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関連三団体賀詞交歓会で板紙部会大坪部会長挨拶 2010-01-15(第1046号)

日本製紙連合会板紙部会、全国段ボール工業組合連合会、日本板紙代理店会連合会の段ボール関連三団体主催による平成22年「板紙・段ボール関連三団体新春賀詞交歓会」が1月8日正午から東京・飯田橋の「ホテル・グランドパレス」で開催された。出席者は300人を越す盛況。今年の当番幹事が日本製紙連合会板紙部会となっているため、同部会長の大坪清全段連理事長(レンゴー社長)が主催側を代表して冒頭挨拶、全段連斉藤英男副理事長(トーモク社長)が乾杯挨拶と、"全段連色"の濃いレセプションであった。

関連三団体賀詞交歓会冒頭の主催・日本製紙連合会板紙部会大坪部会長(全段連理事長、レンゴー社長)の挨拶要旨は次の通り。

『皆様、明けましておめでとうございます。ただいま、私のタイトルが日本製紙連合会板紙部会長と紹介されましたが、後ほど乾杯の音頭で斉藤さん((株)トーモク斉藤英男社長)に代理でやっていただくことになっておりますが、私の本職はそちらの方ですので、私の年頭の主題はそちらの方になるかも知れません。
いずれにしましても、2010年、平成22年を皆様方は健やかにお迎えになられたことと、心からお慶び申し上げたいと思います。

さて本日、1月8日というのは、私にとっては特別な日でありますし、どなたにとっても特別な日ではないかと思います。というのは1989年1月7日に昭和天皇が崩御されまして、1月8日、つまり本日が平成元年の元旦であります。従って、平成22年の本当の元旦というのは本日、1月8日であるわけです。という風にお考えいただいた方がいいんではないかと考えておりまして、わたしは、この平成という年号が続いている限りは、この1月8日を元日にして、休日にしたらいいんじゃないかなと待望しているわけでありますけれども、いまの民主党政権は一体どうするかなと思っております。

昨年の今ごろは、リーマン・ショックで、皆様も、非常にショックを感じて、ご出席されたわけでありますが、今年、こうして皆さまのお顔を拝見していますと、比較的穏やかな、平和なお顔をされておりますので、私もやや落ち着いているわけでありますけれど、ただ、今年のいまの現状というのも、いわゆる政権交代ショックと言いますか、日本経済がまだまだデフレ不況という中で新年を迎えたわけですから、これからの一年間も、私たち、非常に慎重に行動しなければならないと思ったりもしているわけですが、ただ、まあ私が初めてこの席に立たせていただいたのが、2001年であります。2002年のお正月には、もう本当に板紙・段ボール業界を大改革しようじゃないかということで、本当の意味の板紙・段ボール業界の改革、そして地位向上というものを進めて、お互いにこの業界を良くして行こうと皆様に申し上げたわけですが、その当時はまだまだご理解いただけなくて、大変苦労した記憶があるわけです。

お陰様で、その後、そういう考え方を良くご理解いただいて、例えば限界利益というものを忘れて、フルコストということを考えていただく方がいいですよ、板紙と段ボール業界とそれから古紙業界と三位一体でこの業界を更に良くしてゆこうじゃないかということを申し上げて、だんだんと皆様方にご理解をいただいて、いまや、この板紙業界及び段ボール業界というのが、日本の経済情勢に合った動きができるようになりつつあるということです。

私が以前から申し上げておりますように「百里を行く者は九十九里をもって半ばとする」ということですので、勿論、まだまだ道半ばではありますが、本当の意味での業界を安定させて行きたいなという風に思っているわけであります。

その後、私は三年前、いわゆる環境というのが非常に重要になって来るので、「CO2問題」を真剣に考えなさいと申し上げたんですが、最初にそのことを申し上げたときには、それは一体なんだという方々がかなり多かったのですが、そういう環境対策についてもようやく板紙・段ボール業界が真剣に取り組めるような情勢になってきたと思っております。

それらを含めて、私は、この業界を安定させるためには何が問題か、これも何回も申し上げておりますけれども、経済用語で言いますと「合成の誤謬」を起こしてはいかんということがその一つです。「やあ、あの人がこんなことをやった。ようし、負けずに同じことをやろう」と、誤謬を起こしてはいかんということをまず申し上げました。

それから、もう一つは、「囚人のジレンマ」です。以前、この業界は「あそこはどんなことをやっているのか」と、自分の本来の仕事を忘れて、他人のやっていることばかりを気にするといった業界だったわけでありますが、今でも少しそういうことが残っているやの紙の関係があるかも知れませんが、そちらは私は余りよく知りませんので、板紙・段ボール業界においては「囚人のジレンマ」というのを全く無くして行くということで、お互いに信用し合ってやって行く業界でありたいと願っています。「信用する者」と書いて一字で表すと何になるかというと、「儲かる」になります。私もテレビ番組でこれを見たのですが(笑い)、儲かるという字は信ずる者ということでございます。お互いに、このことを分かって、今年一年間を頑張っていただきたいなと、思っているわけでありますけれども、業界全体の数字をちょっと申し上げますと、2001年当時の生産量は段ボール原紙が940万tぐらい、段ボールが133億m2ぐらいということでした。

2009年、こんどは予想の数字でありますけれども、段ボール原紙の生産量は900万tを切るかというところで、右肩あがりではなしに、フラットか、やや下がっている状態です。一方の段ボールの生産量は125億m2です。そして、2010年の見通しとしては128億m2強ということであります。2001年の133億m2から、段ボールの場合は139億m2まで行きましたけれども、結果として128億m2、すなわち130億m2を切るというところになっておりますので、産業全体としては、いわゆる完全な「成熟産業」になっているというのが実態です。

では、世界を見たらどうかといいますと、2001年の段ボール原紙の生産量は一億t弱でした。それが、2009年には一億三千万tです。日本が900万tを切るという段階で、世界は30%伸びていたのです。日本はむしろ減っている。段ボールもそうです。2001年の世界の段ボールの総生産というのは1300億m2ぐらいでした。それが、いま1800億m2ぐらいまで伸びているということでありまして、この1800億m2という数量(面積)は、地球の表面積の3分の1ぐらいなのです。世界全体の生産量は、一年間にそれほどの段ボールシートを作るぐらいの状態になっておりますが、日本の段ボールの状態というのは、残念ながら130億m2を切る水準で完全に成熟したエコノミーであります。

こんな状態のところへ、いま輸入紙だと言って頑張っておられる方もいらっしゃるかもしれませんが、流通も含めて、こういう成熟したところへ輸入紙を持ち込めるはずがない。それを敢えてやろうとしているのは、経済を、本当の基本のところが分かっておられない方がやっておられるのではないか。まあ、マーケットはフリーですから、それはそれで結構だとは思いますけれども、本当の意味のマクロ・エコノミーを分かっておられる方は、こういう成熟した経済情勢の中で敢えて輸入紙を取り上げる必要は全く無い。まあ、エンドユーザーが仮にそういうことがあったとしても、われわれの産業として、どう対応するかということをよくよくご理解いただきたいということであります。

もう一つは、いま完全に政権交代が起こって、日本全体の経済というのがデフレ不況であります。不況でデフレになっているんじゃなしに、デフレで不況になっているのです。一体、このデフレというのは何か、これも色んなところでお話しているんですが、われわれの資源と資本とわれわれの労働を使って生み出した産物、つまり財貨とサービスですね。この価値がどんどん下がって行く状態をデフレと言っております。われわれがせっかく作った付加価値をどんどん減じている。それは誰が減じているかというと、一つは需要の減退です。同時に、作った生産者が自らその価値を下げているということがあって、そういうことが無くなることが一番良いわけであります。

こういう経済の状態について、去年も私はここで申し上げましたけれども、いま一番優れた経済学者はサミュエルソンだと申し上げました。サミュエルソンは残念ながら昨年末に亡くなられましたけれども、昨年ここでご紹介したように、彼は「人間には二つの目がある。右目で供給を見、左目で需要を見、そしてバランスして行く。それが経済の大原則である」。こういうことを言ったわけであります。

それから、このサミュエルソンが薫陶を受けたのがシュンペーターとケインズであります。不況の時に考えるべき経済学者というのは一にシュンペーター、二にケインズですが、シュンペーターは何を言ったかといいますと、「不況こそ経済発展の源である」というのを言っているわけでありまして、何が源かというと、まずイノベーション、それと創造的破壊です。クリエイティブ・デストラクションと言っているわけですが、イノベーションを起こして、新陳代謝して経済を活性化する。ですから、いま、われわれがやらなければならないのは「イノベーション」、つまり技術開発をこの業種で考えて行くというのが一つであります。

それから、もう一人、ケインズは何を言っているかといいますと、これはケインズの有効需要の原則というのがあって、その中で彼が言っているのは、デフレ脱却は先ほど言いましたように、自分の作り出した産物の価値「バリュー」を大事にすること、「マネー・フォア・バリュー」、これが非常に重要な言葉です。バリューに対するマネー、これを真剣に考えてゆく。これがデフレ脱却の原点であるということでありますので、今日ご出席の段ボール原紙、段ボールサイド、流通の方々も含めて「マネー・フォア・バリュー」、自分の生みだした付加価値のバリューに対するマネーというものを十分計算されて対応することが、デフレ脱却の一番であると言っているわけであります。

ちょっと私なりのいつもの経済学をご披露申し上げましたが、私はそういうことをやっていただくことによって、業界が更に安定して行くというように思いますし、今年は、評論家が言っているよりもやや上方修正して良いんじゃないか、アメリカの経済も比較的、日本より早く復活の道に入っておりますし、中国は5月1日から上海万博が半年間開かれるわけで、これの経済効果はもの凄いものがあります。また、6月には南アフリカでワールドサッカーがあります。ということで、色んなイベントがあります。

これらが経済効果を生み出すことは間違いありませんので、そういうことも含めて、あまり皆様が過度にシュリンクしたり、縮こまらずに、いま申し上げたようなことを考えながら、但し、段ボールの今年の需要予測は128億m2ということですので、その数字を念頭に置きながら、その数字よりちょっと上目に自分の会社が行ったら、ああ良かったなという風に、落ち着いてお考えいただくことを祈願いたしますと同時に、皆様方の今年一年間のご奮闘をご期待申し上げて、私のご挨拶にかえさせていただきます』。