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5月度の実績から 2006-07-30(第960号)

段ボールの先行指標性が復活、"揃い踏み"とその背景

平成18年5月の段ボール生産(確報)が、別表の通り11億1,278万5千平米、前年比3.5%の増加と発表された。既報の通り、「3%」以上の生産拡大は平成16年8月以来の2年振りで、それ以前となると更に4年溯る平成12年になるから、一見何でもないようでも、非常な大記録に違いない。それだけ不振の時代が続いてきたが、日本経済のデフレ脱却から、漸く新しい展望が開けてきた意味である。続く6月の生産速報が11億9,181万4千平米、前年比0.3%増と発表された。「3%時代」への一進一退である。

5月の3%伸長のあと、6月に伸び悩んだのは、やはり天候異変の影響が最も大きかったと思われる。しかし、この6月速報値を加えた平成18年上期(1〜6月)の段ボール生産量67億1,136万9千平米は前年比1.1%増で、もちろん上期ベースでは過去最高の記録となっている。前号にも述べたが、5月の実績数値の中で最も注目されたのが、各地域の"揃い踏み"が始まってきたこと。例えば、地域別の生産では関東・中部・近畿の3大都市圏が3%台の伸びに並んだが、これは記憶される限りの近年には、ほとんど無かった現象である。

長らく業界全般が不振の中でも、関西が目立って不振の一方、関東はほとんどマイナス知らずで"ひとり勝ち"の状況が多かった。それが、昨年から近畿が急浮上を始め、今年に入って中部が加わって、5月に横一線に並んだ形である。
また、こういう揃い踏みが5月には需要部門別にも現れた。電氣器具機械器具が3.3%、薬品洗剤化粧品が3.8%、加工食品が3.1%、青果物が3.4%、繊維製品が3.4%、陶磁器ガラス雑貨が2.8%、包装用以外が3.3%である。3%組でないのは「その他の食品」の9.2%と通販宅配の1.2%、それと「その他」の7.2%だけである。

別に申し合わせたわけではないはずだが、多様性に富んだ段ボール需要各項目が、このように揃い踏みを始めたことには、やはり何らかの理由がなければならない。ということは、段ボール需要の発生の仕方が、いわば"ワンパターン"の自然発生的な拡大に向かっているからだと思われるわけである。
そのあたりは、何となくの、いわばムードではないだろうか。長い不況の後でいまや着実に景気拡大に向かい始めたといわれて、何となくほっとして、消費が拡大に向かう一番最初の現象が、本来が景気の先行指標の段ボール統計にいち早く現れたと判断されるわけである。

振り返ってみると、段ボールが“景気先行型”の素材だということも、すっかり忘れ去られてしまっている。ごく単純な事柄だが、物を生産する場合は、常に需要予測に基づいて行われるわけだが、その製品が生産ラインから続々出現するときには、それを包装する段ボールは事前に用意されていなければならない。
言い替えると、物への需要が動き出す前に段ボールへの需要が先に動いて、そのあとに製品の動きがつづき、製品の売れ行きが良ければ"景気が良くなった"ということになるわけで、つまり、5月の揃い踏みは需要産業界の景気先読みの結果でもあるわけである。

とにかく、景気がこれからどんどん浮上して行くということが広く認知され、承認されるに従って、段ボール統計の景気先行性、先読み能力が久しぶりに復活してきたことも言える。
ということを、5月の実績値でいえば、企業は見通し良好、前へ進めと判断して段ボールを発注。だが、この天候不順、少し待てになったことになるが、どうか。