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「国内だけには頼れぬ製紙産業」 2011-06-15(第1080号)

▼王子製紙が6月10日、経営説明会で今後の経営戦略を明らかにした。段ボール産業は基本的には国内産業だから、海外事業という問題には日ごろは余り関心を持たずに済んでいる。製紙産業も、例えば自動車や電器製品、工作機械、化学製品などと比べると、やはり国内産業色が濃厚で、王子製紙が投資額2,000億の中国・南通計画を打ち出した当時には、製紙産業がそこまで海外事業にのめり込むのはどうかといった、むしろ戸惑いの空気さえ業界にはあったと思われる。

▼だが、今回の王子製紙の経営説明会資料にも明確に示されているように渋沢栄一創業者以来の王子製紙の祖業である新聞用紙や、上中下級印刷用紙、コート紙などの印刷情報用紙の国内需要は、若者をはじめとするいわゆる活字離れや、テレビやITなど様々な情報媒体の登場に負の影響を受けて減少の一途をたどる状況となっており、冷たい現実として、2007年当時までの年間1,200万tの需要規模が、今年までには1,000万tをも割り込んで900万t台半ばへと、20%もの減少となることが予想されるに至っている。

▼ということで、国内産業の基本的体質はもちろん変わらないにしても、製紙産業も、遅ればせながら自動車や電機産業、部品産業などと肩を並べて海外に打って出る以外に生き残る道はないと、王子が経営説明会を通じ広く業界一般に呼び掛けたとも受け止められた。

▼この宣言は、王子製紙が日本の製紙産業の原点であり、代表で、かつ象徴でもあるだけに重大だと思われる。グローバル化時代が始まってから、それ以前の世界に冠たる競争力を誇った日本がなし崩しに衰えてきて、いわゆる「失われた20年」の末に、なお国内にこもりがちな日本が残っているというのが現実かも知れない。そういうことをいろいろと思わされた。