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王子製紙が白板紙・包装紙の値上げ発表 2011-07-20(第1082号)

王子製紙(株)白板紙・包装用紙事業本部が7月13日、白板紙(高級板紙・特殊板紙・コート白ボール)及び包装用紙(未晒クラフト紙・晒クラフト紙・防湿紙)の全品種について、2011年10月1日出荷分から10%以上の値上げを実施すると発表した。これは、日本製紙が7月6日、代理店に対し印刷用紙及び情報用紙の価格修正(9月1日から10%以上)を実施すると発表、王子製紙もこれに同調を表明したのに加えて、白板紙・包装用紙の値上げ発表まで歩を進めてきたもので、「次は段ボール原紙」の流れとなってきた。

これまでに値上げ発表の行われた印刷用紙・情報用紙、高級板紙、クラフト紙はいずれもキロ当たり110円〜150円の価格帯の銘柄。これに対して段ボール原紙はKツーダッシュ・ライナーでも80円、最も多量に消費されるCダッシュ・ライナーが60円がらみ、D級中芯は55円前後の価格帯に分類される。従って、今秋に予想される紙・板紙全品種の一斉値上げでは、値上げ幅は一律に「10%以上」と表現されるにしても、これまでに値上げ発表の行われた上級紙、高級板紙、包装用紙がキロ10円以上の値上げ幅となるのに対して、後続の段ボール原紙及び紙器用板紙では「実質5円」の値上げ幅に落ち着くことが予想される。

ということは、ひとつの連想として、平成21年4月からの「一律5円値下げ」が思い出される。周知の通り、平成20年9月に突発したリーマン・ショックのただ中で、同年10月からの段ボール原紙(キロ10円アップ)及び段ボール製品(プラス加工賃)の値上げが同時進行して、全面浸透したが、その後の世界的規模での需要縮小にともない、2年前の21年4月から段ボール原紙は全品種一律キロ5円の値下げ、段ボール製品は半年前の値上がり分の半値戻しの形でその調整を済ませて、以後、現在までの安定市場が確保された経緯となっている。

実際問題として段ボール加工段階は赤字ではない。しかし、利幅は相変わらず薄いから、例えば上掲の出荷シートの平均単価55円13銭の経常収益を3%とみると1円65銭に過ぎない。段ボール原紙が今秋、キロ5円アップすると、中間製品のシートのコストはその7割の3円50銭アップするから、2円もの赤字に転落する。ケースの場合、同じ3%の収益とみて表の72円18銭のうち2円16銭が収益分となる。これが原紙代の5円アップでは6掛けで3円アップするから、これまでの安定を支えた収益が全部消し飛んで、逆に製品1㎡当たり1円の赤字に転落してしまう。

段ボール業界の歴史を振り返ると、原紙が赤字なら段ボールも赤字というのが通常で、今回のような原紙は赤字でも製品は黒字という時代は極めて稀である。要は、リーマン・ショック後の需要縮小で重油が下がり、主原料の段古紙も高値時のキロ18円+プレミアムから、キロ12円ないしそれ以下に下がったため原紙の収益も安泰だったが、以後の景気回復と中国向け輸出の増加から、段古紙はすでに18円を上回り、重油も当時に近い状態。

このためメーカーは昨年以来、代理店を通じ段ボールメーカー個々に近い将来に値上げを実施したい意向を伝えてきていたわけで、それが紙・板紙全品種一斉の形で実現しそうである。