特大


海外取材報告

パリ、ブダペスト、ロンドン

ロンドン

アッシー・ドーマン社ノーザンプトン工場で稼動する三菱H型コルゲータ 左:ケビン・ニケルさん 右:ニール・オスマンさん

「三菱重工コルゲーテッド98視察団」の一行40名は、ドナパック社(ハンガリー)につづく訪欧第2番目の段ボール工場見学として、6月2日、英国ロンドン郊外のアッシー・ドーマン・パッケージング社ノーザンプトン工場を訪問した。当日は、訪欧中初めて降雨に見舞われた日で、翌日のやはりロンドン滞在中に時おり小雨がぱらついた以外は、全て真夏のような太陽の照りつけるホットな日々だった。一行は、翌々日ドーバー海峡横断の「ユーロスター」でパリに移動、「コルゲーテッド98」展を参観して6日帰国したが、その後のヨーロッパは、気温13度以下の雨天の日々が続いたようで、天候にも恵まれた旅であった。

アッシー・ドーマン社は本社がスウェーデンのストックホルム市で、1994年にアッシー社、ドーマン社、及びNCB社の3社が合併してできた大企業。
スウェーデン国内ではSCA社(スヴェンスカ・セルローサ)、ストラ社、モド社に次ぐ第4位の製紙メーカーである。
パルプ&ペーパー・インターナショナル誌の「世界紙パルプ企業トップ150社」によると、1996年のアッシー・ドーマン社の売上高は22億5、220万$で世界ランキング第31位、連結売上高では26億20万$で同36位、また96年の生産量は、市販パルプが24万3千t、紙・板紙140万5千t、加工品105万5千tで、事業国数は12カ国、従業員総数15、618名となっている。
日本の企業では、同年のレンゴー単独の売上高が24億2、500万$で世界ランキング第29位(連結売上高31億140万$で第32位)だから、売上高規模は、ほぼレンゴーに近いと思えばよいようである。また、日本製紙連合会の資料によれば、合併前のアッシー社は、市販パルプおよび板紙の生産・加工が中心で、クラフトライナーの大手メーカーだった。

一方、ドーマン社は、スウェーデン国内での森林所有面積が国内トップという林産品メーカー。国内の商材林の14%を所有していたが、製紙部門を持たず、アッシー社の利用する木材の35%を供給する関係にあったという。
従来から緊密な関係だったこの両社が合併して、その後、市販パルプと紙袋用クラフト紙を主力事業とするNCB社を買収、現在の体制に至っているが、合併後の事業分野は、包装用紙、紙包装事業(段ボール・紙袋)、高品質製材品に特化して、着実にこれら分野で地歩を固め、専門色を濃くしている。
特に、335万ヘクタールに及ぶ広大な社有林面積は欧州上場企業のトップ。このため、全製造工程にバージンファイバーを投入できる利点を活かす経営方針をとり、古紙系繊維原料は市場のニーズを満たす場合に、バージンファイバーを補完する形で利用するとしているのも大きな特色。
事業の海外展開は、ほぼ欧州の全域。かつ近年は、チェコをはじめ東欧諸国への展開も進めており、従業員の半数はスウェーデン国外で就労している形。
経営機構は、分野別に森林・製材、パッケージング(段ボール原紙・段ボール箱)、クラフト・プロダクツ(市販パルプ・クラフト紙・紙袋)、カートン(液体包装用板紙・紙器用板紙)、バリアコーティング(プラスチック塗工紙・板紙)の5つのグループに分けられている。
このうち、パッケージング部門は、アッシードーマン社全体の売上高の約25%を占め、林産品(35%)に次ぐシェア。
さらに、95年の「パッケージング部門」の地域別売上高順位では、英国が全体の24%で1位、次がドイツの16%、以下、スウェーデン、デンマーク、ベネルックス諸国、イタリアなどとなっており、そういう事業状況の中での「アッシードーマン・パッケージング社ノーザンプトン工場」だったわけである。

ロンドンのホテルをバスで朝8時にスタート、1時間半ほどでノーザンプトンのアッシードーマン・パッケージング社に到着した。だが、しばらくの間、バスの中で待たされた。というのも、どうやら、一行を歓迎するために、コルゲータの操業を一旦中断して、清掃やその他、いろいろと歓迎準備を進めていた様子であった。一行の到着時間がもっと遅いという判断だったのだろうと思われた。
実は、あとで撮影した写真の1枚に、稼働中の三菱コルゲータのスピード表示が写っている。「アクチュアルスピード233m、アベレージスピード18m」となっていた。コルゲータはたったいま、稼働したばかりだったようである。
また、工場見学後に、ゼネラルマネージャー兼工場長のニール・オスマンさんから聞いたところでは、同工場のシフトは朝6時〜午後2時、午後2時〜午後10時、午後10時〜午前6時ということだった。

「4直3交代制」の24時間操業である。スウェーデン本国の製紙工場と同じシフトなのだと思われたが、以上の事情からすると、朝6時からスタートアップした組が、一旦、操業を中断していたことになる。それだけ一行は敬意を表され、丁重な歓迎を受けたのだと思われた。
最初に、コルゲータ専門の技術担当マネージャー、ケビン・ニケルさんから、「私が三菱コルゲータの新しい技術の研究を専門に担当しております」という表現で、自己紹介があった。工場内の案内は全てニケルさんだったが、生憎、工場内の写真撮影はコルゲータだけ。製函部門の方は、撮影を遠慮してくれとのことで、だから、この紙面にも製函工程の写真はない。

会社の概況については、ゼネラルマネージャーのニール・オスマンさんから、次のように説明された。
『この工場は、1975年に創設されました。この工場では、最初は特に船舶及び航空機の部品類の包装に使用する段ボールを中心に生産してきました。その後、様々なユーザーの様々な用途の段ボール需要の開発と、技術の革新を行ってきました。
私どもの会社は、ヨーロッパ全域に事業所を展開しておりますが、その中で、この英国だけについてみますと、コルゲータ部門としては、ノーザンプトンと、イエート、及びステールブリッジと、合計3カ所に工場があり、相互に情報交換・技術協力をしながら運営されております。
そして、英国の段ボール業界の中で、私どもは第1位の、リーディングカンパニーの地位にあります。
特に、私どもとして自負しておりますのが、食品・飲料のユーザーから大きな信頼を得ていること、またスーパーマーケット等の小売業界の関係にも、確固とした需要基盤を確立していることです。
それから、納期の確実・迅速なことや、工場内のノーストック、つまり在庫を常にゼロにした工場運営、またセブンデイズ・サプライ、お客様への年中無休の供給が出来ることも、当社の誇るところです。
英国の基準でハイジーンhygene(衛生法)に基づく非常に清潔でクリーン度の高い段ボール品質であることを誇っております。ハイ・ディペンデンシー、高い信頼性を得るための、清潔で品質の高い段ボールを作ることが当社の最大の目標です。また、私どもは独自にお客様とパートナーシップを組んで、いろいろな商品の開発、事業の革新に努めております。パートナーシップとしては、私どものグループ、及び異業種との提携関係を通じて、業界の革新に努めております。
パートナーシップの点で付け加えますと、いま英国の工場基準で、工場内の騒音対策としての耳栓、ダストを防ぐための衛生帽の着用、それに、この紙製の上着の着用を実施しておりますが、われわれ自身の衛生問題は勿論、ユーザーなどのお客様が来られても、われわれがこういう衛生対策を徹底的に行っていることによって、更に信頼が得られる結果となり、営業面からも効果のある実践だと思っております』。