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10数年ぶり猛暑到来 需要全般に活気戻るか 2007-08-15(第988号)

「10数年ぶりの猛暑」というような気がする。と言って、今年と同じような猛暑がいつだったか、確かな記憶はない。ただ、随分しばらく、これほど毎日、青々と晴れ上がった炎天がつづいた記憶がない。段ボール業界の景況と天候条件との因果関係はかなり深い。というのも、段ボール需要のほとんどが何らかの形で「お天気銘柄」だからである。飲料や電気製品を筆頭に、青果物、薬品・化粧品、あるいは各種の雑貨、繊維製品など、段ボール統計上の主要項目が全て「お天気銘柄」といえる。活気が戻る年になりそうである。

本紙が最近、取材で聞いた話を書いてみる。段ボール業界が、これまでの"失われた10数年"の結果、何がどうなったか、どうなっているかを切実に示していると思うからである。

ある人、段ボール工場の現場で活躍する人物とお考えいただきたい。本紙が昔の話を色々しているうちに、彼はこう語った。「もう何年も、10年、多分20年近いかも知れないが、自分は全く新しい機械に触っていない。会社ではこの間に何度か、古くなった機械を新しいのに入れ替えて合理化をしようということが決まって、機種の選定とか、色んな下準備をしました。ところが、機種の選定も終わり、予算も取ってさあ発注という段階になると、いつも邪魔が入った。原紙が上がるという話が持ち上がって、どうするかとなる。そして、いつも、この際もう少し様子を見るかという結論になって、そんなことが二度も、三度も繰り返されて、結局、もう20年近くも新しい機械に触っていないんです。古い機械を何とか保たせていまでもやっています。新しい機械に変えたら色んなことが出来ることが分かっていても、それが出来ない。本当を言うと、メーカーがどことか、機種はどうとか、そんなゼイタクは言わない。何でも良いから新しい機械が欲しいんだが、また原紙が上がる、段ボールも値上げだという。今度は、良い方向に向かうのでしょうか」と。

取材に出掛けていって、こういう話を聞いて、ある日また、全く別の場所で、これとそっくり同じ話を聞いた。こんどは数人の会話を偶然そばで聞いたわけである。新しい機械にもう何年も触っていないことも同じなら、新しい機械ならいまの機械の何倍も時間を短縮できるから、残業を減らせるとか、そういう話題にお互い共感して、それぞれの事情を語る場面だった。

段ボール生産の現場ではそのように「新しい機械」に恋い焦がれている状態なのに、機械メーカーのもとには相変わらず思うようには注文が上がってこない。段ボールは手で作るわけには行かないから、合理化を進め、企業の体力を強化して、産業全体の活性化につなげるためにも、古いマシンを新しいマシンに置き換えるなどの過程は当然の生き残る道だけれど、その連鎖が止まって既に10数年というのが現実である。

ただ、上述のような厳しく悲しい事態から、こんどこそ何とか脱出するチャンス、その第一歩が踏み出せるのではないかという予感が新たに生まれてきており、その雰囲気が、同時的に業界全体に広がりつつあるようにもみられている。

平成19年の前半戦が終わって、いまこれから後半戦が始まるところだが、いわゆる過当競争、大手も中小も無差別的な足の引っ張り合いを、ここではっきり止めようという強い意志が、業界の風となって吹き通り始めていて、日増しにこれまでの悲観的気分が薄れつつある感触である。

そうした折柄の猛暑復活だが、振り返ると、段ボール産業が起死回生のように立ち直った時期は、いずれも夏場が猛暑、干天の年であった。そういう意味でもだが、上述の挿話が雄弁に物語るように、大手も中小も区別なく、設備投資すら出来ない状態に陥っているわけだから、ここからの反発力、反転のエネルギーがいわば溜まりに溜まった状態であって、今度こそ加工賃値上げを中心とした価格回復が実現するだろうと期待されるわけである。

もう一つ。何よりも必要な条件が「物価」である。段ボールは商品そのものではなく、包装というサブのものだから、主となる商品価格が不動だと、動きようがない。これまで10数年はデフレだったが、いまは、少しずつ物価が動き始めている。そういうチャンスも重なって来たようである。