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段原紙値上げ、現実的にはキロ5円か 2011-10-30(第1089号)

段ボール原紙値上げの実施時期、11月21日が1カ月以内に迫ってきたが、段ボール業界内には何の動揺も見られない。これは業界の長い歴史の中でも極めて異例な事情で、産業の体質変化を改めて実感させる状況ともなっている。動揺がないのは、段ボール原紙の値上げにつづく段ボール製品の値上げについて、ユーザー先との交渉をどう展開するかの企業戦略、路線が既に固まっているからに違いない。割り切って言えば、今回の原紙値上げは平成21年春の半値(5円)戻しの「巻き戻し」。いまとなってみると、この時点での細かな資料まで残っているのが何よりの強みだろう。

平成21年3月30日の本紙の記事を引用すると、「前回の半分値下げ交渉」は次のような手順で行われた。すなわち「統合大手をはじめ段ボール各社が、段ボール原紙全品種キロ5円の値下げに伴う段ボール価格修正措置として、(1)10月の原紙値上げに際し個々のユーザーの承認を受けた値上げ分の2分の1を値下げする、(2)期日は前回、即日値上げを受け入れてもらった納入先については即日、(3)その他の場合は値上げが認められた日時までの日数(月数)を値下げ猶予期間とする、などを主要な骨子として交渉が進められているが、ユーザー先からも格別の異論がなく迎えられている模様だ」。

段ボール原紙の値上げは手短にただ「5円アップ」と言うだけでも済むことだが、段ボール箱の場合は何万社か10何万社かも知れない超多数の納入先に、多種多様な仕様、サイズ、品質の箱を作って、納期に合わせて届けるという作業だから、需要・供給の双方に充分の了解を得るためには、前回の価格変動時の伝票が残っていたら、それが最善ということにもなる。

目下の予想では、原紙値上げは11月21日の即日で決着するに違いないが、段ボールケース価格の納入先との交渉は、どんなに急いでも、結果は明年のことになるに相違ない。但し、以前の時代と違って、最近数年の間に築かれたユーザー先と段ボール会社間の「安定取引関係」が損なわれる気遣いや可能性は何もないから、明年に予想される復興需要の盛り上がりも勘案して、今回の難場を乗り越えたあとの2012年は、段ボール産業にとって、より一層安定度を増す時代となってくると予想される。

それと、とかく誤解を受け勝ちだった以前との違いは、いまやインターネットで、情報が全て公開されていること。結局、原紙がキロ5円上がれば、段ボールは平米当たり5円×70%の3円50銭上がる。その原理を、どう根気よく説明するかにもなりそうだ。