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海外の製紙、段ボール動向

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中国製紙産業の現況と展望(1) 2010-11-15(第1066号)

中国製紙産業の固定資産投資状況中国製紙産業の固定資産投資状況

世界の古紙貿易の各国比世界の古紙貿易の各国比

以下は、財団法人古紙再生促進センター2010年9月会報に収録された中原証券研究所朱嘉氏の中国製紙産業分析レポート「製紙業の掘り下げた分析」からの要約である。この論文は2010年5月、中国造紙協会刊行の「中華紙業」誌に掲載され、古紙センターが翻訳したもの。製紙産業の紙・板紙の需要及び生産は国民総生産GDPと深い相関関係を持つことが知られている。このレポートでは、これまでの中国の製紙産業の経過、今後の推移予想をこの視点からまとめており、非常に注目される内容となっている。

(1)全世界の製紙業の概況
現在、世界の製紙業市場では、欧米等の先進地域は市場の成熟期にあり、需要増のスピードがゆるやかになるか、下降している場合さえある。アジア太平洋地域は急速な成長段階にあり需要増は力強く、世界の成長の原動力となっている。市場における欧米地域の地位はアジア太平洋地域に徐々に取って代わられており、欧米地域の生産量と消費量が世界の紙・板紙市場に占める割合は下がりつつある。特に北米は、市場占有率が1995年の35%から25%まで低下している。アジア太平洋地域の市場での地位は、うなぎ昇りに上昇して、現在では世界の3分の1の市場を占有している。

(2)中国製紙業の現状
現在、中国はすでに世界一の紙・板紙生産国で2009年の生産能力は約9,000万tとなり、中国の紙製品生産は総生産量において、すでに輸入依存からの脱却を果たした。07年から中国の紙・板紙の総生産量はすでに消費量を超過している。当面の業界の需給は基本的にバランスを保っているが、構成上なお一部の紙製品が供給過剰または供給不足となっている。

▽新規増産設備の集中により短期の供給圧力高まる
我々は、固定資産投資が一つの先行指標であると考えている。固定資産投資は製紙業市場のターニングポイントを判断する第一の重要な変数である。04年、05年の年平均33%前後の固定資産投資の増加率が、直接に06年と07年上半期の供給の大量増加を招き、紙製品市場は低迷に陥った。06年の固定資産投資の増加率は16.9%にとどまり、前期に比べて大幅に下降した。よって、07年下半期から08年上半期の紙製品市場は明らかに回復し、紙製品価格及び収益率は徐々に上昇した。紙製品の収益力の向上とともに、原材料が不足し、また07年-08年の製紙業における固定資産投資が高まり、必然的にその後、生産設備の短期間での急速な増加を招いた。

我々の仮説条件=製紙業の12-18カ月の建設周期によると、仮設上では1年間の固定資産投資が次の1年間に全部新規増産設備に転化している。我々は前の1年間の固定資産投資額で次の1年間の新規増産能力数量を割ることで、新規増産設備のおおよそのトンあたり投資額を導き出し、このデータから今後の新規増産能力数量を推算した。

「製紙産業発展政策」のデータによると、中国の06年初めの紙・板紙の生産能力は7,000万tで、このデータ及び陳腐化した生産設備の淘汰政策の計画から、2010年の中国の紙・板紙の生産能力は1億1,693万t(一般の状況下では、今年の新規増産設備が翌年リリースされる)に達するであろう。さらに、09年の生産設備増加の伸び率は13.3%、10年は17.8%となり、GDPの成長率よりもはるかに高くなる。需要面では、GDPの成長との相関性から、紙製品の消費量を予測することができる。99年を基準年として、名目GDPを99年を基数とした実質GDPに換算し、さらに文化用紙消費量との相関性について分折した。この処理でGDP成長における価格の要素を除去した。このほか、GDP成長を牽引するトロイカの中でも消費と輸出の両項目が各種紙製品消費促進の主力であるため、我々はこの両項目と各種紙製品の消費量にも相関性の分析を行った。

09年のGDP成長率は8.5%であり、我々は10年を8.5%と仮定した。計算と実際の状況を結び付けると、09年の紙製品全体の消費量は8,450万t前後、前年比6.5%増加、10年の紙製品全体の消費量は9,150万t、前年比8.3%増加、この2年の消費増は供給増をはるかに下回る。総体的には、前段階の固定資産投資の大幅増加がその後の新規増産設備の急速な増加を招いている情勢によって、製紙業全体の需要不足が大きくなり、業界全体の需給アンバランスが大きくなっている。集中してリリースされた新規増産力を一定の時間をかけて消化する必要がある。

▽国内市場が急速に発展、今後の伸びしろは大きい
1人当たりの紙・板紙消費量と国家の経済成長水準は対応している。現在、先進国の経済全体及び1人当たりGDPは高い水準にあり、その1人当たり消費量は200kg以上に達し、今後の成長は非常に限られている。中国、インド、ブラジルなどの発展途上国は、経済発展のレベルは低く、なお急速な成長の段階にあり、1人当たりの消費量は少ない。中国の現在の1人当たりの紙・板紙消費量はわずか60kgで世界の平均よりも少ない。現在、中国の1人当たりGDPはまだ少なく、紙・板紙の消費量は今後急速な成長に向かうだろう。また中国の現在の1人当たりの紙製品消費水準は発展途上国レベルであり、まだ成長の余地がある。よって、長期的に見ると中国のマクロ経済が着実に発展している背景のもと、中国の紙製品消費の成長の余地は大きい。

▽原料構成が非合理的、海外依存度が高く整備が必要
中国の製紙原料は、パルプ及び古紙と非木材パルプ(ワラパルプ、アシパルプなど)で、そのうち木材パルプは22%、古紙は60%、非木材パルプは18%を占める。中国の製紙原料構成が国際的に大きく異なるのは木材パルプの割合が比較的小さいこと、非木材パルプの中のワラパルプの割合が大きいことである。

現在の原料構成は、中国製紙業の収益率の低さなど一連の問題を招いている。
中国は木材パルプと古紙の2種類の原材料において輸入の比率が高すぎる。特に木材パルプは09年の輸入依存度が70%以上に達し、高すぎる輸入依存度は中国の製紙業が原材料の面で制約を受けることになり、コストのコントロールができないため、業界全体の収益率を上げることができなくなっている。

【古紙依存度は60%】
▽主要原材料の価格は高価で推移する
繊維原料が製紙コストに占める割合は高く、その価格の変動が製紙コストに与える影響は、その他のコストの変動よりも大きい。よって、主要原材料の価格の動きを重点的に分析する必要がある。森林資源は減少し、全世界の木材の需要は日々増加している(おもに発展途上国の需要が急速に増加している)。需給の明かなアンバランスは、全世界の木材価格の長期的な上昇を招いている。さらにロシアが2010年に原木の輸出関税をこれまでの25%から80%に上げる措置を取ったことが木材価格の上昇を押し進めるだろう。ロシアは全世界の木材輸出市場で35%前後のシェアを占めているため、関税の上昇は国際市場の原木価格に深刻な影響を与え、ダイレクトに原木価格の大幅上昇を招く。そして木材価格の上昇は木材パルプ価格にコスト値上がりによる価格上昇をもたらす。

以前、我々は新規増産設備の集中的なリリースと需要の安定的な増加に基づき世界の市販パルプの生産設備利用率が大幅に下降し、市販パルプの価格は下落に転じると判断した。しかし、経済危機の勃発は当面の需給ギャップを緩和した。世界的経済危機の勃発により市販パルプの増産設備のリリースは減速、また現存の生産設備が部分的に閉鎖された。目下の需要の着実な回復により、短期的な需給ギャップは緩和することができる。今後、世界の市販パルプは新規増産設備のリリースがスピードダウンし、現存の生産設備が部分的に閉鎖されることにより、その生産能力は2%前後の成長を維持できるが、世界経済の着実な回復により、今後、世界の市販パルプの需要も3%前後の成長を維持するので、需給ギャップは緩和される。

2010年の全世界の市販パルプの生産設備利用率は回復動向が期待でき(1%前後の回復で、91%を超過)、生産設備利用率の回復も市販パルプ市場の好転を表している。同時に今までの経験に基づくと、生産設備利用率が92%に達した時、世界の市販パルプの供給は不足の様相を呈する。国際パルプ価格が近来徐々に上昇していることも、我々の視点を証明しているものである。同時にチリ地震の世界パルプ価格に対する影響は非常に大きく、チリは世界的な2つのパルプ工場を有しており、そのうちアラウコは世界第2位の市販パルプ工場である。2つのパルプ工場の市販パルプの生産能力は272.5万tと172万t、合計444.5万tで、世界の商品パルプ生産の8%を占めている。チリ地震の影響によりストップした生産設備は353万tで、全世界の生産能力の6%を占めている。短期的に国際パルプ価格はこれを受けて継続して上昇するだろう。

国際パルプ価格は08年、09年の経済危機の中で大幅に下落した後、現在は強い上昇の局面を呈している。総体的に、2010年の世界の市販パルプは供給不足の様相を呈しており、今後パルプ価格は高値のまま推移するだろう。

▽古紙供給不足、中国の需要旺盛で価格は高値維持
古紙は現在の中国製紙業において重要な原材料であり、その供給量と価格は中国製紙業の発展と収益率に直接影響を与える。現在、回収システムが成熟した先進国は世界の古紙市場において重要な供給源となっている。ネットによる代替によりGDP当たりの用紙量が減少し、主な古紙供給国は近年、国内紙製品の消費の増加スピードが緩慢になり、中には減少する国も現れている。ここから将来世界の古紙供給には限界があると思われる。

世界第1位の古紙輸入国である中国(60%前後を占める)は、近年、古紙輸入量が高い伸び率を示している。今後は中国のマクロ経済の着実な発展を背景に、中国の古紙需要は依然として増加し続けるだろう。総体的に見て、世界の古紙供給は今後伸び幅に限界があり、中国の需要は将来も依然として高成長を続けるという状況下では、将来の古紙価格は従来通り高値で推移するが、その価格の上昇が紙製品価格に転嫁された後、末端の紙製品業界が負担できる能力には限りがあることから、古紙価格が今後継続して上昇する余地は限られる可能性もあると判断する。

▽主要紙製品市場の状況
我々は99年を基準年とし名目GDPを99年を基準として全て実質GDPに換算し、さらに文化用紙消費量との相関性の分析を行ったが、この方法でGDP成長率の中の価格要素を除去した。このほか、GDPの成長を引っぱるトロイカの中で消費と輸出の2項目が紙製品消費の主力であるから、この2項目と各種の紙製品消費量にも相関性の分析を行う。ご存知のように09年の中国のGDP成長率は8.5%であり、仮に2010年の中国のGDP成長率も8.5%と仮定すると、09年の実質GDP総額は22兆9,000億元(99年基準)、10年は24兆7,400億元と算出できる。

相関性の公式によると、09年の文化用紙の消費量は1,555万t、10年は1,677万tと算出できる。しかし、09年の経済危機及び新聞出版総署の書籍及び刊行物に対する急激な規制などの要素を考慮、実際の状況を鑑み、我々は09年の中国の文化用紙の消費量を1,480万t、前年比6.1%増、10年は1,600万t、前年比8.1%増と予測する。また、09年の中国の新聞用紙の消費量は479万t、10年は521万tと算出される。09年の経済危機及び中国のネット環境が日に日に改善されて、代替効果が徐々に現れていることなど実際の状況を考慮すると、09年の消費量は438万t、10年は460万tでさらに実際に近づき、前年比伸び率はそれぞれ2.8%、5.0%となると思われる。

さらに、相関性の公式によると、09年の中国の塗工白板紙の消費量は1,306万t、10年は1,438万tと算出できる。09年の経済危機が引き起こした需要の急速な減少という実際の状況を考慮すると、09年の消費量は1,150万t、10年は1,270万tで、さらに実際に近づくと予測する。08年の1,081tと比較すると伸び率は6.3%、10.4%となる。
09年の中国のコート紙の消費量は446万t、10年は482万tと算出できる。実際の状況を鑑みると、09年の中国のコート紙の消費量は410万t、10年は450万tでさらに実際に近づき、前年比の伸び率は2.5%および9.7%と予測する。

次に09年、10年の中国のライナーの消費量はそれぞれ1,783万tおよび1,958万t、中芯原紙の09年、10年の消費量はそれぞれ1,622万tおよび1,762万tと算出できる。実際の状況をみると、09年、10年の中国のライナーの消費量はそれぞれ1,750万tおよび1,950万tで、前年比でそれぞれ9.0%および11.4%の伸び率。09年、10年の中芯原紙の消費量はそれぞれ1,620万tと1,760万tで、前年比4.3%および8.6%の伸び率で、それ以前の数年間より伸び率は大きく下がる。

上記のモデル計算の中で算出された一部の消費量の数値が明かに高すぎることが分かるが、その原因は09年の経済危機に遭遇して、中国のGDP成長率は主に投資によって引っぱられているが、投資の紙製品消費に対する促進作用は明かに消費と輸出という2つの牽引車よりも脆弱であることによるもので、そのため数値の連続性に影響した。しかし、この予測数値は相変わらず予測消費量の有効境界を我々にもたらし、予測をさらに実際に近づかせたのである。

上述の各種紙製品の消費量とGDP成長率の相関性の分析を通して、GDP成長率との相関の緊密なものから各種紙製品の順序をつけると、ライナーと中芯原紙、塗工白板紙、コート紙新聞用紙、文化用紙の順となる。(つづく)