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業界動向

2005-05-15 王子製紙2005年決算発表及び経営説明会

石田隆経営企画本部長

石田隆経営企画本部長

鈴木正一郎社長

鈴木正一郎社長

 王子製紙(株)では5月11日、本館6階会議室で「2005年3月期決算及び経営説明会」を開催した。この説明会には業界専門紙、一般紙、機関投資家、証券アナリストなど数百名が出席、最初に3月期決算概要の説明のあと、石田隆経営企画本部長から、(1)2007年度経常利益一千億達成(うち板紙事業・段ボール事業で三〇〇億)に向けての施策、(2)森紙業グループ統合を軸とした段ボール事業戦略、(3)中国事業の進捗状況などを中心に詳細説明が行われたあと、質疑応答の形で鈴木正一郎社長が個々の質問に詳しく答えた。以下、業界の関心が特に集中していると思われる「森紙業グループ」問題に焦点を絞ってお伝えする。
 質疑応答に入って、ある証券アナリストと石田本部長との間で下記のような質疑の応答があった。今回の森紙業グループ統合問題について、王子製紙が考えている根幹的な部分の意志が反映されていると思われるので、その問答をまず最初に抽出、お伝えする。

 --この「段ボール事業・中核グループの概要」表によると、王子製紙グループに比べ、森紙業グループは2倍から3倍、売上高経常利益率でも直近の05年3月期で王子グループの2.4%に対して森紙業グループは5.5%と倍以上の高収益ですが、営業利益率でもそういう状態かどうか、お聞かせ下さい。

 石田 営業利益率でも、同じように差があります。われわれからすると、どうしてこんなに儲かるのか、どうしてこんな高い利益率が出るのかというような数字です。

 --先ほど、非常に成功している森紙業のビジネスモデルを買ったんだというお話でしたが、もともと森紙業自体が、悪い言い方をすれば「買いが厳しい」とか「仕入が強い会社だ」ということが成功要因の一番大きいところかなと私は思っておりまして、しかし、そういう部分は、グループ化することによって消えてしまう割合が大きいと思うんですが、ほかに森の強さというのは、どういうところと見ておられますか。

 石田 森紙業グループを弁護するわけではないのですが、確かに森紙業というのは非常に購買力があります。うちの段ボールグループの人たちも、「あそこは原紙を安く買っているから儲かっているんだ。オレたちは高い原紙を親会社から押し付けられているから、利益が出ないんだ」と言って来たわけです。しかし、実際に、この森紙業グループの数字を見ていただくと、森紙業グループと言えども、実は2003年3月期というのは、結構、ピンチだったんですね。で、王子グループは完璧に赤字になりました。森紙業グループも売上高経常利益率1.9%というところまで利益が落ちました。
 これがその当時の原紙の値上げによるもので、原紙メーカーの方が頑張って、森紙業グループと言えどもそうそう安い原紙が手に入らなくなったというのが、このときです。ただ、それ以降、森紙業グループはそう安い原紙を買っているはずはないんですけれども、着実に収益力を付けてきています。ですから、ただ原紙を安く買っているから儲かっているんだ、あとは大したことはないんだというような、そういう単純なビジネスモデルではないんだろうと思います。

 では、どこが違うのかというのは、まあ正直申し上げて、よく分かりません。現象的に見れば、われわれは、非常に大きい数量を売らなければならないということで、ともすれば、大手の飲料メーカーさんなんかにまとめて量を売ろうとする、そうすると、安く売らざるを得ない。ところが、森紙業グループの方は、そういうのが全く無いわけじゃないけれども、広域ユーザーに対する比率は、われわれよりも低いとか、ただその割には、逆に言うと13億?という販売量というのは、大変な量なんです。
 それじゃ、広域を除いて13億?をどうやって売るんだというと、まあ、われわれには、残念ながらそんな売り方は出来ないというようなところで、根本的には販売力が違うんだろうなと思うんですが、よく分かりません。
 ただ、森紙業が出来ていることを、そのまま真似できるかというと、そうもいかんと思うんですが、中に取り込んで、いろいろ見て行けば、ああこういうことかと、まあ、目からウロコというようなものも恐らくいっぱいあるんだろうと思います。その辺に、大きく期待しているところです。

 それから、それにしてもいまでも森紙業が割と中小の、特に中芯メーカーさんから安い中芯を買っているというのは確かだろうと思います。これは、それじゃ王子グループになったら全部、王子板紙の中芯を押し付けられるのかというと、そういうつもりは全くありません。そんなことをすれば、いままで森紙業に中芯を売っていた中芯メーカーさんが、売り場を無くすわけで、これがオープンマーケットでどこかに売ろうとしてもがくわけですから、マーケットが乱れるだけで良いことは何にも無いわけです。
 従って、われわれとしては、森紙業の原紙の調達ソースを変更するというつもりは全くありません。むしろ、いままで以上に、出来るだけ安い原紙を買い集めて、マーケットから消してもらって、王子板紙が、その分だけオープンマーケットにしっかり売って行く、というような形で総合的な一貫化メリットを取って行きたいという風に考えております。
 王子製紙は、これまで本体の事業部門のほかに、王子特殊紙、王子ネピア、王子板紙などの会社を作ることで、事業部門の集約をやってまいりました。そして、今回、森紙業グループを取得し、それまでの王子グループの段ボール事業を王子チヨダコンテナーと一つの会社にまとめて、この王子チヨダコンテナーが森紙業グループを学ぶことによって、段ボール事業拡大、収益力の増加を進めて行こうという、これが基本的シナリオであります。
 この段ボール原紙と段ボール部門に限ってみると、円グラフの方はこの10年間に業界がどのように統合されてきたか、そしてその間に当社としては何をやってきたかということが書いてあります。これについては、そう詳しくはご説明しませんが、2005年の方の円グラフを見ていただきますと、段ボール原紙についても、段ボールについても、レンゴーと当社グループを合わせますと、約50%ということで、洋紙における王子グループと日本製紙グループと同じような2大勢力がこの段ボール部門についても、これではっきり出来上がったことがお分かりいただけると思います。
 あとは、日本大昭和板紙さんが、原紙の方では結構な生産シェアを持ちながら段ボール加工の方では、あまりシェアを持っておられないということで、この辺が今後、どういう風に動いてくるかということが注目点かなというところです。
 次に、「段ボール事業主要グループの一貫度」ですが、これは日本製紙グループさんも含めまして、上位4グループの原紙と段ボール、それぞれのマーケットシェアを並べたグラフです。一番上の当社グループは、原紙については28%のシェアを持ち、段ボールで24%シェアを持っております。

 それで、これはちょっと手前味噌になりますが、このバランスというのは非常に良いということです。段ボールというのは、非常に小口の需要がありますから最終的な姿としての100%一貫化というのはあり得ない業界だと思っております。まあ、本当の中小企業の段ボール屋さん、町の段ボール屋さんというのは、一定割合は必ず残るわけであります。そういう部分を除けば、何れ将来は日本全体が原紙と段ボールとの一貫化という、大体、当社グループのこういうような形に、だんだん収斂して行くのではないかと思っております。レンゴーさんは、当社に比べますと、ちょっとまだ段ボールの方が勝っているというところであります。日本製紙さん、大王製紙さんについては、ご覧の通り原紙が圧倒的に多いということで、問題はこの王子とレンゴーのこのグラフから何を思うかということなんですが、レンゴーさんは会社として非常に好調であります。こういう原紙と段ボールの割合ということを背景に、非常に好調な業績をあげておられるわけですが、グラフで、数量的に見る限り、森紙業を取得したあとの王子グループというのは、レンゴーさんよりも寧ろ数値的にはバランスの良い状況、数量的にもレンゴーさんより若干多いという、そういう状況で、レンゴーさんを上回る収益をこの段ボール原紙・段ボールグループだけで王子グループが上げられる--まあ、そういうペースが出来たということがお分かりいただけるかと思います。

 更に言いますと、原紙というのは、ご承知のようにライナーと中芯とあるわけで、ライナーの方が中芯よりも収益力が高いというような性質のものであります。当社グループは、原紙のうち、ライナーの比率が高い。レンゴーさんは中芯の比率が高いということでありますから、原紙部分についての収益力は、当社グループの方が量的にも内容的にもレンゴーさんより間違いなく良いであろう。問題は段ボールということになります。
 まあ、数量的には追い付くわけですが、中身がどうかということになるわけです。それで次のページの「段ボール事業・中核2グループの概要」になります。これが王子製紙グループの段ボール事業と、それから森紙業グループの段ボール事業を並べてあります。
 上の方にシートの生産量、従業員数等々がありまして、ご注目いただきたいのは下の収益状況であります。一番下に売上高経常利益率ということで、数値を出してありますが、森紙業グループというものが如何に収益力のある段ボール会社であるかということがお分かりいただけるかと思います。

 王子製紙グループの方は、おそらく全国平均よりも収益力は低いんだろうという自覚があります。森紙業グループさんは、全国平均より遥かに高いということです。この森紙業グループさんの段ボール事業というのは、いま風にいえば、日本の段ボール業界で一番成功しているビジネスモデルであります。そのビジネスモデルそのものを、当社は買収するということでありますから、ここから得られるノウハウは大変大きいということを期待しているわけです。
 ビジネスモデルですから、一つや二つの側面だけで真似をするというわけには行かないわけですが、この森紙業グループの利益率を目指して、左側の王子製紙グループの段ボール事業の利益率が上がって行けば、まあ上がって行くと思っていますし、上がって行かさなければいけないわけですけれども、これが上がって行くことによって、レンゴーさんと比べても、この段ボール加工についてもレンゴーさんに追い付き、更に追い越すというような段ボール事業に育てて行けるだろうという風に見ていて、この森紙業グループを取得した価値というのは極めて大きいとわれわれとしては思っているわけであります。

 次の、森紙業グループ会社・資本関係図は、では森紙業グループというのは一体どうなっているんだと、一生懸命整理しようと思って、作ったチャートなんです。これで整理できているのかどうか、余り自信はありませんが、とにかく大変な数の会社がありまして、基本的に1社1工場という格好で、どんどん会社を作って、これが親子関係で、複雑に株を持ち合っているというような状況になっております。
 何カ所かに「取得」と書いてあるんですけれども、この取得というところをいま現在は藤定社長さんほか数名の方が個人で株主として持っておられる。これを買収するわけです。いっぱい線が出ている中の、たったこれだけを買収することで、上の赤い字で書いてありますように、このグループ全体の実質的に約90%を支配できるという、まあ、そういう仕掛けで森紙業グループというのが出来上がっているということであります。残る10%は、緑色であちこちに書いてあります外部資本ということでありまして、これは取引先であったり、総合商社だったりということであります。

 次に、「今後の王子製紙グループ組織体制」ですが、この段ボール事業が森紙業グループと、それから王子チヨダコンテナーという二頭体制になることによって、当社グループの事業というのがこういう形で整理されますということを示しております。
 次の「段ボール事業の収益見通し」でありますが、これもぜひご注目いただきたいと思います。2001年度から2007年度までの段ボール原紙・段ボール合計の経常利益の実績並びに見通しであります。3本の棒グラフの右側が二事業の合計でありまして、左側2001年、2002年というようなところは赤字であったり、とんとんだったりということなんですが、2003年以降、立ち上がりまして、これは何で立ち上がったかといいますと、ひとえに原紙で立ち上がったわけですが、原紙価格が急激に安定してきたということで、この二事業合計の利益というのは順調に増益を続けております。
 但し、青い(三本並んだ左端)は、これ以上、販売価格を上げるということもなかなか難しいし、コストダウンは一生懸命やるわけですが、それにも一定の限界がありますから、今後は段ボール原紙についてはそう大きい増益は期待できない。これからは、段ボール事業の方、こちらで利益がどんどん増えて行くと、その原動力になるのが森紙業であるということでありまして、2007年度には二事業を合わせて三〇〇億を上回る経常利益を稼ぎ出すと考えております。
 これは、ホントかと言われそうですけど、そう難しい数字ではないと思っております。2004年度で既に200億に手が届くところまで来ております。2005年度は間違いなく200億は軽く越えるでしょうし、これに森紙業の60億が加わるシナジー効果が加われば、300億は越える、まあ一千億のうち300億強を稼ぎ出す当社のコア事業になると期待している次第です。

 --中国事業がかなり遅れているようですが、現在どういう状況ですか。

 石田 中国南通事業のこの「設備概要」というところに、去年は第1期が2007年、それから2009年、2011年と書いてあったと思うんですが、1年ぐらい伸びざるを得ないという状況です。
 基本的な構想は全く変わっておりません。第1期2008年、2010年にはKPプラントを付ける予定通り進めて行きたいということです。
 なぜこんなに遅れたかということですが、「第2期工事以降にかかわる認可体制の変更内容」に書いてある通りです。これは、制度が変わってしまったということで、従来、われわれのプロジェクトはKPプラントまで含めて、省レベルの認可でやれるといわれておりました。これが、昨年7月に国の制度が変わって、新しい制度のもとでは、国家発展改革委員会という国の機関があるんですが、この機関の審査を経て、更に国務院に上がり、国務院承認があってはじめて認可されるというように、ルールが変わったということであります。
 これに伴って、われわれが色んな書類を上げて行くときのルートが全部変わってしまいました。現実に、いまどういうことをやっているかといいますと、第2期工事(パルププラント+抄紙機)プロジェクトの認可手続きとして、当社としてまずやるべきことといいますのは、環境アセスの申請を国家環境保護総局というところに出して、その承認を得た上で、それを付けて国家発展委員会の江蘇省発展改革委員会に申請書を上げる。ここで審査され、承認されたものが、国家発展改革委員会の本委員会に回る。ここで更に専門機関を入れて審査され、その意見書を付けて国務院に上がり、認可されるということでありまして、申請の前提となる環境アセスについては、この4月に既に承認取得済みになっております。
 従って、大きいヤマは越えたと思っております。いまは、これを受けて江蘇省の発展改革委への申請書を作成準備中です。
 第1期については既に認可が全て下りております。そして、第2期についても順調に行けば、12月には国務院の承認というところまで行けるんではないかという風に思っております。年内にこの承認が得られれば、いよいよ第1期の1号抄紙機の建設に取り掛かるということで、来年早々設備発注ということをやれば、2008年の中ごろには営業生産開始に持って行けるだろうということで、まだまだ幾つもヤマはあるわけですけれども、かなりいい線まで来たかなと思っております。

 --洋紙では王子製紙と日本製紙、板紙では王子製紙とレンゴーさんでマーケットシェアがそれぞれ半分にもなりますが、これほどシェアが大きくなると、洋紙の分野でも、また段ボール原紙・段ボール事業分野でも、価格支配がかなり強まると思いますが、その点について。

 鈴木 価格支配というのは、かなり強烈な言葉ですけれども(笑い)、別に価格支配するような積もりは、どちらについても無いんですが、どちらの価格が安定しやすいかというと、洋紙よりも板紙系統の方が価格は圧倒的に安定しやすいと思っております。なぜかというと、流通がないからです。大部分がストレートに原紙メーカーから段ボール屋さんに物が流れ、段ボール屋さんからユーザーに物が流れ、その間に、流通在庫というものが存在しないということです。
 洋紙の場合は、特に印刷用紙の場合が大きいわけですが、メーカーが在庫を持つほかに、代理店が在庫を持ち、卸商さんが在庫を持ち、印刷メーカー自体も在庫を持つということで、もう、印刷用紙の在庫というのは日本中にあふれかえっておりますから、そういうものがネックになって、なかなか価格が安定しない、安定させ難いというところがあると思います。
 ですから、寡占度が同じであれば、価格の安定という面では、板紙の方が圧倒的に安定度は高くなるという風に思っております。

 --王子製紙は今後は操短しない、フル操業でやって行くと宣言されて、事実その通りの状況のようですが、この問題について。

 鈴木 いまのご質問、大変肝心なところなので、私からもちょっと補足をさせていただきます。
 現在、洋紙で当社もフル操業しているということです。当社がフル操業しているということは、よその会社はもっとフル操業しているわけです。ですから、メーカー側からいいましたら、いま洋紙の値上げをお願いしたいなどということを考えている人は一人もいないはずです。そして、印刷会社も確かに印刷機はフル稼動している。こんないい状態でありながら、現在、洋紙の価格はどうですかといって、卸商の皆さんに聞いて歩いていただくと分かると思いますが、弱含みだと、ほとんどの人が仰有ると思います。
 それが、いまの洋紙の最大の欠点だと思っております。ですから、ここに踏み込まないといけない。片っ方にそういう問題がある。そういう意味では、段ボールの方がそういうことは起こり得ないという意味で、段ボールの方が収益を上げるチャンスは大きいのかと思います。それと、もう一つは国際競争力が強いということです。
 まあ、そんな風に考えておりまして、今回も洋紙に関しては、流通問題をメーカーそのものが色々踏み込んで議論しなければいけないと思っておりまして、6月末の役員の異動では、いま説明しました石田を物流と流通の改革担当役員にノミネートして、この問題にしっかり取り組んでもらうことにしております。メーカーの再編はできたけれど、なぜ市場がこんなに不安定なんだろうか、ということについて、これから正面から取り組んで行きたいと思っております。

 --段ボール原紙事業と段ボール事業で300億の経常利益ということですが、
こんどの森紙業問題などからみて、むしろ過小評価ではないでしょうか。

 鈴木 段ボール原紙事業と段ボール事業を王子製紙の経営の柱にすると申し上げてきた通りであります。これは、われわれが中長計を作り始めた1996年合併以降の話でありますが、段ボールと段ボール原紙の二つの事業を当社の柱に育て上げたいということを申し上げてきました。そのためにはM&Aという手段も使ってであります。まず、順番としては、ベースになる板紙の事業をしっかりさせようということでした。先ほど石田がご説明申し上げました2001年には段ボールも板紙も、ともに赤字事業であったわけであります。
 これを前段として、まず原紙をしっかりさせようと、中央板紙・三興製紙・高崎製紙・北陽製紙とか、色んな部門の統合をする中で、合理化をどんどん進めてきたことで、かなり基盤はしっかりしてきました。一方、段ボールの方は、チヨダコンテナーを買収する、それから今回、森紙業を買収するということであります。これで、かなり構造は出来上がったのかなと思います。どうして、われわれがこの板紙と段ボールにこうして経営資源をどんどん注ぎ込んできたのかということですが、やはり、一つには国際競争力が強いということです。
 ほかのものですと、木材チップを日本は海外から買ってくるというハンデがあるわけです。ところが、段ボールは日本で出てくる古紙をベースに使っているということと、非常に持って運びにくいということがあります。それから、お客様が非常に細かい注文を、即納ベースで、カンバンベースで注文を入れてくるということですから、ここは将来の国際競争力ということを考えても、十分やって行けるということで、ここに資金を注ぎ込んでまいりました。
 そして、表でも説明しました通り、段ボール原紙の方からまず収益は改善してきた。しかし、もう一つ見ていただきたいのは、段ボール事業は2002年度は大幅な赤字でありましたけれど、2003年度は黒字になって、2004年度は更に上がって、森紙業の合併が無くても、2005年度は、更に段ボールの収益は増えるという計画を作っているわけです。ですから、この事業も、森紙業の力を借りなくても、着実に原紙が上がった中で、着実に収益を増やしてきているわけであります。

 更に、先ほど石田が申しました森紙業の持っている力を、これに加えることによって、大きなシナジー効果が生まれて、もっと収益がどんどん上がって行くと思います。これを両方合わせて、一千億の5割にしたらどうかというご質問かと思いますが、正直申しまして私も300億は控え目だと思っております。もっと上に上がって行くだろうと思っております。例えば段ボール原紙は2004年に150億もの収益が現実に出ているわけです。出てはいますが、いまの板紙の生産設備はまだ非常に古くて、効率の悪いものです。これに、いまお金をかけ始めているところです。ですから、もっともっと効率がよくなる、もっともっとコストダウンが進むというものでありますから、段ボール原紙もここで頭打ちではなくて、もっと上がって行くはずです。
 ですから、段ボールのシナジー効果を入れると、こんなものでは無いとは思いますが、しかし、500億というのはちょっと、ホラ吹きになると思いますから、大体そんな風にお考えいただきたいと思います。
 しかし、われわれは一千億の経常利益の中で、確かに3割?4割をこの部門で生むことになると思います。最近、レンゴーの評価が大変高いんですけれども、やはり、レンゴーはそういう体質の会社になっていっているわけですね。われわれは、その上を行こうという戦略をいま打っているわけですから、ぜひご評価をいただきたいと思います。

 --先日の反日デモを契機に中国進出を見直す空気もあると思います。王子の計画が遅れているわけですが、中国計画を見直すようなことはないのですか。

 鈴木 中国はご承知のように反日感情というような問題もありますし、また、われわれがいま直面しておりますように、色んな規制とか、政治システムが変わる可能性があります。そういう意味では、異常な、リスクの高いマーケットであるということは、当初、このプロジェクトを決めるときから十分理解しております。
 しかし、いま、反日感情の高まりが出てきたから、右往左往するというようなものではありません。これも、中国を歩いていただいて、色んなシステム、色んなところをご覧いただくと十分そういう根があるということが分かるわけです。廬溝橋の抗日記念館、南京の大虐殺記念館を見ても、ああいった感情がベースにあるんだということを十分理解しておかなければならない。しかし、中国民族は同時におカネ好きの民族でもあります。ですから、反日感情は反日感情の一方で、金儲け出来るなら一緒に付き合おうというのも、もう一方にあるということも忘れないで行かなければいけない。
 そういう意味で、そういったリスクの中で、認可システムも江蘇省政府でいいと言っていたじゃないか、それが知らないうちに中央政府に変わってしまうということがあります。しかし、こういうことって、日本では全くなかったかというと、日本だって色んなことがあって、海外の人からブーブー文句を言われた時代があります。ですから、こういうものに打ち勝つだけの力強さというものを、われわれがプロジェクトの中に持っていなければいけないということだと思っております。

 そこで、われわれがパルプから一貫で、しかも廃水は海に捨てるんだというような次元の高いプロジェクトを組んで、それに向かって着実に進んで行くということが私は必要だと思っております。日本の中でも、日本で最も大きいこのプロジェクトを、政治家の方々も、財界の方々もバックアップしてくれる、中国の政府もバックアップしてくれる、地方政府もバックアップしてくれるというようなことで、この間、着実にわれわれは進んでやってきたと思っております。かなりの人がサポートしてくれるということで、当初始めたところよりも、ずっとそういう意味で進んできたと思っております。
 中国市場でやるときには、われわれの経営思想とは全く違うところで、ものを考え、進めている人たちがいるわけですから、そういう人たちと競争したときに必ず勝てるような、そういったプロジェクトを作って行かないと、途中で挫折するというようなことになるだろうと思います。そういう意味で、色んなことがありましたけれども、最初に作ったプロジェクトを全く変えないで真っ直ぐに前に進んで行くということで、われわれのいまのプロジェクトの正当性みたいなものを逆に確信しているというように思っております。

 --森紙業はなぜ王子の買収に応じたのですか。

 鈴木 これから、段ボール業界がどう進んで行くのか、これは、われわれがこう言ってはいけないのかも知れませんが、どうして森紙業がこんなに元気で、シェアを伸ばしていて、収益もトップで、なぜ王子の傘下に入るんだというには、それなりの背景があると思うんです。その背景のことを考えると、更なる一貫化といいますか、これが進む可能性は十分あるんじゃないかという風に思います。
 表に書きましたけれど、王子グループがあり、レンゴーグループがあり、日本大昭和板紙グループがあり、そして大王グループがあるというようなことで、そのように統合されてゆくことになれば、その中で更なる合理化、効率の向上ということで、業界全体の収益の向上ということが図れるのではないかなという風に思っております。ですから、今度のことは、やはり、段ボール業界としても、歓迎してくれるんではないかと思っております。