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大坪理事長が総会後の記者懇談会で 2011-05-30(第1079号)

全国段ボール工業組合連合会(大坪清理事長)では5月18日、東京・飯田橋「ホテルグランドパレス」で平成23年度通常総会並びに理事会を開催、引き続き午後5時から正副理事長、理事、監事、並びに経済産業省坂本紙業課長ほかが出席して、恒例の記者懇談会を開催した。今年は役員改選期に当たるため人事案を諮った結果、大坪理事長の再任と、8人の副理事長のうち佐野成人氏の後任の渡良司副理事長の新任、および日比野光留((株)エーワンパッケージ社長)、神原孝也(中日本段ボール工業組合)両理事の新任を決めた。

当日の大坪理事長の挨拶要旨は次の通り。

『皆様ご存じの通り、3月11日に起こった大震災と大津波、この自然災害によって大変な被害を受けたわけでありますけれども、私はこれは天然災害であると同時に、もう一つ大きな災害がいまの日本を覆っている。というのは福島第一原発の問題でありまして、これは明らかに人災だと私は思っております。

私どもの仙台工場も壊滅状態になりました。私は、宮城県の業務には新しい工場を作ろうと決めて、6月15日に地鎮祭を行う予定ですが、なぜこう決めたかと申しますと、今回の東日本大震災で、対象地域というのは福島、宮城、岩手の3県が中心ですが、この地域の方々の特性と言いますか本当に地域そのものを愛する地縁、血縁、或いは地域社会そのものを守って行きたいというメンタリティ、人間性を持った方々が非常に多くて、地域を離れて仕事をするということでは地域は復興しないということがよく分かったからです。そういう意味でも、私は宮城県内に工場を作る、雇用を確保することが非常に重要だと思って決めました。決めると同時にまた発表することによって、従業員が本当に安心し、人心の安定を確保することができて、この地域の仕事の進め方というのが、はっきりしたと思っているわけです。

ドイツの社会学者が言った言葉で、世の中はゲマインシャフトGemeinshaft つまり地縁・血縁の共同社会から、利益中心のゲゼルシャフトGesellshaft の利益主義社会に変わって行くということがあって、それは確かに世界の流れですけれども、ゲマインシャフトはやはり残すべきだという思いもあって、このゲマインシャフトという言葉を、もう一度、研究し直す必要があると思っております。

今回の大震災に対して、いま政府或いは関係者が色んな作業に取り組んでおられますが、この東北地区については本当にいわゆる地域の特性を生かした復旧、復興策というのが非常に重要ではないかと思っておりまして、そのまあごく小さな部分ですけれども、私どもレンゴーも、そういうことをやらしていただいたということであります。

ところで、天災に関してはそういう手も打てるのですが、一方、人が起こした災難、人災については本当に先が見えないというのが現状であります。福島原発の場合は、政府が廃炉にするということをはっきりと宣言することによって、地域住民もある程度、落ち着いた行動ができるのではないかと思っておりますが、まだ正式にはそういう発表がされておりませんので、私どもの丸三製紙の220名の従業員、関係する家族までを加えると約1千名になりますが、私は丸三製紙についても雇用は絶対に守ると言っているわけです。

丸三製紙は、取りあえず6月末までは閉鎖するという状況ですが、7月に入って、それなりの対策を講じながら、丸三製紙を復活させたいと思っております。といいますのは、丸三製紙自体は津波は一切受けておりませんので、工場内部にそう大きな損傷がないわけです。動かそうと思えば動かせる状態にあるわけですが、ただ心配なのは外側にある水です。これがどの程度汚染されているかというのが分からないのと、土壌の放射能です。実際に工場に入って放射能、いわゆるシーベルトを測らせているわけですが、本当に全く問題ない、普段着で作業ができるマイクロシーベルト、それもゼロ・コンマ幾らという状況ですので、実際は自由にできるわけですけれども、政府保安院の発表した円形の対象地域、それも政府が「緊急時避難準備地域」というような、わけの分からん発表をしている地域ですから、私が公式に責任者として「入って作業をしても良い」という許可を与えることができませんので、6月末までは入っちゃいかんと言っておりますが、7月には、それなりの対策を講じて、やろうかなと思っております。

段ボール業界では、震災以前に今年の需要予想を作っております。年間131億5千万m2弱の予想でした。そして、震災後も、この数字を変える必要はないと私は考えております。

こういう緊急時に経営者が持つべき精神力とは何かについて、近代経営学を作り上げたケインズが言っておりますが、それは「アニマル・スピリッツ」だということです。野性的な精神力です。「これこそが経済を更に復活させる大きな要素になる」ということでありますので、ご列席の関係者の方々が、経営の根幹に、明るく、陽気で、逞しく生きる精神力、アニマルスピリッツを発揮されて、この1年間を乗り切っていただきたいと思います』。