特大


業界フラッシュ

ホーム > 業界フラッシュ > 平成18年前半の回顧と展望

平成18年前半の回顧と展望 2006-08-15(第961号)

焦点の段ボール価格の修正は、業界全体の体制が整わず、総じて半年ずれ込んだ形。もっとも小口ものはほとんど浸透、これが底支えする形で、またそれぞれ一段のコストダウンの効果で、業界全般が落ち着きを取り戻している。もっとも、現状が不採算であることには変わりない。既に判明している5月度の実績値でも「下げ止まり」以上の水準には至っていない。大勢として価格交渉の詰めが「秋」にずれ込んだ形だが、これには大量需要の青果物が春夏ものの価格決定後だったという"ズレ"があったことも微妙に影響した。

ただ、結果論だが、この半年間の休止期間が、今後の展望の上では、事態の熟成を待つという意味で、却ってよかったのかも知れない。というのも、原紙が上がって、製品価格の修正が遅れたため、これまで同様の合理化、コストダウンが手を緩めずに進行した。その一方で、10数年も続いた毎年の価格ダウンが停止、下げ止まったため、合理化の成果が、初めて手元で実感される状況が生まれた。そして、その上に「石油」問題という国民的関心の中で、段ボール価格についても、オープンで公正な判断や評価が下される環境が自然に整ってきている。

言い替えれば、一企業ベースの問題ではなくなったし、段ボール業界とユーザー業界が同じ土俵の上で、この石油問題について、どう対応するのが双方にとって最良の答えかが問われる情勢にも発展してきた。実際は無理押しが利かないため半年経過した結果だが、そういう環境にまで漸くたどり着いた形である。

今は「第三次石油危機」の時代といえば、あるいは失笑を買うかも知れない。しかし、第一次・第二次オイルショックの学習効果で省エネ・備蓄など様々な対応が進んで、目先的にはパニックこそ起こってはいないが、一方で、前回の石油危機はいわば一過性に終わっているものの、当時にはなかった中国を始めとする石油大消費国の出現を考えると、こんどの石油問題は一朝一夕には解決しないことと、従って、段ボール価格問題もいま現在だけの一過性の問題ではなく、段ボール業界とユーザー業界がどういう長期展望のもとに、この共通課題に対する戦略を構築するか、出来るかが最も肝心な点だと思われる。

第一次・第二次危機の経験と、最近の世界的な石油需給の逼迫、更に混乱を増すばかりの中東情勢を勘案すれば、いつなんどき不測の事態が生ずるか知れないと考える方が自然だろう。

当時、「電話一本で値上げが通った」という状況が出現、また、段ボール原紙価格は数次の値上げを積み重ねた上に、年末に一挙キロ20円値上げを達成、段ボールシート価格も全て3ケタまで暴騰した。その結果だが、段ボール業界にとって幸運であったかというと、まったく逆で、10年後のバブルの一時期を除いて、平米当たり毎年平均2円の値下がりが固定化する産業体質が、つい近年まで残った。

原燃料価格の上昇が今後とも中長期的に避けられないなら、ユーザーと中長期的な展望を共有した価格問題への対応がなければならない。いまの価格交渉は従来型と何も変わらないが、仕切直しの"チャンス"も訪れているわけである。