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シート値上げ全面浸透 2006-06-15(第957号)

原紙代上昇分にほぼ見合う水準で
段ボール原紙価格の値上がりを受けて、4月以来、段ボール各社がボックスメーカーとの間で交渉を進めてきた段ボールシート価格の値上げ交渉が、5月末から6月上旬にかけてほぼ一巡、個々の取引関係のこれまでの経緯等によって多少の凹凸は見られるものの、大勢として今回は全面浸透の形で終結に至った。シート値上げを押し切られたボックスメーカーは、近年、箱販売価格とシート購入価格との値差が縮小の一方で来ているため、今後は、何としても今回のシート上昇分を箱価格に転嫁せざるを得ない状況に至っている。

段ボール原紙のキロ当たり5円の値上がりは、段ボールシート原価に換算して平米当たり3円50銭。今回の段ボール値上げ発表時点では原紙5円に対してシートも5円というような表現が多かったが、フタを開けると、やはり原価水準を基点にした「平米当たり3円〜4円」の範囲内で、シートメーカーとボックスメーカーとの妥協がまとまった状況のようである。
もっとも、個々の取引関係は、永年の相互交流の歴史を包み込み、前回の貸し借りや、信義の厚薄さえも反映されるものだから、そういう意味では、上下1円の範囲内に全ておさまるはずはないとみられる。
また、段ボールから遡った段ボール原紙では、これも寡占化時代だからという事情だけで、右から左に丸飲みされるはずはないし、互いに一歩も譲らぬ交渉の挙げ句、遂に決裂して、買わない、売らないのような事態に陥った例がかなりあったと伝えられる。当事者の入院騒ぎや、雲隠れ騒動なども聞こえたが、その結果どうなったかというと、売らないはずのメーカーが粛々と納品を続け、伝票は新値で送りつづけているという公正取引のルールのようであるし、これはとりわけ目立った事例としても、段ボール原紙の値上げ妥結が、それぞれ条件付きというか、段ボール製品値上げ特に段ボールケース価格の値上がりを担保にした合意の"形作り"というケースも多かったようである。

問題の段ボール箱の値上げ交渉は、俗に100日かかると言われる交渉日取りとは関係なく、段ボール側の様子見の態度が目立っているようである。
というのも、ユーザー側の環境の悪さが著しいためいわば「値上げを言い出せる状況ではない」と身を引いた姿勢が多い様子で、その結果、製造コストは既に上がった状態にもかかわらず、値上げお願いの挨拶を越えた詰めの交渉にはなかなか入って行けない状況がつづいている。
例えば、青果物関係にしても、卸売市況や気象がらみの作柄などを見ると、段ボール業界の方がまだ恵まれていると感じられるような状態。また、極めて高額な段ボール箱を使用してくれる電器関係業界も、市場価格は製造メーカーの手の届かぬところで決定される状況になっていて、極めて短時日の間にあらゆる製品価格が下落する。それを目の前にして、なかなか値上げは言い出せないのも当然だし、それは、激甚なとしか言い様のない生き残り競争を展開する飲料、各種加工食品にも共通する"ユーザー事情"となっている。

ただ、いつまでも手をつかねて待つだけで済む問題ではない。コスト吸収策としての自社内のコストダウンは過去数年の間にすべてやり尽くした状態。だから最終的には価格転嫁以外に生き残る道はないわけで、業界全体の流れを見ながら少し時間はかかっても何とかユーザー個々の理解を取り付けて行くというのが、現在の段ボール業界の全般的な流れとなっているようである。

それと、原燃料高による段ボール原紙値上げが先行して4月から実施に移された一方、洋紙関係は需給の不均衡、メーカー間の過当競争が響いてかなり遅れた状況。同じ紙で、なぜ段ボールだけがという問いに対して、スッキリ答えられる環境も必要なのだろうか。

※(本紙注)段ボールケースの値上げ交渉も全く進展がないわけではない。業績の良し悪しも当然反映される状況であるし、ユーザー先が段ボール会社のコスト実態調べに乗り出すなど、前進的な基調にあることに変わりはなく、また最近は製品寿命サイクルが短縮化しているため、新デザインのケースにコスト上昇分を個々に反映させるなどを通じて、緩やかなペースでの浸透が進んでゆくと予想されている。