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シート市況 研究

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昭和60年シート市況(その2)

(7月上旬)
昨年の前半、段ボールは前年比8.3%の伸び、後半は7.0%の伸びだった。今年の前半は、特に3月の落ち込みがひびいて4%台半ば近いところに落ち着きそう。そして4月以降、再びじわじわ需要基調が拡大傾向をたどっているのが頼もしい。段ボール市況は7月上旬もこれまでと特に変わらず。やや軟調ぎみながら保合い状態で推移している。
(7月中旬)
一昨年の夏を思い出させる好天と暑さがつづいている。56年、57年が2年つづきの冷夏で、58年も前半は低温で、"3年つづき"の冷夏かと思い込まれていた。突然、猛暑がやってきて、折柄の景気回復にはずみがつき、一打逆転のホームランのように、以後の爆発的な需要拡大の引き金となった。今年は、これで景気のカゲリぐらいは吹き飛ばせそう。
(7月下旬)
連日の猛暑、好天つづきでこれまで不振だった青果物関係に活気が出ている。また、これを反映して、シート出荷の伸び悩みも解消されそう。というのも、郊外立地、地方立地の製函メーカーでは、一貫段ボールメーカーに劣らず青果物への需要依存度が高く、これが好転した。原紙市況の下落、景気の先行き不安などの心理的な悪材料が当面、猛暑で一掃の形。
(8月上旬)
昔も今も、甲子園の高校野球は「紙業界の閑散期」の代名詞。折柄のお盆の夏休みで充分鋭気を養って、さてと次の仕事(秋需)にとりかかる、ちょうど句読点のようなものでもある。前年は3月〜4月、それに6月〜7月前半と、だいぶ雨でしめったが、後半は相当需要が動きそう。シート市況も平静さ変わるまい。
(8月中旬)
甲子園の高校野球が終わったら、秋は、やがて馳け足でやってくる。段ボール需要の最盛シーズンの始まりである。来るべき需要期に期待をふくらませてか、段ボール市況は目下、全く静止の保ち合い状態。段ボール工場の在庫調整も「6月末で完了」が確認された。原紙の荷動きが、一だんと活発化しよう。
(8月下旬)
大変な大赤字に苦しむ原紙メーカーが、秋の需要期に向けて、かつてない悲壮な決意のもとに原紙価格の修正を打ち出す構えを強めている。一昨年、昨年と2度つづいて失敗しているだけに、情勢は決してメーカーに有利ではない。だが、多くのメーカーが破産の危機にひんして、もはや上品ぶっていられる状態ではない。波乱含み気配に。
(9月上旬)
「真夏」が9月上旬いっぱいつづいて、どこか「秋は秋らしくないと」という感じ。そうした中にも、ここ一両日、朝晩はめっきり気温も下がり虫の鳴き声も秋めいて、ややわびしげな気配に変わってきたようである。秋需本番はまだこれから。ただし、夏が暑かった年は秋需も盛り上がるーーというのが段ボール需要の鉄則で、当面、悲観材料は見当たらない。
(9月中旬)
7月の生産は8億2千万m2と、月半ばからの猛暑による最終需要の活況を反映して、例年、年央でのピークとなる6月生産を上回った。そのペースが、8月の盆休み以降も引きつづいている。おかげで、段ボール市況全般に下げ止まり、保合い状態がつづいている。価格を大事にする気風が、加工段階ではかなり定着したように見えるのだが。
(9月下旬)
「7月〜8月は悪かった」という声をよく耳にする。忙がしいことは減法で、毎日遅くまで残業、残業。しかし、月次で締めてみると、せっかく楽しみにしていたのに、売上げは伸びず、利益も減ってガッカリだったともいう。段ボール生産は依然、増加をつづけている。しかし、6月以降は、金額でみると前年比でマイナスに変わっている。要警戒水域に入ったようだ。
(10月上旬)
原紙市況の先行き不透明の中で、シート市況が弱含み保合い状態のまま少しずつ沈下をつづけている。そして、段ボール統計などでみると、一貫段ボールメーカーのケース販売は堅調、シート売りは停滞がつづいているが、この辺にも何か構造的なものがありそうな気配。段ボール機械の発展で、小ロットに強くなったのが大きく響いているか。
(10月中旬)
年間の段ボール最盛需要シーズンがやってきて、段ボール業界各社とも、さすがに忙がしそうに活気づいている。景気がまずまず、気象条件も今年の冬はいかにも寒そうだとあって、見通しは悪くない様子。10月は、段ボール生産が少くとも空前の8億5千万m2以上に達する予想だから、各社とも量的に史上最高の記録を更新するだろう。シート市況、全く保合い。
(10月下旬)
原紙メーカーの下値整理の動きがあって、シート価格も下値整理のうごきが底流にあるが、あまりめだった効果は出ていないようだ。段ボール市況の今後は、やはり「原紙次第」だろう。需要の気配は一進一退。夏場からの好転期待があて外れに終わったが、10月はまずまずの推移がいわれる。景気は足ぶみ状態とはいえ、やはり年末最盛需要期の感触。
(11月上旬)
世界の景気は「アメリカ次第」のようなところがある。一昨年から昨年にかけて、アメリカの景気回復が世界の経済情勢を一変させた。昨年末から今年にかけて、アメリカ経済が循環的な調整過程に入った。途端に、ヨーロッパも、アジアも、世界中が何となく不透明な状況に変わった。いま、米国の段ボール出荷が再び上向いた。リセッションは回避されるのかどうか。
(11月中旬)
段ボール原紙は極度に悪いが、段ボールの方は、前年よりかなり多めの収益を出して、まずまずの経過のまま、無事越年となりそうである。市況も、原紙の底入れにともなって、全般に底固くなっている。需要量は、昨年ができ過ぎと思えば、3〜4%でも不足はいえない状況だろうか。夏場ややダレたあと、秋需要期から再び上向きの感触。
(11月下旬)
市況、いわゆる相場と、統計上の平均単価とは、ある意味では「似て非なるもの」であるかも知れないし、結局は同じものでもあるだろう。1年前の東京の出荷シートの平均単価は80円54銭、それが今年9月は69円78銭までダウンした。名古屋は80円09銭が68円24銭に、大阪は89円89銭が79円89銭である。各社の実態と比べてどうだろうか。
(12月上旬)
12月も半ばに来ると、年内需要も一段落して、ぼつぼつ残務整理気分が拡がってくるのが例年のパターン。それでも、年内いっぱい忙がしい年もあったし、12月に入ったらまるでヒマという年もあった。今年は、どうやらほどほど仕事があって、まずは平年並みの感触。振り返ってみれば、今年は「利は元にあり」の年であった。既に大分はげ落ちたが。
(12月中旬)
「北関東」とか、「チバラギケン」とかいわれた時代があったが、その精強ぶりは変わらぬにしても、大荒れに荒れる時代ではなくなった。いまは「九州」と「東北」に台風の目が移った形。そうした中で、しかし、市況の地盤沈下がこの10月ごろから更にじわじわ進んで、紙代との差が縮小の一方。年明け後の不需要期、シート・ケースとも要警戒に。
(12月下旬)
市況面で大荒れに荒れた1年であった。1年前も、市況の地合いは決して強くはなかった。しかし、その頃、「あるいはこうなるのではないか」と予想された以上に、価格は崩れ去ってしまった。市況産業の変化の速度は早い。1年でこうだから、逆に1年先の予想はムリである。明年後半には市況反転の機会が訪れると思われるが。