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7月度の実績から、平均単価引き続き上昇

平成18年7月の段ボール生産が11億5,182万6千平米、前年比0.2%の減少と発表された。最近では4月が1.7%減少だったから、マイナスはそれ以来。因みに前年の平成17年は年間では前年比1.2%増だったが、2月(0.5%減)と7月(2.4%減)の2回がマイナスになっていて、今年も7月までに、うち2カ月がマイナスと、ほぼ同じ状況が続いたことになる。また、9月末に発表された8月の生産速報では11億1,941万6千平米、前年比1.7%増と再上昇の動きが感じられている。

景気は"流れ"としては順調に回復の経過を辿っている。マクロ的な指標のほとんど全てが上昇を示している。ただ、今年春以来の天候不順で、降雨続きだったため、消費の最前線では特に夏にかけてシーズン需要が不活発になり、連鎖的に消費の面での景況感が盛り上がらず、それがまたマイナスに働くという循環になっているため、段ボール需要にもこれが反映された形となっている。

ただ、上述の通り、8月に来てやや上昇の動きが現れた。9月の需要状況を聞くと、業界では、なお不活発、不足感が続いているとの判断が多いようで、先行きの展望を大きく開く段階には至っていないが、やはりこれから年間最盛需要期だけに、8月の1。7%増から更に増加幅を広げて行く動きと見られる。

7月の段ボール生産を地域別に見ると、7月にマイナスとなったのが、北海道0.8%減、近畿1.6%減、四国1.1%減、及び九州0.9%減で、以上の4地域のマイナスに対し、東北1.1%増のほか、関東。中部。中国いずれもコンマ以下ながらプラスと、明暗が分かれている。

ただ、1〜7月の合計ならマイナスの地域はない。中でも東北は2.7%増と唯一「3%」近い伸び。すなわち、基調として上昇の経過ながら、天候不順という予測の難しい条件によって伸び悩んでいる、という事情がよく現れているように思われる。

段ボール産業が活性化して行くには「シート出荷」の活性化が必要だが、シート出荷もほぼ前年ペースで上向き基調を続けている。7月の地域別シート出荷動向を見ると、プラスが北海道2.3%増、および東北4.8%増と北の2地域。特に東北は1〜7月の累計でも前縁同期比3.5%増で、前年が年間で2.9%の減少だったから、前年のマイナス分を取り戻して、なお1%近いプラスを確保した形となっている。このシート出荷の増加が、前期の地域別生産の2.7%増を支えているわけである。

段ボール統計上の一つの法則として、「景気上昇期にはシート出荷の方が、一貫消費より伸びが大きくなる」というものがある。言い替えると、景気下降期には一貫段ボールメーカーが従来下請に出していた仕事も自社内に取り込み、その分、シート出荷が縮小するが、逆に景気上昇期には仕事量の増加からより効率的に生産を高めるために、小ロットや手間のかかる仕事を自社外に放出するメカニズムが働いて、シート出荷が相対的に増加するものと考えられる。

では、現在はどうかというと、何年前かと違って、段ボールメーカーが目の色を変えて効率的でない仕事も自社内に取り込む動きは下火になりつつあると見られる。ただ、非効率的な仕事の放出が始まったかというと、必ずしもそうではなくて、最近では下請に出そうにも、体質的に弱かった企業は倒産。廃業などで退出、外注を引き受けてくれる企業が非常に少なくなったため、出したくても出せないから、やむなく自社内で生産しているという状況と見られている。

ただ、需要の絶対量の増加が続いているため、今後の需要回復次第で上記のようなバランスが崩れる時期も迫っていると見られ、いわば"棲み分け"的な考え方が、いずれ全般的な気運として台頭してくると考えられるだろう。

より大型の企業が小口需要まで取り込むようになったのは、段ボール加工機械の技術的発展によるところが大きい。いわゆる「多品種。小ロット。即納」対応で、ということは、以前は独立系ボックスメーカーで或いは下請企業への外注で比較的低速な製函機械で加工されていたものが、ハイスピード。高品質な加工機で生産される割合が増え、この結果、生産が合理化された反面、コストダウンが進んで、業界全体のマクロの単位としては収入機会、収入のボリュームとも低下したことが確かである。

言い替えると、以前に公称3千社と言われたボックスメーカー数が、近年では1千社ぐらいに減少しているのではないかといわれるが、そういう業界構造のシステム的変化に伴って、お互い密接にくっつき合っていた粘土的な産業体質が、より粘着力に乏しい、砂のような産業体質に変わってきたのではないか、それが段ボール産業の未来にとって良いことなのか、悪いことなのかということでもあるだろう。

もちろん、良いか悪いかの議論は議論として、歴史は、必然の流れをもとにひもといて行かれるものだから、誰にも押し止めることはできない。ただ、歴史の必然を越える無用の過剰反応は、可能な限り避ける必要があるだろう。
いま、10数年の「失われた時代」を経て、漸く正常化へのチャンスが訪れようとしている。振り返ってみるべき問題も多そうだ。

なお、7月の段ボール平均単価はシート、ケースとも上昇、総平均単価は62円49銭と前年平均を越えた。