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需要縮小の渦中にも安定感 2008-12-25(第1021号)

平成20年10月度の段ボール生産が12億5,454万m2、前年同月比2.4%の減少と発表された。これを合わせた平成20年1〜10月の段ボール生産量は112億9,895万8千m2、前年比1.4%の減少となっている。11月については、前年11月の稼働日数が21日だったのに対して、今年は18日と3日少ないため、このカレンダー効果だけでも15%程度のマイナスが見込まれる。従って、平成20年は、中国・東南アへの工場移転が本格化した平成13年以来7年振りのマイナスが避けられない状況となっている。

平成20年の段ボール生産を地域別に見ると、1〜10月の合計でプラスとなったのは北海道の1.5%増、及び四国の1.8%増のみで、このほか九州地区が前年横ばいとなっているほかは全てマイナス。そして、例年だと地方はマイナスでも製造業の集積している関東・中部・近畿はプラスということが多かったものが、今年は関東が1.1%減、中部2.9%減、近畿3.1%減と大都市圏の3地区ともマイナスで、しかも、近畿地区のマイナス幅が再び拡大傾向を示しているのが注目される。

全体の需要状況が不振な中にあって、北海道及び東北地区が全般に堅調な推移だが、これにはシート出荷の堅調さが基盤となっている。例えば、北海道は10月のシート出荷が90.9と仮需反動もあってかなり落ち込んだものの、2月から6月にかけてはシーズン需要が好調で前年比6%以上の伸び、特に4月には22%増と大幅な伸びで注目されており、累計では0.2%増とプラスを確保する結果となっている。
また、東北は1〜10月の累計シート出荷が1.7%増。前記の北海道と同様、8月、10月が落ち込んだが、春の需要シーズンには堅調な推移となっており、その分、累計出荷でプラスが残る結果となっている。

これに対して、関東のシート出荷は1〜10月が3.0%減、中部が3.6%減近畿は7.6%減と全国でも最も大幅なマイナスとなっており、これには近畿地区全体としての不調のほかに、ボックス業界の体力低下がこの数字に示されている印象のようである。
いずれにしても、平成20年は需要数量の上では平成13年以来の不振ということだが、それを大きくカバーしたのが段ボールシート・ケースの値上げだったことは言うまでもないだろう。

10月には、段ボール原紙の10月1日出荷分からキロ10円アップ全面浸透を受けて、段ボールシート・ケースとも一番最初の段階の値上がり状況を示している。すなわち、出荷シートの平均単価は9月の54円04銭から10月には56円68銭と、2円64銭上がった。ほぼ5%近い出荷平均単価の上昇となっている。

更に、段ボールケースについては9月の73円14銭から10月は74円03銭と、89銭の上昇。この数値がまず最初の段ボール値上がり状況を示す指標で、このあと年内に向けて平均単価の上積み推移となってくることになる。

9月15日の米大手証券リーマン・ブラザーズ社の倒産以来、確かに大きな津波のように不況の波が全世界に広がっりつつあるが、ちょうどその最中に日本の段ボール業界はシート・ケースの値上げに全力投球、お陰で目下のところ安定した業界情勢となっている。

従って、もし今次の段ボール価格修正を押し進めなかったら、需要量の縮小とのダブルパンチで大変な事態になっていただろうということが一つと、そして、もう一つは、今回の価格修正の進み方の中に、これからの原燃料安時代への対応の在り方のヒントが明示されているということであって、いずれにせよ、段ボール産業全体として最近10年間に進められてきた構造改善の成果が、正にこれから端的に示されることになるとみられている。

需要部門別には、青果物および通販・宅配、及び「包装用以外」のほかはマイナス。青果物は9月が16.8%増、10月8.3%増となって、9月〜10月の仮需買いが一目瞭然の形になっている。仮需があれば、その反動減が次に来るわけで、平成21年春にかけて青果物関係の後退が当然予想されることになる。

世界大不況の影響が段ボール産業にも大きな影を落とすことになるだろう。自動車・電器などすそ野の広い輸出産業が、円高も加わって大打撃を受けており、更に一層の需要縮小が避けがたい情勢。

ただ、段ボールの場合は景気に左右されにくい食料品・飲料関係が全需要の56%もの過半を占めている関係で、自動車も含む機械類のような、極大から極小のように需要が極端に振れることはない。それが段ボールの最大の強みだろう。