特大


海外の製紙、段ボール動向

ホーム > 海外の製紙、段ボール動向 > 中段工海外研修報告書から

中段工海外研修報告書から 2008-04-15(第1004号)

チーム一行チーム一行

中日本段ボール工業組合では2月2日〜6日の旅程で恒例の幹部社員海外研修を行った。第14回海外研修の今回はタイ王国(バンコク)を訪問先として、高橋秀治副理事長(日本紙工業(株)社長)を団長に、事務局を含め14社、32名の参加で実施した。一行は2月2日午後2時45分名古屋空港発JAL便で出発、同7時20分バンコク到着、翌3日(日曜)は世界遺産アユタヤ遺跡を見学、そして4日はタイコンテナーズ社、5日はデンソー・タイランドを見学し、同日の深夜便で6日朝帰着した。以下、同研修報告書から一部を要約、お伝えする。

タイ国の面積は約51万4千km2で日本の約1.4倍、人口は約7千万人。立憲君主制で元首はラーマ9世である。またタイの民族構成はタイ族が75%、華人が14%、その他11%といわれる。宗教は仏教徒が95%、そのほかイスラム教が3・8%、キリスト教1%、その他0・2%という。

2月2日(土曜日)14時45分に中部国際空港を発ち、19時20分バンコク新空港に到着。日本からのフライト約6時間でタイに着くと気候が熱帯で暑く感じた。バンコクはタイ随一の大都市(人口約800万人)、1782年にこの地に遷都されて以来大発展し、見上げれば高架道路及び高層ビルが林立している。しかし、まるで未来都市のようなその景観の下には、渋滞する道路と行き交う人で混雑、そして露店の波が続く。

2月3日(日曜日)は世界文化遺産に登録されたアユタヤ古都遺跡の視察。1350年から417年間にわたり35代の王がこの地でアユタヤ王国の歴史を築いた。しかし、たび重なるビルマとの戦いを経て、1767年にアユタヤは陥落する。ビルマ軍の手によって建造物の多くは徹底的に破壊された。仏寺、王宮跡に行くと、顔のない仏像、途中から崩れ落ちている仏搭、土台だけが残された寺院が多く、残念でした。

タイから見ると、日本は大切な輸出国で、輸出先の第2位に位置します。多くの日系企業がタイに投資しています。その関係で、町で見かける乗用車の93%は日系メーカー、それもかなり年式の古そうな車が走っています。現在、約5万人の日本人がタイに滞在しており、さらに世界で1、2を争うという日本人学校があり、一校で2,200人もの日本人小中学生を抱えているそうです。日本の皇室とタイ王室は良好な関係で、昨年も天皇、皇后両陛下がタイを訪問されています。また秋篠宮殿下も数回訪問されているそうです。

最初の訪問先タイ・コンテナーは、レンゴーの系列会社です。当日は、レンゴーから赴任している山崎氏にお会いし、マーケティング担当の佐田さんが説明役、設備担当の竹末さんがプロジェクター担当でレクチャーして頂きました。ところが、このお三方が顔をそろえるのは、月に1回くらいのことだそうです。説明の場には、タイ人の本社マーケティング担当(女性)、製造担当の2名も同席されました。以下は、佐田さんにご説明頂いた内容です。

レンゴーは、1990年12月にサイアムセメントと合弁を開始した。当時は2工場でしたが、現在は8工場まで拡大しています。年1回程度、大坪社長も視察にこられるとのことで、両社の関係は極めて良好です。

サイアムセメントは売上高8千億円、従業員数2万名のタイを代表する王室系コングロマリットで、主な製造品目はセメント、建材、石油化学製品、パルプ・紙製品など。ビジネスパートナーには、クボタ、TOTO、凸版印刷などが挙げられます。最近のトピックとして、レンゴーとベトナム(ホーチミン)での製紙事業を共同で立ち上げる計画で、2009年に生産開始の予定。資本金1億1千万円、株主構成はレンゴー30%、サイアム・パルプ&ベーパー社が70%、設立年月日は1990年12月となっています。

タイの段ボール市場は、日本の約5分の1の26億m2。青果物用段ボールの国内需要は少ない(輸出用はある)。背景として、輸送距離が短いため、ピックアップトラックに直積みしていることがある。タイコンテナーズの売上高は400億円、生産量8億m2、従業員1,500名(日本人は3名)、工場数は8工場。バンコクから200km圏内に7工場、残り1工場は南部にあり、水産加工用。これもバンコクに経済が集中している証拠です。タイコンテナーのコルゲータ保有台数は全部で11台、シェアは30%を占め、タイを代表する段ボール会社です。

主要ユーザーは東芝(冷蔵庫、洗濯機、エアコン)味の素(飲料)ライオン(洗剤、歯磨き粉)ダイキン(エアコン)ユニチャーム(おむつ、生理用品)シャープ(冷蔵庫、電子レンジ)ソニー(テレビ、カーオーディオ)などとなっています。タイコンテナーズ(TCL)は、1971年に設立され、1983年にバンコク(ナワナコン工場)へ。7,700m2の敷地の1/3はオフィス、1/3は工場、1/3は新工場建設用地で、1990年にレンゴーが出資、1991年からレンゴー社員が常駐しています。

生産能力は51,600トン/年(600g/m2当たり)です。タイでは、生産量を平米ではなく重量で表示されるとのこと。売上高は1億1千バーツ。従業員数は270名。コルゲータは三菱重工製、最大スピード235m/分×2200mm幅、B、C、BCフルートで、糊はタピオカ澱粉100%(コンスは使っていない)。製箱工程は印刷機が3色115インチ(三菱重工製)、3色80インチ(三菱重工製)、2色140インチ(TCY=台湾メーカー)のジャンボと、FG3色115インチ、ハマダ製のミネルヴァのフルパージョン(215枚/分)、更に3色100インチの三菱重工製サミット、2色100インチ三菱重工製サミット、2色84インチ三菱重工製フレキソ・ロータリー・ダイカッタ、及び2色125インチのワード製のものと、3色110インチのマルタン製(一昨年設置、飲料用ラップラウンド用)、またプラテンダイカッタは1600のボブスト社製2台となっています。

この説明タイムに10分ほどの、会社紹介ビデオが撮影されました。余談ですが、このビデオのナレーションは少なく、イメージビデオのような印象でした。また、キーワードを適宜、字幕で入れているのは効果的に思えました。このビデオ映像で気がついた点として、ストレッチフィルムは、ロボットで巻いていること。原紙はクランプリフトで運搬しており、原紙搬入装置が取り付けられていました。

ビデオ上映のあと、工場見学をさせて頂きました。同工場では100%自社製の原紙を使用しており、原紙にはビニールバンドが掛けられている。、シングルフェーサ(CF、BF、DF)は防音されていました。CFは5名、BFは4名、DFは1名で作業をしていました。端数原紙には、原紙に付けられていたラベルをそのまま利用して貼っていました。機械は左勝手、管理装置はΣ2000。熱盤は当社の1.5倍くらいの長さがありました。見学時は229m(ライン速度)で運転中。スリスコは57H-Ⅲ(この部分は機械の銘版が見られた)。シートは結構、反りが見られた(ツイスト反り)。ローラーコンベアのピッチは割と狭い。シートの下は、ベニヤを敷いている。他に、段ボールシートにプラスチックボードを貼ったものも使用されていた。

製造ラインに識別表示をしている(A1、A2)、通路は全体に広い。原紙置き場は、コルゲートラインのすぐ横にあるが、天井の梁にパトランプがついており、リフトがそこで作業している時は回転していた。フレキソダイカッタは4名で運転。古紙のダクトは天井近くを通らせていて、一見、当社の場合より径が小さいように感じた。また、防音材を巻いているように見えた(実際、会話には困らなかった)。FGでのスロット・カスは、コンベアで古紙ダクトへ投入していた。ボブスト製打抜機は給紙1名、後取り6名で手積みしていた。後取りは、ラインが長めにしてあり、前と後ろの2か所で積んでいた。

ハマダの機械は最大スピード250枚、セット時間8分と表示されていた。各ラインに「TPMアクティブボード」という掲示板があり、その日の計画、前日までの実績、改善活動やその効果が項目ごとに張り出されていた。印刷図面は、A-3サイズの大判を使用していた。工場見学から戻った後、質疑応答が行われた。以下がその内容です。

(問)コルゲータのシフト体制は?

2直で休憩時間1時間、22時間で21〜22万mを貼合。1時間当たり1万m弱です。

(問)印刷機のユニットに顔写真が貼ってあったが?

TPMの一環で、機械のその部分をだれが担当するのかを明確にしている。

(問)労働災害の状況は?

赤チン災害までカウントしている。現在、6か月無災害中。

(問)ライナの比率は?

紙幅は2インチ(約5センチ)間隔で1100幅まで。ライナの種類は3つ。黄色いライナー=Kツーダッシュ、茶色いライナー=ジュート。この二つの使用割合は半々。もうひとつ、白ライナがあるが、使用量は少なく、主に輸出関連で使用しているという。
中芯は125gと180gの2種類。現在はタイ国産を100使用しており、以前は、日本から取り寄せていたが、現在は国産で十分と考えている。タイの原紙は東南アジアでは質がよく、マレーシア・シンガポール・中国などに輸出している。

(問)残原紙のラベル表示について間かせてほしい。

ラベルは、原紙の表に最初に付いていたものをそのまま利用している。残メーターも記入している。

(問)紙管の両端に金具が見当たらなかったが?

現在、全ての原紙で金具はない。これは、タイでは現在の能力でそういった仕様が作れないからである。

(問)ライナにPPバンドが使用されていたが?

まだ、廃止する方向には進んでいない。環境に対する意識は、日本の方が進んでいる。たとえば、分別収集などもしっかりとできてはいない。

(問)リサイクルマーク表示の状況について。

調査をしたことがない。

(問)デリパリーについて、時間指定などはないのか?

ユーザーによる。ただ、ご覧の交通事情なので、客先もそれが分かっている。日本に比べると多少緩い。

(問)パルプモールドがあったが、どこから調達しているのか?

タイコンテナーズ・グループが、ベトナムに工場を持っている。この会社は1997年に日本ハイパックが設立し、1999年にレンゴーが事業を継承した。昨年10月まで26の資本をダイナパックが出していたが、今は100タイコンテナーが出資している。パルプモールド自体の需要はまだ少なく、発泡がよく使われている。

(問)段ボールパレットはどこで調達しているのか?

グループの他工場で製造している。

(問)シートとケースの比率はどのくらいか?

グループでは、ケース4に対しシートが1。TCLは、ケースが100。

(問)いわゆる箱屋さんはあるのか?

段ボール会社は20グループほどあり、ボックスメーカーは200社程度。

(問)材料高騰の影響は?

原紙は上がっている。古紙不足のためだが、タイの場合、使用している段ボールが輸出に使われているため、国外に出て行ってしまう。このため古紙は、日本から輸入している。

(問)価格への転嫁はできているのか?

苦労している。ただ、今回は日本国内で値上げがされたため、今までよりは交渉がやりやすい。日系の会社の場合、日本の本社で決定される。

(問)収益性は、この10年くらいでどのように変化したか?

数量とシェアは順調に伸びているが、売上高経常利益率はさほど改善されていない。

(問)刃型はどう調達しているのか?

メーカーから購入し、手直しは自社で行っている。印版は自社で製版。1300×2000まで可能。
デンソーでは、生産管理担当の岩瀬さんから説明して頂きました。

(問)タイの自動車事情について

デンソー、すなわちトヨタの販売実績は右肩上がりで、2007年は輸出が多かった。特に中近東向けが多く、思うような配車(納車)が出来ない状態。2010年には、140万から150万台へ持っていく計画だが、それでも日本の4分の1程度です。アジア近郊の地域では、インドネシアが延びている。シェアは1位がトヨタ、2位いすゞ、3位ホンダ、4位三菱自動車、5位日産です。いすゞが多いのは、トラックの需要が多く、そのネームバリューが強いためです。タイ全体で見るとほとんどが日系車。高級車はベンツクラスになる。
車を指標で見た場合、マネージャークラスが車を持てるといった生活レベル。ちなみに、日本円にしてレクサスが3,000万円、カムリが500万円、カローラが300万円程度で、日本の3倍くらいの価格です。その代わり、ピックアップタイプの車は150万円程度と値打ちになっている。これは、税金が安いためです(乗用車30に対しピックアップトラックは3程度)。

タイ・デンソーグループについて

  • タイのデンソーグループは総従業員数7,700人で日本人は100名。売り上げは459億パーツです。グローバルレベルでのQCDを実現するための作業分担を行っている。全工程にTPS(トヨタ・プロダクション・システム)の思想を展開しています。これは、
  • (1)物の流れの整流化=シンプルに、
  • (2)物流距離の短縮、在庫の見える化=スリムに、
  • (3)生産リードタイムの短縮=スピード。

実例としては、工場内にフォークリフトを直行させない。受入と出荷物流を交差させない。生産から製品出荷までの物流Min化などです。人材育成としてDTAT(デンソー・トレーニング・アカデミー・タイランド)を設立し、力をいれている。

DTATからは昨年、技能オリンピックで銀メダリストを輩出しています。課目は、技能職をはじめ大分類で10項目ある。デンソーも他の日系企業と同様に、4月から中枢をシンガポールからタイへ移す。それにあわせて地域で全てをまかなえる体制を目指している。

このあと続いて、工場を見学させていただきました。工場見学の時に気づいた事柄は、まずプラパネル、プラベニヤが多いこと。出荷は、トヨタのトラックがピックアップしている(運賃はトヨタが払い、デンソーは載せるだけとのこと)。TPSというタイムチャートを使い、出荷に間に合うよう生産を前倒ししている。毎日の予定は、ボードで管理。表示が横向けは済み。たて向きはまだ。こうして"見える化"をしている。HEIJUNKA(平準化)POSTで、製品の回転状態をチェックしている。

時間を有効活用し、労働力強化を図っている。天井に大形扇風機があり、気流を起こしている。作業現場には集中型のスポットクーラーが設置されているが、作業場所が凝縮されているため、ダクトはさほど気にならない。仕掛品の入ったボックスは、傾斜した台に載せてあり、ひとつのワークが終了すると、次のワークが自然に前へ押し出されてくる。

段ボールは、見た目で量が少なかった(かなり減らしたことと、他の倉庫で一括保管しているとのこと)。最も作業性のよい工程を見せて頂いた。確かに生産性(効率)が高い割には、動きがスムーズである。本来の意味でムダな動きは見られなかった。工場見学から戻った後、質疑応答が行われました。

(問)段ボールの使用は?

ムダの排除を追求していくと、包装材はリターナブル化=プラ段になっていく。外箱、マスターカートンでは、その傾向が強い。ただし、内材関係は分類などが手間なので段ボールを使っている。

(問)人材採用の状況はいかがですか?

現場の作業者は、期間工からスタート。正社員へは半期に一度、採用試験がある。ここで、5〜7%ぐらいしか残らない。3年で5%くらいが転職してしまう。技術も含めた人材の流出を防ぐため、通勤補助、両親の医療費補助、有給休暇最大36日を付与(買取あり)などの、福利厚生面での充実を図っている。