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戦略提携三社が共同記者会見 2007-3-10(第975号)

レンゴー(大坪清社長)、日本製紙グループ本社(中村雅知社長)および住友商事(岡素之社長)の三社では3月2日、帝国ホテルで共同記者会見を行い、昨年11月20日に締結した覚書に基づき、同日、「株式相互保有と業務提携に関する基本契約」を締結したと発表した。その目的としては、(1)三社の提携を核とする新たなリーダーシップのもとに、板紙・段ボール業界の国内基盤強化、国際競争力向上を加速させる、(2)提携シナジー効果の発現、重複投資の回避、(3)社会環境、生活利便性の向上などがうたわれている。

株式の相互保有については、提携関係をより強固なパートナーシップとするため、(1)レンゴーは2008年3月31日までに日本製紙グループ本社の発行済株式総数の3%を保有する、(2)日本製紙グループ本社は、2008年3月31日までにレンゴーの発行済株式総数の5%を保有する、(3)住友商事は、連結子会社の住商紙パルプ(株)が保有するレンゴー株式(発行済株式総数の1.5%)を日本製紙グループ本社に譲渡し、この譲渡金額に相当する日本製紙グループ本社の株式(0.6%相当)を日本製紙グループ本社から譲り受ける。なお、住友商事が日本製紙グループ本社に譲渡する株式は、上記の日本製紙グループ本社によるレンゴー株式保有に含まれる。

この提携に伴う具体的な実施項目として、既に合意されている事項は、以下に箇条書きにして挙げると、(1)板紙設備の共同スクラップ&ビルド(段ボール原紙を中心とする板紙の最適生産体制の構築)、(2)包装事業の包括的強化策(段ボール業界における新たな再編・アライアンスの共同検討、紙器・軟包装事業における包括的協力)、
(3)原材料の共同調達(古紙調達における総合的協力・協業体制の構築、諸資材・エネルギーの自製化を含めた有利調達への相互協力)(4)海外市場での共同事業展開(レンゴー・日本製紙グループ相互の拠点活用による海外事業・輸出の拡大、海外現地企業の共同買収・新規プロジェクト探索)、更に(5)その他(物流・研究開発と技術交流・人材交流・情報システム分野)として相互OEMによる交錯輸送の排除、共同研究開発プロジェクト探索・推進、生産性・品質・生産効率等の生産技術交流、労働諸施策・技術継承対策等の情報交換推進、情報システムの共同開発・EDI連携等の検討などが挙げられている。

三社は、以上の提携推進体制として、3月2日の基本契約締結と同時に、提携推進委員会を設置、また具体的な提携内容の立案、実行のため、提携委員会の下に分科会を発足させた。更に、今後の提携関係強化について、三社は今回合意した上記の内容を超えるより深い提携関係の構築が板紙・段ボール業界の発展および各社の企業価値増大に資すると判断した場合には、改めてその実現に向け誠意をもって協議することに合意している。また、今後の日程として、4月1日から順次、上述の提携項目の実施に入るとしている。

共同記者会見では、まず最初に住友商事岡素之社長、続いて日本製紙グループ本社中村雅知社長、レンゴー大坪社長がそれぞれ挨拶のあと、レンゴー取締役稲葉貴経営企画部長がプレゼンテーション資料をもとに詳細説明を行った。

住友商事岡素之社長の冒頭挨拶要旨は次の通り。
『私ども三社は昨年11月20日のアライアンス発表以来、具体的提携項目の検討を進めて参りましたが、今般、その内容がまとまり、本日、三社間で株式相互保有と業務提携に関する契約を締結しました。業務提携の内容は、その趣旨からしてメーカー二社間の戦略提携が中心となっていますが、住友商事もこれを全面的にサポートさせていただきます。総合力をフルに発揮し、戦略パートナーとしても役割を果たして行く所存です。そして、本アライアンスの推進を通じ、レンゴー、日本製紙グループ本社の両社とは、ますますの良好な関係を深化させていただきたいと考えております。私からは、以上です』。

日本製紙グループ本社中村雅知社長は、会見の席上配布された「戦略提携契約締結について」と題する上記内容の資料を読み上げる形で説明した。

つづいて、レンゴー大坪社長が要旨次のように語った。
『先ほど岡社長からお話がありましたように、11月20日に覚書に調印いたしまして、約3カ月経ったわけですが、この間、お互いに切磋琢磨して内容をチェックしながら、提携についての検討を進めて参りましたが、いま、中村社長からお話がありましたような内容で、先ほど提携契約に調印しました。これは完全締結ですので、契約を締結したということです。
板紙・段ボール業界は、日本に誕生して今年で98年になります。なぜ98年目になるかといいますと、この板紙・段ボールというのはレンゴーの創業者である井上貞治郎氏が日本で初めて段ボールを生産したのが1909年ですから、数えてみると98年になるということです。私が社会人になって、この業界にタッチしだしたのが1962年ですけれども、1960年前後の日本の段ボールの生産量は10億m2ぐらいでした。それが1970年、つまり10年経ったところで50億m2、更に10年経った1980年には80億m2、更に10年経った1990年には120億m2と、この10年間では約40億m2の増加だったわけですが、1990年から2000年にかけて増えたのがわずか10数億m2、更にいま現在は、138億m2ですから、毎年の成長率というのが明らかに低下している状況です。

つまり、日本の板紙・段ボール産業というのは、完全な成熟産業になったということですから、この成熟産業の中で生きているわれわれが、どういう形を整えて行けば、サステーナブルな成長が維持できるかということになってくるわけです。
その辺のところを検討して、今回の提携を結んだというのが大きな理由ですが、もう一つは、やはり世界のマーケットを見たときに、例えば中国と日本の1995年を比べてみますと、中国の段ボール生産量というのは、日本の3分の2ぐらいしかなかったわけですが、2001年に中国が日本を追い越して、いま中国の段ボールの総生産、あるいは段ボール原紙の生産量で言った方が分かり易いでしょうが、2006年で日本の原紙は950万トンぐらいですが、中国は実に2,500万トンになんなんとするというぐらいの段ボール原紙の生産量になっております。もう、圧倒的に、日本はビハインドしているわけです。

また、世界全体で見ましても、世界の段ボール総生産量は1,570億m2ありますが、そのうち日本は138億m2、中国はもう日本の倍以上、200億m2を遥かに超えているという状況で、この板紙・段ボール業界をとってみても中国に圧倒的に凌駕されているという状況でありますので、世界のマーケットの中で日本の板紙・段ボール産業をどう活性化して行くかということを、もう片っ方で考えなければならないというところから、今回の提携を実行したということです。

実は3月14日からオーストラリアのシドニーで、世界段ボール協議会ICCAと世界段ボール原紙協議会WCOの合同会議が行われますが、私は世界段ボール協議会の会長を務めている関係上、それを取り仕切らなければならないわけですけれども、非常に残念なことに、世界段ボール原紙協議会WCO、ワールド・コンテナーボード・アソシエーションに出てくるのは、日本からはレンゴーだけなんです。日本に幾つかの段ボール原紙メーカーがあるわけですが、そういう協議会にすら加盟していないという、私から見れば非常に情けない状況ですが、そういうのを、レンゴーがリーダーシップをとってやってきているわけです。

世界に伍して戦って行くためには、ある程度のスケールがないと戦えないということもありまして、今回日本製紙グループと本格的な提携に入ることを決めました。日本の状態と世界の状態から今回の提携を結んだというのが、私どもレンゴーの基本的政策であります。本当にこの三カ月間、色々検討して参りましたけれども、無事調印できたことを私自身、非常に喜ばしく思っております』。

このあと、レンゴー稲葉貴経営企画部長のプレゼンテーション資料をもとにした詳細説明につづいて、質疑応答が約20分行われた。

——シナジー効果18億円の内訳をお聞かせ下さい。

(稲葉)内訳を簡単にご説明申し上げます。原材料の共同調達3億5千万円、これはレンゴーがまるまるメリットを受けるであろうと想定される部分です。古紙調達交錯輸送の排除は古紙のバーターで輸送コストが少なくともこの程度削減できるという線です。共同スクラップ・アンド・ビルドの10億円は、当社と日本大昭和板紙さんが、あるマシンを想定して、これを休転した場合に固定費がどのくらい削減できるか、ざっと見て、少なくともこのくらいの数字が出てくるという意味です。

それから、相互OEMの4億円は、月々の物量が大体、すぐにも1万5千トン程度出てくるだろう。これを運賃メリットをキロ幾らという前提で計算すると、ここに4と書いてありますが、大体8億ぐらいは出てくるけれど、全部、OEMになるとは思えないので、半分をそうした場合に、このくらいの数字が出てくるだろうということです。これは、非常に底堅いというか、このくらいのものはすぐにでも出てきますということです。

——各社別に、レンゴーは何億、住商は幾ら、日本製紙は何億でしょうか。

(稲葉)住商さんのところは、まだ算定しておりません。レンゴーが11ぐらい、日本製紙が7から8ぐらいのメリットがあると考えております。

——大坪社長は以前、三社提携のシナジー効果は出さないと言っておられたと思うんですが、敢えて出された数字が少し小規模じゃないかと思います。地域別の生産体制の共同再構築とか、相互の設備活用による生産集約の具体化、投資の抑制効果など、中長期的にはもっと潜在的な効果を想定されていると思いますが。

(大坪)あなたが言われた通り、私はこういう提携の時に、各社がすぐ800億浮くんだとか、1千億浮くんだとかといった数字を発表しておられますけれど、本当にそうかな、こうやって提携するときに、そんな数字を言えるはずがないんで、出さないと言っていたのですが、委員会の方が何か作らなくてはいかんというので、まあ、こじつけで作った数字です(笑い)。
私がねらっている提携というのは、冒頭に申し上げた通り、本当に長期的に見て、日本大昭和板紙の上の日本製紙グループ本社とレンゴーが本当に提携、或いはそれ以上のアライアンスが出来たら、日本の板紙・段ボール業界がもっと安定して行くだろう。安定することによって、両社が享受できる数字というのは、いまここで言えといわれても言えないぐらいの、例えばレンゴーの経常利益が年間二百数十億出しているとしたら、それから日本製紙グループ本社のうちの日本大昭和板紙が出している数字が、これは非常に残念だけれども、王子板紙に比べて本当に少ないわけです。だから、これが王子板紙に匹敵するぐらいの数字になってくれば、両社を合わせて年間で、それなりの数字が享受できるんじゃないかということです。

——例えば、日本製紙グループで、製紙工場のボイラーの転換などで60億から100億ぐらいの投資をされていると思うんですが、これでも中長期的には100億ぐらいの効果が出てくると考えてよろしいのでしょうか。

(中村)いま、大坪社長が言った通り、中長期的にみれば爆発的に出てくるかも知れないし、アライアンスのやり方だと思うんです。このプレゼンテーション資料にもあるように、いつの時点かによって、アライアンスがどういう形で強化されて行くかによって、大分変わって来るんじゃないかと思っております。

——中村社長におうかがいします。大坪社長が言われたように、王子板紙はこんど、経常利益が200億近く出るんじゃないかと思います。日本大昭和は70〜80億ぐらいという予想がされているようです。この原因はどこにあるのかということで、一つは立地条件の問題、その他色々あるでしょうが、今回の三社提携を通じて、日本大昭和の経常利益が王子板紙にキャッチアップできるかどうかなどについて。それと、もう一つ、日本トーカンパッケージについてお聞かせいただきたいのですが。

(中村)王子板紙に並ぶぐらいまでというのは、いつまでとは言いませんが、それなりのことを一つひとつやって、キャッチアップするということです。それから、日本トーカンパッケージについては、日本トーカンパッケージと当社とレンゴーさんが一番メリットのある方向付けを今日からスタートしようかな、という風に考えております。

——日本トーカンパッケージについて、大坪社長に同じ質問ですが。

(大坪)これは同じでしてね。いまの段ボール業界全体を見渡して、日本トーカンパッケージの内容というのは決して良くない。東洋製罐グループの中でもマイナスの会社だと思うんですが、この会社を、いまの形で維持されても、なかなかうまく行かないのではないかという風なところで、レンゴーが応援できる場面があれば、レンゴーの持っているノウハウ、レンゴーの持っているテクニック、レンゴーの持っている人材等々までを対象にしながら、支援できるような体制が出来上がれば良いなという風に思います。