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シート市況 研究

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平成元年シート市況(全)

  • 図1図1

  • 図2図2

  • 表1表1

(1月上旬)
段ボール需要の先行き見通しには、目下は何のカゲリもみられない。昭和63年度の需要の伸びは「8%」前後、生産金額の伸びも推定「6.6%」前後だったとみられるが、平成元年の今年も、数量的には少なくとも「6%以上」の伸びを期待してよいように思われる。市況は当然強調で推移しよう。消費税がその傾向をプッシュするのも成り行きだろう。
(2月上旬)
段ボール需要は、年明け後も極めて堅調な推移がつづいている。当面の問題は何といっても「消費税」。3%を負担できる会社はどこにもないから「100%転嫁」以外にないし、それがまた税法の趣旨でもある。当初は、果たして転嫁できるかの不安も多かったが、国全体がその方向に動くにつれて漸く展望が開けてきた形勢。
(2月中旬)
当面の焦点は、何といっても「消費税」だが、そうした中で、「段ボール原紙の値上げ」の圧力が次第に高まりつつある。いかにも、時期が悪い。いま実施すると、便乗値上げがどうこうという反発も出て来そうである。しかし、「これまでもっと良い時期がいくらもあったのに、上がらなかった」のだから、メーカーにそんな気配りまではなさそう。
(4月上旬)
「消費税」は、このあとも、もう少し様子をみる必要があるかも知れないが、どうやらパスできたようである。「税金をただ転嫁するだけ」ということで、社会的な監視の目も行き届いているし、まず問題なさそう。問題は原紙の懸案の「値上げ」だが、その綱引きの行方がどうなるのか。景況の推移から、秋にはメーカー待望のゴールデンクロス説も。
(4月中旬)
段ボール需要は依然好調な推移がつづいている。3月はおそらく最高記録が出たはずだが、4月も推定6%程度の伸びが見込まれる。消費税もどうやらすんなり浸透して、まずはひと安心というところだろうか。これからの問題は、いよいよ本番入りの原紙値上げとそのコスト吸収。業界の変わり目が5月連休明けに来ることが多いのだが。
(4月下旬)
全国のデパート売上高が、4月は3月の大幅増加の反動で前年比7〜8%のマイナスだったようである。しかし、5月の連休明けには、買い物客の足もだいぶ戻ってきて、前年比ではやはり増加のペースになってきているという。段ボール需要の方は、末端小売段階ほど3月→4月の振れは大きくなかった。勿論、4月は伸び悩んだが、連休前後は再び活況が戻っている。
(5月下旬)
4月からの消費税3%の実施で、一応表面上は「100%転嫁完了」の形になっているが、実際には3月に一旦3%を下げさせられたケースもあれば、あるいはユーザーが"便乗"して3%ならぬ5%も下げさせたりと、さまざまなケースが伝えられている。需要の絶好調が続くだけに大事には至るまいが、完全な定着まで慎重な対応と警戒が必要だろう。
(6月下旬)
市場情勢はすっかり落ち着ききっている。懸念された消費税問題は、とにかく単価と別個に取り扱われて、かつ市況は勿論、原紙も含めて、上がりもしなければ、下がりもしないという、いいかえれば段ボール業界ではかつてない"平衡"状態が続いている。需要は、4月は4.0%増と3月の反動が少しあったものの、実質風速8%前後は変わらず、6月も順調であった。
(7月上旬)
段ボール原紙メーカーが、9月出荷分から段ボール原紙の10%アップに動き出し、成り行きが注目されている。昨年の場合は、メーカーが値上げに動いたら逆に市場の実勢は値下がりの方向に動いた。今春の値上げは、消費税と重なって間の悪いタイミングだったが、昨年と違って、僅かながら上昇に向かった。変化の度合いはまだ緩やかだが、次第に速くなるか。
(7月中旬)
段ボール原紙メーカーが、9月出荷分からの10%値上げをそれぞれ代理店に通告、いよいよ具体化に取り組みはじめた。受ける段ボールメーカーの方は、「といっても情勢は何も変わらない。結局は需給次第ではないか」と引きつづき静観の構え。段ボール需要は堅調ながらもう一つはっきりせず、原紙の需給状況も同様だが。
(7月下旬)
6月度の段ボール生産速報も4%台の増加で、消費税の駆け込み需要で急膨張した3月の14.5%増のあとは、3カ月つづいて4%台の伸びで横ばいが確かめられた。7月は、一説によると、前半6月より急に落ち込んだともいわれるが、地域によっても感触が違うようだし、全般には横ばい程度なのだろう。市況も横ばいのまま。原紙値上げへの反応が全くない。
(8月上旬)
青春賛歌、甲子園の「全国高校野球大会」が始まった。旧盆休みをはさんで10数日間つづくこの開催期間中は、毎年、紙関係業界のいわゆる夏場閑散期。段ボール工場も仕事はまず一服。休み期間中に一部機械設備の手入れをしたりして、秋の本格的な需要期に備える体制である。景気は変わらず順調。あわてず騒がず、粛々と進んで行けば、との感がいよいよ深い。
(8月下旬)
このところ天候も順調。このため、景気の好調に加えて「秋」の需要見通しが更に明るくなっている。10月度には間違いなく史上初の11億m2の大記録が出そう。このあたりの数字がつづくようになるし、段ボール原紙の月間需要量がメーカー待望の70万トンを大きく上回るようになってくる。「脱段ボール」を招かない範囲内での価格政策を。
(9月中旬)
段ボール市況の水準を、個々の取引価格ではなく全国・全品種の平均レベルで言い表わすには、段ボール統計数字でいう以外にない。7月の総平均単価(シート及びケースの合計出荷額を生産量で割った平均単価)は84円71銭/m2だった。ところが、同じ計算を1〜7月について行ってみると、これも84円73銭と、2銭違い。市況はそれほど静止の状態。
(9月下旬)
4月の消費税以来、なんとなく、もうひとつ冴えない印象が強いようである。一昨年半ばからの、天井知らずのようだった段ボールの伸びも、4月以降はすっかり中だるみしてしまって、結局、9月も夏場とあまり変わりばえしない形勢だったとされる。景気の実勢がそう変わったとは思えないが、11日に、日銀が公定歩合再引下げ。段ボール市況への影響はどうか。
(10月中旬)
消費税実施後の4月、5月は需要の伸びが4%台、そして6月に5%台を回復したものの、7月、8月は逆に3%台に低下して、9月もほぼ同様な推移と観測されている。ところが、10月に入って、やや動意が感じられており、"消費税後"の中だるみ状態を脱出できるかどうかが、目下最大の関心のマト。価格修正のチャンスは、まだなかなかのようだが。
(11月上旬)
いまから振り返ってみると、消費税3%が消費者心理に及ぼした影響というのは、かなりのものだったようである。たとえば、段ボール生産の数字が3月の14.5%増から、その後は2四半期6カ月にわたって何となく停滞感というように揺らいだのは、いうならオイルショック以来の出来ごと。そして、半年経って、どうやらそのマイナス効果がやや薄らいだ感じのようである。
(11月中旬)
平成2年度の中間決算が相次いで発表され、いざなぎ以来の大型長期好況の中でも、更に収益をアップする業種、やや頭打ち、ないし明年にかけて低下が必至の業種と、収益的なマダラ模様が広がりつつある。予想通り「紙パルプ」も"絶好調"組から"頭打ち組"への評価がえが世間的には進んできている。雌伏10年の「段ボール」の逆転再評価はいよいよ明年。
(12月上旬)
段ボール業界が市場原理主義に徹して、業界ベースでの価格の人為的操作の試みを全く放棄してから、ちょうど2年が経過した。振り返ってみると、逆に市況は安定的な推移だったとみられ、最近は特に小口ものを中心に不採算の修正のうごきが自然発生的に広がってきている。明年に向けて、更に自信を強める情勢となった。
(12月中旬)
レンゴーがシート・ケースとも不採算価格の是正に向けて動き出した。目下、個々の納入先にそれぞれ個別に新値見積書を出し、交渉に入ったばかりの状況だが、各地で広がりつつある多種多様な取引条件の改善交渉を加速する要素になるのも必至。予想される来春の本格的な反騰に向けて、下地が次第に整備されてきた形勢とみられている。
(12月下旬)
「来年こそは」というような情勢が、この2、3年ずっと続いてきた。つまり単価回復の希望は引きつづき強かったわけだが、原紙の場合も段ボールの場合も、それらすべてがほとんど「絵に画いたモチ」の結果に終ってきた。しかし、来年は違うようである。段ボール市況が反転、古紙相場も回収の末端で反発しはじめた。新段と古段と根は同じ。原紙もいよいよか。