特大


業界フラッシュ

ホーム > 業界フラッシュ > 難かしい時代がまだまだ続く

難かしい時代がまだまだ続く 2008-06-15(第1008号)

▼九州のイカ釣り漁船が一斉休漁する話の中で小売店頭の漁価のコスト構成を聞いて驚いた。出漁するための装置、つまり漁船に高額の費用が掛かる。全ての設備と同じで、減価償却やメンテナンス費用、それに近年になって莫大なのがエンジンを動かす重油の値上がりということである。

▼それでも、なぜエネルギー費が上がったら、魚を獲ってきても赤字なのかよく分からない。一番驚いたのは、そのことだったが、その説明では、市場における漁価のうち漁船の取り分は3割しかなく、残る7割は流通経費ということであった。

▼魚を獲るのは海の上だから命がけ。命がけで、しかも大きなコストを掛けて獲ってきても赤字だというのでは、最近の各メディアの報道の通り、世界各国の漁船が出漁を止めたくなるのも当然だろうと、今更のように思ったわけである。

▼市場経済というのは、そういう非情さがある。7割を取る流通は流通でそれなりの理由があるのだろうから、良いとか悪いとかの問題ではないのかも知れない。ただ、そういう状況が続くと、日本人のような魚好きの民族にとって一番困る「魚が食べられない時代」が来るのかも知れない。

▼販売価格の3割が取り分というのは、実は段ボールも同じである。原材料の原紙代が全体の65%〜70%を占めているから見掛け上の売上高10億の段ボール企業は、実質では3割の加工賃収入三億円企業ということになる。

▼ただ、漁船と違って陸上の安全な工場作業で売る物を作るわけだから、何よりも安心だし、それに価格も、自分の手には届かぬ市場価格で決められてしまうのではなく、自分自身がお客と交渉して決めるわけだから、漁船と比べたらどれほど有利か知れない。

▼その自分自身で新しい値段を決めなければならない場面が、また100日後にやってくる。難しい時代がまだまだ続く。