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王子板紙桑野専務に聞く 2011-11-15(第1090号)

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本紙では11月11日、王子板紙(株)桑野由美雄専務取締役営業本部長にインタビュー、段ボール原紙の値上げ問題についてうかがった。その11日が、流通を通じ取引先段ボール各社から確認書が届く当日で、結果は「特に問題なく確認の回答を得ている」との状況であった。このため、発表通りの11月21日出荷分から、従来価格の10%以上(キロ当り6-7円見当)アップの値上げが固まった。また、指定紙関連など最大手ユーザーとの別途交渉についても、11月第3週中に了承を取り付ける運びと、その概況を明らかにした。

−−まず、こんどの原紙値上げの実施時期の問題からお訊ねします。この業界では、段ボール原紙とか、段ボールの値上げといいますと、実施時期は秋ですと9月21日出荷分、つまり10月出荷分とか、少しずれても10月1日のやはり10月出荷分からというのが一般的でした。こんど王子板紙が発表された11月21日出荷分、つまり12月分からの価格改定というのは非常に珍しいわけですが、どういう理由でこの時期になったのでしょうか。
 答 私は4月から現在の職務に任命された新参者ですから、正直なところ、段ボール関連業界の事情には余り詳しくはありません。ただ、レンゴーさんは10月1日ということで打ち出されましたね。基本的に、段原紙メーカーがおかれている環境というのは、原燃料問題ということでメーカー各社さんに共通した事情があるわけですが、当社も、実は洋紙が7月に10月からということで打ち上げていましたから、その段階で板紙はどうなんだということで検討したんですが、その時点では、まだ古紙の価格が決まっておりませんでしたし、厳しい状況にはあったんですが、その辺が固まっていないということで、先に延ばしたということです。 そうこうする間に、レンゴーさんが値上げを打ち出されました。その段階でも当社はもう少し頑張れないかということで頑張っていたんですが、10月1日に古紙が上がるということに最終的にはなりましたが、かといって、その時点でいきなり10月1日というのは物理的に時間がないものですから、であれば当然、説明責任及び交渉がありますから、流通や、納入先のお客さんに対して少なくとも1カ月ちょっと、背景をきっちり説明する時間が必要だということで、11月21日ということにしたわけです。

−−結果的には、レンゴーさんとの時差の問題が出てきました。レンゴーさんは10月1日と言っておられますけれども、結局、レンゴーさんも11月21日に修正されるということでしょうか。
 答 いや、それは分からないです。

−−レンゴーさん次第ということですか。
 答 そういうことですね。これは個々の事情によって幅、時期ともに10月1日のところもあれば、あとからの人は11月21日のところもありますけれども、それぞれが打ち出しておられるんで、基本的にはそれぞれの時期、幅で不退転の覚悟でやるということに、皆さん、言っておられるように聞いております。

−−ということは、王子板紙は、この通りにやる。レンゴーさんがどうだからということは言わないということですね。
 答 本来、それぞれ各社の事情が違うわけですから、個々の事情によって違う方が当然ですね。私は従来のことはよく知らないんで、従来はというとおかしいんですが、どこも同じ時期、同じ幅で打ち出していたというような状況と、今回はある意味で違うと思うんです。それぞれが、個々の事情で打ち出しをしているということですから、あくまでも個々に、これを粛々と進めるということだと思います。

−−一方で、ユーザーさんとすれば、要するに日にちが違っては困るわけですから、その辺のことは個々の取引関係の中で対応するということになりますね。
 答 そうです。個々のメーカーさんに対して、ユーザーさんが要求される、個々にそれに対応されるということですね。

−−それと、ユーザーさんについてですけれど、従来とまるで違う11月21日、つまり12月出荷分からという発表でしたから、これは指定紙関係の大手ユーザーさんに予め了承を取り付けるためなのかと思っていたのですが。
 答 それは、供給の立場に立つ者として、基本的に、大手のユーザーさんであろうと、ほかのユーザーさんであろうと、当社の大切な同じユーザーさんですから、そんな片側である程度固めてということは一切やっておりません。その点、誤解があるとすれば、ぜひ誤解を解いていただきたいと思います。やはり、お取引関係の皆さんには、みな同時にご説明申し上げるということが基本の精神ですから、その点について、社内でも確認しましたけれど、過去にもないという話でした。

−−分かりました。ところで、その後の経過については。
 答 一般の段メーカーさんについては、流通を通して、実は今日が確認書を全部上げていただく日になっているんですが、特に問題なくご返事をいただいていると思います。それと、先ほどのお話の原紙指定のエンドユーザーさんがいろいろあるわけですが、これも来週中ぐらいにはきっちりお話をしようということでおります。

−−感触としては。
 答 基本的に、例えば全農さんとかについては、こんどの震災もあるし、原発問題もあるし、直近ではTPPの問題もあるということで、かなり大変な時期を迎えているんで、そういったことも含めて考えると、やはり原紙の値上げというのはなかなか難しいねということなんですけれども、われわれのコスト事情だとか、そういうものについては一定のご理解をいただいていると思っておりますし、そういう意味では全てノーという話ではないということで、いまの原燃料の状況や、それから先々の安定供給というようなことを前提に含めると、やはりその辺は十分ご理解をしていただけると思っております。

−−そうすると、大体、来週ぐらいで、全体のおおよそのメドがつきますか。
 答 そうですね。あとは、飲料関係とか、年間契約で入札が行われるところもありますけれども、それも、過去において期中にやったこともあると聞いておりますので、基本的には、情勢が大きく変われば交渉するという仕組みがあるということだと思いますので、これはこれで粛々と進めたいと考えております。

−−それも11月21日出荷分からということですか。
 答 そうです。11月21日分からとお話をして、これも交渉ですから、最終的にどうなるかということは交渉の結果次第ということになります。

−−ということは、11月中に大体、その辺の答もまとまりそうということでしょうか。
 答 そうです。まとめなければいけないと思っているんです。まあ、これは交渉ですから、長引くことも当然あるんですが、だらだらと、いつまでも長く続けるわけにはいきませんので、ご理解いただけるよう、強く交渉していきたいと思います。

−−昨日、王子製紙本社で経営説明会があって、お話をうかがいました。特に印刷情報用紙の場合、国内は最近数年で20%以上の設備能力を削減し、一方、中国・東南ア市場の開拓を急速に進めているという内容が主題でしたが、それで思ったのは、製紙全体の立場からすると、洋紙も板紙もまとめて一つの経営ですから、こんどの段ボール原紙の値上げ問題も、そういう製紙産業全体の観点が必要なのかなと思いました。
 答 まあ、段ボールの場合は、洋紙ほどには悪い状態ではありませんが、収益的に厳しいことは、事実です。それに、シート価格にせよ、ボックス価格にせよ、競争の原理でそれぞれやはり価格は下がっているんです。ですから、加工賃の部分がそれなりに地盤沈下して、適正なものを認めていただけないという事情があるでしょうし、やはり収益の改善をはかりたいということは、どなたも思っておられるという風に私は認識しているんです。 ですから、いま現状で満足していて、波風を立てない方がいいという考えというのは、一部にはあるかも知れませんが、それが全体の中のどれくらいの割合かというと、私はそれは少ないんじゃないかなと思っているんですけどね。

−−先ほど、段ボールメーカーさんの場合は、流通を経由して大体、本日までに確認の返事をいただいたということですが、もう少しご説明いただけませんでしょうか。
 答 まだ全部を聞いているわけではないんですけれど、とくに問題があったところはないというように聞いております。各営業所から全部集まってきますが、そういう状況です。基本的には流通さんから今回の値上げについての確認が全部、上がってくるということですから、11月21日からということで、取りあえずスタートする確認が取れたという事情です。基本的には私どもの打ち出しに対して、ご理解をいただいたと考えております。

−−次は、いよいよ段ボール製品ということですね。ということで、先ほど大手ユーザーさんのことを少しうかがいましたが、一般のユーザーの方々については段ボール会社を通じての交渉ということになりますが、その場合、やはり原紙メーカーのバックアップということが欠かせないことじゃないかと感じております。この点について。
 答 私どもは、レンゴーさんのような一気通貫の完全さではないんですが、われわれとしても、王子チヨダなり、森紙業グループなりがありますので、やはり、エンドユーザーさんへのバックアップは全面的にやろう、必要なら同行して原紙のところからご説明申し上げるということも、やぶさかではないと思っております。

平均単価平均単価

−−その場合、一番肝心な値幅ですが、王子板紙は10%以上と表現しておられます。10%以上というは、キロ当たりでは何円でしょうか。
 答 キロ当たりでは、大体、6-7円に落ち着くと思います。価格確認書でこの幅でのご了解を得たと理解しております。

−−本日はお忙しい中、貴重なお話を、まことに有難うございました。