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経済構造の変化反映、市況産業から脱却 2010-08-30(第1061号)

段ボール産業は総称的に「市況産業」と呼ばれた。本質は段ボール原紙をベースに貼合・裁断・印刷・縫合を繰り返して最終製品に仕上げる「加工産業」そのものだが、加工産業で同時に市況産業の側面も持つ特異な体質を兼ね備えていた。その記録は本紙サイト「シート市況研究」にも残っているが、極端な例では、昭和51年1月下旬のC5シート50円が、5月上旬に35円、それが6月下旬から反転して40円、更に12月には63円という正に市況産業そのものの経過もあった。だが、いま当時の面影は全くない。何が変わったのか。

段ボール価格は、ごく単純化すると、原料古紙代+抄き賃(原紙代)+貼合賃(シート代)+製函加工賃(箱代)となる。実際はこれに横持ち運賃や各種手数料などの費目が加算されるが、よく見ると、原料古紙代を除けばコスト変動幅のごく小さい費目ばかりで、つまりは原料古紙価格を土台に構築された産業だったからこその「市況産業」だったことが理解される。

前述の昭和51年の段ボール原紙事情で言えば、原料古紙ヤードも持たずに操業しているメーカーが数多くあった。当然、古紙需給が弱くなれば、買い叩いて極端な安値まで落ち込ませ、集荷人の離散を招いて上昇に転じると、操業を続けるためには買わなければと、高値を誘導して、それを原紙価格に転嫁する。そういう原紙の不安定が、段ボール加工にも思惑を呼んで、シート市況が乱高下し、ユーザーが、それに巻き込まれて右往左往するといった事情だった。

いまは、古紙ヤードを持たないメーカーは淘汰されて存在しない。また、段原紙メーカーの合併・統合の結果として王子・レンゴー・日本製紙・大王の4社グループ(以上計76.4%)にカミ商事・丸紅・東海パルプで94.5%のシェアとなって、製品価格面の動揺が全く解消した。

とは言え、産業全体が古紙価格の上に乗っているのだから、ちょうど浮き船の状態にあることに変わりはない。ところが、中国が年産9千万t以上の製紙産業を築いたことによって、この浮き船構造がすっかり変質してしまった。市況産業の時代には、国内古紙の買い手は国内原紙メーカーだけだった。だが、近年の古紙輸出状況に示されるように、中国製紙産業が日本の古紙の有力な買い手として急浮上している。

日本の製紙産業は年産3千万t、その3倍の9千万tの生産に要する原料パルプ・古紙は輸入分だけで5千万t、うちパルプが1千万t、古紙は4千万tと目される。段古紙は品質上の理由からはアメリカ品を買いたいはず。だが、一時は100万tを越えていたアメリカ品は80万t程度。不足分は欧州及び日本、特に近隣の日本が期待される。

だから確実に脱市況産業時代だと思うが、どうか。