特大


業界フラッシュ

ホーム > 業界フラッシュ > 第三次石油危機に

第三次石油危機に 2008-05-30(第1007号)

平成20年3月の段ボール生産が11億2,391万3千m2、前年比5.0%の減少と発表された。同月の稼働日数は20日で、前年に比べ1日少ないため、これを調整した実質では前年比0.5%程度のマイナスと見られる。また、これを加えた20年第1四半期(1〜3月)の段ボール生産量は31億4,453万7千m2、前年同期比1.2%の減少となった。1〜3月の稼働日数は正月三ガ日を除いて59日で同じ。ただ、この1〜3月は平成19年10〜12月期の値上げに伴う仮需の消化もあって、実質はマイナス・ゼロ状態と見られる。

石油及び食糧価格の国際的な高騰を受けて、世界中が正に第三次石油危機の様相を呈し始めている。石油価格の上昇は、あらゆる製造業のコスト上昇に最も大きなインパクトを及ぼすが、そればかりではなく、例えば需要の抑制を通じ、関連する広範な製造業分野にマイナス影響を拡大させるとか、それを引き金とした物価上昇を通じて、世界中にインフレを拡散させることは、前2回の石油危機でも実証済みである。

ところが、今回はそればかりではなく、食糧需給の逼迫による食品価格との複合危機の様相を呈していることが困難を倍増させる結果となっている。これは、地球温暖化による水不足・干ばつ被害とか、新興経済圏諸国の需要増、更にバイオエネルギー政策などが投機資金を呼び込んで、実需ベースに上乗せした過大な価格高騰を招いていることなどで、短期的な解決を著しく困難にしているのが特徴となっている。

また、製紙産業にあっては、これは製紙だけの特殊事情でもあるが、米国の住宅着工数が直接、最も主要な製紙原料であるチップ需給・価格に影響をもたらすことが常識となっている。チップは住宅建築用製材の際に排出される。従って、経済が順調なら住宅建設数も堅調で、それだけチップの排出量が増えるが、住宅不況となると、途端に市場に出回るチップが涸渇し、一方の製紙工場のニーズは変わらないから、数量確保が困難で高騰という結果が繰り返されることになる。

いま、米国の住宅産業はサブプライム・バブル崩壊をまともに受けて、戦後最悪の危機と言われている。石油はエネルギー費で全体のコストの何%かだが、輸入チップは主原料そのものだから、製紙の製造コストそのものが根底から揺さぶられることになる。

ただ、段ボール原紙の場合は、チップと違って、主原料は国内資源である段ボール古紙がメインだから、その点で一部緩和される要素があるが、反面、チップが不足すれば古紙で代用というのは世界的な流れであるし、特に中国の厖大な需要を考えてみると、米国のバブル崩壊を機にした輸出需要の減少が、世界に今後どう輪を広げ、どんな変化を及ぼしてくるかが最も注目されるところだろう。更にまた、わが国の段ボール原紙生産者は、同時に極めて有力なチップ・パルプの需要家であって、経営上、チップ・パルプ・古紙とも全て「原料」以外の何ものでもないわけである。

目先的には、中国に於ける輸出向け商品に投入される段ボール量が伸び率を下げ、緩和されてくる可能性がある。特に、中国の段ボール需要は輸出包装用が主体で、国内の民生用の部分はそれほど大きくないとされるから、輸出向けが減少すると、それがストレートに反映される公算が強い。そういう意味で、中国の段ボール生産の伸び、古紙消費増が1つの転機を迎える可能性も指摘される。

ただし、それはあくまでもわずかな可能性の範囲で、四川大震災の復興の面だけでも民生用物流が大きく拡大されることが確実。日本の段ボール産業を揺るがす中国の影響力は、今後とも甚大なものとみられる。

平成20年1〜3月の平均単価は、前年同期比でシートが8.5%上昇、ケースは4.6%上昇、総平均単価6.0%上昇となった。