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三菱重工印刷紙工機械(株)が新発足2010-06-30(第1057号)

渡部社長渡部社長

三菱重工100%出資の専業新会社「三菱重工印刷紙工機械(株)」が7月1日、従来の紙・印刷機械事業部(三原製作所)から移行の形で設立された。新会社では同日、三原本社に関連業界専門紙及び一般紙の地元記者クラブメンバー計20社を招いて発足記者会見を行い、渡部健社長(取締役紙・印刷機械事業部長)から設立概要について詳細説明が行われた。新会社は資本金100億円、従業員一千名で、製造・開発・営業の3本部制、開発は吉川俊郎、製造は清水雅巳、営業は野端啓夫の3常務がそれぞれ本部長に就任、指揮をとる。

新会社の概要については「三菱重工ニュース」でも発表された。それとの重複をなるべく避けて述べると、専業新会社の事業内容は、主要製品であるオフセット輪転印刷機(新聞輪転機=世界最高速毎時18万部のダイヤモンドスターと同16万部のダイヤモンド・スピリット、及び一般輪転印刷のマックスシリーズ)、次が枚葉タイプの印刷機(ダイヤモンド300)という輪転・枚葉の印刷機械2部門と、そしてコルゲータ及び製函機EVOLなどの紙工機械部門で、これら3部門がそれぞれほぼ3分の1のウェイトとなっているが、それぞれについて、(1)製造・販売、(2)据付・アフターサービス・修理・改造・保守、(3)部品製作販売、(4)関連する一切の事業の推進があげられている。

営業本部は従来の印刷紙工機械販売会社が統合された形。本部所在地は三原本社で、東京・大阪の両支社及びサービス統括部、営業統括部の構成となる。

本部を三原に置くことでは社内で大激論があったと渡部社長が語った。それでもなおかつ三原に決定したのは全世界の販売・サービスを本社で一元管理することと、顧客の声を迅速、ダイレクトに反映する組織を実現するため。国内最大市場の東京・大阪に支社を置き、体制を強化する一方、引き合いテスト、トレーニングスクール機能を本社に集約し、開発本部との連携で機能を強化する。

開発本部の大きな目標の一つが印刷機械と紙工機械の技術融合の推進とされ、各製品の技術の横通しで効率化、技術融合をはかるとしている。それと、もう一つがオンデマンド印刷。上記の3部門に加えて4つ目の柱に育てたいと渡部社長が語っていた。
製造本部の主眼は調達・工作一体化によるサプライチェーンの強化で、傘下に工作部、資材部を置き、内製・外注・購買・海外調達からなるサプライチェーンを強化するとしている。

国内ネットワークは三原本社、東京・大阪支社の傘下に、北海道・東北・北関東・東京・名古屋・大阪・中四国・九州と8カ所のサービスチェーンを展開、海外は米国ボルチモア及びオランダの支社のほか、三菱重工の海外拠点との連携により、カナダのトロント、シカゴ、北京、香港、インドの首都デリー、及び英国など、7カ所のネットワークが構築されている。

【7月29日-30日両日、新型EVOL公開運転】

当日の記者会見では、午後1時から新会社会議室で会社概要の説明と質疑応答が行われたあと、午後2時から工場見学が行われた。新会社への移行を機にして、元の紙・印刷機械事業部の工場がレイアウト変更のための工事で目下、変身の真っ最中であった。枚葉機組立工場、部品工作の機械加工工場、紙工機械組立工場と、それぞれアルファベット名のD棟、A棟、F棟、B棟と巡回して、その広さに改めて感じ入ると同時に、A棟では枚葉オフセット印刷機「ダイヤモンドV3000LX」の試運転を見学できた。

段ボール機械とはまた違う高度な機械だから、そういう技術が段ボール機械の方に横移動で融合されてくると、どんな段ボール機械が誕生するのかと、そういう思いでもあった。

そのあと、最後にE棟に移り、最新型製函機「EVOL-3FGR100」の毎分速度350枚の試験運転が披露された。同機は、来る7月29日-30日の両日、段ボール会社多数を招いて公開運転を行う予定のマシンで、但し、まだ組み上がったばかりで付帯設備が何も装備されておらず、これから公開運転当日に向けて万端の準備を進めるところであった。

従来のスタンダードの4色EVOLに対して、新マシンは3色機で、いわば品揃えの拡大と、1色少ない分、省スペースで、より狭い段ボール工場にも設置が可能という特色が挙げられている。

そして、最も大きな狙いは、更なるセットアップ時間の短縮で、印版交換時間の短縮に加え、新インキ交換システムの採用により、従来は3分かかっていたインキ交換時間を新EVOLでは2分に、またインキロスは200ccから100ccに、そして洗浄水量を20リットルから6.5リットルと3分の1にまで省量化するものとなっている。

このほか、公開運転の際は、新たに開発された世界初の新技術の「打抜ダイのクイックチェンジ装置」も披露される。狙いは、これも打抜ダイ交換時間の短縮で、2分割の木型で従来、9.5分必要だった交換時間をわずか2分にまで短縮できることになる。
これには、打抜ダイの固定方式をボルト固定からロックリングによる固定に変更したほか、ナイフシリンダに入れるストリッピングピンを内蔵型に変更したのも大きな特色である。

三菱重工が初めてコルゲータを制作、段ボール機械分野に足を踏み入れたのは昭和30年で、当時の千代田紙業及び千代田紙工に相次いで2台を納入したのが最初であった。

そして、製函機については1年遅れて昭和31年に三菱型プリンタースロッターを開発、販売開始したのが最初で、その後、昭和57年(1982年)に世界初のコンピュータ制御CNCシステムを搭載したSUMMITシリーズを開発、このコンピュータ制御の基本的な流れから、2003年(平成15年)に更なる生産性・高品質化を追求したEVOLを開発して、世界的に圧倒的な声価を獲得するに至っている。

記者会見当日の新型EVOLの試運転の際に、担当者が「EVOLの制作は本来は納期5カ月の予定で組む計画だったのが、世界的に好評で受注が多いため、現在はずっと納期が長くなってしまいました」と思わず漏らしたような状況ともなっている。

新会社にとっても最優先課題は中国・インド・ASEAN諸国などの新興国。同社資料によれば2008年の輸出先別売上高比率の第1位は北米の44%、2位が欧州で24%と欧米で3分の2を占めていたが、2012年には欧米、中国、アジアの3極でそれぞれ3分の1のシェアに達するとの戦略構想を描いている。

これは世界の印刷物出荷額の流れ、すなわち2006年当時から2011年までの日米欧の伸び率9%に対して、新興国の伸び率が48%に達していることなどからも、今後の事業拡大に欠かせない要素として、「新興国市場の拡大の流れに乗って事業を成長させる経営戦略」を強力に推進するとしている。

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