特大


業界動向

2005-07-30 本州大分段ボール(株)深水廸男取締役

 本紙では6月21日、本州大分段ボール(株)(大分県宇佐市字山255番地の1、竹田邦彦社長)を取材訪問、深水廸男取締役(統括部長)に近況をうかがった。JR宇佐駅から辺り一面田園風景の中を15分ほど走ると、住所表示通り小高い「山」の上に、正に"環境絶佳"の本社工場があった。
 --昨年は台風が連続してやってきて、特に農産物の被害が甚大でした。その辺の影響はどうでしたか。
 深水 当社は青果物関係は少ないんです。まあ、大分県自体が農産県ではあるんですが、それほどスケールは大きくなくて、私どものユーザーさんも、売上比率から言ったら農産物の比率は非常に小さいんです。ですから、台風の影響は、間接的にはあるんですが、直接、困ったなというほどのことは無かったんです。工業製品関係、電器・機械関係、それと食品関係では味噌・醤油・ドレッシングとか、そういう需要が主体なんです。価格面でも、前回の値上げ以降は、ほとんど動いておりません。値下がりは全くありません。非常に安定しているという状況です。
 --収益の具合は。
 深水 当社は、予定外の出費がどんと増えたとか、そういう特別な場合を除けば、赤字になったことがありません。多い少ないはあっても、変りません。
 --このあたりの牧歌的な環境と同じで、常に平和な環境で経営ということですか(笑い)。
 深水 昔から、例えば自動車が良い、電気関係が良いというと、そういう関係のところは、忙しくて、いくら残業しても追い付かないということがありましたが、そういう景気がうちにも波及して、ああ良かったということは無いけれど、反面、景気が不景気だからガタッと落ち込んでしまうということもありません。
 ただ、ここ10何年以来は良くないなということは、最近、つくづく感じていますけれども。
 --バブルの前と後ではどこでも明暗がはっきりしていますね。
 深水 電気関係でも大手が中国などに事業をかなり移転しましたから。
 --ところで、御社は王子製紙グループの一員ということですが、王子グループであることのメリットはどんなことですか。
 深水 営業の上で、もの凄い力になっていることは確かだと思います。
 --王子製紙の先日の経営説明会で、これからはもう段ボール原紙でこれ以上収益を上げることは出来ない。だから段ボール加工を如何に収益の上がる事業にするかが、王子製紙として最も主要な課題だということでした。御社は、その先兵の一人ですが、ではどうすべきだと思われますか。
 深水 昔からやっていますように、独立採算制的な各会社ごとの活動ですね。例えば、われわれのようなボックスメーカーの小さな企業が何社もありますけれども、そういうところに、独自のカラーの仕事が出来るように、それぞれ任せることが大事だと思います。みんなが、責任感を持ち、やる気を起こしてやるようにリードすること--これが、ただ上からの命令だけで、こんどはこうしろ、はい、次はこうだ、はい、ということでやったら、やる気を無くして、大企業病のようなことになるんじゃないかと思うんです。
 --こうせいだけじゃダメだ、ということですね。
 深水 目標は重要ですから、大枠の目標はこうだ、収益率5%なら5%でいいですから、目標を明確に決めて、そこに到達するための方法は、独自の努力に任せてほしいと思います。
 というのも、地場の需要内容によって、例えば、人手の必要度にもの凄い違いがあるわけです。10人いても足らんところがあるし、5人いれば十分なところもあるわけです。中に入っている機械の状況など全てによって変わってきます。ですから、そこの事業所の裁量に任せること、これが一番私たちの希望ですね。
 うちのようなコルゲータを持っていない業種は、切って貼って幾らですから、A式をバーっと流して、はい、利益はなんぼというような仕事ではないんです。100ケースで幾ら、5ケース作って幾らでやっているんです。しかし、見掛けは細かすぎるようでも、段ボール事業では、こんな人手ばかり掛かる細かなところが非常に重要と思って、大事にしているわけです。
 この大分県というところは、世界最先端の物凄い工場が集まっているんです。ですから、私どもの仕事場もあるということです。
 --ということは、いま差し当たって困ることは何も無いということですか。
 深水 黒字を出そうと思ったら、まだまだ色んな方法が幾らでもありますよ。ただ、やはり王子系列で、シート単価がきちっと決まっていますから、うちの会社だけの知恵や工夫で利益を出せる分も、王子として出来ているというとで、なおかつ、うち自体が黒字だということなんです。
 --その黒字の増え方はどうですか。
 深水 右肩上がり(笑い)とは行きませんね。平行線からちょこっと上がっているかという具合です。
 --御社の社員がすごく団結しているというのは、この入り口を入った途端に分かることですが、将来への最大の希望は何ですか。
 深水 仰有る通り、みんな家族的な間柄です。それと、こういう状況の世の中ですから、社員の福利厚生をきっちりやって上げたいと思っております。
 --この資料に、従業員22名となっておりますが。
 深水 菊池寛の「青の洞門」をご存じですね。あの洞門の近所にブレーカーをつくるユーザーさんがあって、そこの仕事をしているんですが、それが凄いんです。「セミボトムグルア」というワンタッチ仕様の糊貼り機械がありますけれど、例えば100とか、200とか、少ない数量だと、セットするだけでも大変な仕事なんです。うちでは、早い方で30分ぐらい掛かります。機械にかけるより人手で作業した方が早いぐらいなんで、ヨソでは出来ない仕事の一例です。
 それから、緩衝材に、いままでの発泡スチロールが使えませんから、段ボールの切れ端で6枚重ねて糊貼りして緩衝材を作るとか、そういう作業が非常に多いんです。特に電器関係では緩衝材を全部、段ボールでウチがやっているんです。そういう手間とか、機械では出来ない、半ば手作業のような仕事がどんどん増えています。ですから、中津加工所という電器関係のそういう付属専門の加工所を作って、仕事をしてもらっているんですが、切った、貼ったの専門の加工所なんです。
 --他社には簡単に真似の出来ない御社の強みということですね。
 深水 そうです。
 --設備面でのこれからの改善策という点では。
 深水 現在の主力設備が古くなってきましたから、その辺をどうするかです。梅谷製作所製の「ミュー」は平成9年に入れたものですから、8年経ちます。横出し式の最初のころの機械で、その3号機か4号機です。ですから、状況によってはということがあります。それから反対側の、これが抜きの機械ですが、抜きに掛けるものは「ミュー」から横出しして抜くというように、ペアで使っております。この抜きの方は平成6年ですから11年ですか。
 以前は、抜きの比率が20%ぐらいでしたが、いまはミューで印刷通して、横出しして抜く比率が30?35%ぐらいになっております。それで抜いたものを、ボトムグルアで糊貼りするわけです。
 --本日は貴重なお話を色々有難うございました。
【会社概要】
▽商号=本州大分段ボール(株)▽昭和63年4月1日設立▽資本金1千万円▽従業員22名▽所在地=大分県宇佐市大字山255番地の1▽電話0978(37)2155、FAX0978(37)2157
[沿革]▽昭和49年9月西日本パッケージ(株)大分分工場として操業開始▽54年10月本州ダンボール工業(株)大分工場に変更▽61年4月、本州製紙(株)・本州ダンボール工業(株)が合併▽63年4月、本州製紙より独立、本州大分段ボール(株)設立▽平成2年6月事務所社屋新築▽平成4年6月工場増築▽平成8年10月、本州製紙・新王子製紙の合併により王子製紙(株)段ボール加工グループの一員となる▽平成9年6月、印刷機・製函機を更新▽平成13年6月工場増築▽平成15年6月竹田邦彦代表取締役社長就任。
[役員]▽代表取締役社長竹田邦彦▽取締役深水廸男▽取締役尾崎安利▽監査役上野明。