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第1四半期、35年振り2ケタ減 2009-06-15(第1032号)

平成21年3月の段ボール生産が10億1,849万4千m2、前年比9.4%の減少と発表された。これを加えた第1四半期(1〜3月)の生産量は27億9,472万8千m2、前年同期比11.1%減となった。四半期別生産の2ケタ減少は、第1次石油危機直後の昭和49年(1974年)以来35年振りの出来事。「100年に一度」の経済危機に対する世界各国の迅速な経済対策発動が成果を挙げて金融不安が解消に向かい、景気の底入れも近づいてきた。上記の段ボール生産の2ケタ減少は1四半期だけで済みそうである。

最近1〜2カ月ほどで、世界の景況感が大きく旋回を始めている。リーマン・ブラザーズ以来の金融パニックで大損失を蒙った投資ファンドや投機資金の出し手が、損失回復に動き始め、株式市場、原油、穀物などパニック以前の投機銘柄が再び買われる流れになってきている。

そうした旧に復する動きの中で、段ボール関連で最も注目されるのが中国の製紙産業の動向。別項、日本紙類輸出組合資料にもある通り、中国の紙・板紙生産量が3月に745万8千tと、2007年12月以来の最高生産記録を更新する勢いとなり、つれて同月の古紙輸入量が前年比4.5%増、うち日本からの輸出が43万5千t、前年比60%増となっていて、この流れで日本からの古紙輸出が、月間50万tとか60万tとなると、前回の古紙高騰が月間30万tベースぐらいの輸出で生じたものだけに、いわば「警戒水域」に入ってきた印象も否めない。

さる4月1日からの段ボール原紙キロ5円値下げが発表された2月末の時点では、ユーザー間には原油及び特に段ボール古紙価格の下落状況からみて、キロ5円では少ない、まだ値下げの余地があるだろうとの声が強かったといわれる。それからまだ3カ月あまりしか経っていないが、重油価格がすでに底値から大きく上昇し、更に中国向け輸出で日本国内の段古紙の余剰在庫分が失われると、古紙独得の価格の動き方として一昨年、昨年のような市場環境にいつ変貌するか分からない、といった感触が生まれてきている。

「歴史が足早に過ぎて行く」と言えば文学的に過ぎるかも知れないが、この1〜3月の前年比2ケタマイナスの裏側で、世界的な投機資金の活動再開なども背景として「損失を急いで取り戻す動き」が加速されつつあると感じられるし、当面の段ボール関連業界においても、わずか3カ月前には「現状の段ボール価格水準は4月〜9月限り。10月以降の次の半期は再協議」というように漠然と考えられてきたものが、6月現在で、既に情勢変化に応じた現状認識の急旋回が始まった状況とみられている。

段ボール原紙業界は、いうなら「護送船団」方式の世界。基盤が回収古紙だから、生産性やコスト競争力の改善向上に限界があり、キロ何円かのコスト差を生み出すのが至難の技である。だから、上位企業が耐えられる程度のコスト条件で下位は赤字ということが多いし、過去ずっと、原紙はどこも赤字にならない価格が一番長続きする価格だし、安定の基盤ということでもあった。

そして、原紙の安定こそが段ボール加工業界の安定に即つながる。目下の業界情勢がその見本だが、上述のように、再び足もとの原燃料コスト情勢が揺らぎを見せ始めている。変化の速度が速いことに、特に警戒が必要となっている。