特大


業界フラッシュ

ホーム > 業界フラッシュ > 10月度の段ボール生産動向から

10月度の段ボール生産動向から 2006-12-25(第970号)

平成18年10月の段ボール生産(確報)が、12億2,657万4千m2、前年同月比1.4%の増加と発表された。これを加えた平成18年1〜10月の累計生産量は113億7,258万7千m2、前年同期比1.0%増と、1〜9月の"1%割れ"から浮上した。この累計生産の内訳は「消費」(段ボールメーカーのケース一貫生産分)が前年比1.3%増だったのに対して、ボックスメーカーへの「出荷」は100.0と前年比横ばいに止まっている。なお、シート出荷のシェアは34.7%と、初めて35%ラインを割り込んでいる。

平成18年1〜10月の消費は74億7,015万7千m2、出荷は39億7,407万9千m2で、この合計は114億4,423万6千m2となって、累計生産量113億7,258万7千m2と多少の差があるが、これは段ボール工場間の「受入」があるためで、以下の出荷シェアの基礎数字は「消費+出荷」を分母とした計算値である。

シート出荷が消費を大きく上回って伸びた時代があった。製函企業の創業が相次いだ昭和30年代後半から40年代後半にかけてで、例えば昭和35年から45年にかけての前年比伸びを単純合計し、年数の11で割った平均伸び率は、消費の11.7%に対して、出荷は23.1%と約2倍だった。

このため、昭和35年の消費が6億1千万m2、45年が26億6千万m2と、この間に4.4倍に伸びたのに対して、出荷は35年の3億6千万m2から45年の23億m2へと6.3倍にまで急成長を遂げた。折からの段ボール需要の高度成長に合わせて、コルゲータ投資が極めて活発で、それによる生産能力の膨張部分をボックスメーカーがシート購入で大きく引き受けて、この間の相互依存、合理化効果が段ボールメーカー・ボックスメーカー双方に大きな果実をもたらす状況となった。

このシート出荷の膨張は昭和48年の第1次オイルショックをも乗り越えて、平成8年の53億4、400万m2 までつづくことになるが、しかし、出荷のシェア拡大は昭和48年の48.0%がピークとなっている。つまり、好況の後に続く不況期になると、出荷の伸長率がより大きく落ち込む形で、数量は上述の通り平成8年まで拡大を続けながらも、平成9年、つまり橋本内閣による消費税引き上げ以降の不況の深化がボックスメーカーにより大きな打撃を及ぼした形となり、以後は数量的にも微減、1方の一貫消費は漸増を続けた結果として、出荷のシェアは平成8年に40%を割り込み、そして、今年は冒頭に述べた35%ラインを割り込むことがほぼ確実となってきている。

これは、製函企業により大きな逆風が吹いてきたことが挙げられる。第1に、バブル崩壊以来の不況つづきで、不況に対する抵抗力に問題のある企業が相対的に多かったこと、第2に、需要全体に多品種・小ロット化・即納化の傾向が一段と進み、これに対応して、小ロット化対応設備の開発が進み、これらを資本力に勝る段メーカーが積極的に導入したことによって、従来のボックスメーカーの需要領域が大きく侵食されたこと、第3には中小企業規模特有の後継者問題、その他の事情が浮かんで、高度成長期のような単純な拡大戦略がとれない環境に至っていること、などである。

ただ、段ボール需要の本質の中の、一貫メーカーとボックスメーカーとの棲み分けを必然とする基盤は決して消滅したわけではない。事実、経営内容の充実したボックスメーカーの収益状況は、決して見劣りするようなものではないし、景気が好転すると、先行するのはボックスメーカーということが、これまでの段ボール統計上からも確かめられている。そういう意味で、向こう10年単位での景気上昇すら観測される状況からも、出荷シェアの低下にも底入れが近づいてきた公算が強い。

平成18年は、年初に期待された需要の拡大が空振りというか、先送りになった形。この間の環境変化のカギを握るのが「加工食品」で、6〜7月がマイナスに落ち込むなど、1〜10月で前年比0.7%増に止まっていることが大きい。電器・機械は1.8%増と順調。天候不順によるシーズン需要の落ち込みと、その影響が、今年の不振の正体と見てよいようだ。