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加工賃値上げ中盤、最後の詰め「水と青果物」 2007-09-30(第991号)

今回の段ボール製品値上げは、加工賃アップを主体に、段ボール業界の大中小企業が史上初めて一枚岩になった戦いともいわれるが、毎度同様に"苦戦"が伝えられる一方、いってみれば、これまでの業界の通弊とされた「最初から逃げ腰」の姿勢が完全に消えて、終始前向きの情勢展開になっているようだ。最初、9月末期限が強調されたものの、相手次第の交渉ごとだけに、日にちのかかることは当然で、大方の流れとして10月いっぱいで個々の交渉を完了の上、11月の飲料水、青果物の結果待ちで最終決着の予想といわれる。

折しも、福田内閣が国民の信頼回復を目指し"全員野球"を旗印にスタートしたが、段ボール産業界も、ある意味では似通ったところが多い状況で、最近数年間の統合大手のリーダーシップ不在とか、特に飲料水の極端な入札価格問題が直接的に過去二、三年来の段ボール価格交渉失敗に重大な影響を及ぼし続けてきたこと、更には青果物関係や特定大手ユーザーに対する指定紙の特値、キックバック問題などが、最近の全ての情報開示を要求する時代の流れとのギャップを際立たせる傾向を一挙に強めており、そういった「過去の清算」が今回の場合、価格問題と折り重なるような形で、業界表面に大きく浮かんできているのも現代的な特徴となっている。

値上げ幅の大きさは、オイルショック以来のこと。m2あたり15円ベースを確保しないと、直接、経営破綻を来しそうな因果関係で、昭和54年から30年ちかくもの間、極端にいえば値下がりの経験だけで、値上げを完遂した経験が段ボールサイドになく、逆にユーザー側にはm2当たり5円といえども値上げを容認した経験がないわけだから、「話にならない」といえば、正にそういう事情。

従って、段ボール側もユーザー側も、はじめから戸惑い型の交渉スタートだったが、事態の深刻さが次第に双方に浸透しつつあることと、ユーザー自体がいわゆる"バイオエネルギー・ショック"及び"オイル・ショック"の直撃を受け、ちょうどこの10月ごろから一斉に製品値上げに動き出したこともあって、最初の「話にならない」段階はすでに通過して、「15円では高すぎる」ことへの応対の第二段階が目下の焦点となっていると見られる。

ただ、段ボール側にも後ろに下がる余地はない。このためセールス当事者にとっては、会社とユーザーと板挟みになった深刻な毎日が続いている状況だが、今回の交渉結果がどうかということと同時に、製品価格問題の根底にある原料古紙事情からすると、こんどで万事解決の保証が何もないこともあって、なおさら妥協が難しい情勢にもなってきている。

つまり、いまや世界の製造工場となった中国では、特に商品包装用の段ボール原紙の需要増大に対し猛烈なスピードで増産を拡大しており、このため世界中から原料古紙を買い集めて、古紙価格を高騰させ、世界中の製紙会社に甚大なダメージを与えつつある状況。一方では、日本の場合は過去、昭和55年に段ボール古紙価格がキロ60円を越えた時期があったが、当時は今回のような中国要因は何もなかったわけで、勿論、当時のような極端な事態の再発はないにしても、少なくとも現状以上の古紙高騰、同時に段原紙及び段ボール価格の値上げも付随して起る可能性は否定できない。

それと、先述の情報開示型社会への移行で、これまでの歴史的な経過を持った特別価格すらも許容されなくなってきたこと。つまり、その特例を残すと、全部の価格に跳ね返る経済社会に段ボール産業も移行してしまったということで、飲料水の入札価格や、青果物包装の木箱から転換以来の歴史ある指定紙価格制度にも情報開示が迫られ、大手原紙メーカーが一切特別扱いはしないことを再三確約しながら、今回の激烈な加工不況下の原紙再値上げを遂行してきた経緯である。

そして、現在の情報開示型段ボール産業では、通常パターンの対ユーザー交渉の、そう大きな取引関係でなくても、超一級の取引関係の最終結果がどうであったかによって、いつでも交渉が巻き戻されそうな傾向が指摘されている。

つまり、11月の飲料水や青果物の交渉の決着までにそれぞれの相手先との価格の詰めを済ませておかなければ、11月の最終決着時に置いてけぼりを食う公算が強いと同時に、先の最終合意を得た交渉結果すら、主として一貫大手製紙の飲料水、青果物の結果次第との観測が一般となっている。