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シート市況 研究

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昭和61年シート市況(全)

  • 図1図1

  • 図2図2

  • 表1表1

(1月上旬)
段ボール生産統計でみると、シート価格はこの1年でm2当たり10円下がっている。これは、各地区ともほぼ同程度の下がり方として「統計上」は示されている。いわゆる"C5"基準の相場的な表現とは違うが、トータルでいう表現法だと、これに基づく以外にない。スピードが早まることもなく、遅くもならず、ジワジワ型の下落商状である。
(1月下旬)
昭和60年の段ボール生産は、ほぼ95億2千万m2台、前年比3.3%増程度に達したようだ。推定では、うち55億2千万m2程度、約58%が一貫消費で、また40億1千万m2程度、約42%程度がシートで出荷された勘定である。とすると、一貫消費は前年より2億5,400万m2ほど増えた。シート出荷は7,300万m2しか増えなかった。
(2月下旬)
段ボールシート市況は、昨年末ごろで下値は下げ止まったが、年明け後も上値修正が進み、平均相場的には引き続きジリ安商状となっている。季節的に年間で最も閑散な不需要期ながら、当初懸念されたほどの落ち込み状態ではなく、市場全般に落ちつきが感じられる。4月の箱価格の更改期を控え、緊張した空気。1月速報は需要の浮上気配を伝えた。
(3月上旬)
レンゴーが3月、4月分からの段ボールシート・ケースの値上げを発表した。慎重な態度を続けてきた同社が今回の値上げ発表にふみ切った背景には、企業の存亡をかけた原紙値上げが浸透必至、との判断がある。かねて同じ情勢判断を深めてきた段ボール各社とも一斉に追随に向かう気運。シート市況は3月上旬、気配値で保合い状態に。
(3月中旬)
円高デフレ不況ムードの中で、今年1〜3月期には或いは瞬間的には"マイナス"に陥る局面もあるのではないか、と危惧されてきた。だが、お彼岸をはさんだこの3月中〜下旬までの感触としては、どうもそうした心配は杞憂のままに終わりそうだ。ぼつぼつ新学期。季節的には春需要のシーズンである。値上げの行方はまだ不透明だが、シート市況は保合い。
(3月下旬)
段ボール生産は1月が3.8%増、2月速報は1.3%増で、需要の冷え込みを思わせている。だが、季節的要因から、2月は毎年上方修正されるので、推定伸びは2%台の見込み。「値上げ」が動き出したが、ユーザーの反応はやはり厳しく、本番はまだこれから。しかし、原紙の気配に品薄感が出はじめて、"下げどまり"がまずはっきりした。
(4月上旬)
段ボールへのバーコード・シンボルの印刷は、物流面でのメリットが非常に大きい。だが、段ボール生産者にはデメリットばかりとされる。しかし、この新しいシンボロジーが、結果的に段ボール品質の格段の改善への大きな"挑戦"であることも確か。シートも、紙も、バーコード印刷に耐えられない品質のものは一掃されよう。市況がより安定する期待が大きい。
(4月中旬)
値上げに向けてスタートした。だが、市場の環境は余りにも厳しい。毎日の新聞をみると、とくにこの4月半ばからは、「円高」が載らない日が1日もない有様。ついこの間、180円で驚いていたら、いまはもう160円台。たとえ1円でも2円でも上げたいのはやまやまながら、ユーザーの懐工合を考えたら「つい二の足を踏む情勢」が続いている。
(4月下旬)
段ボール業界の情勢は、毎年、5月連休明けに新しい展開をするが、今年の連休明けはどうなるだろうか。メーカーは「あとのない値上げ」をどこまでもやり抜く構え。4〜6月の減産強化から、それでダメなら7〜9月もとめざしている。段ボール値上げは、目下、極めて微妙な岐路に立たされている。連休明けには、もっとはっきり方向性が出るか。
(5月上旬)
段ボール原紙および段ボールの値上げは、円高デフレムードの浸透にさえぎられ、いつもと違って、あまりはなばなしい展開がみられない。だが、段ボール市況は今春来、まず全国的に下げ止まり、次いでC5/40円といったこれまでの極端な安値の整理がかなり進展しつつある。先行きはさらに不透明の度を増している感じだが、全般に地道に積み上げのムード。
(5月中旬)
段ボール市況が反騰した。今次の循環的な下降状態は、統計上は昭和59年9月からはじまったから、実に18カ月〜19カ月、ちょうど1年半ぶりの値上がりである。こんどもまた「非常に難かしい局面」からスタートしたが、追いおい好材料が積み重なって、良い方向に向かっている。難関のケース値上げにも曙光が見えはじめた。
(5月下旬)
一時、1ドル=159円99銭と「150円台」に達した円高は、振り子の振れが一旦177円まで戻り、いまは171円前後でのモミ合い。しかし、こんな程度で輸出採算が改善されるはずもなく、段ボールも、ご多分にもれず輸出企業の厳しいコストダウン要求にさらされている。市況面にはこれが何より重たい材料。重荷を背負っての長い坂道である。
(6月上旬)
明けても暮れても円高問題の時節柄だが、円高のデフレ効果としてまず最初にデメリットが出て来る。それから、円高のメリット面が徐々に浮かんでくるとされている。いまは、そのデメリット期の真っ最中。どちらを向いても、これぞという明るい情報は少ない。最近、内需にもやや影響が出始めたかといわれている。
(6月中旬)
原紙メーカーの減産にもかかわらず、需給がなかなか締まらない。加えて、この円高デフレ不況風。市況問題は、進むもならず、退くもならず現状の膠着状態がしばらくつづきそうだ。原紙の需要と供給のバランスは、今年あたり、微妙な位置関係まで来ている。「減産して少し足りない」状態になると、情勢は大きく変わる。あと一歩のようだが。
(7月上旬)
原紙情勢がもうひとつ不確かな中で、シート市場は平静におさまっている。円高影響がいわれるが、段ボールには円高より以上に天候条件が直接的にひびく。5月はやや天候がぐずつき気味だったのが響いた模様だが、6月は中旬以降少し持ち直した様子もいわれている。あとは夏場、カッと照りつける太陽次第の需要動向か。
(7月下旬)
円高デフレ不況下でも、段ボール箱価格は4月以降、ぴたっと下げ止まっている。シート価格は、先の値上げで、オーバーラン部分が修正された形で、おさまっている。円高に加わって、主に天候要因から、6月は遂に懸念されつづけてきた"ゼロ成長"状態までダウンした見込み。但し、市場は平静におさまったまま、夏場閑散の季節を迎える形のようだ。
(8月上旬)
夏休みシーズンに入って、ここ当分は市場も超閑散。秋まで一服の状態である。振り返ってみると、"円高デフレ不況"の厳しい環境の中で、段ボール市況はほとんど安値騒ぎもなく、堅調、平静に推移したことがいえる。業界自体の体質の変化、ないし「守りに強くなった」ことが各方面に注目されている。
(8月下旬)
夏休みが終わって、いよいよ最盛需要シーズンに向かって行く。しかし、どこを見渡しても、あまり良い材料はなく、当分変わりばえしない情勢が続きそうだ。円高デフレ不況ムードが浸透してきて、とかく商売がやりにくい状況だが、そう遠くない将来にどこかで転機が訪れる予想も持たれている。じっと我慢の子に、ちょうど需要期という巡り合わせ。
(9月上旬)
「デフレ現象」というのは「インフレ」とは何と違うものかを思わせるのが最近の業界情勢。インフレを「動」とすれば、デフレは「静」、また前者を躁とすれば、後者は陰にこもった鬱の状態のようである。但し、物知りの言によると「気長く忍耐すれば大吉」ともいう。以前とはだいぶ勝手が違うが、「忍」の一字だけは何も変わりないようだ。
(9月中旬)
1月から4月まで3%台の伸び率だった段ボール生産が、東京サミット(5月)以後の急激な円高を反映して5月に2%台に落ち込み、6月はゼロ状態、そして7月は6月からの需要ズレ込み分を勘案すると実質マイナス状態だったのではないかと推測される。8月、9月は、気配ではどうもマイナスらしい。かねて覚悟の上とはいえ、一層慎重な対応が必要のようだ。
(9月下旬)
8月が前年比でマイナスだったことは、どうやら判明した。各社の手もとの数字が悪かったのは、決していわゆる"売り負け"したためではなかったということだろう。9月も、大方の情報では、小幅のマイナスだった感じである。そしてこのような経過をたどって来たというところをみると、何か突然変異のように事態が好転する可能性はないだろう。冷静な対応が必要。
(10月上旬)
年間最大の需要シーズンを反映して、段ボール工場、製函工場とも活気を呈してきている。円高デフレ不況という心理的な圧迫感は強いが、忙がしければそれも忘れていられる。とくに、最近は多品種小ロット化、即納化の進行で、やたら手間がかかり、需要シーズンにはそれで一層繁忙感に拍車がかかる。市況は旧値の線で底固く保合い状態。
(10月中旬)
11月1日から公定歩合の0.5%再引き下げで、日銀はじまって以来最低の3.0%の水準となった。これで、円高不況対策は出尽くした形。世界最低の公定歩合、減税、輸入物価下落を最大要因とする消費者物価の下落が、今後の内需拡大、円高メリット発揮のシナリオにどうつながるかだろう。段ボール価格の低下の一方で、原紙情勢に変化の兆しも。
(10月下旬)
このところ連日、新聞紙上に各産業界の中間決算概況が掲載されている。その大方が「減収・減益」であり、その理由は決まって「円高デフレ不況のため」である。そればかりではない。より長期的な展望として「過剰人員の整理」「失業増大」が声高にさけばれている。ムードが悪すぎて、段ボール市況も容易には現在の低迷から抜け出せそうにない。
(11月中旬)
段ボール需要は、数量面では予想以上に順調である。9月は3%台の伸びを回復し、10月は史上はじめて9億m2台をマークしそうである。とはいえ、この順調さが安定して今後も続いて行くのかどうかとなると、まず100人が100人悲観的であることは間違いない。市況は、とかくムードに引かれがち。量的な繁忙感が一向ムードに反映しない感触。
(11月下旬)
最近の段ボールシート市況の推移をみると、日頃はいわゆる"軟調"の極めてゆるやかな下り坂をだらだらたどってきて、節目(ふしめ)のところまで来ると急にガタンと一段階下がり、また軟調のまま推移というパターン。その節目は大きくは5月連休明け、それにこの10月だったが、9月〜10月はむしろ需要がかなり回復した時期。需要増が市況安を誘った形に。
(12月上旬)
もうすぐ街にジングルベルの鈴の音が響きはじめる。歳末はいよいよ駆け足でやってくる。例年、段ボールの業務は月半ばまで、あとは残務整理といった形に変わる。今年も、特に年末繁忙といった材料は何もないから、平々坦々と残る日にちが経って行きそうだ。振り返ってみると、通貨の激動の割には市場は平穏。却って戻り過ぎの感はあるが。
(12月中旬)
アメリカの段ボール生産が100億m2を突破した年がいつなのかは知らない。だが、日本が100億m2を突破するのは確実に「明年」である。折柄、明年はわが国に段ボール業界団体が結成されて以来満40年になる年。団体創立40年に10月100億m2という縁起である。良い縁起の前年は、市況的に振わなかった。シートは特に大幅値下がりがめだった。
(12月下旬)
シート市況は、いまや全く"オーバーラン"の状態といえるようだ。オーバーランして、かなり向こうまで行ったところから、いつも次の循環がはじまる。段ボール原紙の値上げも、今年の場合、結果的には試行錯誤の連続のように見える。1年経過して、しかし、来年も同じということは決してあるまい。潮の流れが変わり始める頃合いではないか。