振り返れば、みんながみんな、揃いも揃って愚かしい限りのことをしたように見えますが、行政も含めて、当然やるべしと決断した方向で一切が行われたに違いありません。

モトをただせば旺盛な需要でした。需要の消化には設備投資、そして、それ自体に社運がかかるわけだから、悪い言葉で言えば欲の出し合いで、必ず供給過剰になる。その事業者間の帳尻合わせに結局は行政が担ぎ出されることになりました。

行政は通商産業省。段ボール産業全体を段ボール原紙という水道の蛇口を制御することでコントロールする建前だから、川下の加工事業、つまり段ボール業界の方はどちらかというと余り見ないように見えたし、まして最終需要家のエンドユーザーは距離が遠すぎて見えないようにも見えた。

行政が認証を行うことで国家の方針として定着することになった生産カルテルには、最終目的が価格に違いないわけだから、常にその匂いがついてまわったし、ただ、一方に天然自然の原理として需給原理というのが控えているから、誰にも収拾できないような生産過剰の背景のもとでは、常に中途半端な結末に終わる以外にない状況だった。

カルテルを背景に、何度も原紙の値上げが言い出された。メーカーのスタイルはいつも同じで、まず代理店会を召集、その場で何月何日からライナーはキロ何円アップ、中芯は何円アップの方針と発表する。われわれ業界新聞はその発表内容を丹念に書く。だが残念ながら、製品価格の最終決定権者で同時に原紙価格の最終決定権者であるエンドユーザーは、われわれの新聞の配布対象先ではないから、その情報は届かない。

エンドユーザーまで届く情報を書けるのは、新聞少年たちの足で各家庭や会社にまで新聞を配達できる一般紙の新聞、といっても段ボール原紙を含む産業界に関心を持つのは日本経済新聞社だけだから、その日経紙が書かない限り、ユーザーに情報は届かなかった。

セールスが足で歩いて伝えても、ユーザーが聞いたことにはならない。それは私的情報であって、公開情報ではないからである。メディア的には、そんな時代だった。