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王子チヨダコンテナー野沢専務に聞く 2011-11-30(第1091号)

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本紙では11月25日、王子チヨダコンテナー(株)野沢高史専務取締役営業本部長にインタビュー、今回の原紙値上げに伴う段ボール製品価格の値上げ問題についてうかがった。同社は製品値上げについては、原紙値上げと同日実施の11月21日出荷分から「シート、ケースとも12%以上アップ」と発表しており、より具体的にはシートは平米当たり7〜8円アップ、ケースは同8円〜12円アップとして取引先との交渉を開始した。ただ、実施期日には多少の遅れが生じ、業界全般と同様、12月1日出荷分実施に向けて交渉していく模様だ。

――3年前の段ボール値上げは、リーマン・ショックと重なったせいもあるでしょうが、非常な盛り上がりの中での進行でした。ところが、今回はどうも緊迫感に乏しいというか、盛り上がりの点でもう一つというか、それが少し気になるのですが、まずその点についてはいかがでしょうか。

(野沢)そうですね。私は3年前は、王子板紙の立場で値上げに邁進したわけですが、あのときは原燃料価格の急激な上昇により、原紙メーカーも、段ボールメーカーも、本当に水面ぎりぎりの状況に陥っていました。それでもだいぶ我慢していました。そういう意味では両業界とも、これ以上は限界というところまで行ってしまっていたと思います。結局、苦しんだ時間が長かった反面、その間にお客さんにも値上げに至った背景、諸事情をある程度理解してもらえていたこともあったと思います。確かにリーマン・ショックもあって、状況としては非常に厳しい環境でしたが、これ以上落ちるわけにはいかないという考えの方が強かったですね。

逆に言えば、盛り上がらざるを得なかったということです。今回は、赤字ではないにしても、収益は悪化しており、このままでは更に深刻な状況になりかねません。3年前と同じ状況に陥ってからでは、この時代には、取り返しがつきません。やはり、そうなる前に手を打たなければいけないということです。われわれがこれからも段ボール事業を継続していくためには、先行きの見通しも決して良くない中で、そういう状況を早めに打開しなければいけないということです。

――3年前はみな完全に赤字でした。真っ赤か、赤いか、ピンクかの違いはあっても、各社とも、ほとんど赤字でしたね。

(野沢)私は当時、王子板紙に在籍していましたが、赤字と黒字の間を行ったり来たりしているような状態でした。月によってはちょっと黒字とか、そういう感じでした。

――その時点と、いまとではかなり違います。これはユーザーさんもよくご存じですが、段ボール加工の方が決して赤字ではないという中で、ただ、原紙が上がると、まるっきり赤字になってしまうことがはっきりしています。

(野沢)そうです。われわれも別会社にはなっているけれど、一貫メーカーですから、当然、異なった方向に向かうわけにはいかないわけで、原紙の値上げが決まった以上、内輪でそれは認めないというわけにはいきません(笑い)。今回の価格改定については、時間をかけてグループ全体でいろいろ議論しました。

――そういう議論があったために遅れた部分もあるのですか。

(野沢)まあ、多少はありましたか。王子チヨダと王子板紙は、別会社といえども、同じ王子グループの一員です。議論を重ねて決めるわけですから、決めた以上は、一貫メーカーとして、同時価格改定に向かって進むということです。

――つい何日前ですか、11月21日出荷分から原紙の方が上がったわけですが、そうすると、王子チヨダコンテナーの原紙は当日から上がったわけですね。

(野沢)早速、上がりました(笑い)。

――交渉の余地無しですね。

(野沢)王子グループという組織で決めるわけですから。

――上げるぞと言われていや、それは困るとか(笑い)。

(野沢)それは、もっと前の段階の、内々の議論の中でやることですね。今回はすべての議論をし尽くした上で、11月21日と決定したことですから。王子チヨダコンテナーの使用原紙は大半が王子板紙の紙ですけれども、他のメーカーの紙もあるわけです。だけど、王子板紙がそういうように決めると、他の原紙メーカーも強気で交渉してきますから、受け入れざるを得ない(笑い)。

――原紙が上がって、次は、いよいよ段ボール製品の値上げです。まあ、製品値上げには、シート販売もあるし、ケース販売もあるわけですが、どういう表現をされているんですか。

(野沢)原紙代はキロ当たりで6円から7円、この原紙代の値上げをベースに、同日値上げでシートもケースも12%以上という表現で発表しております。

――あまりナマな表現ではありませんね。

(野沢)まあ、最初の発表はそうです。でも、個別交渉になった場合は、具体的な単価でいくら上げさせてくださいと交渉しなければなりません。シートの場合は平米当たり7円〜8円、それとケースはまさに千差万別ですから、ひと口では簡単に言えません。強いて言えば、平米当たり8円〜12円というところです。

――確認します。シートは7円〜8円ですね。

(野沢)そうです。8円が多いんです。ケースは千差万別で、いわく言い難いのですが、平米当たり8円〜12円の範囲が多いです。しかし、中には陥没価格も正直、無いわけではありませんので、12%では収まらないところがあることも事実です。

今年は春に震災があったので、取り組みが遅れた面があります。価格改定は年明け早々からの懸案事項でしたから、お願いする時期は春か、夏かなど、いろいろ検討されていたのも事実です。震災で先行き不透明な状況が続き、先延ばしと熟慮の末、今回の結論に至ったわけです

――盛り上がりがもう一つ足りないことにも、震災の影響が大きいのではありませんか。

(野沢)それはあると思います。レンゴーさんが発表された後も、各社が悩まれていたのではないでしょうか。間があいて王子グループが11月21日からと発表したら、他のメーカー各社も間髪を入れずに値上げを発表されましたね。皆さん、タイミングを計られていたように、短期間で出揃う形になったようです。

一方で、原紙が上がったら、段ボールのコスト全体の6割が上がるんですから、どう考えてもやって行けません。ですから、発表は段ボールも同時の値上げです。

――俗に、段ボールの値上げは100日かかると言われますが。

(野沢)そこまでずれ込んだら、厳しいですね。

――ユーザーさんとの交渉をもうはじめておられるわけですね。感触としてはいかがですか。

(野沢)厳しいのは事実です。世界的な金融不安がある。国内をとっても、これだけの円高で、輸出されているところは本当に大変だと思いますし、タイの洪水では、例えば自動車メーカーさんも本当に厳しいですよ。

ですから、前回以上にお客さんの置かれている立場が非常に厳しいのですが、ただ、われわれも、ここで分かりました、じゃあ我慢しますといったら、われわれ自身の経営が危なくなりますし、そういう意味では、事情は重々承知しているけれども、まず自分たちの足腰をきっちりしなければいけないということです。いくら空洞化すると言っても、やはり国内は国内でやっていかなければならないし、再生産可能な適正利益を、きちんと維持して行かなければならないということです。

――ユーザーさんがどうしても認めてくれない、その場合は、王子板紙に何とかしてくれとか(笑い)。

(野沢)ムリです(笑い)。お客様とねばり強く交渉する、お願いする。それしかないです。理解していただく以外にありません。

――段ボールの値上げが100日かかると言われる通りなら、完了は来年の2月末とか3月になります。交渉件数が厖大ですから、何もない通常の経済状態でもそれぐらい掛かると言われてきたわけですが、現在の非常時みたいな、大震災があった、タイの洪水があった、超円高だ、その上にヨーロッパの金融不安だという中で、そういう幾つもの危機に直接さらされているユーザーさんと交渉されることになるわけですが。

(野沢)輸出の古紙は短期的には上がったり下がったりしますが、中長期的には上昇高止まり方向と判断します。国内古紙は10月から2円上がってしまっているんです。それ以前から1円強上がっていますから、原紙メーカーはそれを負担しながら生産を続けてきたんです。それで、こんどはわれわれ段ボール業界が、11月21日からキロ6円〜7円を被るわけです。

これは簡単な計算ですぐ答が出ることですが、王子チヨダは王子板紙の原紙だけで月に4万トン近く使っているんです。他社の分まで入れたら5万トンぐらいになりますから、これだけで月に3億円以上が飛んでいってしまいます。これでは、とてもじゃないけど、経営が成り立ちません。これはユーザーさんに実情をご理解いただき、お願いするしかないということです。

――値上げはまだ始まったばかりですから、張りつめた空気などというものも感じられませんが、やがてユーザーさんとのぎりぎりの交渉場面も訪れるのでしょうか。

(野沢)やはり各社の発表がずれたし、そういう意味では盛り上がりが足りないと言われればその通りかも知れませんが、私の感触としては確実に盛り上がってきていると思います。確かに、11月21日はもう過ぎてしまいましたが、いまは12月1日を目指して精力的に交渉しています。同日値上げが一番理想ですが、現実にはなかなか全てそうはいきません。ある程度のタイムラグはやむを得ないと思いますけれども、このタイムラグの期間をいかに縮めるか、それがわれわれの負担を最小限にするわけで、それしかないわけです。中には若干もう少し遅れるものも出てくるかも知れませんが、月末にかけて精力的に取り組んでいきます。

――11月21日で実施したところもあるが、12月1日にずれ込んだものが多いということですね。

(野沢)業界全体として、やはりちょっと遅れています。それと専業メーカーさんでも概ね12月1日からです。だから、その辺に各社が合流した形になるのではないでしょうか。11月21日が来る前は、専業メーカーさんの中には、原紙価格は本当に上がるのか疑問視する向きもありましたが、王子板紙にかぎらず、他のほとんどの原紙メーカーさんも同時に値上げを実施されたようです。それで段ボール側の疑心暗鬼も吹っ切れて、段ボール製品値上げが12月1日に期せずして揃ったように思います。

――結局はユーザーさん次第のことですが、値上げ交渉が厳しいのは、いつも同じだとも思いますが。

(野沢)そうです。本当にお客さんと真摯に向かい合って、理解してもらうことしかありません。それに原紙が上がると、段ボールはいや応なしに赤字です。6割を占める原紙代の値上がり分を、残り4割でどうコストダウンの努力をしようが、到底カバーできるものではないですから、それはユーザーさんにもよく理解してもらえる点ではないでしょうか。非常に厳しいけれども、お客さんと真摯に向かい合って、実情を理解してもらう以外にないことだと思います。

――本日はお忙しい中、貴重なお話を、まことに有難うございました。