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段ボール再値上げ必至、大坪理事長が語る 2008-05-30(第1007号)

全段連(大坪清理事長)では5月20日、東京・飯田橋「ホテルグランドパレス」で平成20年度通常総会並びに理事会を開催、引きつづき午後5時から、正副理事長、理事、監事、並びに経済産業省関係者などが出席して、恒例の記者懇談会を開催した。懇談会の冒頭、大坪社長が開会挨拶の中で、当面の段ボール産業の課題として、(1)収益の再分配、特に労働分配率の改善、(2)物価大変動期に対応してタイムラグの解消が必要、(3)環境問題のCO2対策を段ボール産業としても真剣に取り組むべきと、この三点を特に指摘した。

当日の記者懇談会における大坪理事長の冒頭挨拶の要旨は次の通り。

『昨年9月に、段ボール業界は私が前々から申し上げております"地位向上"と申しますか、段ボール産業の価値を他産業の方々に認めてもらいたいという趣旨で、素材の価格以外に、われわれが必要とする加工賃、付加価値をぜひ認めて欲しいと需要業界にお願いしました。

すなわち「フルコスト」ということをお願いして、業界全体でも、一応、そのフルコストとは何ぞやということを議論して、フルコスト主義を徹底していただいたお陰で、段ボール業界はいわば有史以来のような加工賃価格の修正をすすめ、100%ではありませんけれども、それなりに結果が出てきたのではないかと思っております。
これは、ご列席の全段連理事会社の皆さんはじめ、業界各社のご努力の賜ものということで、ご同慶の至りだと思っております。その当時にも申し上げたんですが、付加価値を認めていただくのは、なにゆえかというと、われわれの事業は、収益を再分配できるようにならないと、本当の経済生産性が伸びないということです。

この再分配には四つの要素があります。

一つは資本の再分配、もう一つは労働の再分配、それから租税、つまり国があっての事業です。最後は、やはり社会貢献が出来るための再分配です。この四つを費用として考えて、それを組み入れた価格体系ということでお願いして、それが各社の努力で一応の成果が出たということですので、これはわれわれが需要業界に約束したことでありますから、これからやらなければならない一つは「再分配」であるということを忘れてはならないわけであります。

再分配の中で、一番重要なのは労働の再分配です。労働分配率を段ボール企業はぜひ見直して欲しいということです。もうすぐボーナスシーズンが来ますが、段ボール産業に従事している方々に、この夏の賞与は対前年比プラスアルファをぜひ出していただきたいと思います。そういう状態をぜひ作っていただきたい。それが結局は、消費につながるという風に思いますので、段ボール産業がせっかくこういうようにフルコスト主義で、ある程度の成果を出したわけでありますから、必要な再分配の中で一番重要な労働分配率を、この際、ぜひ上げていただきたいということです。

前から申し上げているんですが、段ボール産業の分配率は、他産業に比べると非常に低い。他産業並みとは行かなくても、各社で努力をしていただく、分配率を上げていただくことによって、家計にそれが回り、家計から消費につながって再び消費が増えるということで、段ボールの需要も増えるという意味です。ぜひこの労働分配をまず最初に考えていただきたい。それからあと、資本再分配、租税、社会貢献という風な問題に取り組んでいただきたいと考えております。

そういう「フルコスト」に取り組むことで、一旦、形は出来上がりましたけれども、昨年来、一昨年来のサブプライム問題に始まった資金の流れの変化で、世界のコモデティといいますか、商品の相場がどんどん上がっているという影響で、原油をはじめ、小麦あるいはコーンなども、コーンは1ブッシェル6$、小麦粉は10$を超えるところまで来ました。段ボールに関連する素材がどんどん上がっております。

段ボール原紙を作る古紙も、中国向けの輸出を中心に23円というところまで来ました。昨年9月に段ボール原紙が上がりましたが、その時の古紙価格は最高17円でした。つまり、段ボール製品も、それを一つの基準にして出来上がった価格体系になりましたが、それが22円〜23円ということになると、段ボール原紙メーカーは、いまそれを被った状況でオペレーションをしているという状況です。

あらゆる原料が同様の流れですから、われわれ段ボール業界としても、それを考えながら、更に新しい価格体系を考えざるを得ない状況が、そう遠くない時期に来るんではないかと思っておりますが、ただ、いままでの原料・原紙・段ボールという関係であってはならないと思っております。

それは、どういうことかといいますと、いままで、この業界は、言い替えるとタイムラグの業界でした。プライシング(価格設定)については、タイムラグをちょっと取る。古紙原料が上がり、油が上がる。それを製紙業界はしばらく被ります。そして、製紙業界が価格修正を打ち出すと、段ボール業界がそれをしばらく抱える。そして、それを価格転嫁するにも、期間が掛かるということで、タイムラグは相当生じていたというのがこの業界です。

しかし、今回、これぐらいの大きな価格変動となりますと、いままでのようにタイムラグを生じさせるということはもう不可能で、ここで考えなければならないのは、これも数年前から言っていることですが、いわゆる「三位一体」で活路を切り開いて行くことが必要ではないかと思います。

タイムラグの生じないような価格体系を確立するには、この時期にどうすればよいかを考えざるを得ない状況が来ているという風に思います。こういうことを改善するために、どういう風な状況を作り上げて行ったらよいかということを、いま一生懸命模索しているのが、われわれの業界の現状だろうと思います。
そういうタイムラグのない経済社会といいますか、それをわれわれの業界で作り上げて行くようにしたいと、私は考えております。

それから、われわれの業界としてどうしても考えなければならないのは、環境対策、CO2への取り組みです。いま具体的に段ボール業界が発生させているCO2は、原紙を除いて、段ボールだけでm2当たり61.5gというのが発生量ですが、これに原紙部門も足すと、1平米あたり400g程度のCO2発生量になります。ですから、私は年間139億m2で100万t近いCO2を発生させていると理解しております。

以上、冒頭に申し上げた再分配、中でも特に労働分配率の問題、それからタイムラグの問題と、更に環境問題と、この三つの問題にわれわれ段ボール業界がどう取り組んで行くかが、これからの最も重要な課題だと考えている次第です』。