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「生涯一足軽ライター」で 2007-12-15(第996号) (各種包装展のサポートも)

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このごろ、物覚えが悪くなって「あれは何だったっけ」といくら思い出そうとしても、なかなか出てこないことが多くなったので、気が付いたときはメモ書きして、目の前のよく見えるところに貼り付けておくことにしています。最近、といっても二、三ヶ月前のことだと思いますが、「城山三郎、83才、足軽作家」と書いたメモがありました。83才というと、私よりも6才上ですから、私にとっては、自動的に「目標」ということになります。「そうか、幾つになっても、足軽に、取材に歩き回って良い作品を残そうということか」ということだと考えて、私は作家ではないので、翻案すれば「足軽ライター」ということになるなということで、私もこの先、「生涯一足軽ライター」を名乗ってやって行くのも悪くないかなと考えた次第です。

私には取材対象が全国各地にいっぱいあります。全国に散在する永年の読者がみんなそうですから、新聞とインターネットを掛け持ちしながら、なおかつ読者のもとを一軒一軒取材して歩いても、おそらく20年も30年もは人生の残りがないわけですから、そう全部が全部は回りきれないにしても、先日の検査結果や入院でたっぷり脳梗塞予防の点滴療法を受けたことなどを考え合わせると、13才上の実の長姉が90才で元気で、プールで泳いだりしていることを思えば、あと10年ぐらいは余命がありそうだし、とすると、テープ起こしなどの手間ヒマの掛かるものを外注したりすれば、200社や300社ぐらいは消化できそうかな、などともいろいろ思案している次第です。

今年春から、そういう取材予定を立てて、本来なら順調に行くはずでした。しかし、「段ボール値上げ」問題が起こったら、これは、業界全体の重要課題ですから、何を措いてもその方の取材・編集を優先しなければならないし、実際問題として、不況の影響をもろにかぶって、新聞のスペースもその分小さくなっているので、何もかも自由に書ける状態ではなくなっています。ということで、かなり多くの読者から、取材訪問はいつならよいかの返事をいただきながら、結局、当面は頓挫して持ち越しになってしまっている状況で、入院後の体調を整えるのにもうあとどれぐらいかをはかりながら、年明け後のどこかで「足軽ライター」を再開しようとしている、ということでもあります。

城山三郎さんに限らず、「作家」と呼ばれる人たちは、私にとっては正直、羨ましい限りの人々だと考えております。というのも、男が書ける、女が書ける、歴史も、風俗も、歌も、芸術も、或いはその他の諸々がみんな書けるわけです。ところが「段ボール事報」となると、書けることはまず段ボール会社に関連したこと、段ボール原紙、段ボール価格、段ボール機械、段ボールインキ、段ボール資材・副資材、みんなアタマに「段ボール」が付いたものばかりで、それだけで50年間を通してきたわけですから、そのことを申し上げたら、全部が全部ではなくとも、何となく私が申し上げることも多少はご理解いただけるのではないかと思います。

ところが、50年間、ただただひたすらアタマに「段ボール」が付いた記事を書き続けてきたということが純粋な意味での値打ちになって、本紙がインターネットに段ボール専門サイトを開設したところ、日本国中の段ボールユーザーがアクセスして下さるようになって、実は本紙がホームページの製作を委託している専門会社のサーバーが、余りのアクセスの伸びの多さにギブアップして、この12月にはログ・アナライザーの解析が滞るようなことにもなっております。ホントの話なので、以下に、専門会社からのメールの一部をお目に掛けます。「それにしても、この伸び率には本当にビックリしました。他の新聞のホームページの仕事もさせていただいておりますが、業界紙のホームページは余り見る方が少ないのか、ほとんど横ばいです。ですが、段ボール業界はまったく違うのだと認識いたしました」。

専門会社がそのようにログ・アナライザーの解析記録保存に思い掛けない支障が生ずる前、つまり11月の企業別、プロバイダー別、その他もろもろの解析記録を新聞大のA2サイズにその全体の3分の2ほどを貼り付けて、それをタテ10センチ、ヨコ7センチほどに縮小して、社名などの文字が読み取れないように細工したのが、左下掲載の表です。専門会社に負けず劣らず、主催の本紙自体が驚いているわけですが、それは「段ボールの値打ち」そのものの大きさということだと、誰でも思うはずであって、ずっと以前から、ことあるごとに言われ続けてきた「段ボール業界はもっともっと自信を持つべきだ」といった議論の正当性を裏書きしているようにも思えるわけです。

それと、前号に申し述べた繰り返しになりますが、いまご覧いただいている約7センチ幅×10センチのスペースにぎっしり詰まった名称が、そのまま段ボールの有力ユーザーであると同時に、プラスチックも、金属その他のあらゆる素材や部品、機器等々の有力ユーザーであり、企業バイヤーでもあるということであって、そういう段ボール以外の分野の人々にも、いずれこの「段ボール産業・ユーザー産業の架け橋サイト」に関心を持ってもらえるようになると思うわけです。

例えば、比較的身近な各種の「包装展」の問題を考えてみると、どれにもかなり大きなムダがあると思いますが、如何でしょうか。何を展示するにしても、高額な費用が掛かりますが、そのコストを展示会でどれほど回収できているのでしょうか。聞くところによると、段ボール機械の場合だと、少し大きいものを展示するとなると、仮に展示後にすぐ予定された納入先に納入するにしても、展示のための経費に2千万円ぐらいかかるということです。会期はせいぜい4〜5日から1週間ぐらい。その間に展示して、会期が終わるとすぐ回収ということですから、せっかく見たいと思っても、会期中に出掛けて行く都合がつかなければ、見るチャンスが無くなってしまうということです。

それと、日本の「文化」の問題があります。およそこのような展示会は、源流を辿るとヨーロッパ文明から来ているわけですが、少し格好を付けてドイツ語でいうとメッセ Messeです。このメッセは、ヨーロッパの国境も越えて、欲しい人が、メッセが開かれるのを機会に買うためにやってくる「市(いち)」であって、少し規模が違いすぎるけれども、本質からいうと朝市とか、植木市とか、だるま市とか、食材や植木や、だるまの欲しい人たちが集う市場のことでしょう。そのメッセが、日本に来ると、日本文化のアキナイ(商い=買ってもらえるまで飽きずに対面販売交渉を続ける)とは別物の、名称も「見本市」(見本ですから見て下さい)や「展示会」(展示していますから自由にご覧下さい)となって、見本も展示も、見本だけ、展示だけで、売り買いは別の場所、つまり「商い」の場所になってしまう、ということではないかと思いますが、如何でしょうか。

ということで、ここで申し上げたいことは、せっかく企業バイヤーが集結しつつある段ボール専門サイト(包装材の中では段ボールが最大)というものが育ってきているので、見本市なり包装展なりの合理化に役立つかどうかを研究してみて、役に立ちそうなら合作でも何でも、とにかくインターネットのスペースは無限ですから、現物出展は不可能でも、画像なら費用は安価、期間も選択自由で、見て下さるビジターも新入社員から会社のトップまでと、「可能性」だけで言ったら、いずれは展示会参会者の何万人とかとはケタの違った数のビジターを獲得できるようにもなってくると考えております。

「段ボール事報」自体、これからの新しい時代に向けて、ひと皮も、ふた皮も剥けて行かなければならないのでしょう。段ボール専門だけの方が、居心地は良いのですが。

[後記]城山三郎さんは今年3月に80才で亡くなられて、それを知らずに、そのときの新聞評か何かを間違えてメモしていました。城山三郎さんから教わった「生涯一足軽ライター」には変わりありません。謹んでご冥福をお祈り申し上げる次第です。