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シート市況 研究

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昭和58年シート市況(その2)

(7月上旬)
予想外のすずしい夏で、更に一段熱っぽくなるかと思われた市場の空気も、やや気勢を削がれた気配。しかし、需要がまずまずの推移で、至極平穏無事。予報では、この日曜日あたりから本格的な暑い夏がやってくるというが、さてどうなるか。ユーザー業界がお天気頼みなら、段ボール業界も全く同じこの夏の表情のようだ。
(7月中旬)
夏本番の7月がうっとうしい雨つづきで、これでは夏物商品がだいぶ売れ残りそう。そんな需要業界の気配だから、6月までと、またひと味違ったムードになっている。もっとも、市況的にはほとんど変わりない。また、秋口値上げを思惑にして、それ以前にシェアを確保しておこうといった動きも沈静、価格には慎重な構えになっている。全般に模様眺めで保合い。
(7月下旬)
関東地方も7月26日に梅雨明け宣言が出されて連日30度を越す本格的な夏がようやく訪れた。7月冷夏の失地を、これからの夏本番でどこまで取り戻せるかが焦点だろう。統計によれば、これまで停滞一方だったシート出荷が、関東地区では5月で既に前年比8%台の回復になった。製函メーカーの需要分野が活気づいてきた証拠だろう。
(8月上旬)
夏の高校野球大会が、今年も8月8日から始まった。旧盆をはさんだ甲子園の熱戦がつづく間は、例年、段ボール業界も一服、夏場閑散期ということになっている。だが、どうも今年は過去3年間と違って活気が動いているようである。猛暑で元気の出たユーザーから伝播して、昨年までの「休め、休め」ではなくなってきた。景気回復気運ようやく濃厚である。
(8月中旬)
段ボールシート出荷が、6月に前年比7.0%の増加となった。第2次石油危機後、シート出荷はマイナスの連続で、57年も3年連続のマイナス。シートメーカーが、小ロットものを下請けに出さなくなったからとか、構造変化が生じたとかともいわれた。果たして、そうなのかどうか、今後のシート復調がやがて答えを出しそうだ。再び転機が訪れた感触である。
(8月下旬)
7月分からの「新値での取り切り」は、結局、大勢が出揃わない形で、ズレ込んだようだ。しかし、同時に「8月分から」については、この交渉経過の中で、メーカー、段ボールメーカー間に何か合意のようなムードが出てきたといわれる。この原紙問題の決着を受けて、また時期も時期だけに、シート・ケース値上げがこの9月、一斉スタートへ。
(9月上旬)
段ボール市況が、いよいよ「底入れ」から「反騰」の段階を迎えた。シート・ケースの同時値上げが、9月下旬、一斉に火ぶたを切る。何分にも準備期間がないから、ぶっつけ本番の形。「ケース値上げを優先」に、シートメーカー、ボックスメーカー両陣営の思想が揃ってきている。だが、ユーザーの抵抗強く、難航必至の形勢に変わりない。
(9月中旬)
段ボール値上げがスタート、それぞれシートメーカーと製函メーカー間の交渉が開始された。これまでのC5/60円ベースとの対照でいえば、C5/70円ベースが一つのメドになる模様。肝心の「ケース値上げ」の展望がまだ何もないスタート段階だから、感触も何もないが、原紙が急速に引き締ってきて、これが市況全般のムード変化に拍車をかけている。
(9月下旬)
需要は極めて順調。8月速報は前年比11.9%増だったが、9月も引続いてかなり伸びた気配。ただ、「段ボール値上げ」はまだスタートが切られたばかりの状態で、各社の動き方もはっきりしない。むしろ、まだ模様眺め気分で推移している感触が強い。右に向うか、左なのか。構改問題を眺めながら、まだ迷いに迷っている微妙なムード。
(10月上旬)
「需要の実勢が伴わなければ、どんなカルテルも効果が出ない」とはよく知られた言葉である。逆に、「需要の実勢があれば、カルテル抜きでも市況効果が出る」という逆も真だろうか。実勢が日に日に強まり、シート納期も即日が消え、平均3日前後に。シートはC5/72円見当、ケースは平均10%がらみとみられる今次修正が全国的に進展、10月いっぱいがヤマになるか。
(10月中旬)
段ボールシートの値上げがC5/72円ベースで、10月21日出荷分から全面浸透の情勢が定まった。銘柄別にはC6/80円、K5/85円、K6/92円見当で、各銘柄とも現行取引価格のほぼ10円アップの線となる見込み。久方振りの値上げ情勢の展開で、シートは一部仮需の動きが伝えられる。原紙→シートが出揃って、いよいよケースも本番へ。
(10月下旬)
シート値上げが全面浸透して、「C5/72円ベース」時代に入った。第2次オイルショック時のピークにC5/98円に達して、そのあと55年5月から3年半にわたって下げつづけたことになる。勿論、値下がり局面の長さでも史上最長であった。潮の流れが変わって、このあと明春には「あと10円アップ」の価格回復をめざす動きに向かいそうだ。
(11月上旬)
今年は、8月の猛暑が来るまで業界に元気がなかった。それに、構造改善問題の今なお続くモタツキがあって、せっかくのタイミングが後にズレ込むばかりの形勢だった。このため、シートも、ケースも、結果的にはごく限られた交渉日数しか持てなかった。根まわし交渉2カ月、詰めに1カ月、合計で前後3カ月、100日ぐらいの交渉期間があれば理想的なのだろうが。
(11月中旬)
段ボールケース値上げがいよいよ最後の詰めという段階。目算では、すでに当初予想以上の成果が得られそうな局面に来た。折も折、構造改善問題をめぐって、メーカーの軋轢の噴出を思わせる某大手メーカーの大増設構想の公表。ユーザーとの交渉に連日汗水を流している段ボール業界、製函業界は「一体これは何だ?」と、やや虚を突かれたような表情。
(11月下旬)
段ボールケースの値上げは企業個々の間で進展度にかなりの差があるといわれる。交渉期間もズレ込んで、12月中旬ごろまで長びきそう。需要の堅調さが前向きの姿勢を支えている。10月は当初予想の7億8千万m2をかなり大きく越えた。11月も悪くない。このあと今年の残務整理がはじまる中旬ごろまでがユーザーとの交渉の勝負どころのようだ。
(12月上旬)
段ボールケースの値上げが終わった。戦い済んで、日が暮れて、さてと振り返ると、背中から、横あいから、鉄砲のタマの何と雨あられと振りそそいだことか。一番こわいはずの同業者よりも、「構造改善」という名のタマを、結局、避けきれなかった状況であった。ケース値上げの経過をおり込んで、シート価格も各社それぞれ最終決着した。不需要期に微調整が出るかどうか。
(12月中旬)
原紙メーカー大手19社の社長会での最終合意により、構造改善の実施が決まった。シート市場も、この成り行き如何をじっと見守っていた形。表面に出ない部分で、何やら微妙な気配もないわけではなかったが、構改決定でそれがピタリおさまった。ケース値上げも、年末で一時ストップした持ち掛けの交渉が、年明け後も進む方向。強気一色の推移になりそう。