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1〜2月は底ばい状態、在庫調整が急速進行中 2009-03-30(第1027号)

平成21年1月の段ボール生産が8億5,428万6千m2、前年比9.7%の減少と発表された。つづく2月の段ボール生産(速報)は9億2,032万6千m2、前年比14.4%の減少と発表された。但し、ここで注釈が必要なのは、前年2月がウルウ年で29日まであったこと。つまり、土日休日9日を除く実働日数が20日だったのに対して、今年2月は同じ土日休日9日を除いて実働19日と、前年比で1日少ない。この1日の差が生産量で4〜5%ほどに見積もられるから、風速としは1月並みの底ばい状態と判断される。

仮に、リーマン・ブラザーズ以来の世界不況がなくとも、段ボール業界の今年1〜3月はかなり起伏に富む経過だったと見られる。というのも、前年10月1日からの段ボール原紙のキロ10円アップを機に、段ボール原紙および段ボール製品の万般にわたって仮需要が膨らみ、この結果、平成21年1〜3月にはその仮需反動の在庫調整で、相当量の需要減少が予想された。

段ボール原紙の仮需量を統計数字から探ろうとする試みは、いつの場合も成功した試しがない。現実に、資金力の豊富な段ボールメーカーでは、値上がり必至となれば、あとで必ず利益の上がる超短期投資だから月間消費量の3カ月分ぐらいを倉庫に積み込むのは常識の事柄で、昨年も、秋口以降、青果物関連の数値が異様にはね上がったことから、原紙ばかりではなく、製品についても需要の前倒しが発生していたことが裏付けられる状況であった。

いいかえると、10〜12月の最盛需要期に発生した仮需で蓄積された原紙および製品の在庫調整が、1〜3月の年間最閑散期に進められるというサイクルだから、原紙メーカー自体が昨年10月の値上げ実施時点で既に今年1〜3月期の減産についてのプランニングを進めていたと推測される。

その後の経過は、どんな予想も超えるものだった。日本の段ボール産業というごく狭い領域に限ってみても、日本の自動車産業、電機産業、部品産業といった段ボールの最有力需要産業までもがこれほどの打撃を受けるとは到底信じられない事態であった。

また、08年の原油・鉱物資源・穀物などあらゆる輸入資源の高騰が、10月半ばを境に逆転して5割、6割といった価格下落に転じ、同時に段ボール原紙の主原料の古紙も、中国の買いによる高騰から一転、極端な表現では、3年かかって上昇した分を半年ほどで戻すような様変わりとなって、これにどう対応すべきなのか、判断が付きかねる状態がいまなお続いてきている。

そういう中で、大きく製紙産業というワクの内側を見ると、製紙の中でも最上級品種である白い紙、印刷用紙が未曾有の事態になっている。最近2年間に最新鋭抄紙機4台が同時に稼働開始したという事情で、以前から相当以上に警戒されていたことではあったが、折柄の世界大不況と重なって、供給過剰対策として唱えられてきた海外市場開拓の希望も薄れ、まず非効率設備廃棄に向けての努力が繰り広げられる結果となった。

そのような事情から、製紙の中でも「洋紙」業界には製品価格を引き下げる発想は何もない。引き当ての原資がないわけである。そこで、製紙産業の中で唯一、段ボールが原燃料安をまともに反映する形で値下げを行う流れとなった。要は、製紙の範疇にありながら、段ボールはいわば独自文化の独立国のようなものだということがあるかも知れない。

製紙の基本はパルプ、従ってチップ原料が根幹にあって、そのために大規模なチップ輸送船団を組織し、海外林地での植林が製紙産業の基本のベースとなっている。その点、段ボール産業は国内で発生する古紙が、植林やチップ船団の代わりの基盤だし、近年は中国経済の発展に伴い、中国からの輸出商品の包材としてやってくる段ボールも、潤沢な古紙供給源となっている。

ただ、海外植林やチップ輸送船団が不要な代わりに、古紙には製造原価がないから価格的に極めて不安定。言い替えると、段ボール産業自体が、まるで「流砂」の上にそびえ立つ城、「砂上の楼閣」のような趣があって、この要因が原紙も、段ボール製品も含めた産業全体を悩ませつづけ、そして、当然の成り行きとして段ボールなしでは製品輸送が出来ないユーザー産業を困惑させ続けている。

「不安定の中の安定」こそが、ユーザーにとっても、永遠の課題ということだろうか。