特大


海外の製紙、段ボール動向

ホーム > 海外の製紙、段ボール動向 > 中国製紙産業の現況と展望(2)

中国製紙産業の現況と展望(2) 2010-12-25(第1069号)

中国原紙動向中国原紙動向

(4)主要紙製品市場状況

▽白カード紙
白カード紙は、タバコ用白カードと社会用白カードを含み、主要な原材料は木材パルプである。主に高級品の包装に使われる。タバコ、化粧品、薬品の包装はほとんど白カード紙で外箱が作られている。白カード紙の中でもタバコ用の消費量は堅調で、社会用白カード紙の消費量は経済周期の影響が大きい。

(供給面)白カード紙の現在の生産力は330万t前後で、この先2年以内に増える有効生産力は50万t前後、年平均伸び率は7.5%にとどまり、需要の速度に追いつかない。過去3年間、白カード紙の消費増のスピードは約12%前後、また大きな主要関運産業のタバコや、酒のラベル、医薬品、化粧品などでは、この先、高水準の成長が維持されるであろうから、白カード紙の需要の成長も高水準で推移すると考えられる。需給状況から判断すると今後の白カード紙の価格は木材パルプの価格上昇に伴い上昇するが、現在の価格上昇幅は関連企業の受容能力より大きいため、今後の上昇の余地には限界があると思われる。

▽コート紙
コート紙が使われるのは主に各種の高級雑誌やカタログ、広告や商品ラベルなどで、そのうち書籍雑誌が50%、チラシ用が20%、ラベル類が20%、包装用が20%となっている。
(現状)国内では今後大きな増産があり、需給ギャップが表面化する。国外では外国の中国コート紙に対する反ダンピング関税と反補助金関税の制裁を行っており、輸出の大幅増は期待できない。需要は経済の安定に伴い増加するが、今後供給過剰が徐々に現れてくる。

(供給面)中国国内では2010年に100万t、11年に120万t前後の生産設備の増加が予測され、年平均増加率は20%前後と、需要の伸びをはるかに超過する。このほか、中国のコート紙の供絵過剰は輸出で需給バランスをとっていたのだが、海外のダブル制裁により中国のコート紙輸出はここ2年間正常な伸びを保っておらず、国内の供給過剰にさらに拍車がかかっている。
(需要面)ここ数年間、国内のコート紙の需要は平均10%の伸び率となっており、今後もこの伸び率が期待できる。需給状況を対比して考えると、この先2年間、生産設備のリリースが明らかに加速することから、市場競争はさらに激化し、価格、稼働率、収益率が下降するかもしれない。

▽新聞用紙
2005-07年の国内の新聞紙生産の拡大は深刻な過剰を引き起こし、その間70万t近い生産力を文化用紙に転換して、収益率が下がり続けるのを回避した。08年から10年の3年間、新規増産設備の投入は抑制された。2010年、華泰社本部は25万tの機械をすべて文化用紙(その前には一部新聞用紙を生産)に転換し、広州造紙の旧工場は移転するため30万tの生産力を段階的に運休の予定だが、移転の時期はまだ未定である。我々は10年の新聞用紙の需要の伸び率は5%で、需給バランスは改善されると予測するが、一歩退いて言えば、新しい需要増がないとしても、減少した供給が需給バランスを09年よりは好転させるだろう。2010年の新聞用紙の稼働率は09年の90%から94%に上昇し、11年には96%前後の高い稼働率を維持できると予測する。

▽ライナー
ライナーは主に工業製品や消費製品の運輸の包装に使われる紙箱を生産する紙で、紙器用板紙の需要と経済成長とは高い相関性がある。ライナーは製品の外箱として間接的に輸出されるので、輸出の好転はその需要を推し進める。内外需が回復している状況で、このライナーの需要増は徐々に回復すると予測され、伸び率は10%を超えるかもしれない。

ライナーの供給は07-08年の大幅拡大後、09-11年は供給が減速し、10-11年の新規増産は、それぞれ50万tと98万tと予測しており、2年間の合計増産の伸び率は7.5%と需要の伸び率よりもはるかに低い。需要の回復と増産の大幅な減速は、ライナー業界に2年間の好転期をもたらすだろう。我々は、業界の生産設備利用率が09年の82%前後から90%前後まで上昇し、必然的に収益率の好転につながると予測している。しかし、玖龍(ナインドラゴンズ)の195万tの新規増産設備が11年後半には生産開始することからその際は国内市場にやや強い衝撃が生じるだろう。

▽文化用紙
文化用紙は印刷用紙、オフセット紙を含み、主に書籍・雑誌の印刷、オフィス用に使われ、末端の用途は中国の文化用紙に対する需要が比較的堅調であることを決定づけている。また中国出版業は政府にコントロールされていることから、その他の紙製品に比べ、経済失速の影響はやや小さいといえる。またその消費量は経済成長に伴い安定的な増加を示している。

中国の書籍.雑誌の年次出版状況から、近年中国の出版物は5%前後の伸び率を保っており、08年の出版物の種類は27.4万、前年比10.4%の伸び率で、総印刷枚数は561.13億枚、前年比15.3%増と、全体に成長のスピードは早いが、新聞出版総署では出版物の種類を抑制すると発表しており、今後の増加は明らかに減速する。同時にまた新聞出版業の「十—期5カ年計画」発展計画目標(10年末に中国の書籍出版総量を70億冊、一人当たりの年間書籍消費量を5.3冊に到達させる)を鑑みると、09年と10年の伸び率はそれぞれ3%と7%前後になると予測でき、今後は、3%-5%前後の伸び率を維持するものと思われる。

中国の定期刊行物の印刷総枚数は、98年から08年の10年間、年平均9.8%で増加してきた。08年は前年の15.3%という高い伸び率の反動で停滞し、09年は経済危機の影響により伸び率が低かったが、10年は6%前後に回復し、今後は経済の着実な回復に伴い、ゆるやかに増加すると予測している。

(供給面)文化用紙の生産設備投入は分散しているが我々は10年文化用紙は100-200万tの生産設備が集中して投入されると見積もっている。それは、業界のキャパシティを10%以上増加させ、需要の伸び率8%を超えていて、需給ギャップが次第に表面化するだろう。

(5)人民元高が中国製紙業に与える影響
中国の製紙業の紙パルプ輸入量とその金額は大きく、人民元の為替相場は製紙業発展に影響を及ぼす重要なファクターである。人民元高は中国製紙業に二つの方面から影響している。一つは人民元高により国内の製紙工場の原材料の海外買い付けコストが低くなること、もう一つは中国の紙製品輸出は大幅に増加しているので、人民元高は中国の輸出紙製品の価格の優位性を弱め、中国製紙企業の紙製品輸出に不利になり、過剰となっている紙製品の国内市場の圧力がさらに厳しくなることである。原材料の輸入については国内紙製品の生産能力の大幅増に伴い、中国の紙パルプ輸入も急速に増加しており、また今後の新規増産設備の投入により、紙パルプに対する需要は依然として勢いを持続しているが、国内の木材パルプ生産能力の増加は需要の増加スピードに追いついていない。よって、今後の中国のパルプ輸入量は高い伸び率を維持すると考えられる。

紙製品の輸出については07年から輸出状況が根本から変化し、中国は純輸入国から純輸出国へと変わった。08年にはコストの大幅な上昇によって価格競争力が低下したことと、外国のダブル制裁などによってマイナス成長が現れた。09年のマイナス成長は世界的経済危機が海外の需要の減少を招いたためである。現在、多くの国が中国のさまざまな紙製品に対してダブル制裁議案を提出していることが中国の紙製品輸出に影を投げかけている。同時に、外国の経済の回復のペースが中国よりも明らかに遅いことから、10年の中国の紙製品全体の輸出量は09年比で横ばいか微増と予測される。

09年の中国の紙パルプ輸入額と紙製品純輸出入額を比較すると、輸入額が輸出額よりもはるかに大きく、人民元高が明らかに中国の製紙業に利していることがわかる。
現在の人民元高は製紙業にとって利をもたらしている。しかし、中国の紙製品輸出量が徐々に増加するのにともない、人民元高が製紙業にもたらす追い風は次第に弱まるだろう。

(6)業界の将来の発展動向
中国製紙業の目下の最大の問題は、相当部分の紙製品がワラパルプや非木材パルプから製造されていることで、これは中国製紙業の一部製品の品質と等級を下げており、利益を生み出す力も弱い。我々は、これからの中国製紙業は必然的にワラパルプ代替路線をいくであろうと考える。このようにしてこそ、ようやく中国製紙業が、現在の汚染された状況である低級製品の等質化の深刻さや、一部製品の生産過剰、業界全体の低収益体質という現状から脱却できるだろう。

政府が公示した「省エネ・排出減総合施策法案」中に、すでに製紙業界のワラパルプ生産設備排除基準が明確に規定されている。また中国製紙業発展計画の中で、「第十一期5カ年計画」期間に大々的に木材パルプ生産を向上させ、10年には製紙植林基地500万ヘクタールの建設を実現させ、木材パルプ増産能力を645万tとする目標を明確に示している。我々はここから、政府はすでに製紙業の現状を把握し、製紙業の原材料構成の改善に力を入れており、着実にワラパルプから木材パルプへと代替させる道筋を歩んでいると理解した。

▽産業リンケージ、林業・パルプ・製紙一体化を
中国は国際的にはずっと原木輸入国である。明らかに国内の木材の供給は製紙業発展の必要を満たすにほど遠い。このことは、中国製紙業が必然的に「林業・パルプ・製紙一体化」路線を進み、また先進国の経験を生かし、人工林を拡大することが国内の木材パルプ不足を解決するために必要であることをはっきり示している。

▽海外の林紙大国の林紙一体化拡大路線とモデル
原材料管理力は製紙企業が競争を勝ち抜く重要な要因である。よって、製紙企業は林紙一体化の拡大をコンセンサスとしている。現在、海外の先進国の林紙一体化の実践はすでに非常に成熟しており、そのモデルと手法はすべて中国製紙業が参考とし、手本とするに値する。

まず、林紙一体化は林業と製紙業を真に深く融合させ、収益一体化を形成することが必要である。中国の目下の現状に対して、その効果を達成するためには、林業、製紙業及びその他の林業産業とが緊密に結びつき、森林資源と製紙業双方の持続可能な発展を可能にしなければならない。今まで、林業は製紙業の資金により規模を拡大する必要があった。森林資源の成熟を待ち、製紙業は森林資源に頼って原材料の需要を満たし、生産コストを抑制し、拡大再生産を進める必要がある。これと同時に、製紙業は利益の中から継続して一部を拠出し、林業の保護と建設を進める。このような良好なサイクルを形成することで、ようやく真の林業と製紙業との「合体」が実現できるのである。

次に、製紙業の木材パルプ林基地建設にはさまざまなモデルを採用することができる。企業規模、融資能力及び企業競争力など重要なファクターには差異があるため各企業の木材パルプ林基地の建設にはいろいろなモデルを採用することができる。資金が豊富、あるいは低コストの融資力がある企業は投資して自社の原料林基地を建設し、原料の自給を実現できる。また実力に劣る企業は合作(農家と買い付け契約を締結する方式)によって、原材料のコスト抑制を実現できる。企業は自社の実際の状況に応じて各種の方法を選ぶことができる。

第3に、林紙一体化建設は政府の全面的な支持を得ている。林紙一体化の中で、木材パルプ基地の建設は前段階で大量の資金の投入を必要とし、大規模な土地の収用も関連してくる。この二つの方面ともに企業は政府の援助を必要としている。大規模な前段階での資金投入には銀行の貸付が必要で、土地使用権には政府の同意が必要であり、さらに現地の建設や人員の雇用など、すべて地方政府の援助が必要である。もちろんどの方面においても、政府が林紙一体化推進の主要な原動力として、要としての役割を持っている。