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大坪理事長、不況下でも安定堅持と語る 2009-12-15(第1044号)

全国段ボール工業組合連合会(大坪清理事長)では12月3日午後5時から東京・飯田橋「ホテル・グランドパレス」で年末恒例の理事会終了後の記者懇談会を開催した。出席者は全段連正副理事長、理事、委員会委員長・副委員長、紙加労協役員、及び報道関係の計40名ほど。開会冒頭の挨拶で、大坪理事長が最近の不況下にもかかわらず、段ボール業界が非常に落ち着いた動きに終始している点について、過去数年来の業界全体の"意識改革"の成果であるとして、要旨次のように述べた。

『早いもので、2009年もあと30日足らずで終わろうとしております。この一年、業界紙、並びにわが段ボール業界の動きについて色々とご指導いただきました記者の皆さまに、この場を借りて御礼を申し上げたいと思います。

日本全体が非常に表現しにくい状況になっているんではないかと思っておりますが、今年の夏の政権交代以来、日本の動きというのが大きく変わったという事情ですが、実は昨年9月15日に起こったリーマン・ショックのあと、世界経済も日本経済も、本当の意味でシュリンクしてしまった状況ですけれども、私は日本経済は今年2月が底で、それなりにリバウンドしていると、ずっと思っておりました。けれども、8月末の政権交代によって、またそのリバウンドの方向がどちらに向かって行くのかというのが、ちょっと見極めにくい状況に変わったと思っております。そのような中で、私どもの段ボール業界は、比較的外部の荒波にさらされることなく、それなりに業界全体がじっと我慢して、静かに対応しているというのが現状ではないかと思っているわけであります。

実は昨日、日銀大阪支店長がどうしても話を聞かしてくれということで、まあ日銀の短観を色々判断するに当たって、やはり段ボール業界の動きも知っておきたいということで訪ねてこられたわけですが、その日銀大阪支店長の最初の表現が「私は比較的、製紙関係には詳しいのですが、洋紙業界と板紙・段ボール業界と、どうしてこうも違うんですか。色んな資料を調べてみたところ、板紙・段ボール業界は比較的落ち着いた動きで、この状況をうまくコントロールしておられるけれども、洋紙の方はいま大変ですね」という話があったのです。

そこで私が申し上げたのは、この数年掛かって、板紙・段ボール業界は古紙業界も含めて三者一体、産業界一体になって、それなりの意識改革を各経営者が本当に真剣に考えた成果が、いまのこの不況にもかかわらず、それなりの結果として出ているのが一番です。従って、どう違うんですかといわれても、実態は各経営者の意識改革が出来たということに尽きるんじゃないでしょうかと申し上げたところ、「なるほど、そういうことですね」、「経営者の経営の在り方というのを本当の意味で考え直す時期が来ているんじゃないでしょうか」と、逆に日銀支店長からそういう言葉をいただいたわけでありますけれども、それほど、この業界に対しても、ご評価をいただけるようになってきたと思っております。

経済全体が、今後、どういう方向になるかについては、すぐに好況になるとは思えませんし、政府がデフレ宣言をしたりしているわけでありまして、あとは補正予算がどうなるかにも関連してきますが、われわれの業界は、そういう政府の動きとは別に、やはり物流を真剣に考えているということですから、物流がある限り、われわれの業界はそれなりの対応ができるのではないでしょうか。その対応をするに当たって、各経営者のこの数年間の意識改革が、本当の意味で、その動きに対応できるような状態を更に続けて行くというのが非常に重要ではないかと思っております。

先週から始まりましたNHKの「坂の上の雲」で、秋山兄弟と正岡子規が結局日露戦争その他の色んな経過を経て求めたのは何かということですが、雲の上に何があるのか、つまり雲の上の「青空」を求めて「坂の上の雲」というのを題名としたわけであります。

秋山兄弟は、お兄さんはわずか八千の騎馬兵団を率いて、十万人のロシア軍と戦って勝ったわけですね。なんで勝ったかというと、その状況判断が非常によかった。あの寒いところで、馬に乗って戦うというのは馬が滑ってしまうということで、馬をこの際は捨てて人間自らが自分で立って戦うことによって相手の騎馬兵はやっつけられるんじゃないかという戦略が成功したわけです。

弟さんは、東郷元帥率いる日本艦隊がバルチック艦隊に対してT字型の戦略をとることによって、日本海海戦で勝ったわけですね。だから、そういうすばらしい戦略、戦術で秋山兄弟が戦ったということです。

それから正岡子規です。体が弱かった子規は、それなりの現実を色々分析しながら秋山兄弟にアドバイスし、また自分は俳人として俳句を作っていったわけですけれども、俳句を作るのに、俳句界で初めて柿を季語に取り上げました。それまで、俳句で出てくるのは例えば梅の花とか萩とかはあっても、柿は無かったのだそうです。それを、現実に一番即した果物は柿であるとして、「柿食えば鐘がなるなり法隆寺」という有名な句を作ったわけす。

要するに、これらを総合して、現実を分析する能力がこの三人にあったということです。私が冒頭に申し上げました、板紙・段ボール・古紙業界、この三位一体の改革というのは、考えてみれば「坂の上の雲」の題材によく似ているなと思っておりまして、各団体がそれなりに現実を良く分析して、それなりに戦略・戦術を立てながら三位一体でこのマーケットを維持し続けるだろうと思っておりますので、政府のデフレ宣言等でこれからどうなるか分かりませんけれども、そういう経済情勢になっても、われわれの業界がお互いに戦略、戦術を立てながら、坂の上にかかった雲の向こうにある青空を求め、来年に向かって進んで行くということであります。

たまたま今年は、段ボール業界が発足して100年の時期であります。この100年が終わりつつあるわけですが、先ほどの理事会でも、われわれの業界は次の101年、102年に向け、雲の上にある青空を求めて更に邁進して行くことをお互いに誓い合って今年を終わろう、来年に向かって進もうという風に、お互いに分かり合って、今日この場におりますので、ご出席の記者諸君も、段ボール業界がそういう方向で堅実な路線を進んで行くんだということをご理解いただきたいと思います。

最後になりますけれども、本日ご出席の皆さま方の更なるご健勝を祈念いたしまして、私のご挨拶にかえさせていただきます』。