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通算で平方m当たり12円/加工能力逼迫めだつ 2006-02-28

平成18年1月の段ボール生産速報が別表の通り、9億6,975万5千平方m、前年同月比3・2%増と発表された。10数年に及んだバブル崩壊後のデフレ型長期不況から日本経済が漸く脱出、これから10年単位での長期好況軌道に移行してきたと各種指標から指摘されているが、段ボール関連業界においても、そうした外部的な好況循環に対応する内部的な構造問題の全てで、業界始まって以来尽くしの大改革が進んだあと、現在の局面を迎えており、好況の”受け入れ態勢”も万全の形となっている。

段ボール関連産業は、過去に、日本経済全般の好況とはウラハラな不況に悩み抜いた歴史を繰り返してきた。そして、そうした”内部要因的”な不況循環をいつも生みだしてきたのが、素材の段ボール原紙部門の構造的な脆弱性で、常に過剰能力を抱える一方、慢性的に財務体質が不全という状況があって、値上げのあとは決まって暴落の繰り返しであり、加工部門の段ボール業界、企業は、そうした段ボール原紙のアップダウンの”サヤを取る”形での経営を余儀なくされた。

だから、今は昔のバブル時代にも、段ボール業界が好況の恩恵に浴したのは、いわばバブル期最後のごく短い期間でしかない。そういう構造的内部不況を演出し続けた段ボール原紙メーカーが、バブル後の不況の中で、相次いで合併・統合によって姿を消し、結果として、往年の慢性型不況体質が根底から消滅する形となっている。

平成13年及び15年と合わせてキロ15円の段ボール原紙値上がりのあと、原紙の価格は一度も下落していない。もう既に5年が経過したわけだが、原紙が上がって、下がらない状態がこんなに長く続いたことは過去の歴史にないし、今年は四月から、更に世界的な環境変化の中での原燃料コスト上昇を受けて、キロ5円アップの”新価格体系”への移行が始まる。

過去5年は、段ボール価格面でも、従来の上がれば必ず下がる循環とひと味もふた味も違った展開となってきた。ケース価格は上げ渋り、シート価格は常に部分的な軟調気配ではあっても、値下がりと言うほどの現象は、5年間に一度も生じていない。これも業界始まって以来のことである。

そして、本来なら年初の1〜3月は閑散期で、段ボール工場のコルゲータ、製函設備の稼働率が大幅にダウンする時期だが、現在はどこもみな繁忙状態で、それも全く様変わりの状況を呈している。

結局、これまでの長期不況下で設備投資がほとんど行われず、新規投資による設備能力の更新が進まなかった上に、年々急速に進んだ小ロット化の影響で、段ボール工場はどんな設備も生産効率の悪いセット替えに追い回されるばかりで、最後に残された設備余力を吸収し尽くされており、これも結果的にだが、昨年後半の「2%台」乗せと同時に、全般的な生産能力の逼迫化時代に入りつつある。

段ボールメーカー段階の系列化の進行の一方、ボックスメーカー段階では、最近の、特に平成9年以降の倒産・廃業の続出で企業数が激減、以前に3,000社と公称された事業所数が、推定では1,000社内外にまで減ったと見られる。ボックスメーカーの企業数の減少は、特に下請専業形態の企業の減少が目立ち、これは下請仕事の発注元が不況を背景に自社内に下請仕事まで取り込んだ結果だったが、景気が一巡して、また小ロット化の影響で余剰加工能力が吸い尽くされた結果として、以前の下請発注元が再び外注先を増やそうとしても、引き受けてくれる下請事業所自体が消滅してしまっている状況となった。

また、段ボール箱の製造には、付属・内装類を合わせ非常に雑多な種類の機械設備が必要で、最新鋭のコルゲータとフレキソグルアがあれば年間137億平方mが生産できるわけではない。主要部分は多分そうとしても、それ以外の主要部分を造る事業所を支えた、つまり段ボール機械メーカーの非常に多くの企業数が、破産によって業界を去り、破産は免れていても、経営的・財務的に以前とは大きく異なる環境に苦しみ続けている。

従って、景気の持続的上昇によって、段ボール需要が3%台の軌道にまで上昇となっても、小ロット化でがんじがらめに手足を縛られた生産設備能力が、早急に回復できる可能性は非常に少ないと観測される。

いずれにせよ、4月から段ボール原紙、段ボールシート・ケースの”一斉値上げ”が始まるが、特に段ボールシート・ケース価格の値上げ問題について言えば、今回はいわば”三度目の正直”の形となっており、企業規模の大・中・小に関係なく値上げ交渉に突進、流れとして「段ボールが上がった」実感が社会的に吹き渡る形となってきそうだ。

平成13年から起算して累計キロ20円の原紙価格上昇は、単純計算で平方m当たり12円に達する。これは社会通念としても常識的な算術だから、まだ3円しか上がらなかったところは9円、5円のところは7円という裏も表もない話になるし、また、俗に「段ボール値上げは3カ月かかる」と言われる一般常識が、今回は、記録的な短期浸透で覆されることにもなりそうだ。

そして特に、段ボールメーカーが従来手法でシート値上げだけで問題を先送りしようとしたら、コスト構成から見て 、もはや命取りになりかねないだろう。そういう全ての要素から見て「段ボールの最終価格が本格的に上昇する時期」を迎えたと言えるようである。